通販

通販開業の基礎知識

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通販を始めるための9つのステップ

この章では、小さな会社に向いている単品通販事業について、事業を立ち上げる際の流れに沿って、各段階で重要となるポイントについて簡単に説明していきます。また、通販には特有の専門用語がありますが、知っておく必要のある言葉はそう多くありません。ここで最低限の用語だけを覚えておくようにしましょう。
9つのステップとは、まずどういった顧客に、どういう商品を売ればいいのかについて考えます(ステップー)。受注や代金回収方法、事業計画書についてもです。次に商品の価格を決めます(ステップ2)。DM(ダイレクトメール)や顧客リストについても考え(ステップ3)、受注から代金回収までの一連の流れ(ステップ4)、顧客管理(ステップ5)、広告表現(ステップ6)、広告媒体の選び方(ステップ7)を知ります。さらに、通販の展開手法(ステップ8)、通販と並行して商品を卸す方法(ステップ9)についても学びます。

〈基本戦略〉とりあえず何か売ろうでは失敗する
まず、以下のことがらについて、「成功の確率が高く、収益が期待できるかどうか」をポ
イントにすえて基本戦略を立てます。

◆商品ー何を売りたいのか
通販、とくに単品通販を成功させるには、まず商品の選定と他社商品との差別化がポイントになります。通販向きの商品としては、次のようなものがあります。

①この通販でしか手に入らないもの(従来の販路とは違う商品、あるいは限定商品)
②現地でしか手に入らない産直品
③生産者が自家用にしていたもの
④プロに流通している商品(お店に流れる食材や、その道のプロが使う「プロ・ユース」
と呼ばれるものなど)

これらはいずれも希少性のある商品なので、価格競争力があり、高いリピーート率(申し込み率のこと)が望めます。
ほかに、栽培・仕入れ・製造などで安定した供給力があるもの、商品誕生の背景に人を引きつける歴史や物語性のあるもの、売り手であるあなたが熱意と愛情を注いだものであることが重要です。モノがあふれかえっている今の時代には、何かロマンや物語を感じさせるものでなければ売れません。「とりあえず何か売ってみよう」では、商売として成り立たないのです。

◆顧客ー誰に向けて売りたいのか
商品にもいろいろあります。男女いずれに向けたいものなのか、対象年齢はいくつなのかなど、明確に対象を絞らなければ成功は難しいものです。
幅広くさまざまな人に買ってもらえれば嬉しいというような気持ちは捨てて、マーケティングの狙いをしっかりしましょう。

◆メディアー広告媒体を何にするのか
広告媒体とは、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・折り込みチラシやダイレクトメールなど、自社の広告を出す「場」です。商品を誰に向けて売りたいかや、予算によって慎重に選択しましょう。

◆広告表現ーどんな媒体にどういう広告を打つのか
商品のよさをアピールする表現は、広告媒体の種類によって変わってきます。メディア
の検討と併せて考えましょう。

◆フルフィルメントー受注から代金回収までをどのような方法で行なうのか
フルフィルメントとは、商品の受注から配送、代金回収までの一連の流れをいいます。
通販の基礎用語ですので、覚えておいてもいいでしょう。また、この一巡の流れをスムーズに行なうための体制作りも考えておきます。

◆顧客管理
顧客に関する情報(デー夕)をどのように整理するのか
リピート購入(繰り返し購入してもらうこと)を促進するためにも、顧客情報のデータベース化の方法をよく考えておく必要があります。

◆経営資源の活用‐「人」については優秀な人材に任せる
以上に加え、すでに何らかの事業を手がけている人は既存の経営資源(入、モノ、金、技術やノウハウ、販売ルートやネットワーク、不動産や機械設備、販売先・仕入先・外注先など)が利用できるか、なども検討します。3年以内に黒字にできるかどうかのカギを握ります。
「人」に関しては、最初はあなた1人で始めるのが理想です。社内に通販部門を新たに設ける場合は、余剰人員を担当スタッフにあてるような安易な考えではダメで、新規事業の立ち上げにふさわしい優秀な人材が必要になります。

◆事業計画書の作成?事業のビジョンは明確か
こうしてビジョンがまとまったら、それを数枚の事業計画書にまとめてみます。最初は簡単なレポートでもいいでしょう。
事業計画書を作ることで、漠然としていた事業の全体像が鮮明になり、欠点なども見えてくるはずです。事業計画書は、協力者を募ったり融資を受ける際にも必要です。

原価は3割以内に抑える
何を売るかが決まったら、次にすべきなのは商品の価格設定です。初めて商売をする人は、価格設定の段階で大きな間違いを犯してしまいがち。必ず次の数字を目安としてください。

原価率

通常の通販サイトの原価率

 

◆原価は30%が目安
日本通信販売協会(JADMA)の2002年の調査によると、さまざまな商品を扱う総合通販事業の場合、原価率は47・5%でした。ただしこれは、JADMAに加入している通販会社のうち大手企業の例です。これから事業を始めようとする小さな会社の単品通販の場合には、なるべく原価率を低く抑え、高く売ることのできる付加価値を作り上げ、利益を残していく必要があります。なぜなら、初めて商品を売り出すにあたっては、その商品を消費者に理解してもらうために、広告や販売促進にかなりの費用がかかるからです。
その商品が、他では手に入らない独自性のあるものであれば、原価を抑えて高く売ることができます。
大手通販会社のように原価を50%ぐらいに高く設定してしまうと、利益が残らないため失敗する人は多いものです。商品価格の設定は、よくよく将来性を見つめなければいけません。単品通販商品の場合、その目安が30%です。
なお、健康食品の場合は原価の目安が10〜15%といわれています。つまり、それほど広告費がかかるということです。

◆宣伝広告費・販売促進費は30%
宣伝広告費や販売促進費はかければかけるほどいいというものではありません。商品価格の設定に大きく影響を与えます。おおよそ30%ぐらいを目安にスタートするのがいいと思われます。もし反応がよければさらに費用をかけてチャレンジするのも手ですが、冷静になることも忘れないようにしてください。

◆物流関係費(配送費など) ・コンピュータ関連費・人件費・その他・営業利益は40%
原価と宣伝広告費・販売促進費を除く費用は、おおよそ40%になります。基本的には、営業利益を含めたその他の費用を40%の範囲内でなんとかできるように意識しましょう。

広告戦略ー通販利用者の7割を占める女性を意識

◆誰に向けて売りたいのか
 現在、日本の通販の利用者の7〜8割は女性です。日本だけでなく韓国、中国、アメリカでもそうですが、。ものを買う〃というのは女性に多い行動なのです。商品を男性用品だけに特化しない限り、ほとんどの場合は女性がターゲットだと思っていいでしょう。
 少子高齢化を反映してか、食品単品通販では60歳代以上の女性の利用が目立ちます。60歳代以上の女性すべてをターゲットにするのか、あるいは、そのなかでも1割ぐらいのお金持ち層だけを相手にするのか、という検討も必要です。
 「誰に向けて売るか」は、広告媒体選びにも関わる重要なテーマです。

◆どこにDM(ダイレクトメール)や広告を出すのか
 顧客を獲得しなければ、通販の成功はありえません。顧客を獲得するには宣伝が必要ですが、これにはテレビCMや新聞・雑誌広告のようなマス媒体を使ったものと、個人をターゲットとしたDMなどがあります。
 マス媒体を使った宣伝や新聞の折り込みチラシなどは、エリアが広く効果が期待できますが、相当な費用がかかります。万万、DMは、確実に。売りたい顧客に情報が届くのですが、開封されなければ宣伝広告費は無駄になってしまいます。
 双方の長所短所と、誰に売りたいのかを吟味して、効果的な広告を打つ必要があります。

◆顧客リストはあるのか
 顧客リストとは、お客様の名前・性別・年齢・住所・電話番号・どういう商品を購入したかなどの情報を含んだリストです。通販を始めるなら当然、あったほうがいいものですが、新規参入の場合には、ままならないことが多いでしょう。リストがない場合は、それを集めるための費用を用意しなければなりません。

〈受注や代金回収〉相手の立場に立って複数用意
 フルフィルメント(商品の受注から代金回収までの一連の流れ)は、通販のなかで唯一、顧客と接点をもてる非常に重要な部分。ていねいな受け答え、連やかな商品の配送、こまやかで感じのよいクレームヘの対応などが必要です。
 対応のしかたひとつで、顧客の満足度を高めることもできれば、逆に不満をもたれ顧客離れが起こることもあるのです。
 受注・配送・代金回収の方法には以下のものがあります。

・受注方法—電話(フリーダイヤル)、ハガキ、ファックス、インターネットなど
・発送方法11宅配便、郵便など
・代金の回収十1郵便振込、銀行振込、代引き、インターネットによる電子決済、コンビニでの決済など

これらの方法のうち、どれがベストということは、顧客の年齢層や居住地などによって異なるので、一概にはいえません。たとえば高齢者が主な顧客なら、受注方法はインターネットより電話やハガキのほうが親切ですし、代金回収の方法も、地方によっては、コンビニはすぐ近くにあるが郵便局はバスに乗らないと行けない、というケースがあるからです。
 したがって、できる限り多くの方法を用意しておいたほうがいいでしょう。
 また、代金回収については、通販で売上を伸ぱすためには、「後払い」を鉄則とします。
「前払い」では、新規顧客の増加は見込めません。「後払い」にすることによって起こる代金の回収不能率は、店舗での万引きなどによる商品ロス率よりも低いといわれています。つまり、代金回収不能は、思ったより少ないということです。

〈データ分析〉「よく買ってくださるお客様」を発見
 通販と小売業の決定的な違いは、顧客管理のやり方にあります。
 どの小売業者も顧客管理ぐらいはしていますが、通販で行なわれているほどの顧客情報のデータベース化やデータ分析は、あまり行なわれていません。「どの顧客が」「いつ」「どの商品を」「どのくらい購入したか」という分析がなかったら、通販はできないといってもいいぐらい、両者のシステムはまったく違っています。
 顧客分析は通販に必要不可欠ですので、次に説明する各種の用語とともに、しっかり覚えておきましょう。ただし言葉を覚えるのが目的ではありません。内容を理解してください。

◆顧客情報をデータベース化する
 顧客の住所や年齢・性別、いつ、何を、どれだけ購入したかといった情報は、必ずパソコンに入力してデータ化しておきます。
 このデータは、有力顧客、いわゆる「よく買ってくださるお客様」を発見するのに役立ちます。また、新しい商品をテスト販売する際などに、お客様を選ぶ基本のデータともなります。このように、お客様をある条件で選び抽出することを「セグメント」といいます。
セグメントは、効果的なDM発送の基本手法です。
 顧客情報のデータベース化は、「どの顧客が」「いつ」「どの商品を」「どのくらい購入したか」を正確に把握するために、非常に重要なものとなるのです。
 なお、顧客の個人情報については、いわゆる「個人情報保護法」が平成15年に施行されています。個人情報データベースの取り扱いについては、慎重に行なわなけれぱならないことをお忘れなく。

◆データベースを活用した顧客分析を行なう
 データベースを活用すれば、次のようにさまざまな分析が可能になります。

◆データベースを活用したさまざまな分析
①Oneto one マーケティング
 顧客一人ひとりを分析し、好みやライフスタイルに合う商品を提案する。
②レスポンス率などの分析
どの宣伝手段に対し、どのくらいのレスポンス(反応)があったかを分析する。1レスポンスあたりのコスト、1注文に対するコストなどもはじき出せる。
③RFM分析
 最終購入日(=R)、購買頻度(=F)、購買金額(=M)を分析して、有望な見込み客を割り出す方法。

 ①「One to Oneマーケティング」
 One to Oneマーケティング」とは、顧客一人ひとりの実績を分析し、その人の好みやライフスタイルにあった提案を、DMや電話などで行なうことです。つまり、一人のお客様から広く商品の注文をもらう、あるいは確実にリピートの注文をもらう、そのための手法と考えてください。

 ②レスポンス率などの分析
 「レスポンス」とは、顧客からの注文申し込みや問い合わせなどの反応のことです。
 折り込みチラシやDMなどをどれだけ配り、その結果どれだけの反応があったかによって、レスポンス率を計算します。
また、このレスポンスの数値から、「CPR」(Cost Per Response l件あたりの見込客獲得コスト)や、「CPO」(CostPer order I件あたりの顧客獲得コスト)も明らかになります。
 さらに、それらのデータの蓄積により、顧客の継統率や漸減率(徐々に減少していく率)、どれぐらいの新規顧客をいくらぐらいのお金をかけて獲得するかといった計算も可能です。
 ③「RFM分析」
 「RFM分析」とは、すべての顧客のなかから有望な見込み客を見つけるための方法として活用されている、通販の顧客分析の手法です。
 「RFM」のR(lngq)は最終購入日、F(Frequency)は購入頻度、M(Monetary)
は購買金額。この3つの観点から、それぞれにウェイトづけをして得点化し、分析します。
そして、優良客・普通客・休眠客といった顧客のランクを設定し、ランク別の効果的なプロモーション(宣伝活動)を実施することができます。
 R(最終購入日)、F(購入頻度)、M(購買金額)の3つのウェイトづけをどうするのかが、各社のノウハウになります。

◆優良顧客を獲得できる広告媒体を見極める
 媒体別に獲得した顧客リストから、どの媒体に優良顧客がいるかを発見する分析手法として、「LTV(Life Time value)分析」があります。
 これは、顧客1人あたりの獲得費用と、その後に顧客から得られる継続的な利益を、広告を打った媒体別に分析することです。つまり、どの媒体から最も優良な顧客を獲得できたかを見極める手法です。通常、顧客の年間LTV(顧客から得られる利益)が、顧客獲得費用を超えると優良顧客と判断します。
 たとえば新聞の折り込みチラシで、注文ハガキに、朝日新聞なら「朝」、毎日新聞なら「毎」と印刷されているのを、見かけたことがあるでしょう。これは、各新聞(媒体)ごとに、広告の商品に聞するレスポンス(問い合わせや注文申し込みなどの反応)がどれだけあったかを分析するためのものなのです。通販会社ではこれをもとに、「この商品を買いそうな人は、朝日新聞と毎日新聞のどちらに多くいるか」といったことを判断し、売る相手(顧客)のイメージを明確にしているのです。

広告表現=わずか1〜3秒が勝負の分かれ目

広告表現に関しては、次のことがらに留意してください。

①商品を伝えるコピー表現はとても重要
 消費者の目をとめ、読ませる広告を作るためには、コピー(広告の文章表現)が重要です。たとえば、今となっては有名になったくやずや〉の「香酷」は、折り込みチラシの広告に、「普通のお酢ならつくらなかった。」というコピーを使っていますが、これは消費者に、「どんなお酢だからつくったの?」という興味を抱かせます。このコピーは当初、テレビCMのナレーションにも使われ、広告の相乗効果をあげました。
 単品通販の商品は、とくに説明必要商品(消費者にその商品の特徴を説明する必要があるもの)が多く、いいたいことが山ほどあります。また、そうでなければいけません。だから広告を読んでもらいたい。そのためには、コピーの力がものをいうのです。
 また、広告には、一目で何かいいたいのかを理解させるという役割もあります。「無料サンプルの申し込み」なのか、「資料請求」なのか、代金をいただいて売っているのか。それがはっきりとわかることも重要です。このことは、ネット通販の場合に、トップページで「物を売っているサイトですよ」ということが一目でわからなけれぱならないのと同じです。

②通販広告は普通の広告とは違うことを認識する
 通販は小売と違って、梢費者は商品の実物を見ることができません。そのため広告では、商品の中身をきっちり見せるように作るのが基本です。
 たとえば、手打ちうどんの詰め合わせであれば、箱の中にうどんが何把、汁が何袋、薬味がいくつ入っているかを見せなければなりません。要は、消費者が小売店の店頭で確認できる範囲のものは、すべて見せるようにします。

③目につく・手が止まるデザイン及び写真を意識する
 たとえば、ある食品通販の会社では、女性をターゲットとした酢のカプセルの折り込みチラシに、バレリーナの大きな写真を入れました。今、中高年女性の間ではバレエ・ブームが起きているからです。その結果、他の写真を使ったときより多くのレスポンスがありました。
 酢のカプセルとバレリーナには何も関係がありません。けれど、そのバレリーナの広告を見た中高年の女性の頭の中には、「酢↓健康によい↓バレリーナのようにスタイルがよくなる」といったイメージが、勝手に広がっていくのです。写真のインパクトで、女性の目を引きつけた広告といえます。

④媒体によって表現が変わることに注意する
 ③とも関連しますが、新聞広告、祈り込みチラシ、雑誌広告など、それぞれの媒体によって、消費者が広告に目をとめる速さは異なります。
 一番短いのは祈り込みチラシで、パッとあけて1秒間が勝負。そこで目にとまらなければ、捨てられてしまいます。長くても雑誌の3秒ぐらいですが、折り込みチラシや新聞と違い、雑誌はしばらく身近に置くものなので、また見てくれる可能性はあります。
 いずれにせよ広告は、わずかI〜3秒の間に消費者を引きつけられるかどうかを考えて作る必要があります。

⑤広告テストをして効果的な展開を図る
 通販では、余裕があれば広告のクリエイティプ・テストをするといいと思います。
 いつも同じ広告を出すのではなく、コピー表現や写真の大きさを変えたりして、どれが一番訴求力があるかをテストするのです。実際にこのテストを行なうと、自分がよいと思っていたデザインがインパクト不足だったり、逆に「こんなもの」と思っていたものが評判がよかったり、意外な評価が出てくるものです。
 たとえば、折り込みチラシなどのクリエイティプ・テストの場合は、都心部やターゲットの多いエリアを限定してチラシをまき、その後、好結果を得たチラシを全国に折り込みます。これにより、効果的な祈り込みチラシの展開が可能となります。

〈広告媒体〉顧客を継続させることが成功のカギ

広告媒体には、主に次のようなものがあります。
①雑誌広告・連合広告
②新聞広告・連合広告
③テレビ広告・ラジオ広告など
④新聞折り込みチラシ
⑤DM
⑤インターネット
⑦フリーペーパー、フリーマガジン

◆連合広告ってどういうもの?
 ①、②の連合広告というのは、雑誌や新聞の1ページ枠をコマわりにして、複数の会社
で広告を出すことをいいます。たとえば、1社でIページの雑誌広告を打てば100万円以上かかります。新聞の全国版ですと、1000万円などといった金額になることもありますが、連合広告なら、1コマ分の広告費ですむうえ、全ページ広告ゆえに、消費者の目にとまりやすいという利点があり、通販を始めるときの広告に適しているといえます。

◆テレビ広告とラジオ広告、小さい会社にはどっちが向いているの?
 ③のテレピ広告(テレピショッピング)は、小さな通販会社に適しているとはいえません。主催者側(テレビ局)は、テレビショッピングを一種のファッション、はやりものとして放映しているのが実情です。このため、テレビショッピング番組の中では、会社独自のメッセージを強く打ち出すことが難しいからです。それに、売れる商品は何回も放映されますが、見飽きられて売れなくなれば、すぐ打ち切られてしまいます。コストも多額で、小さな企業には、あまり向いているとはいえない媒体です。
 ただし、地方局のテレピショッピング枠は、全国ネットに比べてコストが非常に安くてすむことから、自社でその枠を購入して広告することもできます。その場合、番組制作費が必要です。
 一方のラジオ広告は、価格訴求型の製品に向いているようで、10万円のダイヤモンドとか1万円の羽毛布団などが売れています。ラジオの聴取者の多くは、それぞれお気に入りの放送局というのがあって、いわぱお客様がラジオ局についている格好です。したがって、自社商品の直販と並行してラジオ局に商品を卸したりするのも、一つの方法といえます。
ラジオ局では、局の通販商品を扱う子会社を通して商品の選品や仕入れをするところが多いようです。

◆新聞折り込みチラシは絞り込んで効果を上げる
 ④の新聞祈り込みチラシは、全国的規模で実施すると非常にお金がかかります。
 ただし、折り込みチラシは配布エリアを細かく選定できますので、都道府県単位の情報や、もっと狭い範囲に絞り込んだエリア情報(たとえば、高齢者の多い居住者エリアや、高額所得者の多いエリアなど)を調べて、配布エリアをセグメントすること(ある条件に基づいて選別し抽出すること)により、効率的な広告展開が行なえます。
 また、そうしたテスト展開を繰り返すことによって、レスポンス(反応)の高いエリア条件の情報を入手し、全国展開する際の指標とすることもできます。

◆DMは継続的に買ってもらうためのもの
 ⑤のDMは、顧客リストをもっていることが前提となる媒体です。祈り込みチラシやその他の広告で新規顧客を獲得したら、その顧客を継続させることが、通販ビジネスが成功するか、失敗するかの重要な分かれ道となります。DMは、そのための手法の一つです。
1度買っていただいたお客様に、2度、3度と買っていただくためのツールです。
 新たに1人の顧客を獲得する費用は、その商品にもよりますが、だいたい5000〜2万円かかります。逆にいえば、I度買っていただいた顧客に継続して購入してもらうことにより、初めて利益が出てくるわけです。その意味で、DMによってお客様の購入意欲を湧かせることが大切なのです。

◆近年注目を集めるフリーペーパー
 ⑥のインターネットについては、この章の最後に実例をまじえて説明することにして、先に⑦のフリーペーパー、フリーマガジンについて説明しましょう。これは最近、発行部数を伸ばしている媒体です。
 その背景には、近年、市販の雑誌1誌あたりの発行部数が減少傾向にあることの影響もあるようです。また、雑誌は、ターーゲットをセグメント化できますが、広くテストしたい場合には、発行部数の多い「モア」「アンアン」「ノンノ」などの女性誌に限られてくる傾向にあるのです。
 万万、フリーペーパーは都心部ほど種類が増え、エリアを限定して広告展開をするにはピッタリで、雑誌よりずっと安い値段で広告を出すことができます。
 現在、日本で最も発行部数が多いのは、リクルート社の「HOT Pepper』。20歳代を中心とした女性が、同誌の中にある割引などのクーポン券を手に入れるために、閲覧率がかなり高くなっています。同誌は2002年から全国版の通販ページの企画を実施しています。また、都内23区で配布しているマガジンアンドマガジン社の「プランシエ」は通販専用ページを設けています。ともにCPO(1注文あたりにかかるコスト)が雑誌より安いということから、若い女性をターゲットとする通販会社が注目している媒体といえます。

〈主な展開手法〉ワンステップ販売とツーステップ販売

通販を展開していくとき、主な手法となるのは次の2つです。

◆ワンステップ販売
 「ワンステップ」とは、直接販売しながら顧客リストを収集していく手法。販売とリストの収集を1つのステップで行なうため、この名があります。
 この手法には、レスポンス(消費者の反応)を上げるために「期間限定」「割引特典」
「特別セット」「懸賞キャンペーン」などの工夫(これを「オファー」といいます)が必要になります。
 いきなり「この商品を買っていただけませんか」と広告を打っても、消費者はなかなか申し込みにくいもの。レスポンス(申し込み)がなければ顧客リストも集まりません。そこで、顧客リストを収集する一つの仕掛けとして、さまざまなオファーをつけてあげるわけです。

◆ツーステップ販売
 第1ステップで見込み客を抽出し、第2ステップで見込み客にカタログを送り販売する手法です。
 第1ステップの「見込み客の抽出」とは、要するに無料サンプルや有料サンプルなどの試供品のプレゼント。食品、化粧品、健康食品など、昧や使用感に不安のある商品の場合、「抽選で3000名様に」とか、「先着1000名様に」などという条件のもとに応募者を募り、第2ステップとしてサンプルや試供品と一緒に商品パンフレットを発送し、見込み客を購入客に引き上げます。
 この手法は、サンプルに応募してきた消費者のなかから、売りたい商品に最も適した見込み客の絞り込み(セグメンテーション)が行なえます。そのため、「先着1000名」と銘打っていても、実際にはターゲットになりそうな年齢層の応募者にしかサンプルを送らない場合もあります。

ワンステップ販売
直接販売しながら顧客リストを収集していく手法
 レスポンスがなければ顧客リストも収集できないため、
  期間限定、
  割引特典、特別セット、
  懸賞キャンペーン
 などの工夫が必要となる

ツーステップ販売
第1段階=見込み客の抽出
 サンプルや試供品の提供
 *とくに食品、化粧品、健康食品などのとき、
  先着○○名といって、応募者を募り、そのなかから
  セグメント(絞り込み)を行なう
第2段階=見込み客にカタログを送り、販売する

販売ルート=違うルートにも挑戦して通販を後押し

 小さな企業にとって、自社での通販と並行して大手企業に商品を卸すことは得策です。
考えられる方法としては、次のようなものがあります。

①大手通販カタログヘの商品提案
 大手のカタログに自社商品を掲載してもらうという方法です。大手通販会社は希少性のある品を求めています。

②特徴ある店への商品提供の提案
 有機野菜レストラン、介護用品の専門店など、自社の商品に合った店を選んで商品を卸すようにします。

③百貨店の物産展への提案
 各百貨店では物産展に非常に力を入れており、常に新しい商材を探しています。物産展に出展して顧客リストを獲得し、それをもとに通販を始めて成功した会社もあるくらいです。

④展示会への出品
 健康食品(健食)博覧会やギフトショーなどの各種展示会では、通販関係の商材を求めて、多くの人が集まります。とくに食品は引き合いが多いので、出店してチャンスをつかんでみるのもいいでしょう。展示会の開催情報は、インターネットで調べましょう。

実例が教えるネット通販、成功の秘訣

 ここ数年、インターネットによる通販(以下、ネット通販と呼びます)は、高い増収率で推移しています。ホームページの作り方や文章の展開術などは、他のテキストにお任せするとして、ここでは、小売経験を活かしたていねいな顧客対応で年商7億円を実現した
〈京都発インナーショップ白鳩〉(以下、〈白鳩〉と略します)を例にとり、ネット通販の立ち上げまでの経緯と成功の秘訣について見ていくことにします。
57歳から始めたネット通販で成功
 インターネットショップを繁盛店にするには、ネット上の店長であるウェプマスターが、
顧客に対して現実の店舗以上の対応をしていかなければいけません。その意味で、小売経験があり顧客対応に精通している人がネット通販を立ち上げると、成功しやすいといえます。
 その成功例が〈白鳩〉というECサイト(Electronic Commerce インターネットを使った商取引)です。女性下着を主力商品とする〈白鳩〉は、仮想モール〈楽天市場〉が出店サイトのなかから毎年選出するベストショップ、「楽天 ショップ・オプ・ザ・イヤー」に何度も選ばれている優良サイトです。
 この店は、もともと下着とパジャマの小売店で、京都市内で3店舗を経営していました。
京都駅から30分ほどの場所にあるタバコ屋の1階が本社で、社長の池上さんと経理担当の奥さんの2人の他に店舗スタッフ十数名だけの会社でした。
 けれど今は、〈白鳩〉は店舗販売と通販で年間7億円を売り上げています。そしてそのうち6億円(月間5000万円)がネット通販の売上なのです。これは、小売店1店舗ではとうてい稼げない売上です。
 池上社長がインターネットショップを立ち上げたのは57歳のとき。小売店の売上がはかばかしくなかったため、ネット通販はどうだろうと考えました。パソコンに伝票を管理するシステムだけはあったので、それをなんとかインターネットに対応させたいと思ったそうです。
 しかし池上さん自身は、パソコンでメールが打てる程度しかできず、ネット通販のことなどまったくわかりません。そこでいろいろなサイトを見て、そのなかで自分好みのサイトを公開している人にいきなり連絡し、ネットショップの制作を依頼。ホームページを作ってもらい、〈楽天市場〉に出店しました。楽天市場には、通販に必要不可欠な顧客データの分析機能があり、出店店舗にいつ、どれだけアクセスがあったかなどが簡単にわかるサービスがあるからです。

顧客の心を読んで信頼度を高める
 ここまでは、ネット通販の立ち上げとしてはよくある話です。〈白鳩〉が伸びた最初のポイントは、「ネットも店舗も、商売は同じ。信用が第こという池上社長の考え方にありました。
 サイトのオープン当初から、ネット上に「店舗責任者は社長池上」と掲げました。こうしたアピールは、サイトを覗いた人たちに大きな安心感を与え、顧客獲得へとつながっていきます。ネット通販ではサイトの作り方が非常に重要だ、といわれるのはこのためです。
 そして池上さんは、クレーム対応は社長の仕事として、どんなに忙しくても、お客様の注文や問い合わせに24時間以内に対応しました。体力的に徹夜は無理でしたが、そのぶん毎朝4時ごろから出社して、前日にきたお客様からの問い合わせのすべてにていねいな返事をメールで送ったのです。今も池上さんは、掲示板やメールのチェックを毎日自分で行なっています。
 これには感心させられました。
 通販というのは互いに相手の顔が見えないので、注文をした側は、「この会社、本当に大丈夫かな」と、少なからず不安に思っているものです。まして当時の〈白鳩〉は、地方の無名の下着屋さん。お客様は、「商品は間違いないだろうか」「ちゃんと商品を送ってくるんだろうか」と考えて当然です。自分で店をもち、日々お客様と接してきた池上さんには、そんなお客様の心理が手にとるようにわかったのです。
 すぐにメールの返事を送るだけでなく、お客様からの信用を得るために、商品の翌日発送も実践しました。今日注文したものが2日後には手元に届くということが、お客様に安心感を与え、ショップヘの信頼を高めることになり、〈白鳩〉は顧客をどんどん増やしてい
きました。
 池上さんのように小売店をやっていた人は、お客様の心を読むことに長けており、注文や問い合わせにすぐに応えなければ商売が成り立たないことも経験から理解しています。
 ネット通販も、サイトというメディアを通してはいますが、商売の基本は小売業と同じ。お客様の気持ちを理解し、注文や問い合わせにすぐに応えるていねいな対応によって、初めて顧客を囲い込むことが可能になります。小売業や接客業の経験がある人は、それが自然にできるため、ネット通販をやると成功しやすいのです。
〈白鳩〉も、ていねいな対応で顧客数を飛躍的に増やし、知名度がアップするにつれて男性客からの注文も多くなっていきました。今は、男性が妻や恋人に下着を贈ることも珍しいことではないようですが、さすがに店頭で購入するのは照れくさい。そこで通販が利用されるのでしょう。通販を始めたことにより、池上社長は男性という新たな顧客層をも開拓したのです。

商品遅配の失敗を機に、さらにステップアップ
 ところが、注文が増えるにつれて発送が遅れがちになり、お客様に迷惑をかけることが増えていきます。それが理由となって、離れていった顧客もありました。
 そこで池上さんは、本社のタバコ屋のすぐ近くに3階建てのビルを購入して配送センターとし、本社もここに移しました。そして、配送が遅いことで失った信用を取り戻せるように、1日400〜500個の出荷を可能にしました。その年の前年には、自社で独自に開発した通販用の販売管理システムを作っており、ここに通販における「バックオフィスシステム」ができあがったのです。
 「バックオフィスシステム」の業務とは、一つの注文に対する、「受注確認のメール配信」「在庫確認」「送り状の印刷」「商品の梱包」「出荷の通知」「入金確認」「入金確認メールの配信」といった一連の作業です。これを自動化したシステムを作ったのです。ちなみに〈白鳩〉では現在、このシステム自体をも販売しています。
 池上さんは、ネット通販の売上が月間200万円だったときに、「これから売上が増えたら、必ずいるだろう」という判断で、このシステムの開発に取り組んだといいます。月間300万円以上を売るネットショップをめざすのなら、こういった自動化システムは間違いなく必要になるのです。

単品通販でも商品によっては大きな建物が必要
 ネット通販というのは、〈白鳩〉のように、最初はピルのI室と電話があれば始められるものです。部屋の大きさは、在庫を置く部屋が1室、電話を設ける場所が1室、商品を配送するための梱包をする場所が1室、合わせて2LDKほどあれば十分です。
 ところが売れてくると、これでは手狭になってきて、他にも部屋を借りざるを得なくなります。最初から、だんだん規模が大きくなることを想定して、事務所の立地などを考えておいたほうがいいでしょう。
 〈白鳩〉の場合、商品発送の遅れがきっかけとなり、すぐ近くに3階建てのピルを購入したわけですが、それは、そこで「ピッキング」を行なうためでした。ピッキングとは、注文ごとに出荷のための商品をとり揃え、請求書や振替用紙などとともに梱包する作業のことです。
 〈白鳩〉は、下着という単品を扱うワンカテゴリー通販ですが、ひとことで「下着」といっても、ショーツ、ブラジャー、アンダーシャツ、ランジェリーなど、アイテム数が非常に多く、またサイズ展開もあるため、倉庫とともにピッキング作業のためにもかなり大きな建物が必要です。
 アパレルや雑貨の在庫が必要な品種の場合は、ピッキングのために相応のスペースを確保する必要があります。

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