通販

スマートフォン通販ビジネスの実例.2

投稿日:

スマートフォン通販ビジネスの実例.2

CASE STUDY07 (株)ファンケル

モバイルは新規のお客様を
獲得する強力なツール
ファンケルモバイル
株式会社ファンケル
幅広いチャネルを持つ通販企業の
スマートフォン通販事業
「ファンケル」は、健康に気を遣う女性なら誰でも
知っているメーカー名だろう。コンビニエンスストア
で販売されているサプリメントで、女性のみならず男
性にもおなじみの会社だ。
薬の通販は、こちら→サプリ館
 (株)ファンケル(以下、ファンケル)は1980年創
業。その年から通信販売をスタートした通販の老舗で
ある。現在は、カタログ通販からネット通販、全国に
ある直営店での販売、コンビニエンスストアでのサプ
リメント販売まで、幅広いチャネルで自社ブランドの
製品を展開している。取り扱う製品は基礎化粧品、化
粧品など女性向けのものから、サプリメント・発芽米・
青汁などの健康食品、肌着、雑貨など。
横浜・中区山下町。石畳が異国情緒を漂わせる港町
の中心に本社を構える同社に足を運び、同社のケータ
イ通販運営を担当する通販営業部・ネットグループの
長谷川敬晃氏にお話を伺った。
開始当初から予想以上の反響があった
ファンケルがPC通販を始めたのは1997年。翌々
年の1999年に、「今後、より強い販売チヤネルになる
のでは」と、スマートフォン向けサイトで情報発信をスター
トしている。「PC向けECはADSL回線の普及で伸
びました。同様にモバイルも伸びるのではという期待
と、スマートフォン対応の問い合わせも多かったのがきっかけです」と、長谷川氏。スマートフォン向けサイトを開設し
た当時は、スマートフォンがものすごい勢いで普及した時期
でもある。
スマートフォン向けサイトの存在は会員誌などでの告知の
みだったが、スマートフォン向けサイトが少なかった当時と
しては予想以上の反響があった。「このサイトの公開
には、スマートフォン通販市場かどのぐらい仲びるかという
実験的な部分もあった」(長谷川氏)というが、この時、
確かな手応えを感じたようだ。その後、同社は2001
年にスマートフォン向けEC事業(「ファンケルモバイル」)
をスタートしている。
年商10億円を超え成長申のスマートフォン通販
現在、ファンケルのスマートフォン通販での売り上げは、
100億円を超えるネット通販売上高の1割強。数百〜
数千円の商品で、年間10億円を超える売り上げをあ
げている。購入者の大半はリピーターで、同社の通信
阪売のいちチャネルとして立派に成長中だ。
スマートフォン通販は運営コストか低いのが魅力のひと
つ。Iヵ月に入る注文はスマートフォン通販だけでも数万件。
同社のスマートフォン通販サイトを担当する担当者は3名と
少ない。少人数でこれだけの成果を上げられるポテン
シャルが今現在でもスマートフォン通販にはあるのだ。

「マイルドクレンジングオイル」
1,785円(税込み・送料別)
ファンケルの売れ筋商品。ケー
タイでは、メーク品よりも基礎
化粧品の方がお客様は購入し
やすいようだ。
スマートフォン通販利用者はPC通販より若く
ほとんどが女性
化粧品メーカーである影響もあって、同社の顧客の
ほとんどは女性。「PC通販では男性が1割強ほどい
ますが、モバイルはほぽ女性のお客様ですね」(長谷
川氏)。 PCに比べ、スマートフォン通販は年齢層も平均で5
歳ほど若いという。ファンケルのPC通販のコアター
ゲットは20代後半〜30代。スマートフォンに関しては20代の方が多く、新規のお客様の年齢層は圧倒的にモバ
イルの方が若い。
「スマートフォンとPCでは売れ筋商品の違いが顕著に現
れます」と長谷川氏。スマートフォン通販では、メーク商品
よりはクレンジングや基礎化粧品がよく売れる。また、
PC通販では健康に関する商品がよく売れるが、ケー
タイ通販でよく売れるのは美に関係があるダイエット
系商品など。スマートフォン通販利用者のほとんどが女性で
あることが、その一因ではないだろうか。
QRコードで新規顧客を積極的に獲得
ファンケルは、カタログや雑誌にQRコードを掲載
することで、新たな顧客を獲得している。「QRコー
ドがあれば一目でモバイルサイトがあると印象づけら
れ、簡単にアクセスできます」(長谷川氏)。会員向け
情報誌や雑誌、PC向けサイトに可能な限りQRコー
ドを表示した結果、QRコードからの集客が仲びてい
るとのこと。従来FAXやハガキで注文していたカタ
ログ通販ユーザーが、QRコードを機にスマートフォン通販
から注文するようになることも多いという。
「FAXでご注文頂くお客様には古くからファンケ
ルをお使い頂いているお客様が多く、そこからケー
タイ通販にシフトしてくる流れも多いです。ネット
通販の方がカタログ通販よりポイント率が1%高いこ
ともスマートフォン通販を利用する理由でしょう」と長谷川
氏。他のチヤネルよりコスト効率の良いネット通販へ、
QRコードとスマートフォンという媒体を使ってシフトさせ
ることに成功している例だ。

スマートフォン通販からPC通販へという流れも

また、スマートフォン通販によって新しい販売導線も生ま
れたようだ。「QRコード経由でファンケルのお客様
になり、2回目以降はPCから購入するという方も意
外に多いです」。 PCサイトからQRコード経由でケー
タイ通販へという流れが一般的だと考えていた筆者
にとって、長谷川氏が教えてくれた「スマートフォン通販→
PC通販」という導線は意外だった。「じっくりお買
い物したい人はPC通販を利用し、情報はカタログや
情報誌で十分ですぐに商品を買いたいという方がケー
タイ通販をという具合に、お客様側で使い分けをして
いるんじゃないでしょうか」と、長谷川氏は分析する。

サイト構成にファンケルならではの工夫も
ファンケルのネット通販のシステムは、PC向け、
スマートフォン向けいずれも自社開発。ウェブサーバが同
じなので、使用する商品データベースも一緒だ。「PC
とスマートフォンで共通化できるところは共通ですが、アプ
リケーションとして両者は別物。スマートフォンは容量制限
などもあり、シンプルですが、必要な情報はしっかり
と伝わるようなシステム設計を考えています」と、長
谷川氏はスマートフォン通販ならではのシステムの工夫があ
ると語る。
一画面に表示できる情報が少ないスマートフォン通販で
は、一番大切な情報を上に出すといったちょっとした
工夫が売り上げに影響を与える。
また、商品をクリックすると画像や商品の解説が一
1白面に出る作りのサイトが多いか、「ファンケルモバ
イル」ではさらにクリックした先に詳細な情報が表示
される階層構造になっている。その理由を長谷川氏に
尋ねたところ、「購入商品が決まっているリピーター
のお客様にとって買いやすいページ構成を考えてこの
スタイルになりました」とのこと。
カタログの注文端末としてのスマートフォン利用
「ファンケルモバイル」では、1年ほど前からカタ
ログからの注文端末としてスマートフォンを使う仕組みの促
進に注力している。同サイトのトップページの目立つ
場所に、商品番号で注文する「クイックオーダー」の
リンクが設問され、手元にあるカタログから4〜6桁
の商品番号を入力するだけで注文が可能だ。この仕組
みなら商品が見つからないというストレスもない。カ
タログ通販をやってきた会社ならではの仕掛けである。
「健康食品は必ずしっかりとした商品説明が必要に
なります。どうしてもスマートフォンサイトだけでは情報が
足りません」(長谷川氏)。 PC通販はサイト上で十分
な情報提供から購入までを完結できるが、スマートフォンで
はそうはいかない。「スマートフォン通販は何かと連動させ
ないと売り上げはあがらない」という同社は、カタロ
グと連動させて情報を補うことで、必要な情報を提供
していく戦略をとる。
検索機能の弱さをカバーする「お悩み検索」
「ファンケルモバイル」で実際にお買い物をしなが
ら、便利だと感じた機能かある。「お悩み検索」だ。
たくさんあるサブリメントの中から、自分に合った
商品を選ぶのは大変なこと。そこで「目的別に商品を
きって見せてあげれば探しやすいのでは」と考えられたのが「お悩み検索」である。
「骨や歯の健康が気になる」「寒さ・こりを感じやすい」
「心のバランスが気になる」など、私達が感じる健康面、
生活習慣面、ダイエット、美容などの悩みや求めるもの
についての項目がリストアップされており、それぞれを
クリックすると関連するサプリメントが表示される。
2006年10月に「ファンケルモバイル」でスター
トした「お悩み検索」は好評で、今まで売れなかっ
た商品がスマートフォン通販で売れるようになった。「ケー
タイ通販でうまく商品を見せる余地はまだまだあり、
日々アイデアを出し合っています」と長谷川氏は意欲
的だ。
今後はSEO対策やアフィリエイトの活用も
長谷川氏にお話を伺って感じたのは、ファンケルが
とても研究熱心だということ。先はどの「お悩み検索」
のアイデアもそうだが、メルマガの内容の工夫や、メ
ルマガを送信する時間や曜日など、テストを重ねてク
リック率が上がる時間を模索するといったことも熱心
に行っている。
やり方によってアクセス数が大幅に変わるメルマガ
にも、ボディーブローのようにこの研究の成果が生き
てくるはずだ。
サイトデザインも、全体的に柔らかいイメージにし
て年齢層や男女の区別なく親しみやすいものにし、高年
齢層でも商品が見つけやすい構成も考えているという。
目下の課題は、スマートフォン通販市場で伸びてくると予
想される男性層が獲得できていない点。そのため、男
性が訪れやすいサイトデザインの工夫も日々検討され
ている。「スマートフォン通販は今後も伸びると考えられま
すが、競合がすごく増えてくるでしょう。昔は公式サ
イトの影響力が大きく、公式サイトになっていれば安心でした。でも、最近では非公式サイトも伸びている
ので、公式サイトである強みを生かしたり、非公式サ
イトのアフィリエイト経由での誘導を強化したりした
い」と、今後の対策にも力強い答えが返ってきた。現
在は公式サイトである恩恵が大きいが、今後はSEO
対策も徐々に強化する考えだ。
スマートフォン通販は新規のお客様を獲得する
非常に強いツール
ファンケルの強みは、なんといってもカタログ通販
などで培ったノウハウだ。「QRコードを導入して予
想以上にアクセス数があるとわかった時点で、カタロ
グ通販との連動をした方がいいだろうと考えました」
(長谷川氏)。その考えが的中し、カタログ通販との連
動によって「ファンケルモバイル」は飛躍的に数字
を伸ばし始めた。
長谷川氏は、「スマートフォンは新規のお客様を獲得する
非常に強いツール」だという。その特性を生かし、リ
アル店舗との連動、店舗からのネットヘの誘導、店舗
情報を流す媒体として「ファンケルモバイル」を今
後も活用していきたい考えだ。「理想を言えば、コス
ト効率が非常に高いPC通販とスマートフォン通販で通信販
売のすべての売り上げをあげられればいいのですが、
そうはいきません(笑)。クロスチャネルでご利用頂き、
ファンケル全体で売り上げをあげていきたい」と長谷
川氏はスマートフォン通販を積極的に利用していきたい意向
を語ってくれた。
「スマートフォン通販をやるにあたっての苦労点は?」と
いう問いには、「ファンケルというブランドのサービ
ス水準を下げないこと」という答え。容量制限がある
中で、いかにお客様にとって有益なサイトになるか、
情報の取捨択一や見せ方の工夫で、お客様に対するサーピス水準を保ったままスマートフォン通販を実現してい
くのが、ファンケルのポリシーだ。商品と同様にケー
タイ通仮にもサービス品質を求める。同社のその姿勢
が印象的だった。

CASE STUDY08 ケンコーコム(株)

万全のSEO対策で日用品もよく売れるサイト
ケンコーコム

どこにでもある商品が売れるケンコーコム
詰め替え用洗濯せっけんや入浴剤、ティッシユ、健
康飲料……通販サイト「ケンコーコム」でよく売れて
いる商品だ。もちろん、これらは近所のドラッグスト
アやコンビニエンスストアなど、どこででも購入でき
る日用品である。
「ケンコーコム」は、健康食品、医薬品、化粧品、
健康機器などの健康関連商品を扱う同ジャンル国内最
大級の通販サイト。2000年から始めたネット通販で
の売りヒげは、年間46億円を超える。そのケンコー
コムが、スマートフォン通販に進出したのは2004年のこと。
PC通販で扱われている約7万点の商品のうち医薬品
を除くほとんどがスマートフォンサイトで購入でき、売上高
は2005年度が3,700万円。ネット通販の売上高全体
に対して1%弱の数値だが、着実にその売り上げを伸
ばしている。
どこにでもある商品がなぜ、わざわざスマートフォン通販
で売れるのか。その興味深い仕組みを、ケンコーコム
(株)(以下、ケンコーコム)のマーケティング部リー
ダー・原田直美氏と同部・野崎江梨子氏に伺った。
スマートフォン通販で主婦が日用品を買う
ケンコーコムのスマートフォン通販はiモードの公式サイ
トからスタートし、2006年春にau、そして2007年3
月にソフトバンクにも出店し、3キャリアすべてに公式
サイトの店舗を構える。「スマートフォン版楽天市場」にも出店しているが、自営サイトとスマートフォン版楽天市場店は
競合店ではなく、チャネルを増やすための出店だ。そ
れぞれ、顧客の購買行動や集客の動線が異なるという。
スマートフォン版楽天市場店の売り上げも好調だ。「rケー
タイ版楽天市場」は主婦層が多く、さがし物というよ
りは、明らかに買う目的の商品がある方のようですね。
「楽天市場」は元々買い物をする意志のある人が集ま
る場所ですから、自サイトとは売れ筋商品も個数も違
います」と原田氏。自営サイトを持ちながら「ケータ
イ販楽天市場」に出店する理由は、そこにある。
「「楽天市場』のお客様は価格をシビアに比較する傾
向もありますね。商品の価格だけではなく、送料込み
での価格をしっかり見ている。ポイントもよく使われ
ています」と、スマートフォン版楽天市場店の店長を務める
野崎氏は「楽天市場」での購買行動を分析している。
主婦層は、スマートフォン通販でも価格を吟味し、PC通販
に近い買い方をしているようだ。
忙しいからこそ片手で買えるスマートフォンが便利
スマートフォン版楽天市場店での売れ筋商品は、洗剤など
の日用品だ。洗剤やお茶は重たく持ち運びが大変。主
婦層は、そういった運ぶのか大変な日用品を通販サイ
トで購入するのだ。スマートフォン通販の顧客は、まとめ買
いではなく1商品ずつ買う傾向もある。「忘れないう
ちに買おうとスマートフォン通販を利用しているようです」
と野崎氏。
「特に、子育て中の主婦は、小さなお子さんを抱え
てパソコンに向かう暇はありませんよね。買い物に行
くのも大変。でも、おむつやトイレットペーパーなど
は必ず買わなくてはいけないので、片手で操作できる
スマートフォン通販で買い物をしているのでは」と、野崎氏
は分析する。なるほど、それならばスマートフォン通販でどこでも買える日用品が売れるのも納得がいく。
ケンコーコムでは、ミネラルウオーターやペットボ
トルのお茶も売れ筋商品。筆者も取材前に実際に同サ
イトで購入したのは、ペットボトルのお茶だった。外
出先で買えば重い荷物を運ばなくてはいけない。確実
に消費するものだから、できれば買い置きをしておき
たい。まとめ買いすれば送剥奪料にもなり、通販で買
うのに向いた商品なのだ。消費者からみれば、日頃よ
く買うものだからこそ、思いついたときにすぐ買える
スマートフォン通販は便利だ。

日用品のスマートフォン通販は男性にも人気

「ケンコーコム」の顧客は、男反比がほぼ半々。40
〜50代のユーザーも多く、若い女性向けというケー
タイ通販の常識には当てはまらない。
「男性のお客様には育毛剤や水虫薬かよく売れます」
(野崎氏)。ドラッグストアでも買えるが、リアル店舗
ではちょっと買いにくいものも、売れる商品のひとつ。
「ドラッグストアは若い女性客が多く、男性は意外と
入りにくいもの。仕事が終わった後ではお店が開いて
いないというのも理由のひとつでは」と野崎氏は言う。
男性は深夜に買い物をし、会社で受け取る人が多いそ
う。仕事で忙しい男性にとって、ちょっと買いにくい
ものを買う場所としてネット通販は便利なのだ。いつ
でもどこでも買い物できる利便性に加えて、画面をの
ぞき込まれることかないスマートフォン通販は、買いにくい
ものを買う場所に適しているのではないだろうか。
ケンコーコムが選ばれる理由
「ケンコーコム」で扱う商品を販売する店舗は、も
ちろん他にも無数に存在する。一般小売業の場合、扱
う商品に個性がないため、いかに集客するかが売り上げに直結する。ただし、粗利か薄い日用品の販売に注
ぎ込める広告費は少ない。
ケンコーコムは、PC通販でSEO対策による大き
な成果を上げていることでも有名だ。「ネットで何か
買おうと思ったときは、まず検索です。検索でいかに
ピックアップされるかが勝負。あとは、たくさん品物
をそろえて待つだけです」と原田氏。ブランド品のよ
うに、ターゲットを絞ってタイムセールをするような
商材ではないため、SEOで地道に人を集めることが
利益につながるのだ。
「ケンコーコムは、通販サイトを立ち上げた当初か
らロングテールの検索ビジネスをやっています。エッ
ジの立った商品ではないため、スタートした当初は苦
労も多かったようです」と原田氏。だが、地道に取り
組んだ結果、現在はSEOで大きな効果を上げている。
それはスマートフォン通販でも同じだ。同社は、2006年か
ら各キャリアに導入されたスマートフォンの検索機能に対す
る分析と対策にも、積極的に取り組んでいる。
「auはGoogle検索を導入してから、アクセスも売り上げも明らかに上がりました」(原田氏)。iモード
にも2006年10月に検索の仕組みが導入されたが、i
モード公式サイトでのランキングが高いこともあっ
て、今のところは公式サイト経由での集客が多いとの
こと。
スマートフォン通販は検索が生きるビジネス
検索機能がまだあまり有効に機能していないケータ
イ通販では、公式サイトからの集客がまだまだ大きい。
だが、PC通販でいち早くSEO対策に取り組み成果
を上げてきた同社は、スマートフォン通販でもSEO対策を
重要視している。「スマートフォン通販は検索が生きるピジ
ネスです」と原田氏は語る。
「PC通販では、ブーム品の取っつきが早いのが
Yahoo!。新規のお客様の5〜6割が検索エンジンから
の誘導ですが、Googleに比べてYahoo!経由のお客様
が多い傾向があります。この傾向をふまえると、ケー
タイでもYahoo!を抱えるソフトバンクの集客が楽し
み」と、野崎氏は進出したばかりのソフトバンクでの
集客に期待を寄せているとのこと。
キャリアによる購買行動の違いにも要注目だ。「ド
コモのiモードとauのEZwebでは、アクセス数に対
する実際の購買数が違います。iモードは1日2万3,000
〜2万5,000アクセス、EZwebは1万3,000ぐらいと
約1万アクセスの開きがありますが、購買数はほぽ一
緒です」(野崎氏)。
ドコモに比べてauのほうが、明らかに何かを買お
うという目的を持ってスマートフォン通販サイトに人が来て
いるという感触を野崎氏は持っている。「auの方が高
機能なスマートフォンを使いこなすヘビーユーザーが多いの
では」と、キャリアによるユーザー層の違いが購買行
動の違いとなっていると原田氏は分析しているようだ。

ECサイトと受発注システムを直結

「ケンコーコム」は7万点近い商品を扱うが、そ
れらの商品を仕入れるバイヤーはわずかに10数名。
「ネット通販は訪問者数や販売数が明確にわかるので、
リアル店舗よりも正確に、スピードをもって予測す
ることができます」と原田氏。同社のビジネスはロン
グテールのビジネススタイル。季節や売れ筋に関係な
く、健康関連商品を多品種少ロットで品揃えし、どん
なニッチなニーズにも対応する。
ただし、健康食品ブームなどで突然大量に売れる商
品もあり、急な対応を迫られることもある。「通販サ
イトは基幹システムとつながっており、受注から発送、
受注から発注などの物流がすべてシステム化されてい
るので、急な変化にもすぐ対応できます」と原田氏が
言うように、同社の通販サイトは基幹システムと密接
に連携しており、変化の激しいスマートフォン通販の商品管
理に素早く対応できる体勢が構築されている。ケンコーコムが突出しているのは受発注・物流シ
ステムの開発力だけではない。同社が展開しているア
フィリエイトのシステムも自社開発。現在は、そのア
フィリエイ1ヽシステムのスマートフォン対応を進めており、
2007年中には対応させたい意向だ。「アフィリエイター
はまさに物を売りたい方々。こんなに有効なリンクは
なく、スマートフォン通販でもぜひ展開すべき」と、原田氏
はアフィリエイトのスマートフォン対応にも意欲的だ。
ノウハウの蓄積&突出したカラーがないのが強み
アフィリエイトも、PC通販で導入し始めているリ
コメンドのシステムもすべて自社開発。ケンコーコム
には試行錯誤しながら積み上げてきたたくさんのノウ
ハウがある。「DBマーケティングは大変なのでどこ
も外に出したがります。でも、その部分こそケンコー
コムの強み」と原田氏が言うように、ネット通販で注
目されている手法に体当たりで取り組んできた実績が
「ケンコーコム」の人気を支えているといってもいい
だろう。 同社は、健康関連商品情報のAPI(アプリケーショ
ン・プログラム・インターフェイス)の公開も2007
年1月からスタートし、アフィリエイトプログラムの
会員やドロップシッピングのパートナー企業が「ケン
コーコム」の豊富な商品情報を取得し利用できる仕組
みも提供し始めている。
「「ケンコーコム」は、突出したカラーは、あえてな
いサイト。しっかりとした土台を提供し、カラーのあ
るところとAPIを使ってどんどん協業していきたい
ですね。逆に、カラーがないのがうちの強み。まだま
だやりたいことはたくさんあります」(原田氏)と言
うその笑顔には、やるべき事はすべて先行してやって
きたという自信が伺える。
ケンコーコムは、その名の通り非常に明るく健康的
な会社だ。そのスマートフォン通販事業には、自社開発によっ
て構築されたシステムとネット通販で培ったノウハウ
という、しっかりとした健康と成長を保つ仕組みが存
在していた。

CASE STUDY 09 (株)フジテレビジョン

ライツ開発局ライツ開発部
高木秀幸氏
株式会社フジテレビジョン
ライツ開発局ライツ開発部
平石京子氏

TVというメディア企業が
通販で商売を始めた
フジTVおみやげランド
株式会社フジテレビジョン/株式会社インデックス
番組グッズのスマートフォン通販サイト
「フジTVおみやげランド」
ゆりかもめの台場駅を降りると、間に球体を挟んだ
二練武の大きな高層ビルが目の前に広がっている。こ
こは、有名なタレントやミュージシャン、アナウン
サーなどが頻繁に出入りしている全国の老若男女の憧
れの場所、(株)フジテレビジョン(以下、フジテレビ)
の本社である。
全国キー局の本社に取材でお邪魔するというのは、
筆者にとっても生まれて初めての体験。緊張気味の私
を、同社のスマートフォン通販サイト「フジTVおみやげラ
ンド」の担当者であるライツ開発局ライッ開発部の高
木秀幸氏と平石京子氏、そして、システム開発及び運
用を担当している(株)インデックス(以下、インデッ
クス)コンテンツプロダクト局デジタルコンテンツ部
ECチーム竹田正人氏の3名が暖かく迎えてくれた。
システム開発と運用はインデックスが担当
インデックスといえば、ドコモのiモード立ち上げ
の時期から有カコンテンツブロバイダーの1社として
占いサイトや通販サイトなどを数多く手掛けている業
界の草分け的存在の企業である。そして、メディア企
業であるフジテレビも、モバイルという新しい通信手
段の発達に対して、非常に早い時期から強い関心を示
していた。
「フジTVおみやげランド」のスマートフォン通販サイトも、2000年にはすでにiモードのフジテレビ公式サイ
ト内に位置づける形で開設、翌年にはau、J-スカイ(現
ソフトバンク)の公式サイトもオープンさせた。
現在、フジテレビの公式スマートフォンサイトは、ポータ
ル的な位置づけになっており、その中に計15のサブ
サイトがリンクされている。そのうち、インデックス
は、物販系の「フジTVおみやげランド」の開発・運
用に関わっている。
その「フジTVおみやげランド」の中も、番組グッ
ズを販売するサイトと、番組のソフトを販売している
「CD・DVD・本屋さん」の2つに分かれており、後
者については在庫管理と物流を(株)文教堂の子会社
であるジェイブック(株)に委託している。
イベントグッズ物販から番組グッズ物販へ
本来は無形のコンテンツである番組を扱うプロであ
るはずのTV局がグッズという有形のコンテンツを
作って売る………何故このようなビジネスに着手し始
めたのだろうか?
「フジテレビでは放送番組の二次利用としてのビデ
オ販売やイベント開催、イベントグッズの販売を他局
に先駆けて行っていました。
イベントグッズの販売部門から、番組オリジナル
グッズを作る部門が発生し、タレントさんや番組制作
スタッフなど多くの人の協力のもと、今のフジテレビ
番組グッズビジネスが発展してきました。
グッズは本社社屋などの店舗で販売していました
が、なかなか店舗に来ることができない人たちにも購
入頂きたいという想いから、PC通販、スマートフォン通販
が始まったと聞いています」(高木氏)。
今、「フジTVおみやげランド」には、50〜60番
組のノベルティグッズや、お菓子、そしてお台場の名産品など常時2,000〜3,000点の商品が掲載されてい
る。『あいのり』の34組目のカップルとなった「お?
せ」のTシャツや、「のだめカンタービレ」の鍵盤
バッグ、ニンテンドーDSのソフト「平成教育委員会J
rIQサプリ』など、ヒット商品も連発している。
PC通販サイトとスマートフォン通販サイト双方の店長を
勤め、メルマガの執筆も担当している平石氏曰く、「本
社屋の中に実店舗も持っているのですが、こちらで
は修学旅行生や観光客などのお買い上げが多いです。
スマートフォンの方はそれに対して、高校生、中でも関東地
区の方と、大学生が数としては一番多いですが、老若
男女に幅広く支持されており、平均客単価は3、000円
です。PCの方がスマートフォンより平均年齢はちょっと高
めで、F2層中心でしょうか」。
TVというメディアの通販
その大いなる可能性と難しさ
「フジTVおみやげランド」のお客様の購買動機は、
TVで放映されている番組を見て番組そのもののファ
ンになりサィトを訪れる場合と、出演しているタレン
トのファンだという場合と両方ある。
「専門メーカー企業だと、自分が専門の商品以外作
れませんが、弊社はタレントさんや番組制作スタッフ
の理.解や協力を得られれば、作れないグッズはありま
せん。タレントさんや番組のイメージアップ、宣伝が
図れるのなら、どんなユニークなものでもOKです」
(高木氏)。
ドラマ番組は、半,年前に企画立案、3ヵ月前くら
いには収録を開始しなければ放映には間に合わない。
グッズの企画も収録が始まった頃から始動し始め、遅
くとも番組開始後1ヵ月後くらいには販売開始という
サイクルでこなしていく。バラエティ番組の場合は少し違っていて、番組の
コーナー企画から制作スタッフと協力してグッズ制作
を始め、商品を投入するようにしている。「幸い当社
のバラエティ番組は非常に長寿なものが多いので、い
つも助かっています」と高木氏は微笑む。
TV局のMDビジネスはタレント、制作スタッフの
存在なくしては成り立たない。人そのものが、一番の
資産だと言っても過言ではない。
印象権の問題などもある。「長年のお付き合いもあっ
て、快くグッズの制作には応じて頂けるケースが大半
です,数パーセントのランニングロイヤリティのみを
お支払いさせて頂くケースが大半です」(高木氏)。

ワンセグ放送とスマートフォン通販との連動は?
TVというメディア、それも大半の番組が全国で放
映されているキー局の影響力は大きい。高木氏が「番
組と連動して商品が動く時の瞬発力は凄まじいです」
と語れば、インデックスの竹田氏も「当社は地方局さ
んのサポートも数多く手掛けていますが、アクセス数
の多さではやはりフジテレビさんが頭1つ飛び抜けて
います。番組放映中アクセスに応じたサーバの調整に
は非常に気を使っています」と応じる。
それだけの番組人気、視聴者の熱気を、もっとうま
く物販の方に誘導は出来ないものだろうか?
例えば、2006年4月を皮切りに、同年末には全国
すべてのTV局で放映が行われるようになったワンセ
グ放送の活用はどうか?(社)電子情報技術産業会の
調べによると、2006年12月の時点で、ワンセグ対応
携帯電話の国内出荷台数類計は340万9,000台に連し
ている。対応機種も、2006年1月の時点で、最新の2006年春モデルも含めてドコモ5種類、au15種類(う
ち5種類は2006年1月時点で発売休止)、ソフトバン
ク4種類が発表され、徐々に増えつつある。
ワンセグのデータ放送の部分で通販を行うというこ
とについて意見を求めると、高木氏からは非常に慎重
な反応が返ってきた。
「番組の主題歌や挿入歌の着うた・着メロサイトヘ
の誘導というのは、可能性が高いビジネスなのです
が、一番我々が難しいなと思っていることは、民放の
TV番組はあくまでもスポンサーがあって成り立って
いる、という点です。スポンサーの商品を通販で売る、
ということなら問題はないかもしれませんが、全く関
係のない企業さんの商品を別サイトに誘導して販売と
いうのは、望ましいことではありませんので。一番すっ
きりするのは、番組スポンサー企業の商品をワンセグ
番組から誘導して通販で販売、ということだという気
がします」(高木氏)。
さらに、高木氏はこのように言葉を続けた。「まだ
まだワンセグ対応機種を購入している方の数も少ない
ですし、視聴者の大半がスマートフォンの画面を横に向けて
いるため、データ放送はそもそも見ていない、という
こともあります。当社も地上デジタル放送時代に向け
て、様々な場で研究を重ねているのですが、まだ手探
りの状態ですね」。
ちなみに、ワンセグ放送の視聴者数が最も多くなる
のは朝の時間帯、フジテレビの場合だと「めざましテ
レピ」を通勤時に電車の中で見ている方が多い。自宅
では大画面のTVを所有している方がわざわざワンセ
グスマートフォンで番組を見るというのは必然性が乏しく、
やはり外出時の利用ニーズが高いようだ。

地上デジタル放送
地上波のUHF帯を使用して開
始されたデジタル放送。 2001
年6月の電波法改正で、2011
年までにTV放送をUHF帯の
一部に集約し、空いた帚域を
通信などに開放することが決
まっている。

番組グッズの99%は地上波の人気番組

現状では、フジテレビ関連の番組は、地上アナログ
放送、地上デジタル放送、CS放送、CSケーブル放送
の形態で放映されている。「フジTVおみやげランド」
で発売している番組グッズは、99%は地上波の人気番
組のものばかりなのだが、唯一の例外がある。
それは、CSのフジテレビ721局でオンエアしてい
る「ゲームセンターCX』関連のグッズだ。番組その
ものは、よゐこの有野幸哉氏が“懐ゲー”(昔流行し
た懐かしいゲーム)に挑戦していくという内容なのだ
が、関連書籍やDVD-BOXは非常に好調に動いてい
るのだとか。
ところが、「ゲームセンターCX」関連グッズに関
しては、スマートフォンでは全くといっていいほど商品は動
かず、PC通販一辺倒なのだ。理由は、この番組のファ
ンは30代後半の男性に集中しており、この層はケー
タイではなくPCのヘビーユーザ一層と重なっている
からだと高木氏は分析している。

掘り出し物グルメや最新の
DVDなど気になるものを取り
寄せて紹介する番組「超V.|.P」。

売上高を現状の2倍に
イベントや番組から派生したフジテレビグッズ。そ
のグッズをインターネットで広く購入してもらうため
に出発した「フジTVおみやげランド」。しかし、商
品開発のレベルも上がり、一般の店頭で販売されてい
る商品と遜色ないクオリティが認知されてきた今、同
社では数年以内に売上高を現状の2倍にまで伸長しよ
うという「eコマース倍増計画」に着手し始めた。
「目標達成のためには、客単価を上げるか、もしく
は今まで手掛けていなかったような商材や売り方を始
めるか、ということになりますか、まずは後者のトラ
イアルとして、『超V.I.P.』という深夜番組の『おと
りよせグルメ今月の産直』というコーナーで、当社
の松尾翠アナとタレントの『しょこたん』こと中川翔
子さんが実際に試食した食べ物と同じものの販売を開
始しています。
配送が産元から直送の形になってしまうなど、様々
な問題点を検証し、仕組みが出来上がった時点でもう
少し広げていければと思っています。
それと、現状では、サイトヘの集客が番組の人気に
頼っている部分が大きいですか、サイトそのものに魅
力的なコンテンツか存在しているから遊びにくるとい
うような客層を取り込む仕掛けにも着手してみたいと
ぢえています。
具体的には、スマートフォンでゲームを楽しみたいという
方はやはり若年層には非常に多いですので、「ゲーム
をする=通販でモノを買う」となるようなコンテンツ
を考えてみたいですね」(高木氏)。
「もっと面白い何かをやろうよ」
TV局の中でも、フジテレビには同社ならではの社
風と伝統がある。それは、社員全員が、常に「もっと面白い何かをやろう」という熱い思いを持って、仕事
に取り組んでいるということだ。
「例えば、有名なタレントさんに出演をお願いする
としますね。その時に、そのタレントさんのキャラク
ターを使って、何かやろうと企画するのです。タレン
トさん達との太いパイプを活かしながら、時流そのも
のを作っていけるということが、TV、そしてTV局
のMDピジネスの醍醐昧なんですね」(高木氏)。
物販の中でも特に、番組関連の書籍やCD、DVD
などは、ロングテールで売れる貴重なコンテンツだ。
「フジTVおみやげランド」は、番組という無形資産
を糧に、時代の風を物販にも落とし込みながら、徐々
にその基盤を固めていくのではないだろうか。

CASE STUDY 10 楽天(株)

楽天市場事業編成本部
モバイル編成部部長
太田智志氏

多くの店舗がモバイルに注力
月1億円を売り上げる店舗も出現

スマートフォン版楽天市場
楽天株式会社
日本最大のスマートフォンショッピングモール
「楽天市場」は、いまやネット通販の代ヤr詞ともい
える大ショッピングモール。その知名度と圧倒的会員
数から、自社でスマートフォン通販サイトを立ち上げてい
る会社が「スマートフォン版楽天市場」にも出店するという
ケースは多い。
楽天(株)(以下、楽天)は2000年9月から「ケー
タイ版楽天市場」をスタートし、2004年頃からその
売り上げを伸ばしている。楽天市場の店舗数は約1万
9,000店(2007年2月現在)。基本的に、「楽天市場」
に出店した店舗は「スマートフォン版楽天市場」店も同時出
店する仕組みなので、「スマートフォン販楽天市場」の店舗数
は「楽天市場」の出店数とほぼ同じ。「スマートフォン版楽天
市場」は、日本最大のスマートフォンショッピングモールだ。
最近のスマートフォン通販の傾向や「スマートフォン版楽天市場」
に出店するメリットを、同社楽天市場事・業編成本部・
モバイル編成郡部長の太田智志氏に伺った。
店舗は自動的に持てるがカスタムは必須
現在、「楽天市場]に出店した店舗は、そのまま無
判・で「スマートフォン版楽天市場」にも店舗が持てる仕組み
になっている。PC向け店舗用に登録された商品がそ
のままシステム上で変換され、「スマートフォン版楽天心場」
店に表示されるのだ。
ただし、このままでは店舗ができるだけだ。「データ
は自動的に変換されますが、これはあくまでもベース

ができると考えて頂いた方がいい。やはりモバイル用
に工夫をして頂いた方が、スマートフォン通販での売り上げ
につながりやすくなります」と太田氏は指摘する。

店舗の多<がスマートフォン通販に注力
最近ではモバイル店に力を入れる店舗が増えてい
る。「スマートフォン版楽天市場」では、「楽天市場」に登録
し自動的に生成されたモバイル店舗を編集し、カスタ
マイズする什組みを用意しているが、現在、「ケータ
イ販楽天市場」に出店している店舗の多くが、モバイ
ル用に手を入れているというのだ。
「2003年から2004年頃だと、モバイル店に手を入
れているのは一部の店舗でした。でも、力を入れてい
る店舗の売り上げがあがっているという話が広まり、
2005年ぐらいから手を入れる店舗が増えてきました
ね」と、2005年ぐらいから出店側に変化か生じたと
語る太田氏。「スマートフォン版楽天市場」での売り上げも、
それと前後して伸びているのがわかる。
「確かに、2005年ぐらいから端末の画面がすごくきれいになり、ページサイズも大きくなりました。通信速
度の向ヒや定額制の浸透など、スマートフォン端末の性能アッ
プや環境が整った事もモバイルでの売り上げが伸びる
要因ですが、rスマートフォン販楽天市場』に出店している店
舗側がモバイルでもがんばろうという雰囲気になった
ことも大きいです」と太田氏が言うように、端末の性
能向上やインフラが整ったこと以外に、¨お店側のやる
気”というスマートフォン通販が伸びる要因が存在する。
「スマートフォン版楽天市場」に力を入れる店舗が増えて
いるのには、いくつかの理由がある。ひとつは、楽天
測の働きかけだ。
「ECのノウハウを伝える『楽天大学」でもケータ
イ通販に関する講座が人気ですが、それ以外でもモバ
イルを前面に押し出したカンファレンスを開催し、た
くさんの店舗運営者に参加して頂きました」と太田氏
が言うように近年のスマートフォン通販への注目度は高い。2000年に「スマートフォン版楽天市場」が始まって以来、
「楽天市場」出店者にスマートフォン通販運営を働きかけて
きた同社だが、2006年夏にモバイルを前面に押し出
したテーマで開催した「楽天EXP02006」には約4.000
店舗が集まるなど、楽天側の働きかけに出店者が変化
し始めている。
楽天大学        楽天EXPO2006
「スマートフォン版楽天市場」だけで
月間1億円売り上げる店舗も出現
もうひとつの大きな理由は、スマートフォン通販で大成功
を収める店舗の出現だ。「『スマートフォン版楽天市場』だけ
で、月間1億円の売り上げをあげるファッション系店
舗もあります。その他に、ある程度の規模の店舗で5
割以上や、中には8割がスマートフォン通販での売り上げと
いうお店も出始めています」(太田氏)。
高い実績を上げている店舗が出始めたことがLIコミ
で広がり、「楽天市場」出店者に“モバイルにも力を
入れよう”という気運が広がったようだ。中には、独
自に雑誌で広告展開するなど、かなり力を入れている
店舗もあるという。
「年齢層が低め狙いのアパレル系は依然として高い
売り上げをあげています。でも、一昔前のファッショ
ン系や美容・コスメ系しか売れないという偏りがなく
なりつつあります」と、太田氏はジャンルや年齢層が
広がりつつある点を指摘する。
グルメやインテリア系など、スマートフォン通販では売りにくそうなものまで、モバイルでの売り上げを増やし
ているのだという,「最近では、お兄系ファッション
の売り上げがものすごく、男性の比率も高まっていま
す](太田氏)。男性の比率が徐々に上がり、まだ若干
女性が多いものの、「スマートフォン版楽天市場」での購買
層は男女がほぼ半々まできている。
また、20代がメインという状況は変わりないが、
その前後の年代も増えているようだ。男性もまた、若
者向けファッションからスマートフォン通販の売りヒげが伸
び出しているという点も興味深い。

「楽オク」という太い導線から「スマートフォン版楽天市場」へ

「スマートフォン版楽天市場」へ出店する魅力は、なんと
いってもその知名度と集客力だろう。約2,500万人の
会員が、なにかしら買い物目的で「楽天市場」へやっ
てくる。
[スマートフォン版楽天市場」ユーザーはまだ一部で、モ
バイルの売上比率は1割強だが、日によってはモバイ
ルの売り上げが2割を占めることもある。これは、か
なり魅力的な集客力だ。
楽天は、スーパーポイント、アフィリエイト、プレ
ゼントや無料モニター募集企画スーパーオークショ
ン開催機能など、様々な集客や売り上げアップのため
の什組みを提供している。それらに加えて、新たな施
策としてスタートしたのが、「楽天オークション」(通
称「楽オク」)だ。
「楽オク」は、ドコモと共同で立ち上げたサービス。
2006年11月13日にPC版がスタートし、11月20日
にはスマートフォン版もスタートした。初めてオンラインで
買い物するときは、多少なりとも抵抗があるもの。通
販よりも敷居が低いオークションを入り口に、「スマートフォン版楽天市場」に人を集めようという作戦だ。
「楽オク」は、iモードメニューの5番目という、非
常に目立つ場所に表示される。「iモードの目立つ場所
に入口を出すことで、「楽天市場」を知らない人でも
意識せずに自然に入ってくることができます」と、太
田氏。この「楽オク」が、「スマートフォン版楽天市場」に
人を集める新たな大きな入り口となるはずだ。
「画像認識」による集客にもトライ
着実に「スマートフォン版楽天市場」での売り上げはあがっ
ているが、太田氏は「まだ浸透しきってはいない」と、
「スマートフォン版楽天市場」を仲ばす余地はまだあると指
摘。アフィリエイトやAPIの公開などをPCと同様
に促進していくことや、広告によってユーザーを引っ
張ることに今後も注力したいとのこと。
楽天は、紙媒体の利用にも積極的だ。「3ヵ月ごと
に80万部発行されるフリーペーパー「楽天マガジン」
から「スマートフォン版楽天市場」を訪れるユーザーも、号
を重ねる毎に増えています」(太田氏)。
「楽天マガジン」では、全商品にQRコードを表示
し、さらに「別冊楽天マガジンオークション号」では、
画像の写真を撮ってメールし、送られてくるURLを
クリックするとそのまま「スマートフォン版楽天市場」のペー
ジに飛ぶことができる画像認識にもトライしている。
「画像認識はQRコードに変わるものとして期待さ
れていますが、まだまだこれからの技術。ユーザーに
とってわかりやすいかも含めて、実際の反応を見なが
ら検討していきたい」と、新手法として注目される画
像認識に対する太田氏の見方はややシビアだが、いち
早く画像認識を取り入れているあたりは、さすが楽天
である。

「スマートフォン版楽天市場」への出店メリット
「スマートフォン版楽天市場」に出店するメリットを整理し
てみよう。
①集客力
前述したとおり、知名度の高さと会員数の多さを誇り、
さらに楽オクという新たな入り□も加わって、スマートフォン
ショッピングモールとしてダントツの集客力を持つ。
②楽天というブランド力
スマートフォン通販を初めて使うユーザーにとっても、安
心して買い物をしてもらうことができる。
③ユーザーメリットが多い
まず、いずれの店舗も注文ステップは同一で、同じ
操作性で買い物が可能だ。一度「スマートフォン版楽天市場」
の中で買い物をしてしまえば、他の店舗でもそれを意
識せずに買い物することができる。また、スーパーポ
イントもPCとモバイル、共通で使えるので、ユーザー
を楽天の中に囲い込む体勢ができている。このように
ユーザーメリットが多ければ顧客も集まりやすく、そ
れがそのまま「スマートフォン版楽天市場」に出店する側の
メリットとなる。
④出店システムが使いやすい
ドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアに対応す
るスマートフォン通販店舗が、簡単にできるのはうれしい。
⑤ECに関するノウハウが豊富
「楽天はECに関するノウハウが多く、成功事例も
数多く見ています。モバイルに関しても、楽天大学や
カンファレンスを通じ、たくさんお話しすることがあります」と、太田氏。経験豊富で、多くのノウハウを
出店者に提供できる体勢が楽天にはある。また、EC
コンサルタントがいて、PC店舗と同様にスマートフォン通
販に関する相談にも乗ってくれる。
もちろん、これだけメリットがある裏側には、たく
さんの店舗に埋もれてしまいがちといったデメリット
もある。だが、スマートフォン通販にとって現在最も難しい課
題である集客が容易にできるメリットはやはり大きい。

「スマートフォン版楽天市場」で成功する秘訣

このように、メリットの多い「ケータ引販楽天市場」
だが、出店した店舗がすべて成功するわけではない。
「これはモバイルに限った話ではありませんが、店
舗がたくさんあるため、何もしないで売り上げがあが
ることはありません。まずは、しっかりと他店との差別化ポイントを理解し、それをユーザーに伝える努力
をすることですね」と、数多くの店舗を見ている太田
氏は語る。
サイト上やメルマガでしっかりと差別化ポイントを
表現することと、様々な企画でユーザーを集める地道
な努力が重要だという。「ユーザーとコミュニケーショ
ンをとるためにプレゼント企画などを実施し、メール
アドレスを集める。メールアドレスを集めたらメルマ
ガを有効活用する。基本的なことですが、これが大事」
と太田氏。
よくありがちな、パッと見て目にとまらないような
店舗が成功するのは難しい。だが、「何かひとつでも
飛び抜けるものがあれば、楽天にはたくさんの会員が
いるので、ぴったりと合うユーザーは必ずいます」と
いう太田氏の言葉は、これからスマートフォン通販に進出し
ようとする人には心強い。アイデア勝負で抜きん出る
こともできる余地がまだあるということだ。
「3年後にはPCとスマートフォン通販が半々に」
スマートフォン通販は成長著しく、将来はPCとスマートフォン
通販が半々になるというのが楽天の見解だ。まだまだ
スマートフォン通販未経験者は多く、「スマートフォンでも簡単に
買えて便利だということを浸透させていきたい」(太
田氏)という楽天の存在は、大きい。
最後に太田氏は、PCとスマートフォン通販が半々の比率
になる時期について「スマートフォン通販は成長率が高く、
スマートフォン端末の性能やスピードもまだまだ向上するで
しょう。個人的意見ですが、3年後ぐらいには半々に
なるのでは。希望的観測ですけどね(笑)」と、控え
めだが、しかし大胆に予測してくれた。

CASE STUDY 11 上新電機(株)

上新電機株式会社
J-web営業課課長
前川俊昌氏

上新電機株式会社
J-web営業課主任
塩谷佳世子氏

家電・PC関連はまだまだ発展途上
秀逸な自社開発のシステムで今後に期待
Joshin web

浪速の商売人がスマートフォン通販に参入
新大阪駅から御堂筋線で15分ほどの難波駅を降り
立つと、いきなり高速道路の高架が見える。そこは、
電気街へ通じる駅だ。上新電機(株)(以下、上新電機)
は、大阪一の電気街である日本橋(にっぽんばいに
ほど近い場所に本社を構える、関西ではおなじみの大
型電気店である。
ニ,・・しT, 上新電機か扱うのは、生活家電やパソコン関連製品、
I:jjづ そして鉄道模型などのホビー商品、中古・アウトレッ
ト商品など。関西を中心に展開する174のリアル店舗
の他に、PC通販サイトとスマートフォン通販サイトを運営
している、
同社がPC通販サイトの「Joshin web」を立ち上げ
たのは1995年。そして、「Joshin web携帯版」をスター
トしたのは2005年の4月だ。
スマートフォン通販の世界では、家電製品やパソコン関
連製品はまだまだこれから。そこにいち早く進出する
ことを決めた同社J-web営業課課長の前川俊昌氏と、
「Joshin web」の運営を担当する同社J-web営業課主
任の垣谷佳世子氏に、家電・パソコン関連製品におけ
るスマートフォン通販の実情を伺った。
ぐんぐん伸びるPC、まだまだのスマートフォン通販
「期待値が大きすぎるのかもしれないんですけど、
スマートフォン通販はまだまだこれからという感じですね」。
前川氏の目から出た言葉は、取材前の筆者の予想とは全く反対の答えだった。
前川氏は、情報を集めては面白そうな企画を提案す
る上新電機の名物アイデアマン。元々システム関連業
務を担当していた前川氏は、「Joshin web」の立ち上
げを提案した本人だ。「1995年当時は、“インターネッ
トでは黒物(PC関連製品)は売れても、洗濯機のよ
うな家電は売れない”とみんな言っていました」と、
前川氏は当時を振り返る。だが、男性ユーザーにパ
ソコンやAV製品が売れ始め、2002〜2003年頃から
PC通販の売り上げがぐんぐん伸びていった。
「今は、主婦層のお客様が増えています。一度ネッ
ト通販で買い物をすると、お店に行かなくてもいいと
いう感覚になるみたいですね」と前川氏。「PC通販
がADSLの普及で一気に浸透したように、スマートフォン
の料金が安くなることで、同じような動きがスマートフォン
通販にも起こるはずだ」と考えた前川氏は、2004年
に「Joshin web」のスマートフォン通販サイトを提案し、約
3ヵ月で立ち上げた。

意外とスムーズだったスマートフォン通販サイトの立ち上げ
「PC通販の立ち上げと同様に、スマートフォン通販の立
ち上げに社内で反対意見があったのでは?」との問い
には、「そんなことはありませんでした。インターネッ
トの世界はPCとスマートフォンしかない。 PC通販でやっ
ている資産をそのまま生かせるのはスマートフォン通販だけ
ですから」と、前川氏。
通販サイトで一番手間とコストがかかっているの
は、商品情報を作る段階。「一度商品情報を作ってし
まえば、そのデータはPCサイトでもスマートフォンサイト
でも使うことができます」(前川氏)。
「Joshin web携帯版」は、PCサイトと連動したサイトとして開発をスタートした。PC版のサイトをベー
スに、表組みのタグなどを抜く作業をしたもので、商
品データなどは共通だ。そのため、同社が持つ膨大な
商品情報テキストがスマートフォン通販サイトにも表示され
る。それでも意外とストレスを感じないスピードで表
示されるのは、不要なタグを抜きほとんどテキストの
状態だからだろうとのこと。特集記事などは、動作が
軽く、スマートフォンで快適に読めるようになっている。
ネット通販システムは
精鋭開発部隊でスピード開発
「Joshin web」のシステムは、最初はパッケージを
導入して開発していた。だが、「パッケージソフトは
小回りがきかない。いろんな機能を付けていくともの
すごい金額の開発費がかかります」(前川氏)。そこ
で、前川氏は優秀な開発部隊をネット通販事業に引き
入れ、システムを自社開発することにした。
「ウェブはスピード勝負です。“こんな技術がでたよ”
とアイデアを出し、どんどん機能を拡張していきます。
「明日までにやって』という感じで注文を出していき
ました(笑)」と前川氏。そのスピード開発体制は現
在も変わらず、ネット通販のシステム全体を4名の社
員、2名の外部委託の計6名で開発している。そのうち、
スマートフォン通販のシステムに関わっているのは、「0.5人
分」ほどだという。
「Joshin web」は顧客視点の仕掛けが満載
「Joshin web」には、お客様の立場に立った仕掛け
が満載だ。例えば、会員専用ページ(my Joshin)の
「お気に入り」。これは、気になった商品をチェックす
れば、あとからじっくりと説明などを読むことができ
る機能だ。 PC通販向けに「お気に入り」機能を作り、
それをスマートフォン通販にも実装している。
「PCのほうが検索や商品の一覧性、見やすさは断
然いいのですが、会社の休憩時間などでは商品をじっ
くり選べないということがあります。こういうとき
に、めぼしい商品をお気に入りに入れておき、電車で
の移動時間などにじっくりと品定めをするといった
使い方ができます」と前川氏。電車の中や空き時間な
どにスマートフォンを覗いている人は多い。PCの前ではじっ
くりと読めない商品の説明も、スマートフォンでなら移動中
などにじっくりと読める。このように、スマートフォンはテ
キストを読むのに適したツールで、取り扱う商品の性
質上、商品説明をじっくりと読んでもらいたい同社に
とってはもってこいなのだ。
「連絡帳」も「Joshhl web」ならではの機能。これは、
顧客一人一人とスタッフを結ぶ専用ページで、商品の
問い合わせなどをやりとりする。この機能も、もちろん
PCとスマートフォン両方から利用できるようになっている。
「連絡帳」の対応スタッフは社員2名にパートの担
当者が7〜8名。約10名で1日約300件の問い合わ
せに対応している。「多い日は700件を超える問い合
わせが連絡帳に寄せられることもあります。これに対
して24時間以内を目標に回答していきます」と、垣
谷氏。リアル店舗では、スタッフがお客様の質問に丁
寧に答える体勢かある。それと同様に、ネット通販で
もお客様にできる限りの情報を提供したいという思い
から生まれた、顧客にも好評なサービスだ。
たくさんの情報量なのに快適な操作
「Joshin web」には、デジタルオーディオの基本的
な使い方から製品の選び方、使いこなしのテクニック
までをまとめた記事など、読み応えのある特集記事か
掲載されている。この記事は、もちろんスマートフォンサイトでも読むことができる。
また、「スタッフルーム」には、店長のお勤め商品
紹介ブログや、特集・商品の使用レポートをつづった
ブログ、鉄道模型の入荷情報や鉄道にまつわる話を載
せたブログなど、ユニークなブログが並ぶ。
「ブログに関しては、「Joshin web』で購入されるお
客様の10%ぐらいの方が必ずご覧になっているよう
です」と垣谷氏。担当者の生の声を聞きたいという雰
囲気を感じるという。
この他にも、購入者が書いたレビュー記事など、商
品に関するあらゆる情報がPCとスマートフォン双方で読むこ
とができる。とにかく、情報が満載の「Joshin web」。
はじめは、その情報のほとんどがスマートフォンサイトから
も読めることが意外だったが、表示スピードも快適で、
読みたい情報がどんどん読める。たくさんの情報がある
のに、「Joshin web携帯版」は快適なのだ。
[家電のプロとしてのメッセージを出しているところ
を、お客様にも評価して頂いています」と垣谷氏が言
うように、サイトの情報はリアル店舗での接客と同じ
く、同社と顧客を結びつける太いパイプのひとつになっ
ている。製品レビュー記事などは、これから買い物を
しようとしている顧客の背中を押す大きな力だ。

集客は公式メニュー経由とメルマガから

PC版「Joshin web」の成長は著しいが、前川氏は
まだスマートフォン通販には手応えを感じていない。「始め
た当初は全くダメでしたね。1日数万円売れるか売れ
ないか。今もまだまだです」と前川氏は渋い顔だ。
スマートフォン通販でこれまでに最も売れたのは2,780円
の「miniSDカード」。「多くのスマートフォンで使えるし、
手頃な値段で買えるからではないでしょうか」と垣谷
氏。スマートフォン通販のメルマガ会員専用の商材として仕
入れて、メルマガを使って告知したところ、よく売れ
た。「メルマガからプラズマテレビや液晶テレビに誘
導しても、まだ手ごたえは少ないです。今売れるのは
1万円くらいまでの“買っておいてもいいかな”と気
軽に思えるものですね。衝動買いに近いんじゃないで
しょうか」(垣谷氏)。
スマートフォン通販ではオーディオ関連機器もよく売れる
が、特定のジャンルが売れるという傾向はないという。
「スマートフォンだからコレが売れる、売れないという特性
はないようです」と、垣谷氏は言う。
3キャリア共に公式サイトである「Joshin web携帯
版」への集客は、公式メニューからがほとんど。その
他にアフィリエイトも導入しているが、効果はまだま
だ厳しい状態とのこと。
「ほとんどがメルマガからのアクションですね。検
索エンジンの弱さも一因だと思うんですけど、ユー
ザーが検索から入ってきている感じがあまりないんで
すよね」(前川氏)。 PC通販は検索ありきで伸びてい
るが、スマートフォンにはその傾向がまだない。その代わり
にメルマガのレスポンスがよく、同社が発行するメル
マガのクリック率はPCで5%程度だが、スマートフォンは
10〜15%程度だそう。
「現状はとにかく、メールを配信してそのレスポン
スを取る、の繰り返し」(垣谷氏)。メルマガの編集も
担当する垣谷氏は、面白い商材を常に配信することを
心がけているという。やはりここでも、スマートフォン通販
への顧客の誘導が最大の課題のようだ。
スマートフォン通販がブレイクする日を今か今かと待つ
このように、期待する成果がまだ上がっていないと
いう同社のスマートフォン通販事業だが、前川氏は「私、新
規事業を立ち上げて、それが成長していくのを見るのが大好きなんです。 PCのときもそうでしたが、毎日
スマートフォンの開発担当のところへ行って、「今日はなん
ぽ売れた?』「桁が足らん、桁が!!」「お、今日は結構
いいな」「もうお前のボーナスなし」とか言ってます。
売り上げは自分の席でも見れるんですけど、こういう
ふうに皆で一喜一憂してるのが楽しくってしょうがな
いんです(笑)」と、とても楽しそうに話してくれた。
さすが、浪速の商売人である。
スマートフォン通販が伸び悩む理由を「定額制になったも
のの、まだまだ高い印象のあるバケット料、検索エン
ジンの未熟さ、家電の中心購買層である30代、40代以
上のスマートフォンインターネット利用がまだまだ少ないな
ど、環境がまだ成熟してきていないということはある
と思います」と分析する前川氏。だが、ADSLの普及
でPC通販が爆発したように、バケット料金がADSL
並みに安くなり、スマートフォン通販の売り上げが爆発する
日は近い将来やってくると前川氏は確信している。
上新電機のスマートフォン通販での売り上げ目標は高く、
同社の苦戦の理由は集客力。だが、自社開発ならでは
のかゆいところに手が届く豊富な機能と、自社開発だ
からできるPCとスマートフォンで同一インターフェイスを
持つシステムが同社にはある。「Joshin web」のシス
テムは、スマートフォンとPCの特長が生かせる秀逸なもの
だ。今後もかゆいところに手が届く機能を追加し成長
していくだろう。
「Joshin web携帯版」は、スマートフォン通販の可能性を
見せてくれるポテンシャルの高いサイト。ぜひみなさ
んも体験してみて欲しい。前川氏が売り上げを見て満
面の笑みを浮かべる日は、近い将来きっとやってくる
はずだ。

CASE STUDY12 (株)ヴァイスロイ・インターナショナル

2010/01/19 - 倒産。 楽天市場、ショップオブザイヤーをかつて獲得していたeブティックヨーロッパが倒産した。

株式会社ヴァイスロイ・インターナショナル
代表取締役
伊藤深氏

「eブティックヨーロッパ(PC
版)」トップページ
https://www.europe.com/

eコマース、モバイルコマースは
本気でやった者だけが勝利を掴む

海外ブランドセール/海外カジュアルウエア
株式会社ヴァイスロイ・インターナショナル

スマートフォン通販は最初から好調な売り上げ
「ルイ・ヴィトン(Louis vuitton)」「コーチ(COACH)」
「ダッチ(GUCCI)」などの海外ブランド品のネット
通販を手掛け、ネットの世界で成功を収めつつあった
(株)ヅァイスロイ・インターナショナル(以下、ヴァ
イスロイ・インターナショナル)が、コンテンツ・プ
ロバイダーのバンダイ・ネットワークス(株)と共に
スマートフォン通販に参入したのは2003年11月のことだ。
当初、ドコモのiモード公式サイトとしてスタートし
た。
スマートフォン通販に参入するに当たって知恵を絞った
のはサイトのネーミング。ネット通販での店名「eブ
ティックヨーロッパjではなく、「海外プランドセール」
という全く違うのれんを掲げたのだ。
「iモードの公式サイトの場合、「メニューノ検索」
ページに表示できるのは店名のみで、しかも文字数に
限りがあります。何を売っているお店なのか一目でわ
かる方が良いのではないかと考えました」(代表取締
役・伊藤深氏)。
伊藤氏は、PCの既存顧客をモバイルに誘導するの
ではなく、スマートフォンでは全く別のお客様を誘引できる
のではないかと考えていた。サイト立ち上げの直後、
期待と不安を胸に過ぎらせながら1日中申込者のリス
トに目を通し続けること3日。3日目に北海道の富良
野のお客様から15万円ほどの注文を頂いた瞬間、「こ
れはイケるのではないか」との手応えを得たという。

30〜50代にも広がるスマートフォン通販
初年度からスマートフォン通販の売り上げペースは快調
だった。「海外ブランドセール」は、2004年10月に
はau、12月にはボーダフォン(現ソフトバンク)の
公式サイトもオープン、現在はそれ以外に、「eブ
ティックヨーロッパ」のYahoo!ショッピング店、ケー
タイ版楽天市場店、「ぽんマルシェ」のスマートフォン版楽
天市場店、「海外カジュアルウェア」の3キャリア公
式サイトと、モバイルだけで9店舗を展開。2007年
度のスマートフォン通販の売上高は前年の約1.4倍を達成
している。
「当初、スマートフォン通販の顧客は、19、20歳くらいか
ら始まって22歳がピークで26歳を境にストンと落ち
る、という年齢構成でした。その台形が、26歳の方
が年をとるに連れて右へ右へと徐々に広がるのではな
いか、と予想していたのですが、嬉しいことに、年を
追って30代、40代、50代と顧客年齢が高くなってき
ています。思っていた以上に早く、台形は太く大きく
広がっているんですね。そういう意味では、今後、購
買力のある年齢の高いお客様が増えて、まだまだ売り
上げが仲びるのではないかと期待しています。
また、当社の場合は、3キャリアではドコモのお客
様が多いですね。一番早くからドコモで展開していた
ということもありますが、ドコモユーザーにはお金持
ちの方が多いのかもしれないと思っています。
r楽天市場』に関して言うと、PC、モバイル共に、
正直、制約が多く、できることが限られている。ただ
し、その仕組みの中でできる限りのことを徹底して掘
りドげていくと、集客力が圧倒的なので、やはり数字
は出ます。実際、「eブティックヨーロッパ』の楽天
巾場店は、PCとスマートフォン合計で2006年のH月には
単月で1億円を突破しましたから」(伊藤氏)。

ブームに合わせ在庫確保、深追いはしない
売れ筋アイテムは、スーパーブランドではアクセサ
リーやお財布、ハンドバッグなど。また、ディスカウ
ント率が高い商品の動きはやはり早い。
ヴァイスロイ・インターナショナルは元々インポー
hSの卸業務を手掛けており、その後のネット通販の
実績もあることから、海外にブランド品調達の太いパ
イプを有している。富裕層限定ではなく、より幅広い
客層にブランド品を販売していくビジネスなので、自
ら流行を仕掛けることはしない。ある品番の世間での
認知度が高まり、ブームが盛り上がりつつある頃に在
庫を潤沢に持ち、切らさないようにしっかりと売って
いく。そして、人気が降下し始めたら深追いはせずに
7めに止めるのがコツだ。
商品は100%買い取り。自ら仕人れた商品を自らの
手で売り切っている。販売力の高さ、顧客満足度の高
さが認められ、「ブルガリ(BULGARI)」からeコマー
スのショップ向けとしては初めてのオリジナル商品
(コスメティック・ポーチ、トートバッグ)が発売さ
れるまでになった。

スマートフォン通販では「目が切れてはいけない」

2006年に「楽天市場」のFshop of the year 2006」で「e
ブティックヨーロッパ」がバッグ、小物、ブランド雑
貨ジャンルのジャンル大賞、「ぽんマルシエ」がファッ
ション、アパレル、靴ジャンルのジャンル賞をダブル
受賞、(株)ディーツーコミュニケーションズ主催「D2C
モバイルショッピング大賞」では第1位を受賞するな
ど、PC通販、スマートフォン通販関連の各種の賞を総なめ
にしているヴァイスロイ・インターナショナルは、画
面の小さいスマートフォン通販ならではのサイト設計のノウ
ハウをどのように捉えているのだろうか。「スマートフォンの世界では、よく『目か切れてはいけない」
という言い方をします。例えば、トップページに「ワ
この冬イチオシのルイ・ウ゛ィトン]-ーワ」と記し、そこからリン
クを貼って次のページヘ誘導したら、そこにも全く|司
じように「ワこの冬イチオシのルイ・ウ゛ィトン]-ーワ』と表記し
ておかないと、お客様が行き先を見失い、迷子になっ
たのではないかと錯覚するからです」(伊藤氏)。
PCでもそうだが、モバイルにおいてもトップペー
ジが一番良い売り場で、さらにその一番上が最も重要
なポジションを占めるが、そこで何をやるのか、何を
見せるのか、日々知恵を絞っている。
お客様は最初の10秒で気合度を見抜く
また、メルマガにも、PCとは違った難しさがある。
こちらも行数、文字数には限りがある。どんな言葉が
お客様の心を掴むのか、キーワードを探すための試行
錯誤を行い、ノウハウを積み重ねていった。「PC以
上に、例えばrタイムセール』といった直球が効果的
なようです」と伊藤氏。
「よく、リアル店舗での商売と比べて、ネットやモ
バイルは出店コストも低いし楽そうですね、という人
がいますが、それはとんでもない誤解で、私は、PC
通販、スマートフォン通販の方がはるかに出店側の本気度は
強いのではないかと思っています。
お客様は10秒もサイトをご覧になられれば、その
サイトが本気で商売をやろうとしているのかどうかを
見抜いてしまう。そして、本気でないと思われたら二
度と訪問してもらえなくなる。立地の良さでカバーで
きる実店舗の商売と違って、死ぬ気になって真剣にや
らないと絶対に売れないんですよ」(伊藤氏)。
eコマースの世界の競争は激しい。メルマガもサイ
トも、時々刻々進化させることのできる企業だけがお客様に支持されるのだ。

「バカが勝つ」世界、笑いながら企画を出せ
伊藤氏は、1967年生まれだが、経営者としてのキャ
リアは長い。大学5年生の時にブランド品の輸入卸業
で起業、1998年にはネット通販時代の到来を見抜き
「europe.co.jp」のドメインを取得してPC通販サイト
を立ち上げている。
「当初、注文の方は3日に1回ポロッ、ポロッと入っ
てくる程度だったんですが、海外の企業から「うちの
商品を仕入れてくれませんか』という引き合いがかな
りあって、「ネットって凄いな」と」(伊藤氏)。2000
年4月には早くもインターネット事業部を設け社員の
採用に着手している。
伊藤氏の社員採用の方法はユニークだ。(株)リク
ルートの転職サイト「リクナビNEXT」に求人広告
を掲載する際、上半身はスーツ姿、下半身はパンツ1
枚でギターを持ち、アフロヘア……という出で立ちの
スタッフの写真を掲載した。キャッチコピーは、「バ
カが勝つJ。度肝を抜く奇策だが、「この時集まってく
れた人材の中には非常に優秀な人達が多い」と語る。
「ネッ1ヽやモバイル通販にとって重要なのは、いか
に他のサイトと差別化するかということです。特に当
社の商品はブランド品で、同じようにインポートの商
品を扱っている同業他社に差をつけるには、エンター
テインメイント性しかない」と伊藤氏は力説する。
前述した「バカが勝つ」の広告を見て同社に来た社
員の中に、非常に面白い発想をする人材がいた。彼は、
PC通販サイト「Yahoo!ショッピング」の「eブティッ
クヨーロッパ」のメルマガを担当し、クリックレート
47.8%というPCとしては驚異的な数字を叩いている。
「うちのおとうちやんか、寝言で「眠い〜」と言った」というような、ユーモラスな独特の語り口なのだとか。
「私は、メルマガライターはタレントにならなくて
はいけないと思っています。ネット通販の業界って、
作業が多く、結構暗くなりがちな世界だと思うんです
が、それでは駄目なんですよね。
平均年齢27歳の若い社員達には、どんどん企画を
出すようハッパをかけているんですが、いつも、『笑
いながら企画を出せ」と言っています」(伊藤氏)。
2007年1月の取材前日にも、同社から筆者のケー
タイに「21時迄の激走l世界初ブランド駅伝」という
タイトルのメルマガが届いた。お昼の12時から21時
まで、1時間区切りでタイムセールを行う、という企
画だ。HTML形式でカラフルな画像や絵文字を駆使
したメールに、「ブランド達の熱い思いX安値への激走
O是非!御参戦下さい剔のテキストが踊る。思わず、
クリックして先を読みたくなるような内容だ。単なる
季節のモチベーション需要にのみ頼らない、独白の知
恵と工夫がここにはある。
eコマースは企業の総合力が勝負
2006年12月決算では全社売上高が47億円。その
うちネット通販部門(スマートフォン通販を含む)で25億
円の売上高を達成したヴァイスロイ・インターナショ
ナル。ただ1人での創業から、中小企業、そして中堅
企業へと順調に自社を育ててきた伊藤氏は、今後の目
標をどこに置いているのか。
「今、当社はブランド卸の会社から、完全にネット
販売を行う小売業への転換を図ろうとしているところ
です。昨年ついにPC通販とスマートフォン通販の売り上げ
が卸や実店舗の売り上げを上回りました。
eコマースは自分にとってはすごく面白いものなん
ですよ。これを徹底的に極めていきたい」(伊藤氏)。 伊藤氏は、今、ネット通販の11界で勝ち組になろう
と思ったら、商品力だけではなく、企画力、サービス、
物流、システム構築、引いては社員教育や資金力など
のすべて、組織としての総合力が高くないとお客様か
らは選んでもらえないと考えている。
「商品に関しては、例えば今当社では「ブラダ
(PRADA)』より『コーチ』の方がよく売れているん
ですが、売れていない「プラダ」の売り上げを伸ばす
よりも、調子の良い『コーチ」を伸ばしていく方が簡
単で、適切な戦略だと思っています。
しかし、会社経営に関しては、苦手な部分を強化す
ることがどうしても不可欠です。遂に、全部が70点
程度でも、トータルしてみると他社を凌駕できるんですよ」(伊藤氏)。
特にスマートフォンではなくPC通販の匪界で1人や家族
のみで起業レjヽさな規模での成功を収めている人達は
多いが、「家業」から「企業」へと会社を大きくする
ことができるのかできないのか、その違いは、早い時
期から戦略的に弱点を補強し、強い組織作りを目指し
て努力してきたか否か、というところにあるように感
じた。

「Dolce&Gabbanaマルチケー
ス」
3,900円(税込み・送料別)
2006年8月〜12月にかけて
15,750円の75%OFFという
低価格で販売。世界未発売・
という付加価値もあり、10月、
11月に特によく売れた商品。
※直営店展開のないアイテム
で、ドルチエ&ガッバーナ社の
ライセンスを持つ工場が企画
商品として製造したもの。

FChristianDiorマフラー」
10、500円(税込み・送料込み)
2006年10月〜33,600円の
68%OFFという低価格で販売。
多色展開と送料無料特典等販
売促進につながり、11月、12
月に特によく売れた商品,

スマートフォン通販の戦い方がわかってきた
伊藤氏は、スマートフォン通販全体の今後については、こ
んな風に考えている。
「正直、ハードの部分、インフラがどのように整備
されるかに左右されるところが大きいですよね。当社
もまだ、例えばモバイル広告についてはコストが高い
のでほとんど着手していない状況ですから」(伊藤氏)。
ただし、計9つのスマートフォン通販サイトを運営してき
た同社は、通販ということに関しては、「戦い方かわ
かってきた」(伊藤氏)と自信を深めつつある。
「これからは、単に1つ1つのサイトの売り上げ
を増やすのはもちろんのこと、ビジネスのプラット
フォームの数を増やしていきたいと考えています。
当社にとって最初のブラットフォームは、「eブ
ティックヨーロッパ」と「海外ブランドセール」によ
る雑貨やアクセサリーのブランド品通販。その次に、
第2のプラットフォームとして、同じブランド品でも
カジュアルのアパレル商品を扱うサイトを整えまし
た。
第3のブラットフォームは、例えばワインでも何で
も良い。こちらが増えれば、第1、第2のプラットフォー
ムのサイトと相互リンクを貼ったりメルマガで紹介し
合ったりして、相乗効果を上げることができる。今度はドロップシッピングに近い形で、当社は在庫を持た
ない形でやりたいと思います」と、伊藤氏は今後の抱
負を語ってくれた。
すでにヴァイスロイ・インターナショナルは、大手
企業3社からモバイルコマースサイトの開発・運営の
サポートの業務を受託、モバイルソリユーション事
業も開始している。ブランド品の販売、という枠を超
えて、自社の持つノウハウ、仕組みを売るビジネスヘ
……スマートフォン通販というピジネスの可能性が世間に認
知されるに連れ、同社のビジネスチャンスは、ますま
す広がっていくのではないだろうか。

CASE STUDY 13 (有)シリアルマミー

商品開発プランナー兼
お菓子研究家
篠直余氏

「シリアルマミー楽天市場店」
トッブページ
https://www.「akuten.ne・」p/gold/
Siiaru/

動物ケーキにお菓子のお弁当
個性で伸びたスイーツショップ
シリアルマミー
有限会社シリアルマミー
話題のデザート発祥の地
スマートフォンの画面いっばいに広がるおいしそうなケー
キの写真。そのサイトには、普段甘いものを食べない
人でも思わずクリックして買いたくなるおいしそうな
商品画像が並ぶ。ケーキをはじめとするスイーツは、
お取り寄せの定番商品。スマートフォン通販でも成功例が多
いジャンルだ。
「シリアルマミー]は、定番の「デセールキャラメ
ル」や、ユニークなアイデアのケーキで大人気のスイー
ツショップ。杉並区阿佐谷の住宅街に小さなケーキ
ショップを構える同店は/‘話題のデザート発祥の地"
と呼ばれる有名店だ。
楽天市場の大人気ショップ
(有)シリアルマミー(以下、シリアルマミー)は、
リアル店舗、PC通販サイト、スマートフォン通販サイトの
3つのチャネルで、自社で生産したケーキを販売して
いる。その売り上げは全社で2億2,500万円(2006年
度)。ネット通販での売上高は約1億円で、スマートフォン
通販でも約1,000万円の売り上げをあげている。
同礼が楽天市場に出店したのは2001年8月。「ケー
タイ販楽天市場」出店と同年の11月に立ち上げてい
る。スマートフォンがやっと倅及したばかりのこの時期から、
スマートフォン通販で売り土jゲをあげるためにはたくさんの
苫労があった。
「楽天市場」出店で成功しているシリアルマミーの
スマートフォン通販への取り組みを、同社商品開発プラン
ナー兼お菓子研究家の篠直余氏に伺った。
ネット通販で1日1万個販売した伝説のスイーツ
篠氏は、ユニークなお菓子の産みの親で、人気料理
番組の先生としても有名だ。篠氏が繰り出す創作洋菓
子はユニークでかわいらしく、ギフト品としても大人
気。その愛らしいお菓子を次々と生み出す篠氏自身も、
元気のいい屈託のない笑顔が魅力的な女性だ。
同店の一番人気の商品は、ほろ苫いキャラメルク
リームのフレンチトーストにホイップクリームをの
せた「デセールキャラメル」。PC通販で1日1万個
を完売したこともある、伝説のスイーツである。「デ
セールキャラメル」はリアル店舗でも人気の定番商品
で、お客様の要望でスマートフォン通販でも販売するように
なり、1番人気となった商品だ。
ユニークな創作洋菓子も人気だ。スマートフォン通販で2
番人気は、「シリマミ動物ケーキ」。犬の形のモンブ
ランや、パンダの形をしたフルーツショートケーキ。
篠氏の手にかかれば、チーズケーキもかわいらしい
ワンちゃんになる。動物ケーキはひとつひとつ手作
りで、表情も様々。ギフトとして、男性の購入者も
多い商品だ。
パッと見て驚くのは、自由が丘スイーツフォレスト
でも名物だった「ちびおかじゅう」。パッと見ると祈
り詰め弁当。しかし、その中身はフルーツケーキの
ご飯にチーズケーキでできた卵焼き、唐揚げはなんと
シュークリームというお菓子の折り詰めだ。「ちびお
かじゅう」は、TVや雑誌でも話題の人気商品だ。

TVで紹介されてもネット通販に人は来なかった
「楽天市場」にPC通販とスマートフォン通販店を出店し
た2001年時点で、すでにTV出演なども多かった篠
氏。だが、マスコミの力でネット通販を浸透させるこ
とはできなかったという。
「この時代はインターネットの世界とリアルの世界
がリンクしていない時代で、ネットで検索してもお店
の情報が出ませんでした。出店当時TVでもうちのお
菓子はよく紹介されていたので、100万円ぐらい売れ
るんじゃないの、と思っていました。でもぜんぜん人
が来なくて(笑)」と、篠氏は出店当時を振り返る。
現在ならTVで紹介されたらインターネット検索か
らやってきた人でサイトアクセスも増える。だが、当
時はインターネットで情報検索する人自体少なく、検
索結果にも表れない。「楽天市場」に出店した月に実
際に「楽天市場」の「シリアルマミー」を訪れたのは
わずか41人。購入者は1人か2人という惨憺たるも
のだった。
リアル店舗は当時も人気があり有名だった。だが、
篠氏は「ウェブの店舗はリアル店舗とは別の店舗とし
てデビューさせないといけない」と思ったという。ネッ
ト通販店を、それまでのリアル店舗とは関係ないとこ
ろで一からスタートさせることを決意したのだ。
楽天に広告を出しメールアドレスを集める
パソコンが苦手という篠氏。頼りになるのは楽天
(株)(以下、楽天)だけだった。「楽天に相談し、ま
ずはアドレスを集めるために懸賞サイトに申し込むこ
とや、広告を出すことを勧めてもらいました」(篠氏)。
広告になんとなく抵抗があった篠氏だが、「きっかけ
が必要」と広告を出すことを決めた。
「2001年当時は広告が1回15万円で、決して安い値段ではありませんでした。でも、「楽天市場」の出
店料は月5万円で、年間契約をしていたので、何もし
なくても1年で60万円はかかります。元手を取る意
味で、ばくち感覚で広告を出しました」と篠氏。その
決断が功を奏し、広告によって約7,000件のアドレス
が集まった。「1回の広告で集まるアドレスは通常3,000
〜5,000件くらいだと楽天さんから聞いていたんです
が、リアル店舗があったおかげでみなさん安心してプ
レゼントに応募してくれたようです」(篠氏)。
アドレスが集まったら、次はメルマガだ。初めて発
行したメルマガは1回で25万円の売り上げがあがっ
た。ネット通販用の商品は2アイテムしかなかったが、
メルマガをきっかけにお客様からリクエストのメール
をもらうようになったという。「これはリアルの店舗
ではあり得ないこと。インターネットではお客様の率
直なご意見とご要望が聞けるんです」と、篠氏はネッ
ト通販の利点を教えてくれた。
「その商品を要望する人が1人いたら、ゴキブリと
同じって言ったら言葉が悪いですけど、その商品を欲
しい人はいっぱいいると思ったんです!」と、篠氏は
笑いながら当時の気持ちを語ってくれた。リクエスト
でネット通販でも販売するようになったのが、いま一
番の人気商品である「デセールキヤラメル」である。
篠氏のカンは当たり、ネット通販でもよく売れた。そ
の傾向は今でも変わらず、お客様からのリクエストを
参考にしているのだという。

2006年からはスマートフォン通販に注力

「パソコンは苦手だがスマートフォンは得意」という篠氏
は、1年ほど前から苦手なPC通販ではなく、ケータ
イ通販に力を入れている。「パソコンは起動するのが
面倒でしょ。スマートフォンはGoogleやYahoo!の検索機能ができてすごく便利になりました。よほどの事じゃな
ければスマートフォンで調べられますから。電車の中、ちょっ
と手の空いた時間、トイレなどでも調べ物ができる
スマートフォンを肌身離さず持つ習慣ができちゃいました」
という篠氏白身、スマートフォンのヘビーユーザーである。
そのスマートフォン通販に、3年ほど前ひとつの変化が
あった。「TVで紹介されると、PCよりもスマートフォンか
らの注文が増えるようになったんです。検索機能を使
いこなせる人たちが増えたんだなと感じました」(篠
氏)。
スマートフォン通販は、お客様の反応が良いのも特長の
ひとつ。メールの開封率が非常に高いスマートフォンは、週
1回発行のメルマガでPC通販よりも売れる日がある
くらいだ。ただ、始めた当初は注文に対する実際の成
立数は約半数。信用もなく、いたずらも多かったとい
う。現在は知名度も信用もあがり、ほぽすべての注文
が成立するようになった。
子供がスマートフォンを持つことで、親子のコミュニケー
ションもスマートフォンに移行しつつある。「奥様がケータ
イを使えるようになると、旦那様も得意になります。
その影響か、年齢層も広がりましたね。スマートフォン通販
のお客様は男性が多いと感じます。男性はなかなかお
店にお買い物に行けないので、インターネットで買い
物をするのかもしれません」というのが篠氏の感触だ。
スマートフォン通販限定の懸賞企画にもチャレンジ
楽天の働きかけで、PC通販とほぽ同時期にスター
トした同社のスマートフォン通販。売り上げの比率は、PC
が10に対してスマートフォン通販は2といったところだ。
スマートフォンのメールアドレスは頻繁に変わるため、PC
通販よりメールアドレス集めに苦労するという。
そこで、楽天の「懸賞市場」でスマートフォン通販向けに
動物ケーキを賞品にした懸賞を開催したところ、1万
件のメールアドレスが集まったという。「応募してく
れた方は元々ケーキが欲しいと思っている方々なの
で、購買率が非常にいいんです」(篠氏)。これは効果
的なメールアドレスの集め方のひとつだ。
リアル店舗との連動で
スマートフォン通販の知名度をアップ
リアル店舗があったことで、“信用"という大きな効
果を得たシリアルマミー。スマートフォン版楽天市場店の認
知度アップも、リアル店舗との連携で行っている。
「QRコード入りのチラシを店舗で購入された方の
袋に必ず入れます。その場でスマートフォン通販の無料券や
割引券が当たるというくじを企画したり、スマートフォン通
販の認知度を上げる努力をしています」という篠氏は、
スマートフォンサイトで顧客の心を掴むのは非常に難しいと
感じている。
「パソコンはいくらでも説明文が書けますが、ケー
タイは如何に短い文章で理解してもらえるかですか
らJ7労します」という篠氏。短い言葉で的確なキャッ
チコピーをつけられるよう、日々熟考していたそう。
逆に、スマートフォンサイト用のキャッチコピーをPC通販
に使ったところ、効果か上がったという。
スマートフォンは画面が1つしかない。当然ながら、PC
用とスマートフォン通販用では商品画像も別のものを用意し
ている。「スマートフォン通販の商品画像は、パッと見で「可
愛い」とかrきれい』と思ってもらえるように意識し
て作っています。商品を1つずつアップで撮影するの
がポイントですね」(篠氏)。確かに、大のケーキやハー
ト型のチョコレートケーキがスマートフォンの画面に大きく
映し出されると、思わず購入ボタンを押したくなる。
そういう意味でも、シリアルマミーのスイーツはスマートフォン通販にとても向いているのだ。
ただし、ソフトバンク系の端末は画像サイズを大き
くすると、画像自体が開かなくなる。そのため、ソフ
トバンクの顧客を獲得するのが、今後の課題だそうだ。
出贋者同士の情報交換が励みに
「楽天市場」からネット連敗を始めた「シリアルマ
ミー」。情報がたくさん得られるのが「楽天市場」出
店のメリットだという。「何もない砂漠で始めるより
は格段にいい。同じ苫労をしている人たちとも出会
えます」と篠氏。ネット通販を始めた2001年当時は、
みんなと情報を交換して幸せになろうという雰囲気が
あり、それが励みになったという。
だが、ネット通販を続けていくうちに、自社サイト
の必要性も感じ始めた。「「楽天市場』にはルールがあ
り、自分の流したい情報が流せなかったり、外部リン
クが張れなかったりと、様々な制限があります」(篠
氏)。ネット通販をショッピングモールだけに限るの
はどうかと思うようにもなった同社は、パッケージソフトを導入して独自の通販サイトを立ち上げた。独自
ドメインのスマートフォン通販サイトも、2006年の12月に
立ち上げたばかりだ。
「自社サイトはできましたが、これからも楽天は続け
ます」と篠氏。わからないことがまだまだ多く、担当
者がしっかりとついて質問ができる楽天は貴重な情報
源。新しい情報を得るためにも、「楽天市場」と自社サ
イトの2本立.てでネット通販を継続していく方針だ。

スマートフォン通販ならではの苦労や工夫も

約5年に亘りスマートフォン通販を続けている同店。ケー
タイ通販は商品受け取り拒否をするようないたずら目
的の注文も多く、その数は増える傾向があるという。
そのため、トップページに『返品について』や『受け
取り拒否について』といった情報を入れ、自衛策を講
じている。
スイーツの場合、配送にも気を遺う。崩さず運ぶた
めに梱包コストが上がり、リアル店舗と同じ価格設定
がしにくい。そのため、ネット通販はリアル店舗とは
全く違う店舗であることをサイトに明記し、商品の価
格設定を変えることにした。
経費の問題はそれでクリアできるが、万が一配送す
るうちに商品が崩れると、クレームを受けるのは販売
店。シリアルマミーの通販パッケージには、配送業者
のドライバーにあてたメッセージも書かれているが、
これもお客様への配慮だ。
「スマートフォン通販は、メルマガを送る時間にもとても
気を遣います」と篠氏。深夜にメールを送るのはもっ
てのほか。それでも「楽天市場」のシステムでは深夜
にメールが送られることもあり、その対策としてメー
ルに送信時間を記載している。

スマートフォン通販には今後の期待が大きい
このように、スマートフォン通販やPC通販、スイーツを
扱う店舗だからこその苦労がある。だが、「問題が起
こったときにいちいちへこまず、“いい勉強になっだ
と思ってその経験を生かせば、スマートフォン通販はきっと
うまくいきます」というのが、篠氏から新たに参入す
る人へのアドバイスだ。
スマートフォンは高機能化が著しく、待っていない人がい
ないというぐらい普及率も高い。「パソコンがひょっ
としていらなくなるのではと思うぐらい」とは、ケー
タイのヘビーユーザーである篠氏らしい言葉だ。その
くらい、シリアルマミーのスマートフォン通販への期待は大
きいのである。

薬の通販は、こちら→サプリ館

-通販
-

Copyright© サプリ館公式ブログ , 2021 All Rights Reserved Powered by STINGER.