禁煙

禁煙できる医学的方法

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具体的な禁煙方法

水を飲むと喫煙欲求緩和、酒とコーヒーはニコチンを求める?

根性だけでは、なかなか禁煙できません。精神依存・身体依存を断ち切る、医学的な方法とは?
 タバコをやめるには冷水を飲む.深呼吸やお香をかぐのもよいし,仁丹・鷹の爪・ガム・飴を口にする方法もある.コーヒー・アルコールがタバコをまた吸い始めるきっかけになる.1本吸えば,1〜2時間後にはニコチンの渇望状態となり,ふたたびチェーン・スモークがはじまる.
 禁煙に成功した人の多くが,タバコを吸いたくなったら,冷水あるいは水をがぶがぶ飲んだという.これには理由がある.ニコチンはADH(抗利尿ホルモン)を分泌するように働き,体内に水分を貯留する働きがある.水をがぶがぷと飲むと体に余分な水分がたまり,したがってニコチンを欲しくなくなるのだ.ニコチンを渇望する波は3分,30分あるいは1〜2時間ごとに襲ってくる.このときに何も考えずに水を飲むのが正解である.
 今はミネラル・ウォーターという便利な物がある.これを机の上に置いて,ニコチン渇望が襲ってきたら,飲むようにする.
 一方,コーヒーあるいは酒とタバコは切っても切れない相性がある.コーヒーあるいはアルコールは抗利尿ホルモンを抑制するように働く.例えばビールを何杯でも飲めるのはそのためだ.つまり尿としてどんどん余分な水が分泌されるからだ.コーヒーも同様である.したがって,ニコチンとは反対の作用をするので,コーヒーあるいはアルコールを飲むときは無性にタバコを欲することになる.これは身体的依存のみならず,心理的依存においても深く結びついている.3日程度で身体的依存が消えても心理的依存はかなり後まで残るものである.
 したがって,禁煙をはじめたばかりのときには,コーヒー・アルコールも厳禁である.
少なくとも3週間ほどして,ある程度自信がつくまでは飲むのを控えたほうがよい.飲み会,喫茶店に皆と行くのはしばら<遠慮したほうがよい.
 同様に,深呼吸もよい手段だ.ニコチンを渇望する波が押し寄せたら,深呼吸をする.
この波は激しいこともあるが,1〜2分で消失するという特徴がある.我慢でさなくなったら,線香あるいはお香の香りをかぐのもよい.不思議とニコチンの渇望が消えるだろう.この方法はかなリ有効なのだが,残念なことに自宅やご<限られた場所でしか使えない.場合によっては,仁丹をなめる,あるいは鷹の爪をかじるという荒療治をやって禁煙に成功した人もいる.これらの生理学的な意義は不明だが,おそらく口腔粘膜の感覚を一時的に麻庫させるためと思われる.
 口が寂しいのを補う目的で,ガムや飴をなめて禁煙に成功した人もいる.ニコチンガムではない.これらはいつも持っていて,ニコチン渇望の波が襲ってきたら,すぐに口に入れるのだ.ガムはカフェイン入りのガムがよいようだ.
 喫煙している人には誰でも吸いたくなる状況があるものだ.
 起きたてに吸う,朝ご飯を食べた後に吸う,電車に乗る前に吸う,会社に着く前に吸う,仕事が一段落したら吸う,昼食後に吸う,コーヒーを飲むときに吸う,帰りの電車に乗る前に吸う,夕食後に吸う,酒を飲んだら吸うなどである.これらは習慣としてあるいは反応として固く結びついている.特に強い結びつきがあるのは起きたてに吸うのと,コーヒー,酒を飲むときに吸う,脂っこいものを食べたときに吸うなどである.
 まずはこのような固い習慣となっているものからやめていくことが大切である.また,禁煙してからも,常にこのような状況では誘惑が起こる.そこで1本でも吸えば,もとのもくあみになることは,アルコール中毒やヘロイン中毒などとまったく同じである.まさに「その1本,その1本が死をまね<」のである.これはなぜかというと,1本のタバコを吸いたいという渇望は,その直前に吸ったタバコによって起こったニコチンの血中濃度の上昇と下降という刺激によるからである.だから,禁煙が成功したと思っても,まちがっても試しに吸わないことだ.そのときにはおそろしくまずいと思うだろうが,30分後には猛烈なニコチン渇望が起こること,間違いない.
 やめ方としておもしろいものに,わざわざ賞味期限切れにしたタバコを吸うということがある.これはじつにまずいものであり,じきに禁煙に成功する.また,1日に100本吸うというノルマを自分に課し,やめるという方法もある.1日数十本を吸う人でも,ノルマとして吸うことはあリ得ない.ノルマとして課された100本はつらいものであリ,それで嫌になって,一度にやめることができよう.

いろいろな禁煙方法の比較

1,単一の方法で,大多数の喫煙者に効果があるというものはまだない.
2.禁煙の三つの柱は薬物療法,社会の援助,問題解決の技術である.
3.ニコチン代替療法またはププロピオン(ザイバン)は成功の確率を倍にする.
自助努力
    喫煙者に教育出版物を与えて,禁煙の自助努力に待つ方法は効果が少ない.
・カウンセリングあるいは他の心理学的介入措置
ドクターが喫煙をやめるように言うことは2.5%がやめる効果がある.強いアドバイスだとよリ効果的である.看護師のアドバイスや教育は,小さいが有意の効果がある.
電話でのカウンセリングは少ないながら効果がある.
グループでの行動療法は禁煙の意欲を高める,再喫煙の防止,禁煙の技術を学ぶ,リラクセ一ションの技術,ストレスをやリ過ごす,認知行動療法を学ぶなどを含む.最近の研究ではこの療法は自助努力よりはよいことが明らかにされている.
個人のカウンセリングはグループでの行動療法を1対1の場で使うことになる.この方法の有用性は示されているが,その効果はグループでの行動療法と同程度である.
インターネットを利用する認知行動ブログラムとニコチン代替療法を合わせたものが中等度の効果をあげている.
ニコチン代替療法
    多くの研究でニコチン代替療法のすぐれている点が明らかにされてきた.大まかに言って,禁煙率を70%上げるが,何も使わずに禁煙できる率が10%ぐらいなので,トータルとして17〜18%というところだろう.この数字は治療開始後6〜12か月の値である.
ニコチン代替療法の種類には,ガム,パッチのほか,日本では売られていないが,鼻のスプレー,吸入器や舌下錠がある.研究によると,どの単一のニコチン代替療法も他の方法に比べてすぐれているということはない.パッチで足りない分をニコチンガムで補う方法もあリ,再発率の低下に効果があるという.
抗うつ薬
 ププロピオン(ザイバン)やノルトリプチリン(ノリトレン)といった抗うつ薬も禁煙に最も効果がある方法の一つであるが,これらは日本では禁煙の目的では認可されていないし,販売の予定もない.
 抗うつ薬の治療は単独のニコチン代替療法よりも効果的である.ただし,抗うつ薬とニコチン代替療法が複合するとより効果があるかどうかはまだ明らかでない.
ブブロピオンが開発されたいきさつを紹介しよう.1980年代の中頃,グラクソウェルカムの研究者は新しい抗うつ薬ブプロピオンを開発し,それの大々的な臨床治験に乗り出した.驚いたことに,彼らはタバコに関するレポートを次々に受け取ることになっ
た.それは,例えば「喫煙したいと思わなくなった」,「私は喫煙の本数を減らした」,「タバコが昔ほどうまくない」というレポートを精神科担当のAndrew Johnson氏が受け取ったのだ.最初の内はあまり気にも留めなかったが,つぎつぎと同じようなレポートが舞い込むにつれ,これは大変なことだとわかったという.これは1986年の出来事で,まだうつ病と喫煙の関連がわかる以前の出来事だった.まもなく,このププロピオンはドーパミン(快中枢に働く)とノルエピネフリン(ィライラを抑える)を分泌するように働<ことが明らかになったという.
現在ププロピオンはアメリカをはじめとする各国で,中心的な禁煙治療薬として使われている.
パレニクリン(チャンピックス・チャンティックス)
    ニコチン代替療法,抗うつ薬に続いて,第3世代の新薬である.これは2007年末あるいは2008年にわが国でも発売が予定されている.米国FDAから優先審査の指定を受けた禁煙のための薬である.バレニクリンは脳内におけるニコチンの作用を遮断する効果がある.バレニクリン(lm91日2回)による禁煙率はププロピオンの2倍,プラセボの4倍であリ,約30〜40%の禁煙効果がある.
やめ方の比較

介入方法 効果
自助努力 小さい
医師のアドバイス 効果的(OR:1.7)
グループカウンセリング 効果的(OR:2.2)
個人指導 効果的(OR:1.6)
ニコチン代替療法 効果的(OR:1.8)
ブプロピオン 効果的(OR:2.1)
ノルトリプチリン 効果的(OR:2.9)ブプロピオンと同等
バレニクリン(チャンピックス) 非常に効果的

ニコチンガム

 ガム(ニコレット)は2001年9月にスイッチOTC薬,すなわち販売時に薬剤師か疾病や服用薬などをチェックし,使用法をアドバイスすべき薬剤として発売された.
 1.ガム(ニコレッド)を用いた禁煙法の特徴.
  ・ニコチン置換療法のひとつ:タバコの代わりにガムからニコチンを供給す
   る.
  ・口腔粘膜からニコチンを吸収させる:吸収は喫煙より遅く,パッチより早
   い.
  ・禁煙時に現れる離脱症状を抑制しながら段階的にガムの個数を減らしてい
   く.
 2.ニコレットsの製剤特徴(メーカー資料による).
  ・1個当たりニコチン2mgを含む樹脂ガム.
  ・1個からのニコチン溶出量l mg.
  ・溶出量のうち0.8mgが口腔粘膜から吸収される.0,2m9が嘸下.肝代謝
   を経た0.06m9が加わり,全身循環量は0,86mgとなる.
 3.ガムの噛み方のポイント(メーカー資料による),
   ・1回1個を約30〜60分かけてゆっくり断続的に噛み,口の内側粘膜から
   吸収させる.唾液をのみ込まない.
 4.スタート時のガムの個数はタバコ依存度によって決める(添付文書による).
ニコレットを用いた禁煙法
  禁煙の動機づけ,ニコレッドを用いた禁煙プログラムヘの導き,プログラムの概要,実施への準備については第2章2各論5で述べるのでここでは実際のやめ方の例を示す.
 例:タバコ依存度(ファガストロームテスト)中程度
  ①1日に噛むガムの個数:8個程度からスタート(噛み方をマスターさせる)
  ②最初はタバコを吸いたくなったら我慢廿ずにニコレッドを噛む
  ③2週間から4週間経ったら2個減らす
  ④離脱症状を感じたら自分にあった回遵法を試みる(p.66を参照)
  ⑤ほは2週間ごとに2個減らしていさ,12週までに梢固からOにする
  ⑥最終段階では離脱症状の回避方法が重要.音通のガムなどに切り替え,早めに二コレットから離れる
☆体重管理をする ☆途中喫煙したらプログラムは中止 ☆成功後の再喫煙に注意

ニコチンパッチ

 
ニコチンを含有する貼付薬禁煙補助薬といわれ,ニコチン置換療法に使用する.
1.タバコはぴったりやめて,ニコチンパッチを貼付する.
2.禁煙後のニコチン離脱症状を緩和できる.
3.大パッチから始め,中パッチから小パッチを投与し,ニコチン量を漸減する.
4.吸いたい気持ちのコントロールのため,離脱症状の対処方法を会得させる.
5.パッチの処方と同時にカウンセリングが大切である.
ニコチン代替療法
 タバコの代わりに薬剤からニコチンを投与する治療方法.
禁煙後約3日で,体内のニコチンは消失する.その際にニコチン離脱症状:強い喫煙願望,イライラ,集中できず,だるい,眠い,頭痛が出現し,禁煙を困難にする.
タバコはぴったりやめて,代わりにニコチンを含んだパッチを貼る.パッチは大(二コチン52.5m9含有),中(ニコチン35m9),小(17.5m9)の3種類あり,ニコチン量の多いパッチから少ないパッチに段階的に投与しニコチン量を漸減すると,低いニコチン濃度に体が適応していき,離脱症状を緩和でさる.
  
貼付方法(ちょうふ)
    標準的な方法では大パッチを2〜4週間,中パッチを2週間および小パッチを2週間投与する.パッチ貼付後の初めの1週間は,離脱症状が現れる.この時期を乗り切ることが成功に繋がる.頭を切り替える,水を飲む,深呼吸をする,ストレッチをする,歯を磨くなどの離脱症状の対処方法は禁煙の基本であり,通院中に吸いたい気持ちのコントロールを学はせる.
大パッチを2週間投与し,その間禁煙ができて離脱症状も軽い場合は,中パッチに変えてもよい.ただし,大パッチ2週間で禁煙がで・きたとして,パッチを中止するのは正しくない.ニコチン量を漸減して中止にいたる方法をとるべきである.
 パッチは朝に貼付し,翌朝に交換する.入浴時はパッチをいったんはがし,入浴後皮膚を乾燥させて同じパッチを貼る.
投与時の注意
 パッチ貼付中の喫煙は,さらに急激にニコチン濃度が上昇するため,大変危険である.
もし,パッチ貼付中喫煙したら,吸った理由を患者と共に考えて,離脱症状の対処方法を確実に実施するよう指導する.このような場合,パッチは同じサイズを処方し,完全に禁煙できたらニコチン量の少ないパッチヘとすすめていく.
 禁煙に成功しても,タバコを吸いたい気持ちは時に起こるのが普通である.吸いたい気持ちのコントロール方法の実施を強調する.禁煙後でも,タバコを1本吸ってしまえば,すぐに元にもどってしまうことも忘れすに注意する.
 喫煙は,肝臓での酵素を誘導し薬剤の代謝を早めるため,禁煙によって薬剤の濃度が上昇する場合がある.特に,気管支拡張薬のテオフィリンや統合失調症の治療薬のジプレキサは,投与量を減らす必要がある.
                                      

ニコチン以外の薬物療法

1.ブプロピオン,ノルトリプチリンとバレニクリンがとくに有効である.
2.ブプロピオンは国内販売の予定はないが,バレニクリン(チャンピックス)は認可されている(個人輸入代行業者からも買える).
3.バレニクリンの有効性はブプロピオンの2倍,プラセボの4倍とされている.
ププロピオン
  商品名はザイバン9という.グラクソスミスクラインの開発による.抗うつ薬として開発されたが,禁煙に効果があり,安全であるということで,1998年にアメリカのFDAの認可が下りた.この研究は毎週の個人的なカウンセリングと合わせて行われた.
7週間薬剤を使用し,7週後の禁煙率はプラセポが19%,100 mg/日が29%,150 mg/日が39%.300 mg/日が44%であった.
 1年後の禁煙率はプラセポが12%,100 m9/日が20%,150 mg/日が23%,300 mg/日が23%たった.禁煙後の体重増加も薬剤が多いほど少なかったという.またニコチン離脱症状も150mg,300 mg/日において少なかった.主な副作用としては不眠症と口渇があった.この結果150m9/日を3〜4日として,その後300m9/日に増やす,また血中濃度が安定する投与開始後8日目を禁煙目標日とすることが勧められる.ププロピオンは米国では年間700億円の売り上げを上|ブているという.
 ププロピオンとNRTの併用療法を研究したものでは,1年後のフォローアップでプラセポでは15.6%であったのに対し,NRT単独では16.4%,ブプロピオン単独は30.3%,両者では35.5%であった.特に体重増加は併用療法で明らかに抑制された.特に目立った副作用としては併用療法の6.1%で高血圧症があったことである.
 ブプロピオンの副作用の多いものは,頭痛,口渇,嘔気,嘔吐,不眠,多動である.
この多くは1週間以内に起こるが,不眠は長く続きうる.けいれんは0.5%以下と非常に少ないが,てんかんの既往歴のある症例では禁忌になっている.
ノルトリプチリン
    商品名はノリトレンといい,抗うつ薬として保険適用がとれており,大日本製薬から発売されている.剤形は10 m9 と25 m9 がある.感情調整作用が強力な三環系抗うつ薬である.禁煙に対する効果はザイパンと同程度と考えられている.作用機序はノルアドレナリンとセロトニンの再吸収を阻害することにある.というのはこの再吸収が二コチン依存症の中心的な機序と考えられているからである.
  副作用は三環系抗うつ薬に特有な口渇,視野のぽやけ,便秘,起立性低血圧などである.ノルトリプチリンは大うつ病の既往を有する患者に適応がある.
バレニクリン
 バレニクリン(チャンピックス)はファイザー社が開発した選択的ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作動薬である.バレニクリン(チャンピックス)の特徴は,ニコチン受容体に弱く作用するように設計されており,それによって喫煙したい欲求とニコチンからの離脱症状を緩和する.同時に,バレニクリンを服用中にタバコを吸うと,バレニクリン(チャンピックス)の持つニコチン受容体を遮断する作用によって,喫煙によって得られる満足感を抑える.これらの効果があいまって,ニコチン依存を断ち切ることが可能となる.バレニクリン(チャンピックス)は2006年にFDAから承認を受けた.日本国内ではもう承認済み.病院処方も可能だし、個人輸入代行業者からも購入可能。
  バレニクリン(チャンピックス)は,男女ほぼ同数の3,659人が参加した6つの総合的な臨床開発プログラムに基づき承認された.被験者は平均で約25年間にわたって1日平均21本のタバコを吸ってきた.バレニクリン(lm9 2回)を12週間服用した喫煙者の禁煙率は44%で,ブプロピオン(150 mg 1 日2回)30%,プラセポ群18%よりも有意に良いことが同一デザインの2つの臨床試験において証明された.参加した被験者には禁煙指導と禁煙のための手引き書が渡された.12週間服用期間終了後,被験者を40週間にわたって追跡したところ,1年後にはバレニクリン(チャンピックス)を12週間服用した被験者の22%が禁煙を続けていた.一方でププロピオンは14%,プラセボ群は10%に過ぎなかった.
  さらに12週間の治療で禁煙に成功した患者がプラセポあるいはバレニクリン(チャンピックス)を12週間追加治療した結果ではバレニクリン群の71%が6か月後にも禁煙を持続していたのに対し,プラセポ投与群では50%にとどまり,有意な効果が示された.
バレニクリン(チャンピックス)の認容性は良好であり,治験からの脱落率はプラセポと同等だった.副作用としては嘔気,不眠,便秘,異常な夢がプラセポよりも多かった.特にバレニクリンlmg1日2回では嘔気は30%(プラセポ群では10%)にみられ,0.5m91日2回群ではプラセポ群の11%に対して16%が訴えた.多<は軽度だったが,治療期間中続いたケースもあった.

禁煙後のニコチン離脱症状

 ニコチン依存症から離脱するときにはすべてではないにせよ,イライラ感,不安感,集中できない,落ち着かない,眠気あるいは不眠といった症状か現れる.この離脱症状は最初の3日間が最も強く,以後は少しずつ薄れていき,3週後にはほぼ消失する.その後は身体的依存症状はなくなるが心理的依存症状は続く.
これも徐々に薄れていき,3か月ほどで消失する.その場合でも1本でも吸えば,また元のようにニコチンを渇望し,依存症にもどってしまう.アルコールやモルヒネ中毒などと同様である.
 米国精神医学会診断・統計マニュアル第四版(DSM-IV)によると,ニコチン関連障害として305.1ニコチン依存,292.0ニコチン離脱があげられている.そこであげられている症状には不機嫌または抑うつ気分,不眠,焦燥感,欲求不満または怒り,不安,集中困難,落ち看きのなさ,心拍数の減少,食欲・体重の増加がある.これらのほとんどは禁煙して1か月以内におさまる.
 ニコチンにより側坐核のドパミン作動性ニューロン終末からドパミンが放出され,快感や幸福感が起こる.いわゆる脳内報酬回路の活性化である.同時にノルアドレナリンにより,覚醒効果と,セロトニンによリ抗不安効果,抗うつ効果が起こるのだが,禁煙によってこの系が働かなくなり,一過性に眠気とうつ的な気分に陥ることがある.これはけっして永続的な症状ではなく,大多数は3日,長いものでも3週間で終わることを信じることが大切である.こういう神経伝達物質は体内では自然に分泌されるのであるが,ニコチンの刺激で常に出し続けると,自然には分泌されなくなる.この結果,ニコチンが切れるとイライラしたり,不快感が増し,情緒不安定になる.こうしてタバコを吸わざるを得なくなる状態がニコチン依存症である.ニコチンがなくなれば,ゆっくりとだが,2〜3週間で回復してくる.
 離脱症状は人によって様々であリ,またその程度も強いものからほとんどないものまである.タバコに対する気分によっても変化しうる.例えばタバコがなくて寂しいが,誰かのためにやめなければならないという守備的な態度の場合は強く現れ,タバコに振り回されてひどい目にあった,もう冗談じゃないというタバコに対して攻撃的な態度の場合は現れ方が少ないことが多い.したがって,タパコというつリ針にかかっている自分を想像するのもよい方法である.
精神的あるいは身体的な離脱症状と持続時間,対処法
タバコを欲しがる--2〜3日
めまい --1〜2日
頭痛 --7日以内
咳 --7日以内
胸部の圧迫感 --7日以内
睡眠障害 --7日以内
ねむけ --7日以内
イライラ感 --2〜3週間
集中力の欠如 --2〜3週間
疲れやすさ --2〜3週間
便秘・上腹部痛 --1〜2週間
食欲増加 --数週間
だいたい、最初の3日間が最も激しい
我慢する・水を飲む・カフェインの入ったものを夕方に飲まないのが大事
離脱症状
  3日,3週間,3か月のハードルがある.これをつぎつぎに乗り越えていく.タバコを吸わなくなると様々な身体的,心理的な離脱症状がでる.多くの症状はやめて2,3日で急激にやわらくこまた他の症状もその後2,3週間かけて徐々にやわらいでいく.
  
・離脱症状のあれこれ
 
イライラする.怒りっぽくなる.落ちつかなくなる.冷汗をかく.手持ち無沙汰になる.興奮する.不安になる.体が震える.眠くなる.疑い深くなる.敏感になる.おしゃべりになる.とてもタバコがほしくなる.考えがまとまらなくなる.物覚えが悪くなる.
何か怖くなる.眠れなくなる.情緒不安定になる.胃が痛くなる.何か食べたくなる.
混乱してしまう.頭痛がする.悪い夢を見る.便秘になる.
・離脱症状を乗り越えるには
    何か運うことをする.深呼吸する.水を飲む.気を紛らわせる.いたずら書きをする.
クロスワードパズルをする.運動する.手を動かす一裁縫,編物,かぎ針編み.砂糖分の入っていないガムを噛む.砂糖分の入っていないキャンディーを食べる.ニンジンやセロリを食べる.歯を磨く.庭仕事をする.めがねを磨く.柔らかいボールを握る.
1年目までは時折,喫煙をした夢を見ることがあるし,タバコを吸っている人に近寄リ,煙を吸いたくなることもある.そのうちに煙の臭いが悪臭と気づくようになるときがタバコと決別できた瞬間である.
タバコをやめて変わること
 ニコチンから離脱して変わることは,味覚が鋭くなり,また自然の緑と花の香りがわがる,体が臭くない,ストレスがなくなる,火を消したかどうかが気にならない,喫煙場所を探し回らなくてよい,経済的に楽になるなどは皆が言うことである.そのほかに,
 タバコのポイ捨て,タバコの煙などをまき散らしていたことにも初めて気づくのである.
また,家族や周囲に対する迷惑,家計への負担,家を汚していたことにも気づく.むろん,心臓の不整脈,妙な咳,吐き気,のどの痛み,呼吸困難も自然に軽快していく.

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