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売れている通販のヒミツ

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売れている通販のヒミツ

一度獲得した顧客は離さない!

「定期コース」を設けて顧客を囲い込み

やずや【福岡市・年商184億円】
 「やずや」は、2002年の売上高が184億円、2003年には200億円の売上が見込まれています。経常利益は約20%に及び、なぜそんなに利益が上がるのか業界でも話題になったほどです。
 その秘密は、一度獲得した顧客を逃がさない顧客の囲い込みにありました。
 一般に通販では、新規顧客を獲得するのに莫大なお金がかかります。健康食品ですと、1人の新規顧客の獲得に2万円程度はかかるのが普通でしょう。それだけのお金を投資しているのですから、継続的に商品を買ってもらわなければなりません。そのため通販各社では、顧客に役立つ情報を満載した情報誌や、購入を促すハガキなどを定期的に発送し、顧客を引きつけておく努力を続けています。
 そうした工夫の1つとして、健康食品の場合、「定期コース」の設定という手法があります。
 定期コースとは、一度申し込むと、あとは毎月(あるいは数カ月ごとに)商品が自動的に送られてくるシステムです。顧客にとっては、そのつど商品を注文する不間がかからず便利ですし、企業にとっては、多くの宣伝費を注ぎ込んで何度も顧客に働きかけなくても、商品を定期的に送るだけでいいというメリットがあります。

◆定期コースのメリット
定期コースとは一度申し込みをすると、商品が毎月(または数力月ごと)送られてくるシステム
顧客側=そのつど商品を注文する手間がかからない
企業側=宣伝費が少なくてすむ

〈やずや〉では、10年ほど前からこのシステムを導入しました。同じ商品を毎月発送する
「毎月コース」、3ヵ月ごとに3つ以上の同じ商品を発送する「3ヵ月コース」を設定し、顧客の希望日に決まった商品が定期的に届くようにしたのです。
 おしなべて商売は、どんなに優れた商品を扱っていても顧客が漸減していくものです。
そのため、常に新規顧客を獲得していかなけれぱならないわけですが、新規顧客の開拓というのは、なかなか難しいものです。
 〈やずや〉では、「定期コース」を設けることで、顧客が「この商品から離れられない」という気持ちになるように上手にもっていき、「やずやファン」として囲い込み、リピート率を高めて利益率を上げることに成功したわけです。
定期コースにプラスaのシステムを追加
 このような定期コースは、今ではくやずや〉だけでなく、多くの健康食品通販が力を入れている手法です。
 この手法は、システムそのものとしては単純なものですが、それだけではいずれ飽きられてしまいます。たとえば、顧客が長期間不在になったりすると、送られてくる商品がどんどんたまってしまい、「もういいわ」ということにもなりかねません。
 こうした顧客離れを防ぐため、〈やずや〉では、顧客が好きなときに定期購入をいったんストップし、その後、好きなときに購入を再開できるようなシステムも導入しています。
 また、契約した価格によって商品が割安になる「コース割引」も設定しています。同社の場合、7000円未満の契約なら10%引き、7000円以上なら15%引き、2万円以上は20%引き、6万円以上なら25%引き(2003年12月現在)になります。
 定期コースというシステムは、ただ導入すればいいというわけではありません。長く顧客を維持していくためには、その後もさまざまなフォローが必要になってくるのです。

マイナス情報を発信する信頼作り
 「体にいい本物の商品をお届けする」をモットーとするくやずや〉では、食の安全性が懸念されるなかでいちはやくその問題に取り組み、迅速な対応をしています。
 たとえば、最近の記憶に新しいSARS問題。〈やずや〉の主力商品である健康食品「香酷」は中国産のお酢を原料としていますが、この問題が生じた時、すぐにSARSについての情報を自社のホームページに掲載しています。その内容は、自社の商品については触れておらず、SARSの症状から食への影響まで細部にわたって紹介し、さらにはSARSに関連したURLをいくつか掲載しているというものです。また、キヤッチコピーを
「やずやの香酸は中国のお酢です」と強気に打ち出した「香酷」の新聞広告が、あえて渦中の時に掲載されたこともありました。
 一見、こうしたマイナスの情報発信は寝た子を起こすようなもので、消費者に刺激を与えるのではないか、と敬遠されがちです。確かに、あいまいな知識しかないまま安易に掲載すると、誤解を招く可能性もありますし、表現方法にも細心の注意を払う必要があるでしょう。〈やずや〉の場合はその事実を隠すことなく、たっぷりの情報量で徹底的に伝えることによって消費者に安心感を与えることに成功しています。これほど正直に書かれているなんて誠意のある会社だ、ここなら安心して利用できる、と。反対に、なんの根拠もないのに自社の商品の安全性を過度にアピールするのはかえって不信感を与えてしまいます。
顔の見えない通販事業において、大切なのはお客様との信頼関係。とくに食品は口にするデリケートな商材ですから、消費者にとっては安全であることはもちろん、「信頼できる企業」であるかが商品を選ぶ重要なポイントになります。消費者との信頼関係を築くためには、まずは誠実であること。そして、それを媒体を使って上手にアピールしていくことが必要なのです。

パートを積極的に活用して人件費ダウン
 テレビCMや新聞・雑誌広告などマスメディア戦略が目立つためか、〈やずや〉は多くの社員を抱えているように思われがちですが、実際には年間売上50億円ぐらいだった10年前と社員数は変わっていません。同社を支えているのは、スタッフの90%近くを占める女性パートです。
 売上を伸ばして成長しても、社員を増やせばそれだけ固定費も増え、経営はたいへんになります。「忙しくなったらパートを雇う」が経営の基本だと考えておきましょう。

サンプル送付後に効果的な電話

再春館製薬所【熊本市・年商204億円】
テレマーケティングをいち早く確立

 化粧品「ドモホルンリンクル」でおなじみの〈再春館製薬所〉は、1932年に漢方薬の製造販売店としてスタートした会社です。1959年に株式会社となり、1975年から「ドモホルンリンクル」を発売しました。
 その後、オイルショックの影響で経営難に陥りましたが、1982年に現社長夫妻が再建。テレマーケティングを始めてから大躍進を遂げました。化粧品の無料サンプル送付や電話によるアプローチという手法を、いち早く確立したのは〈再春館製薬所〉でしょう。お客様、とくに女性の心理をよく考えた作戦です。また、商品に自信がなければできない手法でもあります。
同社の無料サンプルは、3日以内に届けられます。ほとんどの女性は、7点もの無料サンプルと同送物の豪華さに驚かされるといいます。立派な商品カタログが複数入っており、サンプルは7点! 会社のことを知ってもらいたいという姿勢が伝わる冊子や、会社の生い立ちなどを説明したビデオまでセットされ、信頼感を高めています。普通の女性なら、ここまでのものをもらうと、かなりこの会社に対して好意的な感情をもつはずです。
 そして届いてからだいたい7日前後にコミュニケーター(同社ではオペレーターのことをこう呼びます)から、アウトバウンドの電話がタイミングよく入ります。アウトバウンドとは、見込み客や顧客に対し、販促やフォローー、情報を発信する電話サービスのことです。この場合、サンプルを注文してすでに好感をもっている見込み客に、電話で親切に化粧品の使い方や肌の悩みなどについての話をすることで、注文をとることが容易となるのです。
 現在、このような無料サンプル送付と電話によるアウトバウンドで売上を伸ばしている会社が、中小の会社を含めてかなりたくさんあります。なかでも〈ステファニー化粧品〉は、この手法で売上を伸長させています。
受注の段階からあえて顧客を限定
 〈再春館製薬所〉では、「申しわけありませんが、ドモホルンリンクルは初めてのお客様にはお売りできません」というナレーションをテレビCMで流しています。また、30歳以下の人の注文は受けておらず、若い女性が注文の電話をしても「30歳になってからお電話ください」と言われます。インバウンド(受注)の段階で、顧客を限定しているというわけです。一見すると自社に不利益になるようなこの手法には、どのような意味があるのでしょうか。
 まず考えられるのは、継続して商品を購入してくれる顧客を作り出すための手法ではないか、ということです。同社では、無料サンプルの送付から電話による受注、購入、リピート(再購入)という段階を追いながら、自社のファン作りを行なっています。
 あとで詳しくふれますが、コミュニケーターが顧客に定期的に電話をして注文をうかがったり相談を受けたりする「囲い込み」を行ないます。長い間、こうした段階をふんだ一巡のストーリーで継続顧客を作り出しているため、あえて、「初めてのお客様(いきなり買う人)」を避ける、という手法をとっているのではないかと思われます。
 「初めてのお客様にはお売りできません」というメッセージは、「無料サンプルを申し込まなければ買えないのね」と思わせることで、申し込みをしやすくさせています。
 また、「タダでもらうのは悪いわ」と思う女性こそが、同社の有力顧客となりうる層。10歳代や20歳代に、「わざわざ無料で送ってもらって悪いわ」と思う人は少ないでしょう。その意味で、ターゲットとなるのは30歳以上の女性(社会的な役割がはっきりしている大人の女性)となるのです。
 継続的に商品を使ってもらうためにも、浮気しやすい20歳代より、30歳代以上の方が安定します。さらには、化粧品という商品そのものが、20歳代と30歳代以上とではニーズが違うため、ターゲットを明確にしたほうが顧客獲得のロスが少なくてすむのです。

企業イメージを損なわない「ほどはどの」確認の電話
 無料サンプル送付後の電話のアウトバウンドは、成約に結びつくか否かの分かれ目であり、顧客の反応を確かめるうえでも重要な局面ですが、あまり売らんかなの姿勢が強すぎると消費者にうるさがられ、逆効果になる危険性をはらんでいます。
 今から10年以上前、〈再春館製薬所〉のアウトバウンドが消費者の不興を買ったことがありました。一部で行き過ぎたアウトバウンドが行なわれ、「サンプルを請求したら、あとから買え買えとうるさくて……」と、消費者の反感を買ってしまったのです。サンプルの返品が続き、それまで順調に伸びていた売上は、大幅に落ち込みました。
 これを反省した同社では、その後約3ヵ月間、アウトバウンドを中止。どうすれば消費者によい印象をもってもらえるかを検討した結果、アウトバウンド重視の姿勢から、インバウンド重視に方向転換を図り、失いかけていた信用を取り戻したのです。
 その後、アウトバウンドは再開されましたが、現在ではサンプル送付後の電話は3回までと決められています。
 そのアウトバウンドの内容ですが、無料サンプル到着から7日前後、「お試しいただいていかがですか?」という電話をかけ、お試しいただいた後の肌の調子や製品の使い心地をおうかがいしたり、パンフレットで伝えきれなかったことを説明したりします。その際、コミュニケーターは電話をかける前に、相手の地域の天気や気温などを前もって調べておきます。環境によってお肌の状態も違うため、適切なアドバイスができるよう心がけているのです。
 そして納得いただいた上で商品を購入していただいたら、15日前後に「何かご不明な点はありませんか?・」と電話をかけます。これは、製品を正しく使っているかどうかの確認の電話です。化粧品は正しく使わないと、最大限の効果を発揮できないから、というのがその理由です。そのため、使用量や使用方法を説明し、不明点などをお聞きします。
 そして購入から2ヵ月以上たった顧客に、「その後の調子はいかがですか?」と電話をします。定期的に電話をして様子をうかがうとともに、注文を受け付けたり季節ごとのスキンケアや生活習慣の改善のヒントなど、顧客の毎日に役立つ情報を案内したりしています。
このように顧客一人ひとりの生活スタイルに合わせてアドバイスをするなどの徹底したサービスにより、「任せておいて安心」という信頼を与え、顧客が離れていかないように囲い込みを行なっているのです。

電話での顧客対応に独自のノウハウ
 〈再春館製薬所〉では、顧客情報をもとにした電話によるアウトバウンドやインバウンドを、すべて社内で行なっています。その顧客情報は、もちろん外部には出しません。大手通販各社は、どこも独自の電話とコンピュータを連動したCTI(Computer Telephony lntegration)というシステムをもっており、それを外に出すことはできないのです。
 〈再春館製薬所〉では、顧客に電話をかけるコミュニケーターの担当はとくに決まっておらず、コンピューター(CTI)の画面上で前回どのような電話がされたか、話した内容が確認できるようになっています。そうすることによって、誰もが対応できるようになっています。定期的におうかがいする電話のときも同様で、担当者は決まっていません。すべてのコミュニケーターが、一人ひとりの顧客に対応できる体制をとっています。誰でもお客様に対応できれば、仕事がスムーズになって効率的です。
 さらに、このCTIによって、顧客から前回注文した商品についての問い合わせがきても、「○月に○○をご注文いただいた○○様ですね。ありがとうございます」というように、すぐさま答えることができるので、顧客にとってもスピーディーに用件を済ませることができます。
 小さな会社ではこのCTIシステムを導入することは難しいので、それぞれ窓口を分けるか、朝礼や終礼などを開き、顧客からどのような質問があったか、どのようなクレームがあったか、などの情報交換や進捗状況の確認を細かく行なうのもミスを未然に防ぐひとつの方法です。たとえCTIシステムがなくとも、顧客を良く知り、真摯な姿勢で対応すれば、信頼度や安心感を与え、顧客満足度もおのずと高まってくるものです。
 ただし、なかにはキャンペーンなどの特別な場合、一定の期間を設けてインバウンドをアウトソーシング(外注に出すこと)したり、キャンペーンを告知するDM送付後に、DMの中身を見てもらえるよう、開封率を上げるためのアウトバウンドを、特定の期間のみ行なう場合があります。
 なお、サンプル送付後の電話のアウトバウンドは、サンプルが無料の場合だと、1回はお客様に対応していただけますので、その1回が重要になります。有料サンプルは、サンプルといえどもお客様に「お金を出している」という意識があるため、1回の電話でも迷惑がられることがあります。そのため有料サンプルの場合、サンプル送付後にタイミングよくDMを送ることにより購入に結びつける手法が得策です。さらに、電話をかけることでお客様に悪印象を与えないよう、細心の注意を払った「スクリプト」(電話応対の話法)を作る必要があります。これが独自のノウハウとなるのです。
 また、インバウンドの窓口、クレーム対応の窓口、アウトバウンドの窓口は、それぞれに役割が異なり、しなけれぱならないことも違います。小さな会社の場合、通販を立ち上げた当初は同じ人が対応するのでもかまいませんが、一人の人が何から何までやっていると、どうしても対応が雑になり、大事な顧客を失ってしまう危険性がありますので、早い時期に窓口を別々にすることをお勤めします。

高齢者向け下着で新たな市場を開拓

ワコール【京都市・年商1637億円】

高齢者だっておしゃれな下着を身に着けたい
 インナーウエアの大手〈ワコール〉は、60歳から80歳を対象にした下着「らくラクパートナー」の通販で好成績を上げています。
 高齢者向け下着は、売り場そのものが少ないうえ、消費者が店頭で購入する際に、さまざまな問題があるのが現状です。
 たとえば百貨店などでは、介護用品売り場の奥まった一角に下着を置いているところが少なくありません。しかも、あろうことか男女兼用の下着が平気で売られているような状態です。
高齢になってもおしゃれな下着を楽しみたいという女性は多いのに、店頭にあるのは、ラクダ色のパンツやシャツばかり。買う側にとって、こんな失礼な話はありません。女性たちは内心、「私たちを女と思っていないのね」と憤慨し、そのような下着を購入することに大きな抵抗を感じていたはずです。また、高齢者専用の売り場を作りたいと望む小売業者があっても、商材そのものが少ないという問題もありました。
 〈ワコール〉では、こうした問題に着目し、消費動向に関する独自の膨大なデータベースから高齢消費者のニーズを分析した結果、「なぜお年寄りの女性がピンクの下着を着てはいけないの? いくつになっても女性は、美しくかわいらしい下着を身に着けたいはず」という結論にいきあたりました。
 そして、ピンクやブルーのショーツやブラジャーー、花柄のパジャマなどを、売り場と並行して通販で売り出したのです。

年齢層をキメ細かにセグメントする
 同社の分析によると、高齢者向け下着が男女兼用だった理由の一つに、メーカーや小売店が「お年寄りの下着はサイズが大きい」というくくりでしか見ていなかったことが挙げられます。実際、60歳と80歳の女性のウエストサイズを比べると、その差は約50センチもあるそうです。また、60歳代、70歳代、80歳代の女性のウエストサイズのピッチは5歳間隔で変わり、年代によって嗜好性にも変化が見られるということです。
 そのため同社では、60歳以上の消費者にDMテストを実施する際にも、ただ単に「高齢者向け下着」という大まかなくくりにするのではなく、5歳間隔の細かいターゲット・セグメンテーション(顧客の絞り込み)をして、そのターゲットに合った商品構成を行なっています。
 こうして開発された「らくラクパートナー」には、肌にやさしく保湿性に優れた素材が使われ、着脱が楽な前開きタイプのプラジャーがラインナップに加えられました。また、高齢者の嗜好性を調査した結果、女性はいくつになってもかわいらしい色を好むことから、従来の老人向け下着の主流だったベージュ色のほかに、ピンクとブルーの商品も用意されました。高齢者向けの商品には、このような細かな配慮が必要です。
「おしゃれしたい」という高齢者の本音を反映した「らくラクパートナー」はみごとにヒット。売れ筋はピンクとブルーで、パジャマなどは黄色の花柄もよく売れるそうです。
60〜80歳代という新しい市場を開拓したこの商品には、現在、百貨店からかなりの引き合いがきており、アバレルを扱う中小通販が参考にできる点が多々あります。

足で調べ、生の声を聞く
 この例のように、最初から「誰に何を売るか」というターゲットが決まっている場合、そのターゲットとなる消費者の生の声を聞くことが、ヒット商品を生み出す基本になります。そして同時に、ターゲットの嗜好に合う行動を、実際に自分でもしてみることが大切です。若い女性がターゲットなら、若い女性が好む場所に行き、好む店を見て、好む物を食べてみる。こうした体験を通して、はじめてターゲットの嗜好に共感できるのです。
 また、ターゲットの本音を探るには、たくさんの人の意見を聞くよりも、少ない人数だがターゲットとしての条件(年齢、性別、嗜好性など)を備えた、質のいいモニターを集め、第三者をインタビュアーにして、さまざまな意見を引き出し、本音を探る「グループインタピュー調査」などを行なうのが有効です。
 グループインタビユー調査は、ターゲットのニーズやウォンツを探る場合のほかに、商品ができ上がった第一段階での評価を調べる場合にもおおいに役立ちます。けっして近所の人や自社の社員で間に合わせるのでなく、モニターに適した人を対象に行ないたいものです。
 このように、自分の足で調べたり、モニター調査をしたりすることが「マーケティング調査」であり、商品を開発するためのベースとなるポイントであるのです。

「あったら便利」がヒットに
 また、通販のヒット商品には、「これはどこで売っているの?」と思われるものが少なくありません。消費者が「こんなものがあったらいいな。でも、どこに買いに行けばいいのかわからない」と思うようなものには、ヒットの可能性が秘められているということです。
 たとえば、自分の耳の穴の中を見ながら耳掃除ができる器具。あなたは、「手元で自分の耳の穴の中を見ながら、耳掃除ができたら便利だな」と思ったこと、ありませんか? そういう誰もが思うことを実現させた商品こそ、ヒット商品になりえます。実は通販では、こういった耳掃除の器具は、すでに意外とたくさんの種類が出ており、ヒット商品となったものもあります。
 日ごろから、商品開発のヒントとなる情報やアイデアは、問題意識をもっていると、テレビを見ていても新聞・雑誌を読んでいても、求めている情報やアイデアが自然と目や耳に飛び込んできます。24時間、作りたい商品を意識して行動することが、企画マンの仕事なのです。

通販で今、売れているものを知ろう
 中小企業が、消費者ニーズに応えてヒット商品を生み出すコツは、まずは今、通販で売れているものを知ることです。大企業のように、膨大なデータを分析して技術開発し、一から商品を作るとなると、かなりの時間と費用がかかります。小さな会社は、アイデアと工夫で勝負することになります。
 たとえば健康食品の場合、小企業の商品によく見られるのが、複数のヒット商品を組み合わせたもの。「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が売れていて、「にんにく卵黄」が売れているなら、新商品は「DHA入りにんにく卵黄」、また「アガリクス」が売れているなら「DHA十アガリクス」などと、ヒット商品同士の組み合わせにより新しい商品を生み出すという発想です。消費者だって、今までDHAとアガリクスを別々に飲んでいたのが、両方一緒に飲めて値段は2つ合わせたより安いとなれば、購入意欲が湧くものです。
 身のまわりを見回せば、そんな発想から生まれた商品がほかにもたくさんあることに気づくはず。通販で売れている商品をよく観察して、組み合わせたり、何かをプラスしたりすることを考えてみましょう。
 また、小さい会社が新市場を創るにはたいへんな費用がかかるので、通販の大手が市場を創りはじめてある商品の市場が形成されてから、同じ素材や原料で作った商品を売り出すのも、市場の相乗効果を狙った上手なやり方だといえるでしょう。

食の安全も売って急成長

セコム【東京都渋谷区・年商2786億円】

ますます高まる消費者の安心・安全志向

 警備会社の〈セコム〉では、平成10年(1998年)から
『セコムの食」と名づけた無添加・無農薬食品のカタログ通販を行なっています。
 当時は、今ほど食品に対する安全性が問われていませんでしたが、同社にはそのころから食に関して、「安心・安全」のための商品選定や、社員がその目や手で商品を確認するといったしくみがあり、それがこのカタログのノウハウとなりました。
 雪印問題やBSE(牛海綿状脳症)問題、遺伝子組み換え食品、ダイオキシンや放射能など、食の安全性を脅かす問題が次々と起こったためか、『セコムの食」はここ数年、通販業界だけでなく、新しいビジネスのあり方として脚光を浴び、マスコミにも紹介されています。警備会社とフードサービスの組み合わせという意外性も評判になり、この2年ほどで急成長を遂げ、2002年の売上は約9億5000万円にまでなっています。

商品の質を伝えるていねいなカタログ作り
 〈セコム〉の本業は家の安全を守ること。そのコンセプトを生活全般にまで拡大し、食の分野でも安心・安全を提供しようというところから生まれたのが「セコムの食」です。
 このカタログは、「安心・安全」を追求する同社が選んだ全国各地の美味(ほとんどは加工品)をお届けするもの。カタログに掲載する商品の選定にあたっては、「農薬や化学肥料に頼らず育てた素材を使っていること」「健康面への影響が指摘される添加物を使っていないこと」「美味しさ?自然な味わいを大切にすること」の3つを基本姿勢としています。
 掲載商品が決まるまでには、『セコムの食』のスタッフが全国の加工会社まで出向いて試食し、無添加の確認を行ない、原料の栽培や飼育の方法、製造工程、商品に込めた生産者の思いなどを直接聞いており、そのうえで間違いのないものだという保証ができるものだけをカタログで紹介します。そのためカタログには、各商品がどこで作られたのか、その
地名が市町村名まで明記され、原材料のすべてが表示されています。
 このようなカタログは、今までの日本にはなかったため、食の安全志向という観点から注目されるようになりました。大手通販会社の食カタログが、すでに「セコムの食」の作り方をまねていますが、全原料表示までやっているところは、まだ少ないのが現状です。
 なぜなら、大手通販がカタログ掲載に無農薬・無添加といった条件をつけると、たちまち商材に困ってしまい、商品探しの問題や供給量の問題などが生じるからです。食品のカタログは、供給量に限界があるため、急激に変容することが難しいものなのです。
 けれど今後、消費者のニーズとして「セコムの食」のような商品が求められていくと予想されるため、すべての商材ではなくとも、「安心・安全の食品」を商品構成の核として扱う通販会社は増えていくと思われます。

小さい会社が『セコムの食』から学べること
『セコムの食』はカタログとしてのコンセプトが明快で、そのコンセプトを産地・加工地名や全原料表示などで的確に表現し、消費者にわかりやすく作られています。
 また、実際にコンセプトどおり安心・安全を追求していることを、インターネットのホームページやメールマガジンで情報発信しています。そこには「生産者訪問記」などが掲載されていますが、内容には非常に説得力があり、「一度食べてみようか」と、消費者をその気にさせます。
 そして、こうした情報から、同社の社員やスタッフたちの動きが伝わってくることにより、梢費者との信頼関係を築くことも可能になっています。
 食品の通販カタログの場合、商品写真いわゆる商品の見せ方は大切です。おいしそうに見えることはもちろん、湯気や水滴などを演出して、できたて感を表現するなど、食品の写真にはシズル感が不可欠だといえます。そういう意味でもセコムのカタログはよくできており、写真撮影の参考になります。やはり「おいしそう」という欲求が購入意欲に結びつくことは当然のことといえます。
 食品通販では、安心・安全志向の消費者ニーズに合致した商品開発はいうに及ばず、それをアピールするカタログ作り、消費者の信頼を得るための情報発信が非常に重要だということを、「セコムの食」の成功は教えてくれるのです。

個性的なトークで視聴者をつかむジャパネットたかた

ジャパネットたかた【長崎県佐世保市・年商705億円】
 テレビでおなじみの〈ジャパネットたかた〉は、昭和61年(1986年)に設立されました。高田明社長みずからが通販番祖のデモンストレーターとなって商品を販売する手法や、長崎なまりのある素朴な語り口、立て板に水のセールストークで視聴者の心をつかみ、この10年間で年間売上を48倍にするという驚異的な発展を遂げ、2003年12月期には、売上高705億円を達成。ちなみに話題のCMは、旧本社屋内にある自前のスタジオで収録されています。
 同社が扱う商品は、OA機器、映像機器、音響機器、家電製品、電子文具、スポーツ用品、宝飾品、健康食品、健康器具、寝具、生活雑貨など多岐にわたり、歌える曲数を増やしたカラオケマイクをはじめ、ボイスレコーダー、電子辞書などの独自商品も人気を集めています。独自性のある商品でお客様の満足度を高め、企業イメージを高めて信頼を得た同社の登録顧客数は、約350万人。主力顧客層は40〜60歳代の男性となっています。
 〈ジャパネットたかた〉の特徴は、商品の企画・開発、各媒体向けの企画・制作、商品仕
入れ、受注業務、倉庫管理、アフターフォローにいたるまで、自社で一貫した管理運営体制をとっていることです。
メディアミックスで幅広い顧客にアピール
 同社では、テレピ・ラジオショッピングをはじめ、新聞の折り込みチラシ、カタログ、インターネットなど、多彩なメディアで商品を全国に宣伝しており、さまざまな効果をあげています。
 たとえば、地上波のテレピ・ラジオCMで企業メッセージを伝えることは、認知度を拡大し、企業ブランドの価値を高め、安定的な収入の確保につながりました。テレビで見たのと同じ商品がカタログに載っていることから、カタログやDMで購入した顧客に安心感を与えることできました。新聞に折り込まれているチラシの存在を知らない人が多いと考え、チラシを見てもらう目的で、「新聞の折り込みチラシをご覧ください」といったテレビCMも放映し、チラシとテレビを連動させた展開も因っています。
 消費者というのは、年齢や性別、嗜好などによって、接する機会の多いメディアが異なってくるものです。家にいる主婦や高齢者はテレビを見る機会が多いものですし、学生や20歳代、30歳代の人たちはインターネットに慣れ親しんでいます。新らしもの好きの人なら、CS(通信衛星)放送などのニユーメディアにいちはやく飛びつくでしょう。
 〈ジヤパネットたかた〉では、多彩なメディアで複数の販売を行なうことにより、このように違う属性にある顧客を、幅広く獲得しています。CS放送の通販では、地上波のテレビとは違う顧客層にアピールし、20歳代後半から30歳代の比較的若い人や女性の購入も増えてきているといいます。
 また、ネット販売では3D(立体)映像による商品紹介なども行なって、商品特性が手に取るようにわかる工夫もしています。ちなみに同社のネット販売の売上高は、85位〜90億円にも上ります。こうした宣伝活動の費用対効果の分析を行ない、より効率的な販売展開を狙うために、
〈ジャパネットたかた〉では2002年から、テレビ通販番組やラジオ、カタログなどで販売した商品のレスポンス(反応)率を細かく分析できる、マーケティングの専門部署を設置しました。その一方で、数字だけを見ていると現状を見誤る危険性もあると考え、データ活用と並行して人材育成も積極的に展開しています。
 さらに、取扱商品について責任をもつという意思表示のために、通販の要素がないテレビCM(これを企業CMといいます)も放映。企業CMに費やす金額は年間約10億円にもなりますが、それによって社内や取引業者を引き締め、モチベーションを高めることで、サービスレベルのいっそうの向上を図っています。経営は何よりもスピード勝負
 多彩な媒体を活用したメディアミックス展開のIつとして、〈ジャパネットたかた〉では近年、カタログ通販を強化しています。同社のカタログ「ジャパネット倶楽部」の基本コンセプトは、お客様が見やすく、選びやすい誌面作り。カタログを、一種の〃展示場〃と位置づけています。たとえば、商品の特徴が一目でわかるように、どんな商品を扱っているかをカテゴリー別に見やすく分類し、それぞれに詳細な商品説明をつけているのです。
 そしてこのカタログは、各メディアを通じて、同社の商品を購入したお客様にも配布されています。先にも述べたように、テレピなど他の媒体で宣伝した商品と同じものを掲載していることをアピールし、カタログによる訴求力が増すことを狙っているわけです。
 こうして見ていくと、〈ジヤパネットたかた〉の事業には、実にさまざまな戦略が隠されていることがわかります。その戦略も、しかけるときには2〜3週間の期間で決め、すぐに実行するそうです。
 小さな会社が、〈ジヤパネットたかた〉の戦略をそのまま取り入れることはできませんが、緻密なデータ分析、積極的な人材育成、カタログ作りなどの根底に流れる「お客様本意」という姿勢は、通販に欠かせないもの。何より、意志決定と行動の速さは、おおいに見習うべきものだといえます。

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