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アメリカの避妊と家族計画

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アメリカには、長い歴史を持つ非営利民間団体、アメリカ家族計画連盟(Planned Parenthood Federation oF Anlerica=PPFA)がある。PPFAには支部が一三三あり、四九州とコロンビア
特別区で約一〇〇〇のヘルスセンターを運営。年間五〇〇万人以上を対象に、避妊・家族計画を中心とするリプロダクティブーヘルスサービスを提供している。ここに、その傘下にある支部の一端を紹介しよう。
「事実を知ろう」二四時間電話情報提供も
「南東オハイオ家族計画協会」の場合
 南東オハイオ家族計画協会(PPSEO)は一九七一年に設立され、現在八つの郡(8目Q)で活動する、平均的規模の家族計画協会である。地域住民の性や妊娠・出産にかかわる権利と責任および健康を推進することを目的に、教育、啓発、入手容易なサービス提供を行っている。提供されるサービスには、次のようなものがある。
【避妊器具・薬(デポ・プロペラ、IUD、経□避妊薬、コンドーム、殺精子剤、緊急避妊法、自然法)/女性△○代・男性に対するリプロダクティプ・ヘルスケア/更年期女性のためのサービス(ホルモン補充療法を含む)/出産前ケア/男性のためのサービス/妊娠テスト/エイズに関する教育/HIV検査と情報/性感染症の検査・診断・治療/患者と地域教育】
 一九九七年には、一つの郡で「事実を知ろう」(Facts of Life Line)という電話サービスを開始。リプロダクティブ・ヘルス、家族計画、栄養、セクシュアリティ、薬物濫用、精神保健などについての情報提供を二四時間行っている。「事実を知ろう」には何百という項目がリストアップされていて、自分の知りたい項目を押すと電話から録音された答えが流れてくる仕組みになっている。また、
ボーイスカウト、学校、若者のための組織、郡のウェルネス委員会などの協力により、望まない妊娠防止のための教育活動を積極的に展開している。
 財源は厳しい。一九九七年の収入総額は九八万六二七三ドル、支出総額は一〇五万二三二三ドル。その内訳は下掲の表の通りである。PPSEOは募金に力を入れており、九七年には九万七〇〇〇ドル以上の寄付金を集めた。年間四〇〇万人が利用する
「アメリカ家族計画プログラム法」のサービス
PPSEOの補助金には、「アメリカの家族計画プログラム法(Title X)」(通称「タイトルテン」
といわれる)から来るものがあり、予算の二I%を占めている。「タイトルテン」は、一九七〇年にニクソン大統領が署名して成立した法律で、低所得の女性に対し二五年以上もの間、避妊をはじめ、リプロ
ダクティブ・ヘルスサービスを提供してきた。またこのプログラムは、望まない妊娠予防の基本的対策の一つである。しかし、現在のアメリカの政治状況は、社会サービス、とくにリプロダクティブ・ヘルス関連の組織に対し好意的ではなく、Title xは強い攻撃にさらされている。それに対しアメリカ家族計画連盟は、①税金一ドルを家族計画に使うことで、推定で四・四〇ドル相当の医療、福祉、その他社会サービスの出費を節減できること、②一人の納税者がH吾Xに払う金額は、年間わずか七五セントであること、を強調している。
 Title X によってサービスを受ける女性は毎年四〇〇万人以上にのぼる。サービスの内容は次の通
りである。
 *避妊器具・薬、教育、カウンセリング
 *乳がんの自己診断指導とクリニックでの検診
 *子宮がん検診
 *安全なセックスのためのカウンセリングと教育
 *HIVを含む性感染症の検査と治療
*不妊の基本的検査とカウンセリング
*貧血、高血圧、糖尿病の検査
(Title xの補助を受けている家族計画クリニックは、法律によって、人工妊娠中絶の費用を援助す
 ることはできない)
カリフォルニア州のリプロダクティブ・ヘルスサービス
 カリフォルニア州には九つのPPFAの支部がある。支部によっては、Title xの補助金を受け取ら
ないところもある。受け取るか否かは、支部のニーズ、目標、使命によって異なる。サンディエゴ郡とリバーサイド郡を管轄する支部は、過去数年間補助金をもらわなかったが、最近受け取るようになった。しかし、額は非常に少ない。
 州には、Title xに相当するrヨ冴『ynHという法律があり、患者(利用者)は、避妊も含め無料
でサービスを受けられる。求められるのは寄付だけで、それも可能な場合のみである。同様に、連邦政府の Medicaid(低所得者に対する医療扶助制度)に相当する Medi‐Calという州法がある。この
法律の下では、患者(利用者)は、医療費はもちろん寄付も求められない。それはむしろ法律で禁止されている。
 主なサービスの内容は、性感染症/HIVの検査と治療、産前ケア、更年期女性のためのサービス、乳がん検査、子宮がん検査と治療、不妊手術、中絶のための情報・教育&サービス
アメリカ家族計画プログラム法」の存在は、家族計画に対する国の予算ゼロの日本からみると、うらやましい限りだ。日本でも、国が民間団体に補助金を出し、リプロダクティブ・ヘルスサービスを充実させる仕組みを、何とか実現できないものか。それには、民間の側も力をつけなければならないだろう。政府と対等なパートナーシップが持てなければ、補助金=政府の管理になりかねない。その意味で、カリフォルニア州のPPFA支部が補助金を受け取らなかった話は、興味深いエピソードである。

年代別アメリカ女性の避妊法

年代別アメリカ女性の避妊法


●●●●●●●避妊用ピル年表●●●●●●●●●●
1930 アメリカの学者がメキシコのヤマイモの一種から発見した植物
年代 性ステロイドから、黄体ホルモンと同様の働きをする物質を精
    製。
1955 ピンカス博士が東京で開かれた第5回国際家族計画会議で黄体
    ホルモン剤を用いた経口避妊薬(ピル)を発表。
1957 月経困難症などの治療薬としてノアルテン錠(シオノギ製薬)
    が販売される。
1959 月経困難症などの治療薬としてエナビット錠(大日本製薬)が
    販売される。
1960 アメリカで初めて黄体ホルモンと卵胞ホルモンの合剤の経口避
    妊薬「エナビット10」が販売認可。続いてヨーロッパでも認
    可する国が増える。
1961 厚生省に経口避妊薬調査会設置/62年に認可基準を作成。
1964 日本でアノプラール錠(シェーリング社)が排卵抑制治療薬と
    して販売される。これは避妊目的にも使用される。
1965 厚生省、ピルを゛要指示薬。として2年間の使用期限付きで認
    可の意向を示す。しかし認可を前提とした新医薬品特別部会の
    審議が突然中止に。
1967 WHO(世界保健機関)がピルの有効性と安全性を認める。
1970 ピルの海外での副作用として血栓症や発がん性などがマスコミで取り上げられる。
1973 海外で低用量ピルが開発される。
1974 ピルの認可問題が国会で取り上げられる。政府は、「安全性についてはなお疑間があるので
  認可する考えはない」としながらも、「使用者がその判断と責任において使用することは法の
  禁じるところではない」との見解を示す。
1978 WHOがピルのホルモンの低用量化を勧告。
1985 日本産科婦人科学会と日本母性保護医協会(現、日本母性保護
婦人科医会)が低用量ピルの認可に向けた臨床試験を要望。
1986 厚生省、「経口避妊薬の医学的評価に関する研究班」を設置。臨
    床試験のガイド’ラインを発表y87年、低用量ビルの治験開始。
1990 製薬会社9社が低用量ピル認可申請。
1992 エイズ問題を理由に低用量ピル認可への審議が凍結。
1995 イギリスで第三世代ピルが原因と疑われる死亡が起きたことに
    対し、イギリス政府の医薬安全委員会が第三世代ピルは従来の
    低用量ピルより血栓症のリスクを高めると発表。ドイツやノル
    ウエーでもこのピルの使用を慎重にとの勧告が出される。WH
    Oは、この問題に注目しつつも冷静な対応を示唆。
1996 菅厚生大臣、日本外国特派員協会主催の昼食会の席で「来年に
    もピル認可の見込み」と発言。
1997 中央薬事審議会特別部会がピルの有効性、安全性を認めたうえ
    でエイズなど性感染症への影響について公衆衛生審議会に意見
    を求める。公衆衛生審議会の報告を受け中央薬事審議会特別部
    会が、性感染症対策の強化を条件にピルを認可する方針を発表。
    世論を聞いたうえで結論を出す意向を示す。
1998「ピルは内分泌かく乱化学物質」との理由から承認反対の声が
    あがる。中央薬事審議会常任部会が内分泌かく乱化学物質とビ
    ルとの関係調査を提起、審議が再び後退する。厚生省がビルの
    有効性と安全性に関する審議会の「中問とりまとめ」を公表。
1999 3月中央薬事審議会常任部会がそれまでのすべての審議のと
    りまとめを行う。しかし、この時点では承認の答申は出されな
    かった。
    6月中央薬事審議会が厚生大臣に最終答申を提出する。
       厚生大臣がビルを正式に承認。
    ニュージーランドで1993年以降、第三世代ピルによる死亡が
    あったと報道される。
    イギリス政府の諮問を受けた医薬委員会は1995年の警告を修
    正し、第三世代ピルは第一選択として使えること、情報の徹底
    をはかること、という趣旨の声明を出す。
    9月低用量ピルの発売開始。

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