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スマートフォン通販ビジネスの実例

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スマートフォン通販ビジネスの実例

CASE STUDY 01 (株)ディー・エヌ・エー

(株)ディー・エヌ・エー
モバイル推進グループ
グループリーダー
ボケットビッダーズ編集長
西村亮太氏

(株)モバコレ
取締役
林光洋氏
SNS
(ソーシャル・ネットワーキング・
サービス)
人と人とのつながりをサポー
トするコミュニティ型の会員
制サービス。あるいは、そのよ
うなサービスを提供するウェ
ブサイトのこと。

モバゲータウンの集客力を生かし
先行サイトを追撃
ポケットビッダーズ/モバコレ
(株)ディー・エヌ・エー/(株)モバコレ
モバイル業界の注目企業DeNA
狭義のモバイルコマース事業のみならず、モバイ
ルオークションやモバイルアフィリエイト、ソリユー
ション、そして急成長するスマートフォンゲーム&SNS
(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「モバゲー
タウン」などを擁し、業界の最大手企業の一角を占め
る(株)ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)。
今回は、スマートフォン向け総合ショッピングサイト「ポ
ケットビッダーズ」と、スマートフォン専用ファッション系
ショッピングサイト「モバコレ」という、タイプの違
う2つのスマートフォン通販サイトについてのお話を伺った。
20代申心から、30代にも支持が広がる。

薬の通販は、こちら→サプリ館
 「ポケットビッダーズ」は、2004年6月にサービス
を開始した。当初はauとボーダフォン(現ソフトバ
ンク)の公式サイトとして、2005年1月にはドコモ
の公式サイトとしても運営を開始した。
DeNAといえば、会社設立の当初はPCのオーク
ションサイト「ビッダーズ」のイメージか強かった。
その後、同じサイトでC2CのオークションとB2Cの
ネット通販を展開していくのだが、スマートフォンショッピ
ングサイト「ポケットビッダーズ」の場合も、立ち上
げ当初からB2Cの分野でオークションとショッピン
グモールの双方のサービスを提供している。
現在は、PCとスマートフォンのオークションとショッピ
ングモール合わせて、244万点(2007年1月時点)の商品が常時販売されており、会員数523万人(2007
年1月時点)、出店点数も2,326店(2006年度第3四
半期時点)にまで増加している。
「当社に出店される販売店さんの動機の中に、ケー
タイで積極的に売っていきたい、という方々が多いこ
とは事実です,スマートフォンでのサービスを開始した頃に
は、ユーザーが20代中心でしたので、特にブランド
物やファッション関係のショップさんからの引き合い
が多かったですね」と、事業を統括しているモバイル
推進グループ・グループリーダー、ポケットビッダー
ズ編集長の西村亮太氏は話す。
ただし、2007年1月現在ではお客様の年齢層は20
代と30代が約乍々になり、次第に顧客の字句年齢は
ト.昇する傾向にあるようだ。
売れている商品も、ファッションに限らず、家電、
「ニンテンドーDSライト」のようなゲーム機、グル
メや有名パティシエによる限定生産のスイーツ、趣
味、雑貨など、幅広く満遍なく売れるように変わって
きている。
そのような流れをふまえれば、今後は10代の頃か
らスマートフォンに慣れ親しんできた層の成長と共に、当然、
より大人向けの商材にも商機が出てくるのではないだ
ろうか。
KDDIとの協業によるサービス
「au Shopping Mall」もスタート
DeNAは、2006年2月に、KDDIとの協業によるサー
ビス「au Shopping MaH」をスタートさせた。これに
より既存の「ポケットビッダーズ」にモール出店して
いるネットショップが「au Shopping Mall」にも出店
することができるようになった。
このサービスは、キャリア自身が運営する事業ということで、auユーザーに対して非常に信頼が高く、
安心して買える通販だというイメージを与えたよう
だ。さらに、「まとめてau支払い」の仕組みも、代
引き手数料を支払ったり、クレジットカード番号を登
録したりという面倒や不安がないため、喜ばれている。
「びっくりしたのは、KDDIさんとコラボレーショ
ンしたオリジナルグッズの引き合いが高かったことで
す」(西村氏)。読者の皆様はauの音楽配信サービス
のイメージキャラクター、可愛いリスの「LISMO(リ
スモ)」をご存知だろうか。スマートフォンパネルなどの限
定リスモグッズは、auユーザーにとっては垂泥モノ
の商品なのだ。「au Shopping Mall」の「オフィシャ
ルマル得プログ」へのコメントの数々を見て頂ければ、
その盛り上がり振りを実感して頂けるのではないかと
いう気がする。

こんな出店者が伸びている

PC通販の「ビッダーズ」と、スマートフォン通販の「ポケッ
トビッダーズ」及び「au Shopping Mall」の3つのモー
ルヘの出店は、まとめて申し込むことができる。
出店条件だが、例えば「6か月お試しプラン」だと、
入会金(初回入会時のみ)6万円、月会費5万6,000円、
成約時手数料2.5%(スマートフォンでの成約時5%)となっ
ている。お客様の質問に対して、1営業日以内での回
答が可能であること、という条件も課している。厳し
いようだが、迅速なレスポンスというのは、特にケー
タイ通販を事業として営む際の必須条件だ。
では、‘どのような店舗が、売り上げを伸ばしている
のだろうか?
「店舗ページ、商品ページをこまめに編集している
こと、メールマガジン(メルマガ)での販促に積極的
であること、広告掲載やオークション、プレゼントなどをきちんと行っていること、ユーザーヘの連絡、発
送などの対応が丁寧であること、などでしょうか」(西
村氏)。
例えば、「ポケットビッダーズ」「au Shopping
Mall」で好調なお店に、(株)ベッコアメインターネッ
トが運営している「まるごとショッピングセンター」
がある。社員1名、アルバイト1名の計2名で出店後
数カ月にして月商1億円以上を売り上げている人気店
舗なのだが、こちらのサイトを見ると、「miniSDカー
ド」のような、スマートフォンユーザーにとって必要不可欠
な商品や、「ニンテンドーDSライト」など、今、実
店舗の店頭で手に入りにくい人気商品の写真が数多く
掲載され、情報も頻繁に更新されている。
さらには、「買った人の声」のコーナーに、「とても
丁寧で素早い対応で、商品もすぐに届いたので、びっ
くりしました。ありがとうございました(A(1)A)」「迅
速な対応とてもよかったです。また利用します」と
言ったレビューが数多く書き込まれている。対応の丁
寧さと、スマートフォン通販にとってはPC通販以上に重要
になってくる対応の迅連さという点において、お客様
の期待を上回るレベルをキープしていることが、成功
につながっているのではないだろうか。
現在、「ポケットピッダーズ」では、あらゆるカテ
ゴリで出店者を募集しているが、今後の出店を特に歓
迎するジャンルは、ファッション関連の店舗だそうだ。
モバイルの技術とサービスを知り尽くした強み
「ポケットピッダーズ」の強みは、どんなところに
あるのだろうか?現場の責任者である西村氏自身の
口から語って頂いた。
「まず、集客に関して、強力なルートを複数揃えて
いることです。「au Shopping Mall」の場合は、EZトップメニューからの誘導になりますし、ドコモ、ソフト
バンクの場合は公式サイト、当社が運営する「ポケッ
トアフィリエイト」や『モバオク』『モバゲータウン』
のパワーも大きい。
2点目は、モバイルオークションにしてもSNSに
しても、モバイルの世界で苦労しながら一からサービ
スを作り上げてきたので、使いやすいスマートフォンサイト
構築のノウハウを有している、ということです。
小さな画面の中での商品画像の綺麗な見せ方であっ
たり、リンク先から元のページに戻るボタンをわか
りやすく表示することであったり、説明のためのテキ
ストもPCに比べてコンパクトにまとめることなど、
スマートフォン通販で購入するのが全く初めての方でも見や
すく買いやすい、ユーザビリティに配慮したサイト設
計のノウハウを積み重ねてきました」(西村氏)。DeNAは、システム開発をすべて内製化している。
スマートフォンゲーム&SNSrモバゲータウン」のサイト
立ち上げを短期間に社内で開発してしまうほどの高い
技術力は、業界内でも注目の的だ。外注すれば相当高
くつくだろうと思われるシステム開発のコストも低く
抑えることができる。そして何より、技術者を内部に
抱えているからこそ、モバイル業界の将来の技術的な
トレンドに対して、早く的確に掴んで一足先に動くこ
とが可能なのだ。
スマートフォン通販の未来について、西村氏はこう語る。
「日本のスマートフォン通販の市場全体は、まだまだ何倍
にも成長していくのではないかと私は思っています。
どこの企業が勝つのかも、まだ今の時点ではわからな
いのではないでしょうか?販売形態も、今あるモー
ル型やセレクト型以外の新しい形のものが登場するか
もしれないですし。
当社もまだまだ売り上げを伸ばしてしていけるよ
う、お客様にとって買いやすく使いやすいサイト目指
して努力していきたいと思います」。

千趣会と「相思相愛」でスタートした「モバコレ」

スマートフォン専用ファッション系ショッピングサイト
「モバコレ」は、DeNAと(株)千趣会(以下、千趣会)
の共同出資により2006年3月に(株)モバコレ(以下、
モバコレ)を設立、5月に主要3キャリアでオープン
したばかりの新しいサイトだ。
「元々、DeNAはモバオクやポケットビッダーズの
中でファッション商品をかなり手広く取り扱ってお
り、「アバレルはスマートフォンで売れる」という手応えは
掴んでいました。
モバイルコマースはモバイル広告の分野よりも利益
率の点で劣るのですが、同業他社が売り上げを大きく伸ばしているので、よりトレンド性の高いファッショ
ンを取り扱う専門サイトの必要性を感じ始めていまし
た。その時に、千趣会さんとの出会いがあったのです。
丁-趣会さんの方は、カタログが主体の大手通販企業
で、物流などのフルフィルメントについても高いノウ
ハウをお持ちです。しかし、近年既存顧客の平均年齢
が徐々に上がってきているという悩みを抱えておられ
ました。
広い分野のモバイルマーケティングを知り尽くして
いる当社と通販業界最大手の干趣会さんが組めば、双
方の弱みを補完し合える……しヽわば、“相思相愛”の
状態で立ち上げたのが「モバコレ』なのです」と、
DeNA出身で現在モバコレの取締役を務める林光洋氏
は語る。
ところが、会社を設立した当初は、相互の社風の違
いに戸惑いもあったのだとか。
「今だから話せることですが、カタログ通販の年3
〜4回の発行サイクルの中で1回1回完成度の高い仕
jを心掛けて来られた干趣会さんの出身者と、『思い
ついたらとにかくやってみよう」という仕事の仕方で
あるDeNA出身者では、ビジネスの進め方に若干違
いがありました」(林氏)。
ただ、一緒に次々と目前の課題をこなしお客様と向
き合っていく内に徐々に双方の戸惑いがなくなり、
今では良いチームになったようだ。
「モバゲータウン」人気が追い風、
急ピッチで増える顧客
「モバコレ」が注目され始めたのは、2006年2月
に非公式サイトとして開設されたスマートフォンゲーム&
SNSrモバゲータウン」が急成長し、同年11月に会
員数200万人を突破した頃からである。「モバゲータウン」から「モバコレ」に流れてくるお客様が急増し
ているのだ。
実際、ドコモのiモードの公式サイトの「ファッショ
ン/コスメ」内「ファッションショップ」のカテゴリで、
「モバコレ」は利用者数ランキングで2006年11月に
1位をマークした。
「「モバコレ」は実際のところ、『モバゲータウン」あ
りきの通販サイトとして始めたという側面もあります。
せっかく1日2億PV(ページピュー)を集めている
のだから、それを生かさない手はありません」(林氏)。
「モバゲータウン」の住人は、男性も女性も可愛い
アバターの姿で表示され、「マイルーム」という名の
仮想の部屋を持てる仕組みになっているが、アバター
の着る服や「マイルーム」に置く家具などを購入する
ためには、モバゴールド(モバG)と呼ばれる仮想通
貨が必要だ。
この通貨を貯めるには幾つかの方法があるのだが、
そのひとつとして「モバゲータウン」内のリンク経由
で「モバコレ」で買い物をすると、10円につき1モ
バGがプレゼントされる。
筆者自身も、「モバゲータウン」内でアバターとし
ての仮想生活を静かに送っているか、慣れてくると、
自分のアバターをもっと可愛くしたい、良い服を着
せたい、という欲望が不思議と高まってくる。モバG
欲しさに「モバコレ」で買い物を、と考える「モバゲー
タウン」利用者が増えるのは非常によくわかる。
実際、2007年1月時点での「モバコレ」の売り上げ
の多くは「モバゲータウン」経由のもので、週1回配
信しているメールマガジンの登録者数も急増中である。
「モバゲータウン」の集客力を生かすため、DeNA
では、2007年2月7日に「モバコレ」同様買い物を
すると「モバG」が貯まるモバゲータウン専用スマートフォンショッピングサイト「モバデパ」を開設した。「ポ
ケットビッダーズ」出店企業の中から希望者を暮り、
トップページにピュアヤング向けのカテゴリを打ち出
し、PRに努めている。立ち上がり2週間の反応は、
「極めて好調」(同社広報グループ)とのことである。
平均年齢23歳の若い顧客の
ニーズとウォンツを掴め
モバゲータウンからの誘導が大きい「モバコレ」の
購買客の平均年齢は、実際のところどのくらいなのだ
ろうか?
「購買客の平均年齢は23歳で、客単価はおよそ8.000
円前後になるでしょうか」(林氏)。人気が高いのは、
「セシルマクビー(CECIL MCBEE)」「スライ(SLY)」といった渋谷109系のブランドだ。コンテンツとして
は、ギャル社長・藤田志穂さんのファッションアドバ
イスのコーナーに圧倒的な人気が集まっている。
「「モバゲータウン』の利用者も、20代以上がどん
どん増えてきていますので、タイミングを見て客叫価
を上げる仕掛けをしていく予定です。
それと、当社の場合は、リj性向け商品、コンテンツ
企画をしっかりしていきたい。アンケートで定則的に
ユーザー調査も行っているのですが、いわゆるお兄系、
セクシブ系といった尖ったテイストのものだけでな
く、アメカジやコンテンポラリーなストリートカジユ
アル志向も強いように見ています。
ラジコンカーやrminiSDカード」など、いわゆる
ファッション商品ではない物の引き合いもあります」
(林氏ト
DeNAが運営しているB2Bの仕入れサイト「ネッ
シー]から商品を調達してくることもあるそうだ。
林氏は以後に、「今の若いユーザーの目は非常に肥
えています。商品のニーズについても、サイトの設計
についても、吟味に吟味を重ねてそういうお客様の期
待を裏切らないようにしたい。とにかく、コンテンツ、
サービス共にクオリティを妥|必しない、というのが当
社の考えです」と強調した。
伸び盛りのサイト「モバコレ」は、臨機応変に顧客
ニーズを捉えながら変化していく。DeNAの極めて
高いシステム開発力が背景にあることも強みだ。本書
が刊行される頃には、商品内容もさらに充実し、私達
の前にまた新しい姿を見せてくれているに違いない。

CASE STUDY 02 (株)ゼイヴェル

リアルイベントとコマースを連動
ファッション業界の活性化に貢献
girls shopping/fashionwalker.com

(株)ゼイヴェル
スマートフォン通販とファッションショーの融合
「エビちや一ん!」「もえちや?ん!」「可愛い!!」
……ノくJレーンスカートやワンピース、ニットのロン
グカーデイガン等々、まるでファッション雑誌から抜
け出してきたかのような色とりどりの洋服に身を包ん
だ女の酒達の大歓声が木魂する中、蝦原友里さん、押
切もえさん、土屋アンナさんなどの人気モデルかラン
ウェイを閑歩する。
彼女達が身につけている洋服は、一部のお金持ちし
か購入できないような、何千万円もするような高価な
ドレスではない。会場に詰め掛けた女の子達のお小遣
いで充分限人可能な、今シーズンの新商品だ。
その商品はもちろん、ファッションショーの会場
を出て近くのファッションビルや百貨店に行けば手に
入る商品だ。だが、このショーには、これまで誰も試
みたことのない斬新な仕掛けがあった。それは、ラン
ウェイに登場した人気モデル達が着用している洋服や
ショー限定のスマートフォンストラップなどを、手に持って
いるスマートフォンからその場ですぐに買うことができる、
ということ……。
新ブランドのインキュベーション装置TGC
日本、否、世界のファッション史においても過去
に類がないリアルとモバイルの連動型イベント「東京
ガールズコレクション(以下、TGC)」は、2005年8
月にスタートした。非公式サイト「girlswalker,com」において驚異的
なアクセス数を誇り、スマートフォンのヘビーユーザーであ
るヤングの間では熱狂的な人気を博している(株)ゼ
イヴェル(以下、ゼイヴェル)だが、このTGC開始
を機に・段と大きな飛躍を遂げることになる。それは、
第1回目のTGCでデビューした「ジョイアス(Joias)」
というヤングレディスのブランドが、実店舗を出店す
る前からな’のr・達の間で話題となり、瞬く間に人気ブ
ランドに成長したからだ。
ゼイヴェルはTGCに合わせて、その前後にケー
タイサイトやメルマガでのPR、『CanCam』『JJ』な
ど赤文字系と呼ばれる大学生やOLに人気のファッ
ション雑誌への掲載など、様々な什掛けを展開する。
ファッションイベントであるTGCとこれらプロモー
ションの相乗効果が予想以上.であることに気づいた
ファッション業界から、「TGCで当社の新ブランドを
デビューさせて欲しい」という申し出が次々とゼイ
ヴェルに寄せられるようになった。
その後、ゼイヴェル自身も、「ジョイアス」に続い
て「アルバローザジヤパン(ALBA ROSA JAPAN)」のブランド内生などを手がけ、積極的に新ブランドの
立ち上げをサポートしていく。
2006年、ファッション業界のみならず、・般の人々
の問でも「リアルクローズ」という言葉が流行語と
なった。等身大の消費者のニーズとウォンツに介った
服。「エビちやんもえちやん」ブームと「リアルクロー
ズ」ブームは同時進行的にメデイアや口コミによって
広がっていったが、ゼイヴェルは赤文字系雑誌と共に
このブームの什掛け人だったのだ。
女性読者数は約700万人
ゼイヴェルは2000年稼動の、F1層(20〜34歳の
女性)をターゲットとするスマートフォンポータルサイト
「girlswalker.com」を中心に、求人サイトや不動産情
報サイトなど複数のサイトを運営、通販サイトとして
は、「gir【s shopping]「fashionwalker.com」を有して
いる。
「girls shopping」は、ドコモ、au、ソフトバンクの
公式サイト。「fashionwalker.com」は(株)ヤフーと
の共同運営で2006年よりグランドオープン、PCと
スマートフォン双方での展開である。
何行にも亘って展開される独特の町愛らしい絵文字
と、思わずクリックしたくなるようなリズム感溢れる
テキスト、リンク先のデコメや漫画、待ち受け画面な
ど、盛り沢山のコンテンツか売りの「girlswalker.com」
の総読者数は、女性が約700万人、男性が約200万人
と突出している。その数だけ見れば、「さぞかし通販
も売れるのではないかJと想像する向きもあるだろう
が、現実はそんなに甘くはない.
同社プロデューサーの椋林裕貴氏は、次のように説
明する。
「小物はともかく、スマートフォンで洋服を買うという行為は、消費者にとってはまだハードルが高いと思いま
す。慣れてくると決断は速くなるのですが。
当社の読音数は、休眠会員も入れると1,000万人を
優に超えますが、いたずらに数のみを追及しても意味
がない。コスメなどの商品も充実させ、まずはアクショ
ンを起こしたくなるようなサイト作りを心掛けていま
す」。

スマートフォン通販顧客はPC通販より若い

また、スマートフォンに限っていえば、同社の中心客
層は若い。「girls shopping」の平均顧客年齢は22
歳、客単価も9,000〜1万円前後だ。ブランドとし
ては、2006年秋冬には「アプワイザー・リッシェ
(Apuweiser-riche)」「ジョイアス」「マウジー(moussy)」
などが人気を溥していた。
それに対し、PCサイトも展開している「fashionwalker
.com」の平均顧客年齢は25.5〜26歳。たった数歳差
ではあるが、ヤングの女性にとってこの数年はライフ
スタイルが目まぐるしく変化する時期だ。
22歳の場合、まだ大学や専門学校に通っている人
達も多いし、働いていてもお給料の額が少ない人が多
いと予想されるが、26歳ともなれば、徐々に給料も
上がり、会社でも「先輩」と呼ばれる立場になったり、
場合によっては彼氏との結婚を意識したりして、少し
上質なものを買おうかな、と考えるような年頃である。
「fashionwalker.com」の平均客単価は、1万3.000
〜1万5,000円。2006年秋冬の人気ブランドは、元
「エゴイスト(EGOIST)」のカリスマ販売員だった中
根麗子さんがプロデュースしたランジェリープランド
「ラヴィジュール(Ravijour)」や「セシルマクビー」、
「アプワイザー・リッシェ」「ジョイアス」などだ。

「NEWサテンBKレースブラ
ショーツセット」
5,775円(税込み・送料別)
「Ravi」our」の中でも、他社EC
サイトで扱いが少ない商品。過
去のカタログでヒットした品
番を定番ラインとして復活さ
せた戦略が成功。

売上仕入れ
商品を販売した時点において
商品を仕入れたとみなすこと。

マーチャンダイジング(MD)
「どのターゲットに、何を、いつ、
いくらで、どのように提供する
か」を決定する商品計画のこと。

ブランドとタッグを組み
さらなる価値向上と売り上げを目指す
「セシルマクビー」や「マウジー」は実店舗でも人気
ブランドなのだが、スマートフォンでもPCでも圧倒的に強い
のは、雑誌掲載が多くブランド名は認知されているのに、
その割には店舗数が少なくお客様の間に枯渇感が強い
ブランドである。その反面、サイトに掲載されていても
動きが今ひとつ、というブランドも当然存在する。
(株)プランタン銀座からゼイヴェルに転じた椋林氏
は、就任以来、大浜史太郎CEOウェブマスターの信
任を得て、実店舗のビジネスで培ったノウハウを矢継
ぎ早にスマートフォンサイト、PCサイトに注入していった。
「今後は、ブランドの入れ替えも進めて行きたいと
いうのが当社の考えです。売り上げが伸び悩んでいる
ブランドさんについては、一旦お休みして頂くことも
検討し、お客様にとって鮮度が高く、魅力あるサイト
にしていきたいのです。
2006年度は、当社にとっては地固めの年、という
位置づけでした。急成長に体制が追いついていなかっ
たので、人材の教育から徹底して見直していきました。
商品の仕入れ形態も、買い取りを廃止し、すべて売
上仕入れに切り替えていったのです。お取引先のブラ
ンドさんに対して、本気になって頂こう、実店舗のよ
引こ、きちんと店長を立てて頂こうという狙いです。
そして、我々の側でもマーチャンダイジング(MD)
に飛び込んでいきました。
『fashionwalker.com』での1ブランドあたりの売り
上げが、リアル店舗の1店舗分と同じくらいになるよ
うに持っていく。そこまでやらないと、お取引先にも
我々にもお互いにメリットは出ないと思うんです」(椋
林氏)。
2007年3月期の同社グループのネット通販売上高は、約80〜85億円となる(2007年1月予想)。紙媒
体からの連動型ではなく、スマートフォン通販のピュアプ
レイヤーである同社のサイトでこれだけの金額の商品
が動いていることだけでも驚くべきことだが、同社は
まだまだこの結果に満足はしていない。アバレルメー
カーとの協力関係が整った2007年からは、売り上げ
のより一層の伸びが期待できるのではないだろうか。

ファッションビジネスはブランディングが最重要課題

ゼイヴェルの会社案内には「異端」の文字が記され、
名刺の裏には、スカンクのシンボルマークが踊る。物
事を鵜呑みにせず、常に「アンチ」の目線を忘れない。
「Welre Media Skunx! (俺連は、メディア業界のスカ
ンクだ)」と臆面もなく語る同社の姿勢は、日本のネッ
トベンチャー企業の中で異彩を放っている。
リアルの小売業の世界で鍛え抜かれ、実績を挙げて
きている椋林氏はこう語る。
「モバイルコマースの世界でやれることというのは、
実は小さいのではないかと自分は思っています。だか
ら、MDを徹底していかないと実績は上がらない。
当社のビジネスモデルは、ハイコスト・ハイリター
ン型です。TGCの開催にも非常に手間隙をかけていま
すし、サイト用の写真ひとつとってもわざわざ有名な
モデルさんに商品を着用してもらって撮影しています。
IT活用で合理化、というのとは正反対の方向に走っ
ているわけですが、それでも、そこにこだわって徹底し
て付加価値を高めようというポリシーを持っています。
ファッションビジネスにおいて重要なことは、何よ
りもブランディングなのです。当社はメディア企業で
す。だから、ネットピジネス系の同業他社さんも含めて、
どことでも連携することが可能です。仕組みの精度を上げ、ファッション業界においてブランドイメージを
大切にしたいと思っている企業さんと共に歩み、目本
のファッション業界のために貢献したい」。
椋林氏は、今後のビジネス展開が注目されるワンセ
グ放送による通販に関しても、「ファッション分野に
関しては、アメリカの事例も含めてTV通販ではブラ
ンドの価値が下がることはあっても高まることは考え
にくい」と慎重な見方をしている。
小売業のプロとして、そして、メディア企業として
の透徹したリアリズムを持つゼイヴェルの価値観と行
動は、一般的なネット企業の常識からは理解されにく
いかもしれない。しかし、ファッション業界とはまさ
にこういった皮膚感覚なのである。
ゼイヴェルの新しい展開〜SNSと中国進出〜
2007年の初春、ゼイヴェルから新しいニュースが
飛び込んできた。
まず、第4回目となるTGC(2007年3月31]開催)で、
女性向けのファッションSNSrスタイルウォーカー」
が正式にリリースされた。これは、2006年5月にゲー
ムソフト会社の(株)スクウェア・エニックスと合弁
で設立した(株)スタイルウォーカーが開発を進めて
きたサービス。スマートフォン、PC共に対応している。β
版はすでに公開されているが、プログやコミュニティ
機能などに加えて、「fashionwalker.com」で実際に販
売されているブランドの洋服と同じデザインの服をオ
シャレなアバターに着せることができる什組みを備え
ているのが特徴だ。
もう1点は、北京で2007年3月末に開催される中
国で最大規模のアパレル展示会「中国国際服装服飾博
覧会(CHIC)」のファッションショーのトリをゼイヴェ
ルが飾り、「ローズブリット(rosebullet)」「ジャイロ(JAYRO)」「セシルマクビー」など約10ブランドの
参画を得て「TGC in 北京」を開催する、というもの
である。
日本のファッション業界と共に世界に
ファッション業界以外の方には馴染みのない話だと
思うが、日本のアパレル業界は現在、経済産業省、日
本貿易振興機構(JETRO)の後押しを得て、ブラン
ドの中国進出のため、「CHIC」への出展を組織的に行っ
ている。このCHIC展には、日本の展示会とは違って、
バイヤーだけでなく一般消費者も多数来場し、韓国な
ど海外勢も派手なファッションショーやプロモーショ
ンを展開していることで知られている。日本企業の商
品感度のレベルは高いが、見せ方が地味なため、「こ
のままでは日系企業の認知度が上がらない。もっと華
やかで目立つ方法はないのか」という議論が業界内で
は行われていたのだ。
TGCの北京開催は、まさに、日本のファッション
業界が一番の強みとする東京発のヤングのリアルク
ローズ、ストリートの空気感そのものを現地の消費者
やバイヤーに体感してもらえるイベントとなる。
ゼイヴェルはまた、日本語および中国語のウェブサ
イトをオープン、中国の人気ファッション誌との連携
も計画している。
目が離せないパワフルなメディア企業
現在、ゼィヴェルには、他にも海外からTGC開催
のオファーが数多く寄せられているという。ラブコー
ルが殺到する理由は、ファッションショーと、日本の
リアルクローズのファッションそのものに魅力がある
からだけではないだろう。
世界で最も繊細かつ先鋭でこだわりの強い消費者にリードされ、めまぐるしく変化する日本のヤング
フアッション。その疾走感は、実は、手のひらの中に
すっぽりと収まってしまうほどの小さな端末の中に通
信の仕組みを構築し、複雑かつ魅力的なコンテンツを
詰め込んだ、これまた世界の最先端を走る日本のケー
タイ業界の疾走感とリンクする。
その2つの「トンガリ」の双方を手中に収めたメディ
ア企業としての同社のパワーと底知れぬポテンシャル
に、皆、魅せられているに違いない。

CASE STUDY03 (株)スタートトゥデイ

あくまでもお客様の
使いやすさ重視で
ZOZOTOWN
(株)スタートトウデイ
モバイルの世界は進化していない!?
「モバイルの匪界って、正直、当社が初めてケータ
イ通販サイトを立ち上げた2001年頃からほとんど進
化していないと思うんですよ」。
PCとスマートフォンサイトの双方でヤングに絶大な人気
を誇る通阪サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を
開発・運営する(株)スタートトゥデイ(以下、スター
トトゥデイ)に、スマートフォン通販に関するお話を中心に
聞かせて下さいと取材を申し込んだところ、のっけか
ら創造開発本部本部長・大蔵緑樹氏は上記のようなコ
メントを返してきた。
想像戦略室室長の武藤貴宣氏は、続けて「当社は、
スマートフォンとPCを分けずに、どちらも同じ『ZOZO
TOWN』だと考えています。お客様が、使いやすい
力・を利用して購入して下されば良いと思うのです。
スマートフォンは、あくまでも1つのツール。だから、まず
は使い勝手の良いサイトにすることが大切なのではな
いかと考えました」と語る。
同社の設立は1998年。元ミユージシャンの前渾友
作社長が輸入レコードのカタログ販売法人を立ち上げ
たことから始まる。前深社長自身がシステムの構築
を行い「イープローズ(EPROZE)」というアパレル
商材を中心としたオンラインセレクトショップにて、
PC通販を開始した。その1年後の2001年1月には、早くも主要3キャリアでスマートフォン通販サイトにも着手
している。「ZOZOTOWN」そのものを開始したのはすでにネット通販の業界でかなり競争が激化していた
2004年12月だが、その時はPCと同時にスマートフォン通
販のサイトを立ち上げ、主要3キャリア公式となって
いる。
では、実際、「ZOZOTOWN」の顧客はPCとケータ
イ、どちらを利用しているケースが多いのだろうか?
「おそらく、PCなし、スマートフォンのみ所有、という方は、
1、2割程度ではないでしょうか?約40%の方は、PC
とスマートフォン双方を使っていらっしやるようです」(武
藤氏)。
同社の顧客の平均年齢は26歳。モバイルの世界の
感覚でいうと、やや高めだ。学校を卒業し、自分の意
思でPCが購入できるようになる年代だと言える。男
女を間わず個性的で感度の高いファッション好きで、
自分が働いたお給科で少々高いお洋服でも厭わず購入
する層である。
スマートフォンでもPCサイトの世界観を表現
2006年になってやっとバケット定額制利用者が非
利用者の比率を上回るようになってきたが、それ以
前は同社のシンボルともごえる美しい仮想都市や建築
家がデザインしたショップの画像などもなくし、とに
かくバケット通信料がかかり過ぎないような配慮の方
に気を使っていた。社内でも「もっと3Dを」「いや、
デザインよりサクサク勣く方が重要なのでは」などと
議論が分かれるところだったが、中庸を取って我慢す
る、というところもあった。
しかしついに、Flash(フラッシユ)を使ったPC
サイトに近いビジユアルヘのリニユーアルが、2007
年春に予定されている。第3世代スマートフォンの普及、バ
ケット定額制の普及のおかげで、技術力とデザインセ
ンスの高さには自信のあるスタートトゥデイにとっては、待ちに待った時代の到来である。
創業間もない頃より取引先システム会社としてス
タートトゥデイに関わり、後、同社の社員となった
大蔵氏は、今後のスマートフォンの未来を「画面の大きさに
ついては、持ち運びに便利なポケットに入るサイズと
いうことを考えると、これ以上大きくなることは空中
ディスプレイが実用化されない限りはもうないでしょ
う。小さな画面の中で出せる情報を吟味する、表現力
を高める、という試行錯誤には終わりはないでしょう
ね」と予想する。

PCもスマートフォンも通販は商材がすべて

「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」
「ビームス(BEAMS)」「シップス(SHIPS)」といっ
た著名な大手セレクトショップから、「ジーディーシー
(GDC)」「リコ(RICO)」などスタイリストが手掛
けるブランド、「ダブルアール(WR)」「スワッガー
(SWAGGER)」「フラボア(FRAPBOIS)」などの個
性派ブランドに至るまで、「ZOZOTOWN」にはリア
ルの世界でファッション雑誌に頻繁に掲載されている
ようなブランドかズラリと勢揃いしている。2007年1
月時点で、全81ショップ600ブランドだ。かつては
メンズに強いという印象もあったが、レディスの品揃
えも強化されている。2006年10月の購入客の男女比
は、55対45であるという。
商品数の多さもさることながら、少しでもファッ
ションに関心のある方ならば、サイトにアップされ
ている1点1点の商品が非常にお洒落で、厳選された
ものであることに気づくはずだ。ファッション業界で
「MDブランド」と呼ばれる、1型で何百枚、何千枚を売っ
ていくことを旨とするブランドビジネスとは違って、
スタートトゥデイは、「希少性」で売っていく、実店舗の世界ではいわゆる「セレクトショップ」と呼ばれ
るタイプのビジネスモデルを踏襲している。
安売り競争に走りがちなネット通販の世界にあっ
て、安く売るのではなく、価値に見合った価格を訴求
し、本当に気に入って頂いた商品を買って頂こうとい
う考え方だ。
そのため、同社のメールマガジンは、お客様の希望
に合わせてパーソナライズされている。自分の好きな
ショップを選択すると、そのショップの入荷情報が入
荷日の夕刻に送られてくる仕組みだ。メルマガの本文
に商品に関するテキストでの説明はー切ない。クリッ
クして写真画像で好き嫌い、買う買わないを判断して
もらえばよい、という考え方である。「ブランドのイ
メージを壊さないための配慮です」と武藤氏は語るが、
これは商品の感度の高さと価格のバランスを吟味した
バイイングがあるからこそlif能なのだ。
「通販においては、商材がすべてを左右するのでは
ないでしょうか。当社のスタッフは、バイヤーだけで
なくアルバイトの方も含めて皆洋服好きな人間ばかり
です,だから、同じ様に服が大好きなお客様の気持ち
がわかります。そういう方々がこだわるポイントがわ
かるのです。また、当社に商品を卸してドさっている
セレクトショップやアバレルの皆様も、やはり服好き
でこだわりの強い方々ばかりですので、紡果としてう
まく行っているのではないかと思います」(武藤氏)。
ファッション系のセレクトショップ型サイトの商品
の取引形態には、委託と買い取りがあるが、同社の場
合、その割合は6:4である、2007年3月期の予想売
上.高(流通ベース)が110位円超の見込み(2007年1
月現在)という超人気サイトとなった今でも、買い取
りの比率が思いのほか高いことに驚かされる。
「創業当初は、すべて商品は買い取って販売するところから始めていました。委託方式を導入するきっか
けとなったのは、大手セレクトショップさんに出店し
て頂くことになった際に、二重卸という形態にならな
いようにするには、当社がデベロッパーのような形を
取ってテナントとして入店して頂いた方が良いと判断
したからです」(武藤氏)。
売り上げ的には、「ユナイテッドアローズ」や「ビー
ムス」などの知名度の高いショップと、創業当初から
自社で仕入れ販売を行ってきた「イープローズ」が高
いが、新しいブランドであっても自社のお客様に合う
と判断したものは積極的に取り入れている。
「御社のサイトで販売して頂けませんか」という売
り込みのメールが1日2、3件ずつ届くそうだが、同
社の場合、自ら動いて足で商品を発掘する、というこ
とを基本としている。 16名のバイヤーがファッショ
ン業界のシーズン最盛期にはフル回転で原宿近辺を飛
び回っているそうだ。

写真、梱包、クレジットカード……すべてにこだわりを

ファッション系通販にとって何よりも重要なポイン
トの1つが、写真だ。特にスマートフォン通販の場合、画面
が小さいため、よりビジュアルの処理の良し悪しが売
り上げを左右する。
「ZOZOTOWN」の写真撮影枚数は、1日平均1,820
枚(2007年1月時点)。毎日サイトにアップされる
500点の新入荷商品を、1点につき約7カットずつ撮
影していく。商品が当日もしくは2、3日で売り切れ
てしまうので、手際良くこなさなければサイトの鮮度
がたちまち低下してしまう。
「写真に関しては、いろいろ試行錯誤してどうすれ
ば商品が良く見えるか、特徴がわかりやすいか工夫してきました。出店して下さっているメーカーさんも、
ファッション業界の皆様なので写真にはこだわりをお
持ちの方が多く、いろいろとご提案して頂いたりして、
協力して今のようなレベルを創り上げてきたのです」。
ファッション系通販サイトの場合、どんなモデルを
起用するかも大切な点であるが、同社のサイトを見る
と、それぞれのブランドの雰囲気にあったヘア、メイ
クの若い男性、女性が登場している。まるでストリー
ト系やモード系のファッション雑誌のひとこまを努侭
とさせる雰囲気なのだが、そんなところにもスタート
トゥデイならではのこだわりが感じられる。
こだわりは、ほかにもまだある。梱包、発送作業
を行っている物流センターを同社は海浜幕張の本社
近くに自社で保有している。そこで働くアルバイトの
スタッフについても、同社のファンで洋服が大好きと
いう人達で固めている。服好きな人とそうでない人と
では、商品を畳む作業1つとっても「発見」「気づき」
が違う、というのである。
もう1つ、「ZOZOTOWN」の決済手段は代金引
換(代引)とクレジットカード払いの2種類のみだ
が、「MasterCard(マスターカード)」と提携し自社
独自のクレジットカード「ZOZOCARD(ゾゾカード)」
を発行している。
驚かされるのは、「ZOZO(ゾゾ)」という自社独自
のデザイン以外に、「デビロック(DEVILOCK)」や
「ブロンディ(blondy)」など人気10ブランドにカー
ドのデザインを依頼し、計11種類(2007年1月時点)
ものオリジナルデザインの中からお気に入りのものを
選べるようにしていることだ。
「よくぞここまで」と思えるほどの強いこだわり。
しかし、同社のお客様も取引先も、皆、ファッションやデザインというものに関して強烈なこだわりを持っ
た方々ばかり。
「お客様と取引先とスタッフが好きなものが同じな
のが強みです」と取材に応じて下さった武藤氏も大蔵
氏も目を揃えて語るが、筆者の目には、少しだけ周り
の期待より先を行き、良い意昧でのサプライズ(驚き)
と感動を与え続けてきていることか成功につながって
いるのではないかと思えた。

検索ナビゲーションサイト
「ZOZONAVI」のスマートフォン版
2007年1月、同業他社のファッション系通販サイ
トやB2Bサイトを展開する企業の幹部社員をして、
「さすがスタートトゥデイさんだ。Ajaxの技術をあん
な風に活用するとは。これこそがファッション業界に
おける『Web2.0」の核心を突いたサービスではないか」
と驚嘆させるサービスがスタートした。
全国のファッション系実店舗の地図や取り扱い
ブランドの情報を検索できるナビゲーションサイト
「ZOZONAVI(ゾゾナビ)」のβ版がリリースされた
のだ。
このサービスは、PCとスマートフォン双方で利用できる
もので、自社サイト内の仮想店舗81店も含めて1,000
店舗でスタートした。「ZOZOTOWN」や「ZOZO
TOWER」の既存の取引先の実店舗だけでなく、地方
の個人専門店に広く利用を呼び掛け、3月末の本格稼
動時には3,000店の参加を見込んでいる。
同社が「ZOZONAVI」を立ち上げた理由は、通販
顧客の間で、「ZOZOTOWN」「ZOZOTOWER」のサ
イトで見た商品を購入するために実店舗に出向く、と
いう声が大きかったからだ。リアルショップの情報を
お客様にわかりやすく見せてあげれば、実店舗の売り上げも増え、ファッション市場全体が盛り上がるし、
お客様にも喜ばれる。
個店I店1店の売上高は小さくとも、全国3,000
店の情報の集積価値は大きい。これまで同じ県内
でもA店にしか行ったことがなかったお客様が、
「ZOZONAVI」を見てB店の存在を知り足を運ぶこ
ともあるだろう。ショップ同士でも、他県のC店が
Dブランドを置いているようだから、自社でもDを
扱おうか、という情報収集が可能となる。
β版ではショップ名、写真、取り扱いブランド、地
図等に加えて、ショップ側が発信したい商品写真や入
荷情報、セールのお知らせなどの最新情報を掲載する
ことができる。正式版オープン時には、ショップスタッ
フのコーディネート写真をアップしたり、店舗主導で
配信することができる情報量を拡大する予定だ。そう
なれば、単に取り扱いブランドの差異だけでなく、個々
のショップのポリシーやショップスタッフの働き振り
などを積極的に発信し、そのお店にしかない個性や魅
力を表現することが可能となるだろう。
また、将来的にはユーザー側が自分のお気に入りの
お買い物ルートを地図上に公開できるような、楽しい
サービスの導入も検討されている。
「ZOZONAVI」では、地域、ブランド名、フリーワー
ドなどでのキーワード検索が可能だが、もう1つの目
玉として、GPS機能を搭載したスマートフォンを所有してい
れば、地図情報をスマートフォン上でも確認できるというこ
とがある。今いる場所から欲しいブランドを検索し、
扱っている店舗までの行程を知ることも可能だ。筆者
もGPSスマートフォンを所有しているので早速試してみたが、
精度は高く使い勝手が良い。実際に実店舗に赴く際の
ことを考えると、むしろスマートフォンで利用される場面が
多いのではないかと思われる便利なサービスである。

GPS
(Global Positionlng System)
地球の周回軌道をまわる24個
の衛星から発信される情報を
利用して、受信者の位置を測定
するシステム。

「想像と創造の行き交う街」の未来は?
2006年11月に同社が報道関係者に公開したファク
トデータによると、2004年に「ZOZOTOWN」がオー
プンして以来、購入者のリピート率は54.6%。この数
字からは、リピーターの心をしっかり掴みながらも、
ファッション好きの新規顧客をどんどん取り込めてい
る、という理想的な状況を読み取ることができる。
取材の最後に、「ZOZOTOWN」の今後の方向性に
ついて尋ねてみた。
大蔵氏は、「全社的なことについて自分はコメント
できる立場にはないが」と前置きしたうえでこう話し
てくれた。
「当社もここに来てかなり様々なジャンルの商品が出
揃ってきたと思うのですが、今後もお客様の要望に応
じて、さらに商品を充実していきたいと思っています。
「ZOZOTOWN」はもうかなり一杯になってきたの
ですが、「ZOZOTOWER」の方はまだまだ増やして
行けますから、顧客満足度を向上させることでリピー
ト率を上げたいと考えています」。
セレクトショップの自社独自のネット通販サイト
開設の動きが始まりつつあることについて水を向けて
も、「全く気にしていません。どちらで買われるかは、
お客様自身が決められることですから」(大蔵氏)と
あくまでも自然体だ。
インポート商品の強化や、顧客からの家電、インテ
リア、住宅などへの取り扱いへの要望にも、機会を見
て挑戦していきたいと語る。
“想像と創造の行き交う街”「ZOZOTOWN」の世
界観は、ファンや取引先の後押しを得て、これから多
方面により深く美しく進化していくに違いない。

CASE STUDY 04 (株)ネットプライスドットコム

(株)ネットプライスドット
コム
グループCEO室長
伊藤原氏

“トップヘッド"の雄
「コマース2.0」に向かう
ちびギャザ
(株)ネットプライスドットコム

「ギャザリング」で
日本初のモバイルコマース開始
「ちびギャザ」という、可愛いネーミングのケータ
イ通販サイトをご覧になったことがあるだろうか?
このサイトの特徴は、買う人が増えれば増えるほど
価格が‘ドがっていく「ギャザリング(共同購入)」と
いう仕組みを取り入れているところにある。
ネット通販の世界で、このギャザリングの仕組みを
日本で初めて取り入れたのが、(株)ネットプライス
ドットコム(以下、ネットプライス)である。
さらには、スマートフォンで物を売る、ということを始め
たのも、同社が日本で初めてなのである。
スマートフォン通販業界のパイオニアであった同社の創世
期の歩みについて、創業当時からネットプライスに参
画している同社グループCEO室長の伊藤直氏はこん
な風に語ってくれた。
「当社は(株)サイバーエージェント(以下、サイ
バーエージェント)のEC(eコマース)部門として、
1999年に設立されました。(株)USENとサイバーエー
ジェントのジョイントベンチャーの形で会社を創った
のです。
ただし、役員にサイバーエージェント出身者はいま
せん。グループ企業でありながら経営の独立性は高い
ですね。社長の佐藤輝美自身はソフトバンク(株バ以
下、ソフトバンク)出身ですし」(伊藤氏)。
佐藤社長は、両親が経営者、親族にも起業家が多い一族に生まれ育った根っからの起業家だ。人一倍自立
心が強く商売人としてのセンスも持ち合わせていた。
2000年1月には、PC通販サイト「バイヤーズセレク
トショップ」をオープン、続いて「オークションに参
入しようか」という話になった時に、「ちょっと待てよ」
と考え直した。
「すでに楽火さん、DeNAさん、ヤフーさんなどが
先行しているこのilj‘場に、後々発で参入しても勝つの
は難しいなと思ったのです。色々調べているうちに、
アメリカにrグループバイイング.1という仕組みがあ
ることを知り、「これは行けるのではないか」と思い、
2000年3月にギャザリングのPCサイトを立ち上げ
ました」(伊藤氏)。
2006年度はスマートフォンだけで年商80億円
それから半・年も経たない2000年8月末に、ドコモ
のiモードユーザーが1,000万人を超えたという報道
を目にして、ネットプライスは即座に「スマートフォンでも
ギャザリングをやろう」と決意する。
「ジャッジしてから2週間後にはサイトの構築を終
え、オープンにこぎつけていました。当初、ドコモさ
んはECサイトを公式サイトの中に入れることに対し
て難色を示していましたが、2001年には公式サイト
に入れて頂きました。2002年にはauとボーダフォン
(現ソフトバンク)の公式サイトにも認可され、順調
に売りhげも増加、2006年度はスマートフォンだけで年商
80億円に達しています」(伊藤氏)。
ギャザリングというビジネスモデルは、言ってみ
ればアマゾンなどに代表される、自分の欲しい商品を
キーワード検索して購入するというロングテールのビ
ジネスモデルとは対極にある。
お客様を一定期間内に一気に集めて大量に売り、その後は販売を打ち切る。もったいないようだが、□ヽッ
プヘッドに徽する」という潔さがギャザリングという
商売の肝なのだ。同じ商品を買いたい人が増えれば、
もっと安くなる。「もっと仲間が増えないかな……」、
そんなドキドキ、ハラハラ、エンターテインメント性
が付加されているのが、同社のサイトの大きな魅力で
ある。
「今週は何をサイトやメルマガで打ち出すのか、喧々
謬々で議論しています。毎週の営業会議、商品会議は
真剣そのものです,「これじゃ高すぎるから、お客様
のためにもうちょっと値段をドげようよJとか、販売
系のメンバーと商品系のバイヤー40名のバトルは凄
まじいですね(笑)」(伊藤氏)。

トッフヘッド
商品売り上げのグラフを、縦軸
を販売数量、槙軸を商品名とし
て販売数量順に並べると、下図
のようになる。ここでは、下図
のグレーの部分をトップヘッ
ドと呼ぶ。
ニトッブヘッド
Gタ
「BUFFALOUSB2.0対応ワンセ
グテレビチューナーちょいテレ」
底値10,479円(税込み・送料別)
20(X5年春から販売。人気商品を
いち早く入手し、販売開始した。
「DOLCE&GABBANAマルチケ
ース(小)」
底値2,100円(税込み・送料別)
axl5年6月から販売。人気プラ
ンドのレアアイテムを独自ルー
トで入手し、底値2,0(X)円とい
う低価格で販売してヒット。

システム関連費は2年で5〜6億円、すべて内製

今、「ちびギヤザ」への毎週の掲載点数は約800点。
PC通阪サイトのおよそ倍の数である。取扱商品は、
ファッション、コスメ、サプリ、美容用品、家電、生
活用品、雑貨など多岐にわたる。お客様は女性が中心
で、購買甲.価は約5.500円。平均年齢は「ちびギヤザ」
の場合30歳。PC通販より4.5歳若い。
「お客様の年齢層は、PCに関しては幅広く分布し
ていますが、スマートフォンの方は台形の幅が狭く、30歳
前後に集中しています」と、伊藤氏は語る。
スマートフォン通販サイトを運営する場合、忘れてはなら
ないのはシステム投資額の大きさだ。大規模ECサイ
トになればなるほど、その負担は大きくなる。サイト
の設計やサーバ関連の費用だけではない、商品データ
ベースや顧客データベースなどの基幹系のシステムも
ある。水ットプライスの場合は優秀なエンジニアを抱
えており、上記のすべてを社内で内装化しているが、
それでも2005年から2006年にかけて約5〜6億円をシステム関連に投じている。

「コマースプロデュース事業」で
顧客導線を拡大
最近ネットプライスが力を入れているのが、「コマー
スプロデュース事裳」と呼んでいる一巡の取り組みだ。
角川書店の発行している『東京ウォーカー』などの
雑誌、TV局、ニッポン放送のラジオ番組、無料ブロー
ドバンド放送『Gyao』などのメディアと組み、各メディ
ア専用のギャザリングサイトを構築しているのだ。提
携メディア数は、すでに150にも及んでいる。
「当社自身はメディア企業ではないので、既存のメ
ディアさんとはライバル関係になることはあり得ない
んですね。どこの企業さんともお取り組みできるのが
強みだと思っています。通販サイト構築9JI」は、全く
頂いていませんし、売れた分だけのマージンを先方に
はお支払いしています。
その代わり、例えば、雑誌「東京ウォーカー」の中
に、「ウォーカーギャザリング」のページを確保・編
集して頂くことを角川書店さん側にお願いしているよ
うに、TV、ラジオ、雑誌などのメディアサイドのク
リエイティブは、メディアさん側にお任せするという
形をとっています」(伊藤氏)。
将来まだまだ大きく売り上げを伸ばしていくこと
を目標としている同社にとって、ギャザリングの存在
を消費者に知らしめ、一度でも共同車入に参加する経
験をしてもらうことは重要だ。メディアとの巡視は、
PRと自社サイトヘの導線を強化するという大きな意
味合いを持つ。同時に、物販での収益を上げたいメディ
ア側に取っても、メリットは大きい。「コマースプロ
デュース事業」はまさに、ウィンアンドウィンのビジ
ネスモデルであろう。

ハー・ストーリィと提携、CGMを味方につけろ
2007年1月、ネットプライスは、主婦を中心とす
る約10万人の会員組織を有し、マーケティングと販
売支援サービスを提供する(株)ハー・ストーリィ(本
社・広島市、日野佳恵子社長)と業務提携した。その
狙いは、一体どこにあるのだろうか?
「今、ブログやアフィリエイトなどの流れを見ても
わかるのですが、CGM(コンシューマー・ジェネレ
イテッド・メディア)と呼ばれる、消費者自身が発信
する声、ロコミの影響力がネット上では日増しに強く
なっています。
バズ・マーケティングを展開し売り上げに貢献し
ていくことは出来ないかと思い、30代、40代の主婦
層のインフルエンサーを数多く抱えておられる(株)
ハー・ストーリィのお力を借りることにしたのです。
中身の濃い商品情報に、レビューが加わることでさら
に付加価値がアップしますから。
実際に自分が買って試してみた感想や、商品へのこ
だわり、うんちくというものには、やはり説得力があ
りますので」(伊藤氏)。

ドロップシッピング
在庫を持たずに商品を販売す
るネット販売システム。

もう1つ、同社は、2007年2月にレビューだけを
集めるサイト「モノペディア」をオープン。スマートフォン
版も2007年5月にはリリースされる予定だ。

ギャザリング×ドロップシッピング

「Web2.0」という概念が登場し、ネットビジネスの
世界の話題で大きな話題となった2006年に、ネット
プライスはいち早く「コマース2.0」を提唱し脚光を
浴びた。子会社の(株)もしもを設立し、アメリカで
流行していたドロップシッピング事業に参入したので
ある。
(株)ドン・キホーテのグループ会社(株)ドンキ
コムが取り扱う商品や、業務提携している(株)リアル・
コミュニケーションズの商品データベースを活用し、
自分で在庫を持つことなく、しかも販売価格を提示さ
れた範囲内で自由に設定し、自分のホームページやブ
ログで売ることができるという画期的な仕組みだ。
同社の「もしもドロップシッピング」は、わかりや
すいネーミングと、会員に対するメールマガジンでの
丁寧なサポートなどが、特にこれまでアフィリエイト
を経験し、さらに儲かる仕組みを求めていた個人のア
フィリエイター達に歓迎され、会員数は予想以上のハ
イペースで増加している。2007年1月の時点で1万
6,000人を突破、国内のドロップシッピングプロバイ
ダーの中では最大の会員数をマーク、年内には3万人
の達成を見込んでいる。
「今後は、ギヤザリングで売った商品をドロップシッ
ピングにも流せないかということを考えています。先
程お話ししたように、ギヤザリングはトップヘッドの
ビジネスモデル。けれど、ドロップシッピングやアフィ
リエイトならばミドルテール、ロングテールも狙って
いけます。商品を共有して、売り方を変えていこうと考えています」と伊藤氏は説明する。

「モバイルドロップシッピング」の波がもうすぐやって来る!
ドロップシッピングに関しては、業種にもよるが、
納入業者の側に、価格決定権をドロップシッパー側に
委ねるという点に関して不安を訴える向きがまだまだ
存在する。それ以前に、ドロップシッピングというビ
ジネスモデルそのものへの認知度が低いという状況も
ある。
同社は、ドロップシッピングとギヤザリングの間に、
もう一段階アフィリエイトという販売方法を設けることで、納入業者側にも販売会貝偏にも心理的抵抗感が
少なくなるよう、うまく配慮している。
今回ネットプライスを取材させて頂き、注目すべき
発言を聞いた。それは、「スマートフォンアフィリエイトも、
パイは小さいながらも、昨年から急激に伸長してきて
いる」(伊藤氏)というものだ。
「当社の場合、2005年からスマートフォン用にも「みんな
のアフィリエイト」を立ち上げていますし、リンクシェ
アさんなどの他社アフィリエイトさんにも参画してい
ます」(伊藤氏)。
波が次第に打ち寄せてくるのを感じた時を逃さず、
スマートフォンアフィリエイトに続いて、スマートフォンドロップ
シッピングにも矢継ぎ早に参入する。「もしもドロッ
プシッピング」で、2007年3月にはサービス・イン
済みのはずである。
「Web2.0」時代の「コマース2.0」
商人としての高いセンスと、技術の進化の持つ意味
の核心部分を見抜く力の両方を兼ね備えたネットプラ
イス。時代の風が吹く先をどのように見通しているの
だろうか?
「今の消費者は、PCとスマートフォンの両方を使うように
なっていると思います。当社としては、スマートフォンだけ
で数字を上げていこうとは全く考えていません。リッ
チコンテンツも含めて、「クロスメディアEC」が大
切になってくるでしょう。例えば、TVで見た商品を
QRコードで購入、という買い方もある。ワンセグ放
送にも非常に期待しています。
また、『Web2.0」的な動きのすべてを取り込み、ヒッ
ト性の高い商品を連打して行きたいと思います。
スマートフォンに関しては、今後より性能が上がってプレ
ゼン能力が増すので楽しみです。ソフトバンクさんの参入によって、ますます通信価格が下がるでしょうし、
通信速度も向上すると思います」(伊藤氏)。
同社は検索エンジンに関して、モバイル関連の
Google研究を進めている。これからモバイル検索の
分野の精度が上がってくれば、スマートフォン通販の世界に
おいても、LPO(ランディングページ最適化)も可能
になると見ているのだ。
「スマートフォンの世界では、iモードでクッキーが使えな
いなどPCと異なる点が数多くあるのですが、もし将
来LPOが可能になれば、顧客ターゲットや顧客の購買
目的に合わせたページを表示することが可能になりま
す。
例えば、スマートフォン通販サイトのトップページを5パ
ターン作って、いろいろ変えてみてどれが一番反応が
良いか試す、というようなこともできます。 20代の女
性にはこのページ、30代の男性にはこのページ、といっ
た風にカスタマイズすることができるようになれば、
より売り上げを押し上げていくことが可能になってく
ると思うのです」と、伊藤氏は説明してくれた。
ドロップシッピングにしてもレピューサイトにして
も、ネットプライスのピジネスモデルは、私達消費者
を真ん中に据えて構築されたものだ。いつも親しみや
すく、そして楽しい。その楽しさが、PCだけでなくケー
タイの世界にもますます広がっていきそうである。

LPO
(Landlng Page optimlzatlon)
ユーザーが検索エンジンを通
して最初に訪れるページ(ラン
ディングページ)のコンテンツ
を、ユーザーのニーズに沿った
形に最適化すること。

CASE STUDY 05 (株)シーエー・モバイル

多種多様なケータイサイト成功の鍵は
モバイル広告のプロが持つノウハウ
ONE☆FESTA
(株)シーエー・モバイル

モバイル広告のプロがスマートフォン通販に参入
スマートフォン通販は、サイトヘの集客に苫労している店
舗が多い。しかし、モバイルにおける会員集めのプロ
がスマートフォン通販に参入するケースがある。(株)シー
エー・モバイル(以下、シーエー・モバイル)もその
ひとつだ。
シーエー・モバイルは、インターネット広告大手
の(株)サイバーエージェントが、2000年5月にモ
バイル専門のマーケティング会社として設立した会社
である。同社は、検索連動型広告の「スマートフォンプレミ
アムサーチ」やクリック保証型広告「スマートフォンクリッ
ク」、スマートフォンに特化したアフィリエイトブログラム
の「AF.net」、数百万人が利用するモバイルニュース
サイト「NewsCafe」、モバイルポータルサイト「ixen」
などのモバイル広告メディア事業を手がける。他にも、
モバイルコマース事業、課金コンテンツ事業など、様々
なサービスやソリューションを提供する、モバイルピ
ジネスのプロフェッショナル集団である。
数多くのモバイルコンテンツやモバイルポータルな
どと共に、15のモバイルコマースサイトを運営する
シーエー・モバイルのスマートフォン通販に対する取り組み
を、同社のコマースディヴィジョン・マーチャンダイ
ジンググループ・ゼネラルマネージャーの向井克成氏
に伺った。

女性向けサイトで会員数は400〜500万人に
モバイル広告会社としてスタートしたシーエー・モ
バイル。だが、違うビジネス展開がないかと考え、対
エンドユーザーのビジネスとして2001年7月にモバ
イルコマース事業をスタートした。同社は当時、すで
にスマートフォン通販で売れるという実例があり扱いやすい
商材である「香水」や、スマートフォンでも買いやすい「サ
プリメント」などからスマートフォン通販を展開していった。
初めて立ち上げたスマートフォン通販サイトは「パケお
deショッピング」(後に「ONE☆FESTA」ヘブラン
ドを変更)。これを皮切りに、基本的に女性がターゲッ
トのショップを展開する。特に、専門店はそのほとん
どが女性向けで、サイトやメルマガも若い女性を意識
したデザインだ。
同社が運営するスマートフォン通販サイトは15サイト。
例えば、世界のお茶とスイーツを集めた「お茶の百
貨店」や、ブランドコスメや国内未発売品を取り扱う
コスメ専門店の「コスメの百貨店」、高級インポート
ランジェリーから低価格品まで幅広く扱う「ランジェ
リーの肖貨店」、有名ブランド品の新作商品・人気商
品やレア商品などを販売する「ブランドの百貨店」な
ど、女性が喜びそうな商材を扱うショップが並ぶ。
唯一、男女共にターゲットなのは、携帯グッズ専門
店の「ストラップヤ」だろうか。
「スマートフォン通販で売れる商材は何か?から考えてい
くと、結果的に女性がターゲットのショップが多く
なりました」と向井氏。モバイル広告を展開し、現在
400〜500万人の会員を抱える同社がこう判断してい
るのは、やはり、スマートフォンで情報を収集し買い物をす
るメインユーザーが若い女性だったから、という理由
に帰結しそうである。

メディア連動型の通販スタイル

シーエー・モバイルが扱う商材は、基本的にケータ
イで売れる物であることに加えて、「自分たちがビジ
ネスとしてやりたいかやりたくないか。社内的に興味
が持てるものか」(向井氏)を重視して選ぱれている。
利益や売り上げは大切にしつつも、興味のわく分野で
楽しみながらスマートフォン通販をやっているのだという。
また、コマース単体で事業を考えないのも同社の特
長だ。「通販とはいえ、これもメディア事業の一部」
と、向井氏はメディアの価値を上げることが重要だと
語る。
同社が運営する「健康ジャーナル」は、健康を切り
□としたコラムを連載し、肥満度指数の計測コンテン
ツといった女性の美容と健康をサポートするコンテン
ツを提供している。健康ジャーナルは、20〜30代の
女性に情報やコンテンツを提供しながら、TVや雑誌
で話題になったダイエット関連の最新アイテムや限定
グッズも販売している、メディアとコマース一体型の
サイトだ。
同じく同社が提供する「NewsCafe Shopping」も、
無料ポータルニュースサイト「NewsCafe」内のショッ
ピングコーナーという位置づけで、純粋な通販サイト
とは趣が異なる。物を売るために情報を出すのではな
く、メディアありきの通販スタイルだ。
「私達はメーカーではありません。価格や商品力で
他社と争うのではなく、メディアカを使って商品を
売っていくのが強みです」と言い切る向井氏。「安い」
ではなく「面白い」と言われることを目指しているの
だという。
同社が目指すのは、スマートフォン通販の売り上げアップ
だけではない。元々が総合的なモバイルソリューショ
ンを提供する企業である。彼らの本当の目標は、モバイル事業の市場そのものを広げることなのだ。

「グランデーロストラッブ」
2,604円(税込み・送料別)
Fグランデーロ(=呪術師)」と
いう名のペルーの伝統的なお
守り。ペンダントタイプが即
完売、多くのリクエストを受け
てストラップタイプを販売

「コンビニATM」
3,654円(税込み・送料別)
まるでコンビニにあるATMの
ようなユニークな貯金箱。商品
名のインパクトと珍しい機能
で、幅広い層に好評のロングセ
ラー商品。

数量限定・期間限定の売り切りサイト
「ONE☆FESTA」
従来は、利益率の高い商材を投入し、1商材で当て
に行く販売スタイルを取っていたこともある。確か
に、ダイエット系商材は利益率も良く、リピーターも
多かったという。
だが、2005年、シーエー・モバイルにターニングポ
イントが訪れる。そのきっかけとなったのが、期間限
定で商品を売り切る「ONE☆FASTA」だ。同サイ
トは「スリム&ビューティ」「オシャレ」「ライフ」「エ
ンタメ」という4つのカテゴリからなる総合ショッピ
ングサイトで、男性向けのカテゴリも用意されている。
TVや雑誌で話題のレアグッズや限定グッズなどを、
期間限定や個数限定で売り切る販売スタイルをとる。
「それまでは商品が売り切れるまでだらだらと売っ
ていました。しかし、「ONE☆FESTA」ではI週間
サイクルで商品を売り切ります」(向井氏)。
毎週500〜600あるアイテムのほとんどを入れ替え
るため、手間はかかる方法だか、買い手の購買意欲を
あおる効果もある。「あと残り○個」と出ると思わず
買いたくなる、あの心理だ。この売り切り手法をとる
ことで、同社はバックオフィスの整備を実現している。
成功のポイントは
「ブランド」ではなく「ノウハウ」
シーエー・モバイルには、さらにシステム開発力と
いう強みもある。一時期外部のシステムを使っていた
時期もあるというが、現在はすべて自社開発だ。
同社には、すでにベースとなるシステムがある。あ
とはカスタマイズするだけなので開発が早い。画像を表示する仕組みなどは全社共通のモジュールを使って
画像の最適化が自動的に行われる。
「アイデアが出てから公式サイトができるまで2ヵ
月程度」(向井氏)と、サイト立ち上げは驚きのスピー
ドで行われる。社内に企画書を通すノウハウを持つ専
門スタッフがおり、キャリアに公式サイトとして申請
する専用部隊もあるという。
向井氏は、「スマートフォン通販で成功するのはブランド
ではなく、ノウハウのある会社だ」と言い切る。同社
が持つモバイルでのノウハウや技術は、私達が想像す
るよりも多様で豊富だ。
強力な検索の仕組みも自社開発
シーエー・モバイルは、たくさんのサイトを持つこ
とで間口を広げ、集客する手法をとる。 15サイトの
間で顧客が行き交うようにするためには、検索の仕組
みも重要だ。
同社は、スマートフォンサイトに特化した検索の仕組み
や検索ノウハウを持ち、さらにスマートフォンに特化した
ロボット型検索エンジンの開発なども手がけている。
同社はその検索ノウハウを駆使し、15ある通販サイ
トの情報を串刺し検索して、商品や情報にたどり着
く仕組みを構築し、自社が運営する通販サイトの間
で顧客が情報を得て行き来できる仕組みを提供して
いる。
「スマートフォンでは闇雲にキーワードを入れても求める
検索結果は出ません。私達は、モバイルで検索にヒッ
トするための仕組みを知っています」という向井氏。
その検索技術は、同社が運営する携帯ポータルの「ixen
(イクセン)」や、携帯サイトの検索ポータルである
「SeafTyy(シーフティ)」などで体験できる。今後、ケー
タイ通販はポータルサイトとの連携なども間違いなく出てくるだろう。この検索技術は大きなアドバンテー
ジになるはずだ。

モバイル広告のプロが語る
スマートフォン通販集客の施策
では、モバイル広告のブロはどのようにスマートフォン通
販へ集客しているのだろうか。
シーエー・モバイルでも、集客のメインとなるのは
やはりメルマガである。「マスコミや紙媒体などで集
客を試みたこともありますが、費用対効果を考えると
なかなか続けられません」(向井氏)。向井氏は、ケー
タイでのCGMは発展途上の段階にあり、「スマートフォン
のメール自体か究極のCGM」だと考えている。
メールの配信頼度は高い。だが、スマートフォンユーザー
はPCユーザーに比べて情報の取捨択一能力が高く、
メールをばらまけば単純にお客様が増えるというわけ
ではないと向井氏は考える。会員がすでにたくさんい
る同社では、以前のような著しい会員数の仲びは期待
できない。だが、その会員に対し新たに購買意欲を発
掘するようなメルマガを送れば、スマートフォン通販での売
り七げ増につながる。実際に同社から送られてくるメ
ルマガは、「買エルノハココダケ」など購買意欲をそそる一言を織り込んだ短めの商品解説が興味を刺激し、月間売
り上げランキングを使って商品を上手に見せるといっ
た工夫も見られる。現状、メルマガ会員の仲びに比べ
てスマートフォンでの購入自体は増えており、「マーケット
の広がりを感じる」(向井氏)状況だという。
自社で蓄積したノウハウは
自社のビジネスに生かす
シーエー・モバイルは、ドロップシッピングにもト
ライしている。だが、それが売り上げにつながってい
る感触はまだない。ただし、商材を広げていくために
は有益な取り組みだと考えているという。「ドロップ
シッピングは有益ですが、その分自らが手間をかけて
売るという我々らしさが出ない。そのバランスが難し
いと悩んでいます」と向井氏は語る。
SEOに関しては、モバイル広告などのお客様から
もニーズがあるという。
「当たり前ですが、私達はスマートフォンに非常に近いと
ころで様々な仕事をしています。その関係で、350名
ほどいる社員全員が、毎日スマートフォンで何かしら遊ん
でいます(笑)」と向井氏。同社が保有するスマートフォン
端末の台数は数百台以上。それだけの台数が全社員に
よって使われているため、日々多くのノウハウが蓄積
されていく。 SEOに関しても、社員全員が体験した
生の情報が全社で共有され、同社のスマートフォン通販にも
生かされる体制になっている。
だが、自社で持つモバイルに関するノウハウや技
術は、自社で取り組む通販ビジネスに生かすという考
えのシーエー・モバイル。 2007年2月現在のところ
SEOに関するノウハウも、広く他社に提供してそれ
を事業化する考えはないとのこと。検索のノウハウと
あわせて、今後のスマートフォン通販事業ではこの情報収集力が同社の大きな強みになるはずだ。
PC通販の世界では検索連動広告がメインとなって
いるが、スマートフォン通販ではどうなるかと質問したとこ
ろ、向井氏は「リスティングがスマートフォン通販のモバ
イル広告でもリードするはず」という答え。もちろん
検索も効果的なはずだが、現状を見る限りエンドユー
ザーが欲しがっている情報に到達していないのでは、
というのが向井氏の見方だ。これに問しては、同社が
持つ検索技術のように、スマートフォンに特化した検索のノ
ウハウが必要となるだろう。

リスティング広告
検索エンジンで入力された
キーワードに対応して表示さ
れる広告枠に表示される広告。

スマートフォン通販で売り上げ100億円の
総合通販を目指す
PCの世界での流行が数年遅れてスマートフォンにもやっ
てくるという感触を持っている向井氏は、コマースに
もそういう傾向があると見ている。事実、コスメやダ
イエット・ファッション系が売れた時代から一歩進み、
1万円程度の家電製品がよく売れ出している。同社が
1万円のオイルヒーターを店頭に出したところ、相当
な数が売れたという。今後は、より高価な家電製品も
扱っていく方針だ。
シーエー・モバイルが目指すのは、(株)ニッセン
や(株)千趣会のような総合通販だ。「現状の売り上
げは50億円程度ですが、まずは100億円まで引き上
げたい」という向井氏。モバイルコマースで1番にな
り、「PCなら楽天という図式があるように、ケータ
イ通販で物を買うならどんな物でも一度シーエー・モ
バイルのサイトを踏んでいって欲しい」と、目標は非
常に高い。
モバイルの世界の膨大なノウハウを持ち、すでに
たくさんの会員を抱えるシーエー・モバイル。ケータ
イサイトの強力な開発力もあり、スマートフォン向けの検索技術でも業界のリーダー的存在だ。 PC通販も含めた
1チャネルとしてスマートフォン通販をとらえる企業が多い
中、同社はあくまでもスマートフォン専業。だからこそ生ま
れるビジネススタイルもあると、取材を通じて感じた。
シーエー・モバイルには面白いアイデアを形にする遊
び心もあって、今後もスマートフォン通販業界をリードする
存在であり続けるだろう。同社の取り組みには要注目
だ。

CASE STUDY 06 (株)千趣会

株式会社千趣会
デジタルメディア部
webショップ開発チーム(東京)
ショップブランナー
四方幸氏

通販専業の強みを生かし
特化型ケータイ通販サイトの開発へ
ベルメゾンネット/ランランランキング
株式会社千趣会

通販専業企業の大手、千趣会
(株)千趣会(以下、千趣会)の企業としての歴史
は長い。1955年に企業や学校などに対し商品を販売
する頒布会事業を行う会社としてスタート。その後、
カタログ通販、PC通販へと販路を拡大してきた。
モバイルに対しても、2001年1月には早くもカタ
ログを見たお客様が発注するためのサイトを立ち上げ
ている。同年11月にはドコモの公式サイトとして「ベ
ルメゾン・ネットスクエア」(現「ベルメゾンネット」)
を開設した。
千趣会グループでは、上記の「ベルメゾンネット」
の他に、「ショップラット」「ランランランキング」
及び「イイハナ・ドットコム」の計4種類のスマートフォン
通販サイトを有する。「ランランランキング」及び「イ
イハナ・ドットコム」は2007年1月時点でドコモの
み対応、他は主要3キャリアに対応している。
スマートフォンはカタログのファンの申込みツール
多数の“ベルネ・ファン”を抱える千趣会のケータ
イ通販売上高は、2006年度は前年比約14%増の125
億円。スマートフォン通販の世界ではトップクラスの実績
だ。お客様から同社への受注は、すでに全体の約40
〜45%がカタログから純ネット売り上げにi殴き換わっ
ているか、ネット売り上げ全体の4分の1か、PCで
はなくスマートフォンからの申込みである。
ただし、千趣会のデジタルメディア部次長である中村素清氏は、この数字について次のように解説した。
「当社で言うところの純ネット売り上げとは、カタ
ログで各商品に割り振っている注文ナンバーを直接入
力して来られたものを除き、商品画像に付随した注文
画面からの発注に限っているのですが、その中にも、
カタログを見ながら再度ネットでも確認しているケー
スもあると思いますので、完全に切り分けることは不
可能です。
むしろ、紙媒体からPCやスマートフォンに誘導できる、
両者のシナジー効果による受注増を図れるところが、
カタログ通販を基盤に持つ当社の強みでしょう」。
カタログより多いスマートフォン通販の掲載点数
千趣会は、スマートフォン通販に関しては、操作性と機能
性のバランスを取ることが大切なのではないかと考え
ている。スマートフォンには「画面サイズ」「容量」「入力な
どの操作性」の3点においてどうしても限界がある。
スマートフォンで何でもできる機能を付加すればするほど、
サービスが複雑になり、逆にお客様を混乱させてしま
う可能性が出てくる。「わかりやすくて使いやすい、
それでいて便利な機能も付いている、というバランス
をどこで取るのか、常に模索してきました」(中村氏)。
驚くことに、PC通販やスマートフォン通販サイトに掲載
されている商品と、カタログに掲載されている商品は、
一部お客様のお名前を入れるなどのカスタマイズが必
要なものなどを除くとほとんど変わらないのだとか。
それどころか、ブランド品などは、ネットとスマートフォン
のためだけに買い付けて来ているのだそうだ。取り扱
いアイテム数は時期によっても異なるが、常時1万〜
2万点にも及ぶ。
商品は、自社の企画・生産品から委託、買い取りと
様々な方法で調達している。現状ではアパレル商品に買い取りのものが多く、雑貨関係は委託中心となって
いるそうだ。
実際はこの点数に、「黒」「白」「赤」「グレー」といっ
た色展開、「S」「M」「L」などのサイズ展開、例えば
ブラジャーの「かぶりタイプJFホックタイプ」といっ
たような「タイプ展開」を掛け合わせた数の商品が販
売されている。膨大なコンテンツである。
スマートフォン通販の平均客単価は、約1万3,000円。イ
ンポートのブランド品などの人気が高く、世間でよく
言われる「アパレル1万円、コスメ・雑貨5,000円」
というレベルを上回っている。

株)千趣会のネット通販取り扱いアイテム数
順位
点数
第1位 インテリア・収納用品   約5,400点
第2位 靴・バッグ・アクセサリー  約3,900点
第3位 生活雑貨、趣味雑貨、家電  約3,200点
第4位 コスメ、美容      約1,900点
第5位 アウターウェア     約1,800点
2007年1月時点、同社提供資料を元に作成
流行と遊び心を取り入れた商品を前面に
スマートフォン通販サイトの場合、PCと違って画面が小
さいので、トップページの重要性が格段に高い。冬な
らコートやブーツ、夏ならチュニックやサンダルと
いった具合に、季節特性に合った商品を特集したり、
限定品や、人気ブランド「カバン・ド・ズッカ(CABANE
de ZUCCA)」と組んだコーヒービーンズシリーズ、
チューイングガムシリーズなどの腕時計のようなコラ
ボ商品、あるいは今流行っているモノ、コトを切り□
にしたトレンド商品などをメルマガとも巡動させなが
らうまく見せていく必要がある。
2006年のFIFAワールドカップ ドイツ大会の際には、限定商品のテディベアを発売。大小2種類を用
意したのだが、特に小さいサイズの方は何度も再発注
を掛けるほどの大ヒットとなった。
2007年1月には、サンリオ製の「ハローキティ雪
だるま」を発売。こういった遊び心のある商品もケー
タイ向きのアイテムだ。
フルフィルメントは
通販専業大手ならではの強み
実際に「ベルメゾンネット」で買い物をされたこと
のある方は感じておられることと思うが、いざ「これ
を買おう」と決めた後の対応が非常にきめ細やかだ。
まず、カタログ通販出身だけあって、お申込み方法
が多様だ。PC、ケータィからのィンターネット申込
み以外に、フリーダイヤルの電話、FAX、葉書まで
ある。
第2に、決済手段も非常に多い。コンビニ・郵便局・
銀行での現金振込、クレジットカード払い、郵便局・
銀行の口座自動振替、代引きに加えて、銀行へのィン
ターネット振込、ケータィ独自の「モバィルEdy支
払い」(iモードフェリカ対応端末のみ)まである。

第3に、同社の場合長年に亘るノウハウと企業とし
ての信用力があるので可能となっているのだが、嬉し
いことに商品代金は後払いで大丈夫なのだ。
第4に、送料が格段に安い。1回の注文金額が5,250
円(税込み)以上の場合全国無料配送、5,250円(税込み)
未満の場合350円(税込み)である。
第5に、コールセンターが東西にきちんと整備され
ている。スマートフォンにまだ不慣れな方や急いでいる方が
電話しても、丁寧に対応してくれる。
第6に、物流機能も完備されている。千趣会の物流
センターは、自社センター4箇所(中部、甲子園、鹿沼、
京都)及び委託(自社向け100%)2箇所の計6箇所
もある。ショッピングモールと違い一括配送のため、
どんな商品もきれいに梱包されて届く、という安心感
もある。在庫がなかったりした場合に一部遅れて発送
されるものができた場合も、送料はお客様側には転嫁
しない。
第7に、カタログ、PCのネット、スマートフォン用の商
品データベース、顧客データベースが一元化され、さ
らにそのホストコンピュータとサイトを連動させる
システムを構築していること。お客様がどんな手段を
使って注文しても、またどの媒体の商品が売れても、
購買履歴や在庫数は正しく更新されていく。
「やはり、フルフィルメントの面ではスケールメリッ
トというのはあると思うんですね。カタログ通販で大
きな売り上げを作ってきた実績があるから、これだけ
の装備が出来ている。だから、お客様にも信頼されて
いるのですが、この強みにより磨きをかけていかなけ
ればならないと思っています」と中村氏は語る。

スマートフォンメルマガは反応の速さが違う
通販については、長年のノウハウを持つ千趣会だが、
スマートフォンの世界に足を踏み入れて驚いたのはやはり
メールマガジンに対するレスポンスの速さだと言う。
「ベルメゾンネット」はカタログに開しても25〜
35歳前後の女性客が多い。 PC通販もスマートフォンも客層
はほぼ変わらないと見ているが、注文のスピードに開
してはスマートフォンが圧勝だ。
後述する「ランランランキング」担当の同社デ
ジタルメディア部Webショップ開発チーム(東京)
ショッププランナーである四方幸氏は、こんな風に
語ってくれた。
「スマートフォンの場合は、メルマガを送ったら即完売、
といったことがよくあるんです。本当にお客様に申し
訳ないのですが。スマートフォンの場合、特に限定品などで
したら「あの商品をもう一度販売してくれませんか?」
といったリクエストのメールをよく頂きます」。
「ベルメゾンネット」のメルマガ配信数は約30万件。
購読を希望して自ら登録したお客様宛てに毎週火曜日
と金曜日に送信しているのだが、これだけの数なので
「日付が変わらないうちに届くように送るのも一苦労
なのです」(中村氏)。
配信に時間がかかる理由は、千趣会サイドにあると
いうよりは、迷惑メール防止のため、一度に一定量以
上のメールを送るとキャリアの方でエラーを出す仕組
みを設定しているためである。
ちなみに、1日のPV(ページビュー)の変動だが、
お昼時に1回ヤマが来て、いったん下がってまた夕方
に盛り上がり、午後11時〜12時に向かって最高潮に
達していく。ピュアヤングをターゲットとはしていな
いので、深夜はそれほどでもないという。
話は戻るが、メルマガで何を押していくのかはサイトのトップページ同様、売り上げをあげるうえで重要
なポイントになってくる。「ベルメゾンネット」の場
合は、幅広いジャンルの商品を取り扱っているし、お
客様の購買動機も様々なので、多くの方に支持されそ
うなものを中心に、バランスを取りながらチョイスし
ている。「訴求しつつも、当社の場合、お客様に安心
感を与える、ということは絶対にはずせない要素です」
(中村氏)。

「総合」から「特化」へ「ランランランキング」をスタート

「ベルメゾンネット」の元になっているカタログ「私
たちの暮らす服』や「私たちの住まいと雑貨」を見れ
ば顕著にわかることだが、お客様の中心は25〜35歳
前後の女性だ。その中でも特に子供のいる主婦層は、
子供服や収納用品など衣食住全般に興味を示してくれ
る。
同業他社の通販専業企業に比べて、同社の客層は比
較的若いのだが、同年代でも既婚未婚を問わず働く女
性にフォーカスした新しい編集の仕方、売り方はない
のか、と知恵を絞り、2006年11月6日にスマートフォン専
門の通販サイト「ランランランキング」(iモード対応)
をスタートさせた。
プランナーの四方幸氏は、千趣会が呼び込みたいと
思っている顧客と同年代、「スマートフォンは毎日ゴリゴリ
触っています」と言う。まさに等身大の感覚の持ち主
である。
同サイトは、世の中に沢山存在する有名ファッショ
ンブランドをブランド別に並べた通販サイトではな
い。通販で商品を選ぶ時誰もが参考にする「ランキン
グ」に着目。消費者アンケートに基づくランキング、
ファッション雑誌「MORE」「non-no』などで活躍中のスタイリスト・松野裕子さんや、千趣会のバイヤー
が選んだお勤め商品のランキング及び、売り上げラ
ンキングの3タイプのランキングと、読者の投稿コー
ナーなどから構成されている。
サイトを訪問した人にとっては、「へえっ、最近こ
んなものが流行っているのか」という情報収集源とし
ても役に立つし、さらにいいなと思ったものはその場
で買えるという/‘一粒で二度美味しい”サイトだ。
若いサイトながらヒット商品も続出
取り扱い商品のカテゴリもファッション、インナー、
コスメ、美容雑貨から防犯グッズ、癒し系グッズ、さ
らには、例えば足の臭いを消してくれる「ラヴィリン
フットクリーム」のような、通販の隠れた人気商品で
ある「お悩み解決系」グッズまで多種多様だ。
新しいサイトだか、すでに、ウォータープルーフタ
イプの「ジェルアイライナー」のようなヒット商品が
続々誕生している。「化粧品はやはり、口コミ効果が
高いですね。タトゥーさえ消せるくらい効果の高いコ
ンシーラーなんかも、すごく売れています」(四方氏)。
「ランランランキング」も、Fベルメゾンネット」
同様、メルマガは週2回発行、2007年1月の時点で
約2万5,000人の読者に配信している。
「20〜30代の慟く女性向けということで、例えば、
『女の子』という表現か適切なのかどうか、言葉遣い
ひとつとっても現在一番良い表現を模索しているとこ
ろです。
ピユアヤングの頃とは違う落ち着きは出てきている
けれど、かといって、お客様の買いたい気持ちを盛り
上げるためには、テンションを上げていく必要もある。
その辺のさじ加減を探っているところです」(四方氏)。
「ランランランキング」は、2007年4月中旬にはau、6月中旬にはソフトバンクのスマートフォンでもアクセ
スできるようになる予定だ。「消費者のアンケートを
見ていると、「これまで目にとめていなかったけれど、
こんな商材が売れるのではないか」というアイデアが
次々と沸いてきます。お客様目線を大切にしながら、
楽しいショッピングサイトにしていきたい」と、四方
氏は言葉に力を込めた。
“スマートフォン通阪大競争”時代に向けて
千趣会の歩みは、日本の通販の歴史そのものだとも
いえる。半世紀以上の長きにわたり、お客様に愛され、
お客様と共に歩んできた同社にとって、この10年余
りのインターネット時代は、変化のスピードが遠く、
ネットショッピングモールのように、これまで考えら
れもしなかった新たなライバルが登場した試練の時代
でもあった。
だが、「お客様にとって、買いやすい環境を整えよう」
というポリシーがぷれることのなかった同社は、常に
先手を打って変化に対応してきた。
そして、ネット通販時代からスマートフォン通販時代へ。
他の小売業に比べると歴史は比較的浅いが、通販とい
う業界の中では「老舗」の地位にある千趣会は、ケー
タイ通販の未来をどのように予見しているのだろう
か?
「スマートフォン通販の市場規模は、まだまだ伸びるでしょ
う。ただし、競争は今後間違いなく厳しくなるとみて
います。
スマートフォンの難しいところは、キャリアや機種によっ
て性能やサイトの表現力に相当に差があるということ
です。 ドコモの「FOMA」シリーズのハードウェア
は、容量が大きく読み込める情報量が多い。「FOMA」
向けに較れば、表現力の高いサイトを作ることが可能です。
スマートフォン通販のピュアプレイヤーの場合、auが「au
Shopping Ma11』を始められたことの影響が出ている
のではないかと思うところもあります。
検索エンジンに関しても、どのキャリアも力を入れ
てきていますが、施策に差があります。 EZ トップメ
ニューの一番上にGoogleが搭載されているので、au
ユーザーの検索エンジンの利用率は特に高まるのでは
ないでしょうか?
当社のスマートフォン通販サイトは、実は動的ページで作
成しているため、SEOに弱いのです。また、ケータ
イに間しては、まだスマートフォン内でのアフィリエイトに
も全く取り組んでいません。
しかし、今後は公式サイトの地位も相対的には間違
いなく低下するでしょうし、スマートフォンSEO / SEM、
リスティング広告や、スマートフォンアフィリエイトに間
する市場も急速に盛り上がりを見せてきましたので、
近々(注:2007年1月時点)、これらの課題について
は手を打つ予定です」と、中村氏は手の内を明かして
くれた。
特化型サイトの複数運営で客層拡大を狙う
技術面での対策と合わせて、千趣会が見逃せない問
題だと感じていることがもう1点ある。それは、ケー
タイ通販の世界では、カタログで培ってきた総合的な
品揃えが武器にはならないのではないか、ということ
だ。
「お客様の印象に残るような、特化型のサイトを複
数構築していきたい」(中村氏)。先程ご紹介した「ラ
ンランランキング」も、そういう千趣会の戦略の一
環として誕生したものなのだ。
さらには、現状の25〜35歳前後のお客様の上と下の年代、20代前半と40代以上の獲得も狙っている。
40代以上については、「ラシサ」というカタログを
新しく発行(2005年秋プレ創刊、2006年春本格針刊)、
ネットやスマートフォンでも同じ商品を打ち出し、拡販に努
めている。
通販というものの本質を知り尽くしたプロ集団の挑
戦に、終わりはない。
薬の通販は、こちら→サプリ館

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