通販

スマートフォン通販ビジネス

投稿日:

スマートフォン通販ビジネス

スマートフォン通販の成長

〜データをもとにみる実態〜
スマートフォン・インフラの進化
日本のスマートフォンのインフラは、大きく進化している。
2006年10月にMNPがスタートし、「キャリア間
の垣根がなくなった」とも言われたが、蓋を開けてみ
れば当初の予想よりキャリアを移行したユーザー数は
少なかったようだ。しかしながら、機種の魅力では勝っ
ていたauに対抗して、ドコモ、ソフトバンクも先進
的な機種の投入や革新的な料金プランの告知などに
より、ユーザーにとっての選択肢は増え、ある意味で
は固定的な市場から「やっと卒業できた」という感が
ある。
薬の通販は、こちら→サプリ館
 日本におけるスマートフォンの契約件数は、2006年9月
時点で約9,400万台。全人口に対する割合は80%にせ
まり、いまや1人1台が当然のものといえる。さらに
重要なことは、90%の機種がIP接続可能であること、
つまりインターネット接続が可能であるという点であ
る。スマートフォン通販を考える意味では、この契約数が母
数となる。かつてPCの世界でも繰り広げられてきた
ハード(機器)とソフト(OS)のたすきがけでの進
化は、スマートフォンの世界でも同様だ。スマートフォンのハード
は3G、3.5Gと進化し、先進的なユーザーはそれを追
い求め続けている。
一方、キャリア側にとっての頭痛は、古い機種を使
い続けるユーザーを無碍に切り捨てられないことであ
る。 ドコモにとって一気にFOMAへ移行、というわ
けにはいかないのである。

MNP
(MobUe NumberPortablltty)
契約しているキャリアを変更
しても、スマートフォン番号は変更し
ないまま、継続して利用できる
仕組み。番号ポータビリティ。
日本では2006年10月24日か
ら実施された。

バケット定額制の影響
PC通販市場の拡大に大きく貢献した出来事は、通
信環境という視点からみれば、「接続利一の定額化」に
はかならないであろう。
ネット通販の店舗で商品を吟味するうえで、タク
シーメーターのように利用料金を気にしながら、ある
いは、ウィンドウショッピングをするのに料金を払う
ようなことを、一般消費者は好まない。
同じようにスマートフォン通販市場にとっても、重要な
のはいわゆる「バケット定額制」の利用率がどれだけ
高くなるか、ということである。定額制の利用率推計は2007年3月で28%
となっているが、1年後の2008年3月には10%伸び、
38%となることが予想されている。一方、3,5Gといわれる機種の契約数は2007年3月で16%となってい
るが、これも2008年3月には24%に達し、4台に1
台が3.5Gになることが契約数ベースでは予想されて
いるのである。

モバイルコマース市場の動向
モバイル・コンテンツ・フォーラムの推計によると、
スマートフォンのコマース(商取引)市場規模は4,074億円
に達し、初めてコンテンツ市場規模を上回った。これ
は前述したように、通信環境をはじめとする環境変化
からスマートフォンユーザーが拡大したことによるものであ
るが、ドコモやauでショッピングモールが開始され、
多数の事業者が参入しやすくなったこともあるようだ。
また、コマース市場の推移をみると、トランザクショ
ン系の伸び率が最も高いか、通信販売の範疇とみられ
る物販系の2005年度の市場規模は対前年比159%の
1,542億円と拡大している。
物販系のコマースの特徴は、他のメディアあるいは
店舗との連動型であることである。他のチャネルで商
品特性やブランドの価値を認識している顧客が双方向
の特性を持つスマートフォンで購入する、というスタイルで
ある。

スマートフォン通販ユーザーの傾向とは

〜データをもとにみる実態〜
着実に増えるスマートフォン通販経験者数
スマートフォンによるショッピングの利用経験者の割合
は、2005年から2006年の1年間の変化でみると、
37.8%から41.2%へ3.4%増加している。
PCによる利用経験者率のような急激な増加となっ
ていないのは利用者が若年層中心となっているためで
あり、それ以外の層にとってはPCのような検索がで
きにくいことが敬遠されている理由のようだ。
しかし、なによりもスマートフォンの特徴でもある「即時
性」によるショッピングの利用経験が若年層で40%
を超えるというのは、他の国と比べると非常に高い数
値となっており、特筆すべきことであろう。
また、バケット定額制の加入者と非加入者を比較す
ると、加入者では55.7%と過半数を超えているのに対
して、非加入者では20.4%にとどまっており、大きな
開きがある。前述したようにバケット定額制はショッ
ピングの利用に大きな影響があることがわかる。
さらに年代・性別で利用経験の違いをみると、男性
34.1%、女性47.4%と女性の利用率が高く、また女性
30代の利用率が662%と高い。一般的な買い物にお
ける支出額自体が男性より女性のほうが多いことに加
えて、スマートフォン通販をリードしている商品ジャンルが
ファッションであることを考えれば女性の利用率の高
さはうなずけよう。

購入した商品ジャンルは
「ファッション」がトップ
購入した商品ジャンルでは「衣料品・アクセサリー、
ファッション」か過半数を超えてトップである。以下、
PC通阪をリードした「書籍・雑誌」、「CD、ビデオ、
DVD」が2位、3位と続いている。
ここで、スマートフォン通販を利用したことのない者は疑
問を持つだろう。「なぜ、あの小さい画面で物を購入
しようとするのか。まだPCならわかるのだが、それ
も色・柄・サイズなどわかりにくいファッションがケー
タイで購入できるのだろうか」と。
若年層にとっては、ファッションは着る機能として
の「モノ」ではなく、自己表現、あるいはコミュニケー
ションの手段ととらえることができる。他人とは異な
る、あるいは他人より早く、個性的なファッションを
志向していく。その中でサイクルの速さが大きなポイ
ントとなるのである。

利用回数は月5〜10回、
利用金額は1回あたり1万5,000円程度
利用回数の推移をみてみよう。 2005年10月と2006
年9月を比較すると、「5回以上」の利用回数の構成
比が増加している。特に「2〜4回」の利用者層が「5
回〜10回」ヘシフトしたものと推定される。
また利用金額では、「5〜10万円未満」、「10〜30
万円未満」のゾーンが増加していおり、利用回数の増
加に伴い、利用金額も増加している。
回数と金額から1回あたりの購入金額の平均は、1
万5,000円程度ではないかとみられる。

どうやってショッピングサイトを探している?
探し方としては「メニューリストから」が40.9%と
最も多く、以下「検索サイトから」、「メールマガジン
から」、「パソコンから」と続いている。
割合が高い項目の中で増加している探し方は「メ
ニューリスト」、「検索サイト」、「パソコンから」、減
少しているのは「メールマガジンから」、「雑誌や新聞
から」となっている。

利用したことのあるスマートフォン通販サイトは?
ベスト3は「楽天」、「アマゾン」、「Yahoo!モバイ
ル」となっており、いわゆるショッピングモール形式
が占めている。これはPCにおけるショッピングと同
様、入り口としての安心感、利便性が評価されてのこ
とと推察される。そのほかでは、既存通販系企業や店
舗で集客した会員を持つ企業などの利用者が多く、他
のチャネルとの運動性があるサイトに対する支持が強
いようだ。

競争のテーマは通信の高遠化と料金定額制
2006年10月のMNP開始は、ユーザーの立場で
いえば選択肢という最低限の自由度がやっと実現し、
スマートフォン市場が新たな競争の時代に入ったともいえよ
う。実際、2007年に入り、MNPの狂騒は、もう速い
昔の感があり、次なる競争のテーマは、通信の高速化
と料金定額制に移っていることに異論をはさむ者はい
ない。
実際、2007年が明けてから、日経を中心とした新
聞報道にはキャリアの矢継ぎ早の広報活動(プレスリ
リース)が目白押しであった。
例えば、ドコモは「2010年を目処にスマートフォンを使っ
て光回線並みの速さで通信が可能になる次期高速通信
サービス「スーパー3G」を低コストで導入」と日経
の朝刊1面に華々しく扱われ、注目を集めた。
現在の第3世代(FOMA)のスマートフォン端末でも簡
単な動画の受信はできるが、映画や番組などの高画質
でのスムーズな受信やデータファイルの送受信を行う
ことは実用としては不可能であった。どちらかという
と、スマートフォン端末としての魅力度ではauに押され気
味であったドコモの反抗が始まったともみられる。

PC化するスマートフォン

こうした高速通俗化は、ある意味でスマートフォンがPC
化することを意味しており、多くのユーザーがコミュ
ニケーション手段として使用していたスマートフォンが情報
収集、あるいはエンターテインメントの機器として進
化することを意味している。
一方、PCインターネットの利用促進が図られた大
きな要因として、料金の定額制が挙げられる。いくら
高速通信化か図られても、タクシーメーターのように
課金されてはユーザーの利用頻度は促進されない。情
報メディアの普及は、一部のヘビーユーザー以外に
とっては、定額制は避けては通れない必須条件だ。
こうした中でau、ソフトバンクが先行し、ドコモ
も2007年3月にはPC向けのインターネットサイト
が定額制でみられる料金プランを導入することによ
り、「スマートフォン=インターネット」という構図が一層
加速される。
例えば、現在ではドコモのスマートフォンでPC向けのサ
イトを閲覧する場合は重量料金がかかり、iモードの
定額制を利用している場合でも、1ページあたり平均
で約56円が上乗せられる。iモードの定額制を利用していない場合は、560円程度の通信量が徴収されてし
まうのである。スマートフォン端末かいくらインターネット
に対応していても、この料金体系では「見るな」と言っ
ているようなもので、現実的な料金体系とはいえない。
図1-14のように各社の定額制料金プランは6.000円
弱といったところであり、現行の利用料金体系からは
大きく進歩しているが、あえて苦言を呈するならば、
この定額料金プランでもまだ高いというのが個人的な
印象である。
実際、PCのインターネットの定額料金は3,000円
程度であることからみても、若年層やオフィスワー
カー以外のユーザーにとっては高い印象を持たれてい
る。そうした意味からも一層の料金減額が望まれよう。

スマートフォン3社のインターネット(PCサイト)の閲覧料金
(月額〉
NTTドコモ     一律5,700円程度(予定)
KDDI(au)    1,050〜5,985円(上限制)
ソフトバンクモバイル 1,029〜5,985円(上限制)
2007年2月末時点
市場の拡大にはバケット料金の引き下げが必須
実は現在のスマートフォン料金に関してユーザーが受け入
れている現状を冷静に考えてみると、これまでの通信・
情報機器と一線を圃す「初めてのパーソナルな移動体
通信機器」という点が評価されてのことであると考え
る。
しかしながらメディアに対する情報料という側|耐か
らみると、他に比較して圧倒的に料金体系が高いこと
は、市場の拡大という点から見ても一考の余地が十分
にあろう。実際、通話料に加えて、前述したPCサイ
トの閲覧のために定額料金を支払ったとすると、優に月額1万円を上回ることになる。これではいくら高速
通信化によりスマートフォンがPC化するといっても、一般
的なユーザーが利用するとは思えない。
ドコモでは「スーパー3G」の投資額は、既存の主
要設備を改良して使うことにより3Gの10分の1に
抑え、料金の引き下げも視野に入れているが、これは
当然のことといえよう。
公式サイト型ビジネスモデルの転換
一方、スマートフォンのネット接続には周知のとおり、ケー
タイ向けにつくられている「公式サイト」と「非公式
サイト」、そしてPCサイトの3種類があるが、これ
まではキャリアが認めた「公式サイト」を中心とした
ビジネスモデルであった。つまり、コンテンツ事業者
の代わりにキャリアがユーザーから情報料を徴収し、
コンテンツ事業者とキャリアがシェアしていた。キャ
リアとしては、通信料金以外の重要な収人源となって
いたのである。
しかし、ドコモの2006年夏の調査ではiモード公
式サイトの閲覧数は非公式サイトの3分の1にとどま
り、全体的な流れは非公式サイトが中心となっている。
実際、ドコモでは公式サイト数が約8,000に対して、
非公式サイトはその10倍を越えているといわれてい
る。さらには、ユーザーとしてはPCサイトを自由
に閲覧できることが理想であることは当然で、実際、
auが先駆けて定額制でPCサイトを利用できるように
したことが、若年層を中心に人気を呼んだ。
いずれにせよ、情報料収入というおいしい蜜を前提
としたビジネスモデルからの転換は必至であるといえ
よう。

DMA
(DIrect Marketlng Assoclatlon)
ダイレクトマーケティング組織
とその関連会社の協会。1917
年設立。

ダイレクトマーケティングからインタラクティブマーケティングへ
インタラクティブマーケティングヘ
スマートフォン通販はあくまでも通信販売のひとつ
そもそも、通信販売とは、消費者が通信販売広告を
見て、自分の意思で商品やサービスなどの申込みを行
う取引方法である。
「スマートフォン通販」は文字通り、「スマートフォンを利用した
通信販売」であり、通信販売のひとつである。ケータ
イはあくまでも「通販の利用媒体」で、カタログやテ
レピ、ダイレクトメール、広告などと同じような位置
づけになる。使用する媒体がスマートフォンであろうと、基
本は「通信販売業務」であり、通信販売のノウハウを
熟知していなくてはならない。

ダイレクトマーケティングとは

媒体を店舗とし、媒体によって企業と顧客が結びつ
けられる通信販売の販売手法は、マーケティング的な
側面からみると、「ダイレクトマーケティング」とい
う言葉が使われる。
ここでダイレクトマーケティングの定義を確認して
みよう。米国DMA(Direct Marketing Association)
によれば、下記のごとくである。
「ダイレクトマーケティングとは、1種類またはそ
れ以上の広告媒体を使用して、レスポンスや取引をも
たらす双方向性のあるマーケティング・システム。レ
スポンスや取引は発生する場所を問わず、計測可能で
データベースに蓄積されるものとする」
この定義からダイレクトマーケティング要素としては、
①広告媒体を使用する②双方向性がある
③場所を問わない
④計測可能
の4点が挙げられる。
また、マスマーケティング(一般広告)との違いと
しては、
①費用対効果の明確化
②顧客の行動を促すこと
③パーゾナライゼーション
の3点が挙げられる。
①費用対効果の明確化
例えばどの新聞広告からどれだけの注文やレスポン
スがあったかを把握することにより、各新聞広告に使
われた費用との関係から費用対効果を算出し、各広告
を客観的に評価することができる。
②顧客の行動を促すこと
さらにダイレクトマーケティングでは、顧客のター
ゲティング(自社商品・サービスの想定顧客)を行い、
それらの顧客が注文やレスポンスといった行動を促す
ことを目的としている。つまりマスマーケティングが
不特定多数の顧客に対して広告を行うのに対して、想
定した顧客にどれだけ到達できるかがダイレクトマー
ケティングでは重要となるのである。
例えば、たくさんの購読者数がある新聞広告より、
その商品やサービスの種類によっては専門的な雑誌の
ほうがいわゆる見込み客に到達するのである。そして
この見込み客に働きかける、つまり行動を促すことが
広告の目的となる。

③パーソナライゼーション
次に、ダイレクトマーケティングにおける広告(特
にダイレクトメール、Eメールなど)はそれを受け取
る顧客一人一人に対してパーソナライズすることが可
能である。顧客を過去の購入あるいはレスポンスの履
歴により分類し、それぞれに対応したオファーを行え
ば、当然、レスポンス率や注文率は上がる。
以上の3点が実はダイレクトマーケティングの根幹
をなすものであり、メディアがインターネットであっ
てもそれは変わらない。むしろリアルタイムで対応で
きる点では、紙媒体に比較すると、ダイレクトマーケ
ティングに対応しやすいメディアということができる。

RFM分析
「良い顧客を見分ける」ために、
誰が一番最近買い物に来た顧
客か、頻繁に来店する顧客は誰
か、一番お金を使ってくれてい
る顧客は誰か、という3つの
側面から顧客を分析する手法。

大きく進化したユーザーとの双方向性
ダイレクトマーケティングの源流ともいえる通信
販売がスタートしたのは1872年というから、今から
130年以上も前のことになり、さらには現在の顧客
データベースの出発点ともいえるRFM分析は1930
年代に米国で開発されている。そして1970年代には、
当時のマスマーケティングヘの非難を背景に、ダイレ
クトマーケティングが注目を集め始めた。
そのため「ダイレクトマーケティング」という名称
は、マスマーケティングに相対するものとして、ある
いは通信販売から生まれたプロモーション方法として
使われている。
ここで考えなくてはならないことは、前述したよう
にダイレクトマーケティングが広告媒体(メディア)
を利用することが重要な要素となっている点であり、
広告媒体の進化は、ダイレクトマーケティングのあり
方を大きく変化させているのである。
例えば、従来のマス4媒体といわれる「新聞」「TV」

「ラジオ」「雑誌」を利用した通信販売は、「広告→注
文→配送→決済→(返品など)]というように、時間
軸で流れている。
これに対して、PCによるインターネットは、情報
媒体かつコミュニケーション手段の両方の機能を併せ
持つことにより、送り手と顧客の間の双方向性をリア
ルタイムにすることが可能となったのである。
そこにユピキタス性(いつでもどこでも)か加わっ
た初のメディアとしてスマートフォンが登場し、ユーザーと
の双方向性は大きく進化したのである。

インタラクティブマーケティングヘの進化
以上のようにPCやスマートフォンにおけるインターネッ
トのリアルタイムな双方向性を前提とすると、一般的
なダイレクトマーケティングとは異なった概念として
とらえたほうがよいだろう。
そこでの名称として適切な言葉としていわれている
のか、「インタラクティプマーケティング」であり、ま
さにスマートフォンはその申し子ともいえるツールだ。
インタラクティブ性は、日本ダイレクトマーケティング学会理事、日本ダイレクト・メール協会常務理事
を務めるルディー和子氏によると、以下のような特徴
がある。
①双方向性があること
②情報量が大きく、内容も豊富で、その内容をター
ゲットに合わせられる
③低コスト
④デジタル・メディアであるために他のメディアと
結合して使える
さらにスマートフォンでは、そこに以下の2つの特徴が加
わる。
⑤常時・双方向性
⑥ワンストップ機能
「常時・双方向性」は移動体通信機器であるため、ユー
ザーは基本的に肌身離さずスマートフォンを手放すことのな
く、ほぼ24時間の双方向性が可能となる。
また「ワンストップ機能」とは、スマートフォン機能で今
後最も重要と思われる「決済機能」が普及することに
よって、商品選択から購入、そして決済までがワンス
トップで可能となることをいう。「常時・双方向性」
の機能とあいまって、タイムラグあるいはストレスの
ない通販の利用が可能となるのである。

スマートフォンは個人間で情報と価値を共有できる

こうしたワンストップ機能に加えて、スマートフォンはこ
こ数年言われている「Web2.0」や「口コミ」といっ
た顧客がイニシアティブをとる時代の中で、個人間の
情報共有という視点からみても、強いツールである。
例えば、スマートフォン通販において商品を購入しようと
した時、あるいは購入後、友人同士でいわゆる「おしゃべりをする」のである。このおしゃべりにより、物を
購入して所有する満足度のみならず、ユーザーは価値
共有という満足度も得ることになる。
マスメディアとの連携
図1-15のように、ダイレクトマーケティングは、
主にマスメディアにおける新規顧客獲得と既存顧客に
働きかけて、購買頻度や購買金額を増やすことを目的
とする。例えば、TV広告で企業の認知度やイメージ
をアップさせたり、新聞広告や折込チラシで新規顧客
を獲得したり、といったことである。さらに既存顧客
には、ダイレクトメールやカタログを送付し、継続購
入を促していく。
このようなプロセスは、ある程度以上の規模の通信
販売企業では一般的な方法である。例えば、通販大手
の(株)ジャパネットたかたでは、テレビショッピン
グで折込チラシの告知を行い、チラシヘの接触率を高
めている。このようなメディア連携によって、レスポ
ンスのアップを狙うのである。 昨今、「放送と通信の融合」が叫ばれているが、こ
れは「マスメディアとパーソナルメディアとの融合」
である、ともいえる。
マスメディアは、商品やサービスを不特定多数の
ユーザーに認知させることが可能であり、新規顧客を
獲得するためには、いまだ有効なメディアである。さ
らに、マスメディアで獲得した顧客をベースとして、
インターネットを利用することにより、パーソナルメ
ディアで顧客とコミュニケーションを回り、顧客のホ
スピタリティを向上させることができる。
メディア連携で大事なのは、「ワンフェース・ワン
ボイス」である。どのメディアで展開しようとも、同
じコンセプトで同じキャッチコピーで顧客に語りかけ
る。マスメディアであろうとパーソナルメディアであ
ろうと、「あの企業だ。あの企業らしい」といったよ
うな感覚を顧客側に持ってもらうことが大事なのだ。
つまり、マスメディア、パーソナルメディアそれぞれ
を別個に対応するのではなく、連携させて一元管理す
ることが求められるのである。

SEO
(Search Englne optlmlzatlon)
検索エンジン最適化。Goo91e
やYahoolといった検索エンジ
ンの検索結果の上位に掲載さ
せるための技術。
SEM
(Search Englno Marketlng)
検索エンジンからのサイト訪
間者を増やすマーケティング
手法。SEO、キーワード連動
型広告、リスティング広告など
の手法がある。

スマートフォン通販での成功の肝とは

PC通販企業の成功の要件
PC通販企業の成功の要件をみるとき、従来はSEO /
SEM対策など、システム系への対応が重要であった
ように思う。実際、こうした書籍は星の数ほどとはい
わないが、かなりの数が出版され、またそれらをテー
マにしたセミナーは企業のネット担当者が押し寄せ、
それらをサポートする企業の業績は好調である。
しかし、PC通販企業では、いわば森全体の成長に
隠れた木々の間での熾烈な競合が起こっているのであ
る。その熾烈な競合の要因は次2点にあると考える。
①通信販売には商圏がない
②ネットは完全な顧客主導型モデルである
①通信販売には商圏がない
ネット通販は店舗販売に比べ、優位性と劣位性が同
居しているといえる。優位性とは、商圏がないため市
場拡大の可能性が大きいことである。しかし、そのた
めには商品に「力」があることと「売り方」に特色、
ノウハウがあることが必要となる。商圏に守られてい
る店舗ではチェーン展開が可能であるが、通信販売
では基本的には固有の存在価値が求められてくるの
である。
②ネットは完全な顧客主導型モデルである
周知のとおり、カタログやDM、TVなどの従来の
メディアに比較して、インターネットはより顧客に
イニシアティブをとられるビジネスモデルである、と
いうことができる。様々なマスメディアで展開される
通信販売では顧客はあくまで受身であるが、インターネットの場合は、顧客が能動的に商品情報を検索・収
集し、そして比較・検討するという作業が行われる。
ネット通販は顧客がイニシアティブをとれる
これを整理した形で、よくいわれるところが、ネッ
ト型の購買プロセスの「AISAS」である。
SEOやSEMがなぜ重要視されるかは、この対策を
やって、初めて店舗として顧客に認知され、スタート
ラインに立つことができるからである。しかし、この
ような対策は、困ったことに、顧客にとっては蓄積さ
れるものではなく、企業にとっては恒常的な対策が求
められるのである。要は、「コストがかかり続ける」
ということである。
はっきり言えば、ネット通販がなぜ非常に早いス
ピードで受け入れられたかというと、それは顧客がイ
ニシアティブをとれるからにほかならない。
それだけに、市場拡大の可能性が大きいというだけ
での参入は、供給側の企業にとっては、非常に怖い世
界ということなのだ。

AISAS
インターネットの普及を背景
とした消費者の行動プロセス。
Attention(注意)→lnterest
(興味)→Search(検索)→
Action(購買行動)→Share(情
報共有)。

小売業に求められるものは「専門性」と「個性」
前述したとおり、商圏がないことは、より商品や売
り方に個性が求められる、ということである。顧客が
イニシアティブをとることにより、これからの小売業
全般に求められることは、「専門性」あるいは「個性」
である、といえよう。
例えば、店舗小売業といえども、日用品以外は顧客
の購入プロセスは情報の検索から入ることになり、商
品には「顧客にはっきりと理解できる個性や専門性」
が必須となるのである。
「専門」に対比する小売業態としては「総合」が位
置づけられる。

総合的な品揃えの小売業(百貨店やスーパー)を利用
する顧客の期待は「ここに行けば何でもある」という気
持であり、食品以外での店舗に対する思い入れは希薄
である。総合的な品揃えの小売業では、多くの顧客を
誘引することができるが、個別の商品の品揃えは浅く
なるので、関係性は薄くならざるを得ないのである。
これに対して、専門性が高い小売業は品揃えの幅は
狭いが、深い品揃えが可能となる。ここに来店する顧
客はその店の商品や売り方が気に入った場合、以後、
商品を購入する時にはリピーターとして来店し、関係
性は深くなり、離れにくくなる。
つまり、専門性が高い小売業ほどネット通販では成
功の可能性が高くなるともいえる。
スマートフォン通販への展開
さらに専門性が高いPC通販あるいはスマートフォン通販
の事業社が、顧客ニーズに即した商品と売り方をして
いたと仮定すると、事業者と顧客の関係はメルマガな
どによって、その関係密度は非常に強くなる。一度事業者の筒の中に入った顧客を、メルマガなど
によってスパイラルに事業者の「ワールド」に引き込
んでいく。その状態は、顧客からみて価値ある情報の
蓄積によって可能となるものであり、またスマートフォン特
有のリアルタイム性を生かしたものでなければならな
い。

先行企業の事例からみるスマートフォン通販の成功要因

スマートフォン通販事業のポイント
ここでは、第3部でヒアリングした各社の事例を整
理して、スマートフォン通販事業のポイントを整理してみよう。
ショッピングモール系事業者の成功要因
「スマートフォン版楽天市場」(楽天(株))
・「楽天市場」の会員(2,400万人)からの集客力。
.“楽天”という強いブランドカ。
・ ユーザーメリットの多さ(注文ステップが同一。 PCとモバイル
のポイント共通化)。
・ システムが使いやすい(3キャリアに対応するスマートフォン通販店舗
が簡単にできる)。
・ Eコマースに開するノウハウが豊富。
「ポケットビッダーズ」((株)ディー・エタ・エー〉
・ 集客に関する複数の強力なルートを持つ。
・使いやすいサイト構築のノウハウがある。
・ システム開発の内製化。
「スマートフォン版楽天市場」が「楽天市場」の集客力をベー
スとしているのに対して、「ポケットビッダーズ」も「ポ
ケットアフィリエイト」「モバオク」「モバゲータウン」
からの集客力が大きい。当然のことながら、出店者にとっ
てはこうしたモール自体の集客力は大変魅力的である。
モール側からみた成功する店舗の秘訣として、(株)
楽天の大田氏は「他店と差別化できるポイントの理解
とユーザーに伝える努力。具体的には仕掛けをしっか
りとやり、メールアドレスを集める。そしてメルマガ
の有効活用」と指摘している。何よりも「お店側のや
る気」が基本的な要因として存在するようだ。さらに
は、月間1億円を売り上げる「スター店舗」の出現に
より、それがロコミで広まり、他の出店者に対して刺激となったようだ。実際、業界でも「楽天市場」の運
営のうまさを指摘する声は多い。

スマートフォン通販サイト制作のノウハウ
・ 目がきれてはいけない
……行き場を失い、迷子にならないように、元のページと同じコー
ナー名を表記する。((株)ヴァイスロイ・インターナショナルの事例から)
・最初の10秒が勝負
……ユーザーは、最初の10秒で、その店が本気で商売をやろうと
しているかを見抜く。((株)ヴァイスロイ・インターナショナルの事例から)
・ 小さい画面の中で出せる情報を吟味する
……表現力を高める、という試行錯誤に終わりはない。((株)スター
トトゥデイの事例から)
・ ファッション系のスマートフォン通販にとって、ビジュアルの処理の
良し悪しが重要((株)スタートトゥデイの事例から)
・ 操作性と機能性のバランスをとる
……スマートフォンでは面面サイズ、容量、入力などに限界があり、機
能を付加すればするほど、サービスが複雑になるため。((株)千
趣会の事例から)
・ トップページの重要性がPC以上に高い
……メルマガと連動させてうまく演出。((株)千趣会の事例から)
・「お悩み検索」が好評で、今まで売れなかったものが売れる
……スマートフォンにおける検索機能の弱さをカバー。((株)ファンケルの
事例から)
まず、サイト構成では、トップページの重要性が非
常に高い。スマートフォンの画面はPCよりはるかに小さい。
さらに移動中のアクセスとなると、わかりやすく、魅
力的なトップページが必須といえよう。しかし、ファッ
ション系の商品の場合、小さい画面だからといって写
真などの処理に手を抜いてはならない。ファッション
は、リアル店舗、PC、スマートフォン関係なく、ビジュア
ルの重要性は変わらないのである。また、「ファンケ
ルモバイル」の「お悩み検索」はユーザーの購入動機
からの導線として商品に落とし込んでいくもので、化
粧品や健康食品には有効な手法であろう。

スマートフォン通販で効果のある販促方法
・ 直球が効果的
……「タイムセール」というような直接的な訴求が効果的である。
((株)ヴァイスロイ・インターナショナルの事例から)
・ カタログや雑誌にQRコードを掲載
……一目でスマートフォンサイトがあると印象付けられる。((株)ファンケ
ルの事例から)
・ スマートフォン通販→PC通販という流れもできる
……じっくり買い物をしたいユーザーの取り込み。((株)ファンケル
の事例から)
・ リアルイベントに合わせて、その前後にスマートフォンサイトやメル
マガ、ファッション系雑誌でPR((株)ゼイヴェルの事例から)
・ ユニークな数々のブログ、担当者の生の声を聞きたいというニー

……家電のプロとしてのメッセージを出しているところが評価さ
れる。(上新電機(株)の事例から)
・?定期間内に大量に集めて大量に売り、その後販売を打ち切る
……‘‘トップヘッド”に徹するという潔さがギャザリングの商売の
肝。((株)ネットプライスドットコムの事例から)
スマートフォン通販の生命線ともいえるのが、いわゆる
「即時性」である。「たった今、入荷しました!」「昨
日、テレビ番組「○○」で紹介された○○です」など
の売り文句を盛り込んだメルマガを登録ユーザーに送
ると、かなりのレスポンスが期待できる。ユーザーと
しては「今、購入しないとなくなってしまう」「メー
ルに対する返信のような感覚で購入してしまう」とい
うような心理ではないだろうか。
実際、ある大手総合通販企業では、カタログで取り
扱っても売れず、さらにはPCサイトのネット通販で
取扱っても売れなかった商品が、会員に対してケータ
イメルマガを使って告知したところ、たちどころに完
売したケースもある。

スマートフォン通販で売れる商品選定
・ 通阪においては、商材がすべてを左右するのではないか((株)スター
トトウディの事例から)
・ スマートフォンではクレンジングや基礎化粧品がよく売れる
……スマートフォンとPCでは売れ筋商品が違う。((株)ファンケルの事例から)
・ 自社ブランドの立ち上げ
……リアルクローズを仕掛ける。((株)ゼィヴェルの事例から)
・洗剤などの日用品が売れ筋。まとめ買いではなく1回ずつ買う
傾向も
……忘れないうちに購入しようとスマートフォン通販を利用。(ケンコーコ
ム(株)の事例から)
前述したように、通販における商品のウェイトは高
い。もちろん、価格の要素を加味したうえでのユーザー
にとってのコストパフォーマンスの高さがなくてはな
らない。商品力は、いわば通販における核であり、こ
の核があってこそ販促やビジュアルが生きてくる。ま
た、商品力は、単発的なものでは意味をなさず、継続
的にユーザーに発信し続ける力が求められる。
注目されるのは、子育て中の主婦など、頻繁に外出
したりPCに落ち着いて向かったりできない層と、日
常的に購入頻度が高い商品のスマートフォン通販は、相性が
非常に良いということである。スマートフォンのウェイトが
高いライフスタイルのユーザーにとって、利便性が高
いスマートフォン通販は、大変存在価値があるものなのだ。
運営する社員の資質が大事
・笑いながら企画を出せ
・ メルマガライターはタレントにならなくてはいけない
・ 面白い発想をする人材が必要
……いかに他のサイトと差別化するか。そのためにはエンタテイ
メント性が大事。((株)ヴァイスロイ・インターナショナルの事例から)
・ アルバイトを含めて皆洋服好きな人間ばかり
……顧客の気持ち、こだわるポイントがわかる。((株)スタートトゥ
デイの事例から)
・ 販売系メンバーと商品系のバイヤーのパドル
……社内での真剣勝負。((株)ネットプライスドットコムの事例から)

大手小売業者以外では、当然、一人一人の社員の資
質が店の個性を創る。PC通販やスマートフォン通販では特
に重要だ。ここでいう資質は、技術的な能力よりは、
発想、人間的な能力と、「顧客がどのように感じるか」
がわかる想像力である。スマートフォン通販を展開するうえ
で、日々リアルタイムでの更新やメルマガによる顧客
対応は、社員自身が持つ資質が非常に重要なのだ。
あるPC通販企業では、店舗で優秀な店長をネット
通販の店長として異動させたところ、顧客とのコミュ
ニケーションがうまくいくようになって成功した。
スマートフォン通販も、基本は小売業であり、接客業である
ことは変わらないのである。

ヒアリングから読み解く今後の課題
今後のスマートフォン通販市場の拡大は疑う余地のないと
ころであるが、既存の通販市場やPC通販市場拡大の
経緯をみても、市場の拡大は新たなる事業者の参入を
呼び込むものである。その際、各事業者が方向性をど
こにおくか、つまり、より大きく事業を拡大していく
か、拡大は狙わずニッチな専門性の高い事業者として
いくか、が分岐点となる。
しかし、はっきりしているのは、大手ショッピング
モール事業者やアマゾンのようなロングテールの事業
者以外にとっては、「継続的に顧客満足度を向上させ
ていくこと」を忘れてはならないということだ。小売
事業者としての本質を常に念頭におくことはスマートフォン
通販にとっても必須なのである。

ネット通販運営の落とし穴

ある独立系のPC通販を行っている企業のトップ
は、「ネット通販運営の落とし穴」として次の3つを
挙げている。

①HP制作・広告展開におけるシステム系会社のア
ドバイスに頼りすぎてはいけない。
②ネット通販は「楽に、たやすく」はない。手間は
かかるし、かけなければ成功しない。
③わかりにくいオーダーフオームでは70%の顧客
が逃げる。
また、「ネット通販運営で特に留意するべきこと」
として、次の4つを指摘している。
①リアルタイム性=更新(信頼感・安心感)
②操作性(わかりやすさ)=多様なコンテンツは迷
いのモト
③コミュニケーション性(対PCではなく対人間)
=対面販売的(メールだけではなく電話も多様
する)
④人材教育
このトップは「ネットビジネスはリアル店舗と同じ」
として、システム的な志向の強いネット販売に警鐘を
鳴らしていた。最も留意すべきは、「顧客の信頼を得る」
「顧客があきれることをしない」であると説く。この
ような基本中の基本が、実はなかなか難しいのだ。
成功する企業は何が違う?
では、結果として、成功した企業とそうではない
企業を比較したとき、何が違うのだろうか?そこで、
大きな概念として浮かび上がってくるものがある。そ
れは「粘る力」と「継続性」にほかならない。事業は「ヒ
ト」が関わる以上、この感情的な能力は、実に大きな
結果の違いをもたらしてくれる。参入企業が増え、そ
うたやすくは成功に至らない中で、実はアナログ的な
マネジメントが成功の肝なのである。

コミュニケーションビジネス

としてのスマートフォン通販の可能性
最も大切なのは消費者とのコミュニケーション
今後のスマートフォン通販市場を考える時、事業者側のス
タンスで考えるよりは、ユーザー視点で考えることが
賢明である。
「Web2.0」にしろ「Mobile2.0」にしろ、その本質はユー
ザーがイニシアティブをとる時代にほかならず、ユー
ザー視点を持つ事業者のみが生き残れるのだ。
ひろくスマートフォン通販を含めたネット通販市場は、大
規模なモール事業者と小売事業者が顧客を集める中
で、それぞれの事業者が独自性を打ち出すことにより、
顧客にとっての存在価値を訴求するという競争になっ
ていくことだろう。つまり、これから参入する場合、
確立された大規模な事業者とは異なる土俵をつくりだ
すことが重要となってくるのである。
今、消費者心理としては「大規模な企業=信用」と
いう公式がほころび始めており、むしろ小規模な事業
者との価値共有に喜びを見出す消費者の増加が注目さ
れる。「この企業と付き合っていきたい」、さらには「こ
の企業を応援していきたい」という心情は、デジタル
化が進行する社会の中で、実は最も消費者が望むオア
シスであるのかもしれない。
ある意味で、これからの小売業に求められているこ
とは、「コミュニケーションビジネス」としての機能
であり、スマートフォン通販はこの視点からみれば、最もそ
の強みを発揮できるものではないだろうか。
大手通販企業の中にも、(株)フェリシモのように
自社を通販企業ではなく「コミュニケーションビジネ
ス」であると言い切り、密なコミュニケーションによって顧客の中に醸成された信頼感を強みとしている企業
もある。
モノとしての品揃えだけの事業展開の視点のみでは
限界があり、同じような事業者同士で競合してしまう
が、コミュニケーションの視点を基本とすることによ
り、固有の存在価値が訴求できるのである。
いずれにせよ、スマートフォン通販事業の世界が拓けるの
は、これからであることは間違いない。

スマートフォン通販の疑問に答える

〜なぜスマートフォンで買い物するのか?〜
スマートフォン通販7つの疑問
新聞やビジネス誌上ではスマートフォン通販市場の伸びや
成功事例が華々しく伝えられることも多いが、ケータ
イに馴染みがない層にとっては、「なぜスマートフォンで買
い物するのか」という点に実感がわかないのではない
だろうか。そのため、「よくわからない」「手が出しづ
らい」市場だと認識されている方も多いだろう。
本章では、スマートフォン通販市場の位置づけとケータ
イの本質的な価値とは何かをふまえたうえで、筆者
がスマートフォン通販ビジネスに関わる中でよく質問を受け
る、あるいは筆者白身もなぜだろうと感じた、典型的
な7つの疑問に回答していくことにする。
①実際に売れているサイトはどのように販売を
しているのか?
②なぜスマートフォンのような小さい画面で商品を買
うのか?
③スマートフォン通販においてロコミは重要な役割を
果たすのか?
④スマートフォン通販においてキーワード検索からの
購入は増えるのか?
⑤スマートフォン通販においてショッピングモールは
発展するのか?
⑥スマートフォン通販の販売手法はメールマガジンか
ら検索にシフトするか?
⑦スマートフォン通販においてアフィリエイトは普及
するのか?

先の見えないスマートフォン世界
筆者は「76世代」といわれる世代で、大学に入学
した1995年当時にPCでインターネットを初めて体
験した。 PCインターネットのビジネス分野にも興味
を持ち、PCインターネットの世界には非常に馴染み
がある。同時に1995年からスマートフォンを利用しており、
会社でもスマートフォンを活用したビジネスを展開している
事でスマートフォンにも親しみがある。そのため、「ケータ
イ世代」といわれる2007年成人になる前後の世代の
スマートフォン利用動向についても感覚が理解できる。
しかしながら、一般的な30代ピジネスマンにとっ
ては、PCインターネットの利便性は肌で感じること
ができても、スマートフォンでのインターネットについては、
せいぜいメール、乗換え案内、天気、ニュース程度が
主な利用であり、あくまでPCの補完ツールでしかな
い事がほとんどではないだろうか。ましてや、ケータ
イのような小さい画面で物を買うといった消費行動に
ついては、全く理解ができないという人も多いと思わ
れる。
実は、筆者自身も2001年からスマートフォン通販ピジネ
スに本格的に開わっていながらも、スマートフォン通販につ
いて理解できない事だらけだった。スマートフォン通販にお
いては、よく知るPC通販のビジネスモデルが必ずし
も通用しない事も多く、苦労してきた。
スマートフォン通販はなぜわからない?
今、この瞬間スマートフォン通販において何をすれば売れ
るのかがわかっていても、今後どうなるのかを確信を
持って答えられない事も非常に多い。しかしながら、
最近になってなぜこれほどスマートフォン通販の世界は先が
見えないのだろうと悩んでいた理由がわかった。理由
は大きく分けて4つある。

①日本が先端を行く独自のマーケットである
スマートフォンの世界は海外にも例を見ない日本が先端を
行く独自のマーケットである。 PCインターネットに
ついては海外のビジネスモデルをいち早く日本で展開
することで成功を収める事も多いが、スマートフォンの場合
はそうではない。ただ、PCもスマートフォンもインターネッ
ト技術基盤は共通であり、ビジネスモデルについても
参考となる部分は多い。
②変化の早いマーケットなので先が読みづらい
次々と新しい機種が発売され新しい機能が装備され
るといった変化の早いマーケットであり、先が読みづ
らい。しかしながら業界に精通していればある程度先
は読める部分も多い。
やっかいなのは、残り2つの理由である。
③若年層のライフスタイルは短期間で大きく変化する
スマートフォンインターネットの世界を牽引する若年層の
場合、3年、5年といった時間経過は、ライフスタイ
ルが大きく変わるほどの影響があるということだ。事
業者が彼ら彼女らに合わせたビジネスをする事は大変
難しいのである。
④スマートフォン通販の進化はPCインターネットの進化に
も影響を受ける
スマートフォン通販だけを利用していた層も、年齢が高ま
る中でPCを併用し始める。その中で、PC通販の利
便性が高いと感じれば、当然PC通販を主に利用する
ことになる。
つまりPCとスマートフォンはインターネットに接続可能
なデバイスとしてある部分においては競争関係にあ
り、PCの進化にスマートフォン通販の進化は大きく影響を受けるのである。
少し先の変化に柔軟に対応すること
以上4つの事柄をふまえると、「Web2.0」が注目さ
れPCインターネット自体の進化も非常に激しい中、
「PCの進化を読みつつ、スマートフォンの進化をユーザー
の変化を考慮しながら予想すると……」なんて頭を
悩ませる事自体、無謀な行為だといえる。その意味で
は、本質的なスマートフォン通販におけるベストプラクティ
スは、少し先の未来を予測しながら、過去の失敗体験
を教訓に変化に柔軟に対応していくことなのかもしれ
ない。
いずれにしても、本書において筆者は大胆な未来
予測はしないし、できない。 しかしながら、1999年
から約8年が経過した中で少しずつ明らかになってき
た、スマートフォン通販が持つ「7つの疑問」について、ケー
タイの本質的な可能性や価値に迫りながら可能な限り
答えていきたい。

スマートフォン通販の市場規模と位置づけ

スマートフォン通販市場とは
ここではスマートフォン通販の位置づけについて
あくまで「小売市場」の中の
「通販市場」の中の、「モバイルコマース市場」の中の
ひとつと考える。
また、モバイルコマース市場の中でも、オークショ
ンなどのトランザクション系、チケット予約などの
サービス系を除いた、純粋な物販市場と位置づける。
つまり、「スマートフォン通販は、本質的には物を売る小
売事業に他ならない」という立場で考えていくことに
する。

スマートフォン通販市場と
スマートフォンコンテンツ市場は違う
また、「スマートフォン通販市場はスマートフォンコンテンツ市
場と同列だ」と混同されている方もいるかもしれない
が、市場分類としては、図2-2のように捉えられる。
実際に、着メロ、着うた、待受画像といったデジタ
ルコンテンツの有料課金によるスマートフォンコンテンツ市
場などの成功を見る限りでは、PCとスマートフォンは全く
別の進化をしている。

スマートフォン通販利用者はPCを持っていない?
現在のスマートフォン通販市場(約1,500億円)を牽引し
ているスマートフォンユーザーは、主に女性である。彼女たちは、なぜスマートフォンで通販をす
るのだろうか?
この疑問において、筆者は、「PCを持っていない、
あるいはPCを普段利用しない若年層が、身近なケー
タイで通販を実施している」と考える。
図2-3のように、個人のインターネット利用端末に
ついては、約8,500万人に達し、スマートフォンのみの利用者も約2,000万人と全体のインターネット利用端末の
中でも約22%と多い。さらにスマートフォンのみの利用
者は前年と比べて増加傾向にある。
これは、若年層における初めてのインターネット端
末がスマートフォンであり、スマートフォンの利用が低年齢化して
いっているということだ。初めてのインターネットは
スマートフォンから始まり、年齢が上がると共にPCとケー
タイを併用し、使い分けると考えられる。
つまり、あくまでネット通販市場におけるPCの補
完的な役割として利用しているのが現実ではないか。
PCとスマートフォンは一方が主で一方が従という主従関
係があるわけではないが、PCが市場としては先行しているぶん、スマートフォンはあくまで補完的な役割を果た
すことも多い。

スマートフォンの本質的な価値

スマートフォンの本質的な価値とは?
読者の中には、「スマートフォンで消費行動を起こすこと
自体、全く理解不能である」と考えている方もいるの
ではないだろうか?
そこで、スマートフォン通販を考える前に、まずスマートフォン
コンテンツ市場の成功要因となっだスマートフォンの本質
的な価値”について考察を行うことにする。
スマートフォンはニッチタイムのメディア
筆者はスマートフォンを、起床時や昼休み、電車の待ち時
間、人を待っている時間、就寝時などのニッチタイム
(隙間の時間)に利用される時間消費型のメディアと
捉えている。
すべての人には、1日に24時間という時間が平等に
与えられているが、ここから、仕事や食事、睡眠など
の生きていくために必要な時間を差し引いた時間(つ
まり自分が自由に使える時間)のうち、特に娯楽にあ
てることができる時間は平均して数時間程度と言われ
ている。
この数時間は「可処分時間」と呼ばれる時間だが、
TVや新聞、雑誌、書籍、ゲーム、音楽、映画、インター
ネットなどの様々なメディアが、絶えずこの可処分時
間を奪い合う熾烈な争奪戦を繰り広げている。
しかし、自分が自由に使える可処分時間とはいえ、
まとまった時間ではない5分、10分のニッチタイム
においては、いつでも持ち歩ける手のひらサイズとい
う利点を生かして、スマートフォンが他のメディアに比べて
圧倒的に有利な立場にある。
参考までに、この可処分時間について興味深いアンケート結果がある。シチズンが首都圏在住のビジネス
マン・OL計400人に「1時間の可処分時間をお金で
買えるとしたら、いくらで買うか?」と尋ねて調査を
したところ、平均金額は約2,000円だったという。
つまり、ここから5分、10分というニッチタイム
であっても、それが有意義に使えるのであれば、数百
円の価値があるということが理解できる。
なぜPCでは無料のコンテンツが
スマートフォンでは有料なのか?
iモードをはじめとするスマートフォンコンテンツ市場が
成功した理由は、まさにこのニッチタイムをうまく活
用できる時間消費型のメディアとして展開したことに
あると筆者は考える。
では、ニッチタイムをうまく活用するということは
どういうことだろうか。
スマートフォンが普及する以前の時代では、5分、10分の
ニッチタイムは、細切れな時間であったために、放っ
ておけば失われてしまっていた、ただの空白の時間であった。これがスマートフォンの進化によって5分、10分
の時間を意味のある可処分時間として変化させること
ができたのである,、つまり、ニッチタイムをうまく活
用すれば、・l」'処分時間を事実上、増やすことができる
のである。
PCインターネットの世界では無料で利用されてい
るコンテンツが、なぜかスマートフォンの世界では有料で利
用されていることがよくあるが、これも本質的には、
「ニッチタイムを充実させることができる」ものであ
るからこそ成立していると筆者は考える。
この観点は、モバイルインターネットのビジネスに
関連して論じられることは少ないが、非常に重要である。
スマートフォンの利用者は、ゲームや占い、ニュースな
どの情報について、例えば月額300円といった課金料
金をコンテンツの価偵を見極めて損得勘定をしている
わけではない。あくまでもスマートフォンを時間消費型のメ
ディアとして捉えて、ニッチタイムの時間をどれだけ
有意義に使えるかを主に考え、より自分にとって有意
義なコンテンツを選択しているに過ぎない。

スマートフォンは「暇つぶしのおもちや」
もちろん、モバイルインターネットでコンテンツが
有料利用される理由は他にもある。特に、キャリアが
作ったビジネス生態系、すなわち供給側の理由が大き
く、主として3つの要因があると考えられる。
①通話料と合わせて請求する少額課金のプラット
フオームが存在する。
②コンテンツ流通が適正に行われるための、ケー
タイの端末側の著作権保護の仕組みと、著作権
に関する法的整備が進んでいる。
③公式サイトになるにはキャリアの承認が必要と
されており、また公式サイトのメニューヘの掲
載にも登録サイト数などの制限が設けられ、承
認がされにくく、参入障壁が高い。そのため、
価格競争が起こりにくくなっている。
いずれにしても、スマートフォンというメディアの本質を、
筆者なりの言葉で言い表すと、「暇つぷしのおもちや」
である。
確かにデバイスとしてのスマートフォンを考えると、電話
機能以外に、インターネット機能、音楽再生機能、カ
メラ機能、お財布機能、TV機能などありとあらゆる
利便性高い機能を備えた優れたマルチデバイスであ
り、24時間常に身に着けている、なくてはならない
存在となっている。
しかしながら、本質的なスマートフォンの価値は「なくて
はならないデバイス」ではなく「なくても構わない何
気無い暇つぷしメディア」にあると考える。
いかに商品を購入させる必然性を作り出すか
メディアとしてのスマートフォンは確かにTVやPCのような主役ではないが、なくても構わない脇役のような
存在でありながらも、積み重なれば非常に大きな価値
を発揮する。
つまり、放っておけば失われてしまっていた、ただ
の空白の小さな時間(ニッチタイム)を価値ある時間
に変化させ、積み重ねることによって、非常に大きな
価値が生まれるのである。この点において、スマートフォン
が「なくてはならない存在」になり得るのではないだ
ろうか。
この考え方はスマートフォン通販ビジネスを行ううえでも
非常に重要であり、「何気無くスマートフォンを触るその瞬
間において、いかに商品を購入させる必然性を作り出
すか」がスマートフォン通販のすべてと言っても過言ではな
い。

実際に売れているスマートフォンサイトはどのように販売をしているのか?

スマートフォン通販プレイヤーの分類
スマートフォン通販におけるプレイヤーを大きく分類する
と、次の3つに分類できる。
①スマートフォン専業ベンチャー
基本的に、商品紹介から受注までをスマートフォンサイト
上で行う「完結型」で売り上げを仲ぱす企業。メルマ
ガ会員数やサイトアクセス数などの集客面で強みを持
つ。売り上げは月商数値円規模で、その会員数に比例
する。多くの企業がスマートフォンならではの販売手法を実
現している。
②カタログ・TV通販大手
すでにカタログ通販などで多くの通販会員を抱え
ていた企業などが運営するスマートフォンサイト。カタログ
を見たうえで、受注手段としてスマートフォンを利用する会
員が多い。カタログという紙メディアとスマートフォンというデジタルメディアが親和性高く融合したケースである。また、TVとスマートフォンも親和性が高く、番組との連動によって販売を実現している。
③PC通販大手
すでにPCのコマースにおいて成功している大手総
合ECサイト、あるいはカテゴリーニッチの専門店な
どは、スマートフォンでも同様に成功を収めているところが
多い。

PCインターネットにおける消費行動
スマートフォン通販における実際の販売手法を説明する前
に、スマートフォン通販で主流となっている消費行動の概要
に触れておこう。
マーケティングにおける消費行動の仮説のひとつに
「AIDMA」というものがある。詳しい説明は省略す
るが、「AIDMA」はそれぞれ、
A : Attention (注意)
1:lnterest(興味、関心)
D : Desire (欲求)
M : Memory (記憶)
A : Action (行動)
の頭文字を取ったものであり、これら5つの消費行動
の流れに沿って消費者は行動するとしている。
これが、PCインターネットでは、「AISAS」とい
う言葉で表現される。すなわち、

A : Attention (注意)
I:lnterest(興味、関心)
S : Search (検索)
A : Action (行動)
S : Share(情報共有)
であるが、やはりこれら5つの消費行動の流れに沿っ
て消費者は行動すると考えられている。
インターネットでは、「注意(Attention)」を喚起
されて、商品に「興味(lnterest)」を持ったら、す
ぐに「検索(Search)」する。「Memory(記憶)」を
要しないダイレクトレスポンスのメディアであり、検
索後は、そのままインターネット上で比較検討し、「購
入(Action)」する。そして購人後は、ブログやSNS
で口コミ情報を発信したり商品を「評価(Share)」する。
このように、PCインターネットでは、「検索
(Search)」が主軸になっているのが特徴である。
モバイルインターネットにおける消費行動
では、モバイルインターネットにおける消費行動は
どのようなものなのか。筆者は、「AIDPA」で表すこ
とができると考えている。すなわち、
A : Attention (注意)
I:lnterest(興味、関心)
D : Desire (欲求)
P : Push (働きかけ)
A : Action (買う)
であるが、ここで特徴的なのは、「働きかけ(Push)」
である。モバイルインターネットにおける消費行動の
中では、PCインターネットの「検索(Search)」に匹敵する非常に重要なプロセスといえる。
メールマガジンの活用方法
月商数値円規模の売り上げがあるモバイルコマース
のサイトなどは、必ずこの「働きかけ(Push)」を巧
みに実践している。
「働きかけ(Push)」の具体例としては、メールマ
ガジン(以下、メルマガ)を活用して、適切なタイミ
ングで商品の告知を行って販売する方法などが挙げら
れる。中には全体の売り上げの大部分をメルマガ経由
で売り上げているサイトもある。
スマートフォンのメルマガは、PCのメルマガと比較する
と、同じメールであっても利用者の反応が大きく異な
る。スマートフォンの場合、メール着信時に着信音やバイブ
レーションで通知することや、常に持ち歩き、手の届
く範囲に存在しているといった理由により、メール受
信後の即時性が高いと言われている。つまり、メール
を配信してから実際に利用者がメール受信を認識する
までにかかる到達時間が短いのである。
実際に、配信から1日以内のレスポンスは全体の7
割、特に配信から1時間以内に、約3割のレスポンス
が得られると言われている(図2-8)。
つまり、メール配信後の数時間以内に大部分の利用
者がメールを開封し、サイトにアクセスすることになる。
メルマガ配信のポイントはタイミング
従って、どのタイミングでメールを送るかが非常に
重要であり、何月何日といった日単位だけでなく、何
時といった時間単位によっても効果が大きく異なる点
が特徴である。
もちろん、どういったカテゴリの商品に興味がある
かや過去の購入履歴や年代などの属性によって違いがあり、現時点では、各社ともきめ細かなメールマーケ
ティングはまだ実現できていない状況だが、以下にメ
ルマガ配信タイミングの具体例を挙げてみる。
・購買意欲が高い20代のOLには、昼の11時台に
配信しておき、12時からの昼食休憩時間に訴求
・仕事からの帰宅に合わせて夕方以降の時間帯に
配信
・他社サイトからのメルマガ配信が少ない土日を
狙って配信
・福袋などのアクセスが集中すると予想される商
品はあえて販売1日前に販売開始時間の予告を
配信
スマートフォンの購買行動は「衝動買い」
ここで重要なのが、メール配信を行う時に、特別過
去の購入履歴でどういった商品を買ったので、この人
にはこの商品をお勤めしようといったパーソナライズ
の視点はなく、ある程度ターゲットを絞るにせよ、一斉同報的に商品をお勤めしていることだ。
スマートフォンでは、購入者の大部分が、ある目的を持っ
てその商品を買おうとする「目的買い」「納得買い」
をしていない。タイミング良くお勤めされたので、「衝
動買い」するのである。スマートフォンメルマガ配信は、こ
のスマートフォン独自の購買行動をうまく利用できる手段な
のである。
タイミングに加えて「低価格」も必要条件
また、スマートフォン通販での購買訴求は、タイミング以
外に「低価格」が重要なウェイトを占めている。
例えば、TV通販番組などで話題になった健康器具
などについては、TV通販で放映されている番組内容
や雑誌記事などを何度か目にして時間が経つにつれ、
「A(注意)」「I(興味)」「D(欲求)」まで消費者心理
が変化する。一方で、昨今の商品のライフサイクルは
非常に短いために、価格もどんどん低下し、同時にメー
カー側にとっては在庫リスクが高い状態になる。
このタイミングで、スマートフォンメルマガで告知を行う
ことによって、低価格で仕入れられるようになった商
品を価格訴求して、大量のスマートフォンユーザーに一斉同
報配信して販売するといった販売行為の実現ができる
のである。
価格訴求をゲーム性で実現する「共同購入」
以上をふまえ、現在のスマートフォンメールマーケティン
グは「タイミング十低価格」がポイントといえる。必
然的に、販売する商品のアイテム数についても、絞り
込んで販売する方式になる。
このようなスマートフォン通販の成功事例のひとつとし
て、(株)ネットプライス(以下、ネットプライス)が「ち
びギヤザ」で行っているような、「共同購入」が挙げられる。
購入者の数が増えれば増えるほど、商品の販売価格
が下がるといったモデルであり、スマートフォン通販におい
て人気が高い販売手法である。商品購入ページには「友
達に教える」ボタンが設置され、値段を安くするため
に友達に商品を勧めるといった行為によってバイラル
を促進させている。
共同購入がスマートフォン通販において人気が出た理由
には、認知が低い商品を訴求するには表現能力が低い
スマートフォンにおいて、価格訴求という非常にわかりやす
いポイントを共同購入というゲーム性で実現したこと
にある。
スマートフォン通販の共同購入サイトにおいては、通常購
入時にニックネームと商品に関するコメントを書き込
めるようになっている。書き込まれるコメントは、感
想という程度にとどまり、商品購入の決定要因となる
ような商品に関する有益な詳細情報は少ない。しかし
ながら、「コメントが多い→購入者が多い→売れてい
る商品→良い商品」という連想によって、コメントの
多さをユーザーが商品を購入する際の決定要因のひと
つとして認識していることが予想される。
より賢い消費者であれば、様々なツールや媒体を活
用して商品をよく比較して納得して買うであろうが、
スマートフォン通販に関しては、衝動的に、安い商品を、皆
が購入しているという理由で買う消費者も多いと思わ
れる。
ネットからオリジナル商品を開発、リアル店舗へ
いずれにしても、PCのように「品揃えの良さを売
りにして検索でやってくる顧客のニーズに合った商品
を販売する」といった手法とは異なっていることが特
徴である。例えば、前述のネットプライスでは、ユーザーから
の「こんな商品が欲しい」といったリクエストに応え
て、メーカーに企画を持ち込み、オリジナル商品を開
発、販売している。売り上げに占めるオリジナル商品
の割合も比較的高い。
さらに、こうしたオリジナル商品がネット上で人気
が出た場合は、東急ハンズやロフトなどリアルの店舗
でその商品を販売してもらうといった、逆方向の流通
も行われているという。 2006年11月には、子会社で
美容関連商品、化粧品の企画・開発・販売を行う会社
を設立し、商品力強化を実施している。
この種の販売手法はモバイルコマースでの典型的な
事例といえる。

SPA
(Speclalty Stores of Private
LabelApparel)
ファッション商品の企画から
製造、販売までの機能をすべて
1社で統合したビジネスモデル。
スマートフォン通販にとどまらない様々な展開
また、ファッション系スマートフォン通販サイトの大手で
ある(株)ゼイヴェル(以下、ゼイヴェル)は、単体
では収益が出にくいファッションショーをピジネスに
上手く活用させている。
ファッションショー経由のスマートフォン通販サイト売
り上げは大きくないと予想されるが、ファッション
ショーを実施することで有力なアバレルブランドに対
する仕入れ条件を有利にすることに成功している。ま
たそれ以上に、自社のアバレルブランドをファッショ
ンショー、雑誌、モデル、スマートフォンサイト上での露出、
プランディングすることで、有名百貨店への出店攻勢
につなげて収益性の高いSPAの事業モデルを作り出し
ている点が特徴的である。
いわゆるファッション系スマートフォン通販における「人
気モデル着用」といった流行に合わせた一極集中的な
売り方では、一部の人気ブランド、商品に人気が集中
し、幅広いブランドを揃えたところで、後述するPCでのモールのように売り上げは商品数に比例して伸び
ることはない。ゼイヴェルはそういった中で自社ブラ
ンド商品のブレイクプースター(ヒットエンジン)と
してスマートフォンメディアを巧みに活用している。

なぜスマートフォンのような小さい画面で商品を買うのか?

衣料品がスマートフォンで売れる理由
読者の中には、なぜスマートフォンの小さい画面で物を買
うのか理解できない人も多いのではないだろうか。
第1部の図1-8で示すように、スマートフォン通販で購入
したことのある商品ジャンルにおいて、衣料、アクセ
サリー、ファッションといったジャンルは利用傾向が
高い。
書籍、DVDのようにタイトルを見ればその商品を
識別できるようなものをスマートフォンで買うというのはま
だわかるが、実際に身に着けてみないとわからないよ
うな商品でも、スマートフォンでは売れ行きが伸びている。
その理由は、大きく2つあると思われる。
①カタログ、ファッション雑誌で商品情報が補完
されているため
②衣料品のECはスマートフォンで実施できる余地があっ
たため
カタログ、ファッション雑誌で商品情報を補完
スマートフォンで衣料品を購入する人の多くは、カタログ
やファッション誌などの紙面上で十分な商品情報を得
てから購入している場合が多い。つまり、スマートフォンと
いう小さい画面では少ない情報量を伝えることしかで
きないという弱点を、カタログやファッション誌など
の紙媒体が補完しているのだ。
実際に、メルマガ内に「雑誌の○ページに掲載した
商品」といったキーワードを入れて配信しているケー
タイ通販サイトもある。

衣料品のECはスマートフォンで実施できる余地がある
PC通販は非常に発達しているが、その購入の導線
は、「検索をして商品を調べて購入する」である。と
なると、書籍やDVDはキーワードによって検索がし
やすいが、衣料品のようなかわいい、格好いいなどの
好みに関する感覚は、キーワードで表現する事が難し
い。イメージ検索などもPCの分野において注目され
ているがまだまだ普及していない。つまり、衣料品の
ECについてはまだまだPCでも発達しておらず、ケー
タイで実施できる余地があったといえる。
また、大手有力アバレルブランドにおいては、PC
におけるオークションやモールなどへの出店はブラン
ドイメージが保てないという理由で出店を控えていた
理由もあって、有名ブランド名での検索がしにくかっ
たという背景もある。
香水がスマートフォンで売れる理由
衣料品以外にも、香水のように実際に匂いを嗅いで
みないと分からないような商品についてもスマートフォンで
売れている。その理由は、大きく2つある。
①香水であれば海外高級ブランドの商品でも元々
単価が安く、さらに値引きによって安価に購入
できるため
②香水の場合、衣料品と比べるとカタログ誌含め
てメディアでの情報が不足しており、スマートフォン
サイトでの香水に関する情報をきっかけとして
購入する割合が高い
認知度が高い海外高級ブランドの香水は、衣料品な
どと比べても単価が安く、さらに並行輸入経由などに
よって安価に販売されることも多い。そのため、匂いを嗅いでみなくても購入につながっていると思われる。
また、香水の場合、ファッション誌のように専門
的な情報誌が少ない。定番商品や新作商品など、網羅
的に情報を取り揃えることで、スマートフォンサイト上で情
報をカタログ化することができ、スマートフォンサイトで香
水に関する情報を調べる利用者も多い。初期の段階の
スマートフォン通販サイトにおいては、有名芸能人などがど
の香水を利用しているかという情報も商品説明に加え
て販売していたサイトもあり、衝動的に購入をさせる
手法がとられていると考えられる。

トラフィックジェネレーション
特定の物品やサービスの購入
のためにサイトや店舗などに
足を運ぶこと。

スマートフォン通販においてロコミは重要な役割を果たすのか?

物の売れ方を変えたブログ
ブログ時代になって物の売れ方が変わってきた。商
品に惚れ込んだユーザーがブログなどで商品に関する
情報を書き込むことで、それが口コミとして広がり、
商品の売り上げにつながる。
ブログの特徴として「CMS」「RSS」「トラックバッ
ク」「パーマリンク」の4つを挙げることができるが、
PCのブログが大きく普及した成功要因は、トラック
バックによるSEO効果が生み出す検索エンジン経由
のトラフィックジェネレーションにある。
PCでのブログの普及要因とは
PCのブログの爆発的普及には、トラックバック機
能と検索エンジンの検索結果の関係が深く関わってい
る。ブログは日記サイトに非常に近く、実は古くか
ら日記サイトは日本では流行っていた。ブログが米国
で普及する以前から日記サイトは日本では人気がある
ジャンルであった。
日記サイトとブログ、両者が持つ機能はシステムと
してはほとんど同じで、使いやすさの違いはあれ大き
な差があるわけではない。
しかし唯一の大きな違いは、トラックバックという
機能である。トラックバックによってプログは大きく
普及したといっても過言ではない。実際に、トラック
バックによってページ間のリンク構造が張り巡らされ
ることによって、人気が高いプログほど相対的に検索
エンジンによる検索結果の上位に表示されやすくな
り、ブログにアクセスするトラフィックが急増することになる。
注目の「ブログマーケティング」
ブログの特徴は、ロコミの伝播速度が非常に速いと
いうことが挙げられる。また、ブログの記事データは
RSSという標準的なフオーマットで記述されること
で、RSSリーダーや、ブログ検索エンジン、ソーシャ
ルブックマークサービスなどで取り込まれやすく、い
ち早く話題の情報というのが伝播しやすくなってい
る。
最近では、TVで取り上げられ、それがインターネッ
ト上のブログで話題になり、それがさらにマスメディ
アで取り上げられるといったスパイラル効果によっ
て、ブログ発のブームが起きやすくなっている。
このように、ブログ時代になって、物の売れ方が変
わったことで、通販事業者にとってもブログを活用し
た商品プロモーションである「ブログマーケティング」
は注目されている。
ユーザーから見たブログのメリット
逆に、ブログはユーザー視点から見ると、検索結果
の精度、質向上を実現している情報発信革命といえる。
・商品に興味を持つ
・PCで検索を行う
・検索結果の上位にはブログが表示されやすいた
め、ブログでの口コミ情報を頼りとして商品に
関する理解を深める
・そのままインターネット上で商品を購入
・その体験をブログ上で口コミとして発信
・その口コミ情報が他の人の購入のきっかけや商
品を購入する上での参考情報となる

という一連の流れによって、「好循環」が生まれてい
るのである。つまり、PCにおけるキーワードによる
検索結果の精度をユーザーの自身の手によって高めて
いるのだ。
スマートフォン通販におけるブログの役割
ここまではPCでの話であった。では、スマートフォン通
販においてはプログはどのような役割を果たすのだろ
うか。
スマートフォン用プログにおいては、PCのようなプログ
での成功要素が欠けている。まずスマートフォン用プログの
多くにトラックバックの機能はついているが、トラッ
クバックが利用されることはほとんどない。
加えて、現在のスマートフォン市場においては、まだケー
タイ用の検索エンジン経由のトラフィックが多くはな
いために、ブログがアクセスを多く集める仕掛けが存
在しない。
つまり、PCのブログのように検索結果の精度をユー
ザーの自身の手によって高めるような相乗効果は現状
起きる見込みは低く、スマートフォン用ブログがスマートフォン通
販に果たす役割はまだ大きくないと予想される。
いずれにしても、プログマーケティングと呼ばれる
ような、商品プロモーションの活用手段としてのケー
タイプログの可能性、またユーザー視点から見た場合
には、検索結果における口コミ情報としてのスマートフォン
ブログの可能性には課題が残る。
友達紹介の口コミ効果
各ページに「友達に紹介する」といったボタンが用
意されて、友達紹介によるバイラル効果を狙うケータ
イサイトも多い。
確かに、メールで友達に紹介した後、実際に会ったときにその内容が話題にのぽり、ロコミが広がる……
といったように、大きなバイラルを生むことはあるだ
ろう。スマートフォンのメールアドレスを電話帳に登録して
いる相手には親しい友人知人が多いであろうから、口
コミ促進は効果が高い。メールを転送するだけという
容易性も手伝って、チェーンメールのように爆発的に
伝播した事例もある。
実際に、キャンペーンサイトなどにおいては友達
紹介機能を上手く利用してバイラルを狙い、成果が上
がったケースがある。(株)ディーツーコミュニケー
ションズと(株)クロスワープは、スマートフォンを利用し
た広告の口コミ効果をトラッキングし数値化すること
ができるシステムを共同で開発している。(株)ディー・
エヌー・エーは、「モバゲータウン」においてアバター
を活用してポイント獲得の動機付けを作り、友達紹介
による会員増を促進させることに成功している。
しかし、スマートフォン通販における友達紹介については、
PCのブログのように流行を作るような大きな効果ま
では生んでいないと考えられる。なぜなら、キャンペー
ン応募や無料サイトの会員登録であればお金を支払わ
なくても良いが、通販の場合は、お金を払うことにな
るからだ。若年層は可処分所得も低いため、友達から
紹介を受けたからといって、その場で購入するような
消費行動は起きにくい。よって、ロコミでは通販での
購入に結びつきにくいといえる。

スマートフォン通販においてキーワード検索からの購入は増えるのか?

課題の多いスマートフォン検索
これまでは、スマートフォン通販の購入経路はメルマガ
経由などが中心であったが、バケット定額制普及と
2006年度に各キャリアが導入した検索エンジンの影
響によって検索経由の購入は確実に増えていくと予想
される。
しかしながら、PCのように検索がナピゲーション
の主軸にまでなるかどうかは未知数であり今後の動向
を見守る必要かある。
特にスマートフォンとPCとではデバイスの違いがあるた
め、スマートフォンにおいてはより精度の高い検索結果が必
要とされている。

スマートフォンとPCのデバイスの違い
PCは検索に親和性が高くスマートフォンとは違う3つの
特微かある。
①一覧性
②比較性
③入力容易性
①一覧性
デスクトップやノートPCのディスプレイは、ケー
タイと比較して解像度が高く、画面の大きさも大きい
ので、検索の一覧結果について、100件など大量の表
示が可能になり、検索に向いているといえる。
スマートフォンも解像度が上がり、大画面化しているが、
元々電話という機能が中心のデバイスであるために、
手のひらサイズというデバイス自身の大きさが制約と
なって大画面化にはー定の限界がある。
また、スマートフォンではスクロールをしながら上から順
番にリンクを選択するという手間も発生する。
②比較性
PCでは、ディスプレイの画面が大きいということ
や、ブラウザのウィンドウを複数開くことによって、
検索結果のサイトを比較したりすることが容易になっ
ている。スマートフォンでもタブブラウザなどが出てきてい
るが、画面の大きさの制約から2つを並べて比較する
などの比較性には劣る。
③入力容易性
PCは一旦キーボードの入力に慣れてしまうと、文
字入力が非常に容易である。一方、スマートフォンは、女子
中高生など若年層を中心とした一部のヘピーユーザーにはスマートフォンでの文字入力が容易に行われているが、
一般的には音声入力を中心としたデバイスであり、文
字入力については不便さが残る。
これら3つの違いなどによって、特にスマートフォン通販
での検索結果においてはユーザーが満足した結果を出
すには、スマートフォンに適した検索方法が今後新しく提供
される必要があるといえる。
公式サイトはスマートフォン検索で優位?
また、キャリアの検索エンジンは、検索結果の上位
に優先的に公式サイトが表示される。
公式のスマートフォン通販サイトはこれまで商品を絞り込
んで販売するセレクトショップ型が多かったが、今後
は検索エンジン経由の売り上げを期待してニッチ商材
が増える可能性もある。
また、公式サイトの中でも、通常のスマートフォン通販サ
イトと比べると、「口コミ情報を扱うサイト」「ショッ
ピングモール」「オークションサイト」など、商品点
数や商品に関する情報量が圧倒的に多いサイトが優位
な立場にあると予想する。理由は、幅広いキーワード
での検索結果に表示されやすいためだ。
逆に、検索ツールとしてショッピングモールやオー
クションサイトを利用するというユーザーの増加も
予想される。なぜなら、ショッピングモール内やオー
クションサイト内での検索といった専門検索型のほう
が、価格順や評価順などの詳細検索やソートが可能な
ため、ユーザーにとって利便性が高いからだ。
今後スマートフォンにもSEO / SEM 競争がやってくる
一方、スマートフォンならではの検索エンジンの利用方法
として、外出先で商品名などをダイレクトに検索して情報収集するといった行為が挙げられる。最近では、
店舗で商品を購入する際に、スマートフォンから商品に関す
る口コミ情報を検索して調べてから購入するケースも
あるという。
また、衣料品などにおいては、店頭で見つけた商品
と同じ商品がスマートフォンサイトにあるかどうかをその場
で検索したうえで、サイトで商品が見つかった場合に
は、店頭ではその商品を買わずにスマートフォンサイト上で
購入するケースもあるという。これは、スマートフォンサイ
トにおいてポイントなどが付与されるケースが多いた
めだ。
このように、スマートフォン通販においても検索経由の購
入は確実に増えると予想されるため、検索エンジン経
由のトラフィックをいかに獲得するかのSEO / SEM
競争がPCで起きたように再現されると考えられる。
ただし、スマートフォンサイトはPCサイトと比べるとリ
ンク構造が少なく、ページ内でのキーワードも少ない。
また、スマートフォンサイトの数自体PCと比べると非常に
少ない。そのため、スマートフォンにおける検索エンジンに
ついては、検索結果に望むような結果が表示されない
こともまだまだ多い。
そのような中、スマートフォン検索エンジン各社は、ケー
タイの特徴に合わせた専用検索機能の開発を進めてい
る。スマートフォンの検索エンジンには進化の余地がまだあ
り、それに合わせたスマートフォンSEOの分野も今後市場
が広がっていくと予想される。
特に、スマートフォンの画面は小さいので、例えば表示順
で上位3位以内など、より上位の表示順が有利である。
そのため、公式サイトであることが重要になったり、
キーワードに連動した広告表示スペースの重要性もき
わめて高い。よって、SEMでは人気キーワードの獲
得競争が激化し、単価が高騰することが予想される。

ネットワーク効果
ユーザーが増えれば増えるほ
ど、そのツール、サービスの
利便性が増し、価値の高いサー
ビスになっていく効果のこと
であり、スマートフォンやEメール、
FAXなどは代表的な例である。

スマートフォン通販においてショッピングモールは発展するのか?

PCでの楽天の成功要因とは?
スマートフォン通販におけるショッピングモールの発展を
考えるにあたって、PCでのショッピングモールの成
功事例である楽天(株)(以下、楽天)の成功要因を分
析する。
楽天のモール事業が成功した要因には、ネットワー
ク効果がモール事業のビジネスモデルに備わっている
ことが大きい(図2-9)。
つまり、ショッピングモールの出店社の数が増えれ
ば、出品数もそれに応じて増える。その結果、利用す
るユーザーからすると検索結果の対象となる商品数が
増え、品揃えが豊富になる。よって、「楽天に行けば
何でもある」といったイメージが出来上がり、サイト
価値が向上することでユーザー数が増えるといった好
循環である。

楽天が競合他社に勝った理由
ショッピングモールは、モール事業者にとって、自
社で物理的な在庫を抱える必要がないことと、出店者
間の競争原理が生まれるために安くて良い商品が増え
るというメリットがある。
楽天がモール事業を始めた当時は同様のモール事業
を展開する競合他社も多かった。その中で楽天が勝ち
残った理由は、以下の2つである。
①当時、従量制の料金課金をするショッピングモー
ルが多い中、比較的安価な月額定額制の料金体
系を導入していたこと
②「RMS」と呼ばれるHTMLを知らないPC初心者
でも簡単にサイトを作ることができる仕組みを
自社開発によって使いやすく継続開発してきた
こと
PC通販は「品揃え」が重要
ネットワーク効果、つまり商品数が増えれば増え
るほど楽天の価値が高まるのは、検索して商品を探す
PC通販においては「商品の品揃え」が非常に重要だ
からである。
ネット通販で購入する多くの商品は、店によって商
品価格が違う。ユーザーは比較サイトで価格を比較し
たり、楽天のようなショッピングモールで商品検索を
して、購入する店を決定することになる。 PCインター
ネットのインフラが整備される中で、積極的にユー
ザーが行動することが可能になり、品揃えが顧客を集
める重要な成功要因となった。
しかしながら、現状のスマートフォンの場合は、小さい画
面で通信速度も遅いため、商品を検索して複数比較し
て購入するような消費行動はPCと比べると発展途上であるといえる。
スマートフォンでも楽天が勝つのか?
今後バケット定額制の普及によってモール事業モデ
ルも活発化してくることは間違いない。ただ、楽天が
スマートフォン通販のモール事業において、PCのときと同
じように圧倒的な成功を勝ち取るかどうかは、他社プ
レイヤーとの今後の競争次第の部分も大きい。その場
合、次の2点がポイントになると考えられる。
①各キャリア自身が運営するモール事業との関係
②「スマートフォン版楽天市場」内店舗と他社スマートフォン通
販サイトとの関係
まず、①について考えてみる。「スマートフォン版楽天
市場」は2000年9月にサービスを開始し、その後
EZweb、旧vodafone live! の順の公式メニューとなっ
た。さらに、2004年3月にiモードでも公式メニュー
となり、3キャリアの公式サイトとなっている。しか
し、各キャリアのポータル戦略によってau自身が「au
Shopping MaU」、ソフトバンクが「Yahoo!ショッピ
ング」を運営しており、楽天のショッピングモール
と直接的に競合する。 ドコモにおいては、ショッピン
グモールではないが「とくする通販」が集客機能とし
て競合する。スマートフォンにおける事実上のポータルは各
キャリアの公式メニューリストであり、各キャリアは
白身のモールに優先的に集客する。よって、モール事
業における競争関係はキャリアを含めて激しいものに
なると予想される。
次に②について考えてみる。 2003年3月には、「楽
天市場」に出品した商品がほぼすべて「スマートフォン版楽
天市場」でも閲覧可能になった。 2005年には、パケット定額制の普及と楽天の企業知名度の高さも影響し
て、全流通総額の約7%をスマートフォン通販が占めてきて
いる。スマートフォン通販購入体験においても、楽天は常に
上位にある。
しかし、PC経由での売り上げ比重はまだまだ高く、
「楽天市場」ほどきめ細かに「スマートフォン版楽天市場」の
ページやメルマガ作成を対応している出店者は多くは
ない。また、楽天が自社開発したサイト構築システム
「RMS」自体も、スマートフォン向けとしては表現能力に制
限があり、他社スマートフォンサイトと比較したときにペー
ジやメールマガジンでの訴求が弱い印象もある。さら
に、「楽天市場」で売上実績が高い有力な店舗の一部は、
公式サイトや非公式サイトで独自に自社のスマートフォンサ
イトを立ち上げて運営しているところもある。
ただし、今後一つ一つの店舗が「スマートフォン版楽天市
場」でお互いに競争して質の高いサイト作りをする環
境を作り出せれば、モール全体のサイト価値も高まっ
ていくであろう。
今後の楽天の勣きに注目
いずれにしても、スマートフォン通販市場においては今後
ショッピングモールが発展する余地は大きいと予想さ
れるものの、キャリア毎、あるいは公式サイト、非公
式サイト毎によって様々なプレイヤーが存在しており、
PCでのようにネットワーク効果による好循環がもた
らす一強多弱のような状況にはなっていない。
しかし、2006年11月20日からiモードの公式サイト
としては初めての個人向けオークションサイト「楽オク」
をドコモと楽天が共同出資する楽天オークション(株)
が開始したように、公式サイト経由のトラフィックを今
後オークションというキラーサービスを核として楽天
がどこまで獲得するかが期待されるところである。

スマートフォン通販の販売手法はメールマガジンから検索にシフトするか?

PCの販売手法はメルマガから検索へ
PCにおいて2000年前後はまだまだメルマガから
の購入が販売手法の中心であり、ユーザーはサイト
単位でメルマガを購読して、受動的に商品情報を受
け取っていた。常時接続の普及によって通信速度が向
上し、検索技術が発達するに従って、PCにおいては
購入の導線として検索が中心になってきた。また、PC
のHTMLメールは、メールソフトのセキユリティの問
題で敬遠されたことによって大きな普及はしなかった。
つまりPCにおいてメルマガという販売手法は大き
く進化することなく、商品の購入経路はメルマガから
検索にシフトしていったといえる。
スマートフォンでもメルマガは検索ヘシフトするのか?
では同様に、スマートフォン通販においても今後パケット
定額制の普及や検索技術の向上や「楽天市場」をはじ
めとするショッピングモールの普及によって、商品の
購入経路としてのメルマガは検索などの手段にシフト
していくのだろうか?
筆者はそうではなく、メルマガはスマートフォン通販の特
徴的な販売手法として今後も生き残り成長すると予想
する。理由としては以下の2つが挙げられる。
①検索して買う必然性がないものが多い
②メールの訴求力・精度が向上する可能性がある
①検索して買う必然性がないものが多い
スマートフォン通販で現在売れている商品というのは、・検索がしにくい商品
・希少性が高くすぐに販売が終わるため、ケータ
イの即時性が有効に機能する商品
・衝動買いを誘引するような商品
といったように検索して買う必然性がないものが多い。
つまり、スマートフォンにおける検索利用が増えて、検索
経由の購入が増えたとしても、必ずしも現在のケータ
イ通販のメルマガという購入経路をすべて奪うもので
はないことを意味する。
②メールの訴求力・精度が向上する可能性がある
スマートフォンにおいては、「デコメール」などのHTML
による表現手段の進化による訴求力向上や、パーソナ
ライズによる精度の向上など進化の余地が残されてい
るといえる。
実際に「デコメール」によって同じメール文言であっ
ても販売効果に約2倍ほどの差が現れたといった実例
があるように、販売側にとって工夫の余地はまだまだ
高い。
またユーザーにとってみても、商品画像がメルマガ
本文内で表示されると2つの意味でメリットがある。
まず、画像などで商品情報量が多くなるために、パッ
と見てすぐにその商品が自分にとって必要なものかそ
うでないかがわかる。そのため、メールを見るのに時
間をかけずに済むといった気楽さがある。
2つめは、商品や文画にもよるが、画像によって訴
求されると、サイトに行かずともメルマガを見てい
るだけで楽しく、ウィンドウショッピング感覚でメル
マガを受け取ることができるためだ。暇つぶし感覚で
利用するスマートフォンにおいては有効な手段となる。

また、(株)スタートトゥデイが運営する「ゾゾタ
ウン」では、人気が高い商品、希少性が高い商品を扱
える強みを活かして、ユーザーが好きなショップを
事前に登録することで、そのショップ商品の新入荷情
報などをパーソナライズして効率的に情報配信してい
る。これは、「ー人一台」のスマートフォンに適した販売手
法だといえる。

アフィリエイト
Webサイトやメールマガジン
などが企業の会員募集サイト
や通販サイトにリンクを貼り、
第三者がそのリンク経由で会
員登録や商品購入を行った場
合、リンク元サイトの運営者に
報酬が支払われる広告プログ
ラム。

スマートフォン通販においてアフィリエイトは普及するのか?

成長するスマートフォンアフィリエイト市場
スマートフォンアフィリエイト市場は、2003年度に6億
円であったのに対して、2006年度には10倍の62億円、
2006年度は112億円に拡大すると予想されている(図
2-11)。
スマートフォン広告市場全体に対するスマートフォンアフィリエ
イトのシェアも拡大してきている。 PC通販において
は、検索エンジン経由に加えて、アフィリエイト経由
の売り上げも高まっているが、スマートフォン通販において
もアフィリエイトは今後重要な位置を占めると予想さ
れる。

スマートフォンアフィリエイトは必須の集客手段
そもそもアフィリエイト広告は、広告を見たユー
ザーが商品購入などのアクションを起こした時点で広
告費用が発生するというリスクの低さ、費用対効果の
高さを利点としており、スマートフォン通販事業者にとって
は有益な広告手段である。
しかしながら、スマートフォンアフィリエイト市場におけ
る主要な広告主は、有料の公式サイトや、無料の非公
式サイト、梢費者金融などが中心で、スマートフォン通販サ
イトの出稿はそれほど多くない。理由としては、広告
を掲載する媒体側から見た時には、ユーザーのケータ
イ通販の利用度はまだまだ高くないので、例え広告を
クリックしてユーザーが通販サイトを訪れても、そこ
から商品を購入する割合(コンバージョン率)は低く、
結果として媒体側に支払われるPV当たりの広告単価
が低くなってしまうことが挙げられる。
したがって、スマートフォン通販がアフィリエイト広告と
して成立するには、スマートフォン通販市場の成熟化による
通販サイトのコンバージョン率向上と、有料の公式サ
イトや無料の非公式サイトのアフィリエイトの成果報
酬単価の値下がりによって、通販事業者が支払えて、
かつ媒体側から選ばれる広告単価設定になるタイミン
グを待たないといけない。
いずれにしろ、スマートフォン通販におけるアフィリエイ
トはPCと同様に通販事業者にとっては必須の集客手
段となることは間違いない。

スマートフォン通販にこれから参入するには
スマートフォン通販市場の今後
ここまで、スマートフォン通販7つの疑問について答えて
きた。
今後のスマートフォン通販市場においては、バケット定額
制普及による市場成長に加えて、ネット通販における
重要な要素である「集客」「接客」「システム」「商品」
のうち「集客」手段の多様化によって、より幅広い事
業者にスマートフォン通販参入の機会が提供されるようにな
るだろう。ショッピングモール、オークション、検索
エンジンの発展や、検索経由でのサイト訪問が増える
ことで、ニッチキーワード、ニッチ商材での通販も可
能になるといえる。
しかし、繰り返すようだが、普段スマートフォンを利用し
ない層にとっては、スマートフォンで物を買う実感がないた
め、スマートフォン通販に対して否定的な印象を持っている
人もいる。また、実際にスマートフォン通販ビジネスで売り
上げをあげてきたサイトというのは、会員を多く抱え
る一部の限られた事業者に集中してきた傾向も事実と
してある。
そのうえで、スマートフォン通販にこれから参入する事業
者が注意するポイントとして最後に次の2つを挙げて
おこう。
①自社の強みを理解する
②タイミングを逃さない
まず、自社の強みが「集客」「接客」「システム」
「商品」のうちどこにあるのかを理解して参入することが大事だ。「接客」と「商品」に強みがあれば、
ショッピングモールやオークションなどが「集客」と
「システム」を補完してくれるので、必ずしも自社シ
ステムにこだわる必要はない。また、「集客」に強み
があったり、すでに多くの会員を抱えていれるので
あれば、「システム」に投資をしてでも、それを生か
した展開をするべきである。さらに、市場が成熟して
くると、「システム」や「商品」での差別化も難しく
なってきて、最終的には「接客」が重要になる。ケー
タイ通販といえども、基本は物を売る小売事業という
忘れてはいけない。
次に、現段階では「衝動買い」「若い女性が積極的
な購買層」であるスマートフォン通販も、今後間違いなく裾
野が広がってくる。自社の商品がどのタイミングで
スマートフォンでも購入されるようになるのかを見極めるこ
とは、非常に重要である。しかし、商品によっては早
く市場参入して独占的な位置を占めることが可能な場
合もあり、他社よりも先んじて参入することも戦略的
に必要な場合がある。ユーザー視点でしっかりと客観
的に見つめて、自社が参入するべきタイミングを逃さ
ないことが重要である。いずれにしても、スマートフォン通
販ピジネスは今後も大きな市場成長性が期待され、新
しい販売手法が生み出されると可能性も高く期待され
る分野である。
薬の通販は、こちら→サプリ館

-通販
-

Copyright© サプリ館公式ブログ , 2021 All Rights Reserved Powered by STINGER.