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小さな会社の通販はなぜ伸びる?

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小さな会社の通販はなぜ伸びる?

通販市場はまだまだ拡大中!

今後も伸張していくといわれる通販ビジネス。ここで、通販の媒体別に見た市場の動向、つまり梢費者が何を通じて通販に参加するかについてお話しておきましょう。消費者が接する媒体は、次の4つに大別できます。
①カタログ通販
歴史は意外に古く、1899年に百貨店の高島屋がカタログによる通販事業を始めました。戦後は、こけしの頒布会販売からスタートした大阪の〈千趣会〉や、しゃれた生活雑貨を中心に扱う神戸の〈フェリシモ〉などの総合通販専業企業が参入し、一大市場へと発展。現在では、カタログを媒体とした通販は、通販市場の大半を占めています。ただ、近年では他の通販市場へ需要がシフトしており、その規模はやや縮小傾向にあります。
②テレビ通販
いわゆるテレビショッピングは、1971年に、フジテレピの番祖「束京ホームジョッキー」のなかの商品紹介コーナーとして始まりました。1997年以降は、24時間放送のテレピ通販の専門局が相次いで開設。ケーブルテレビやCS放送、BSデジタル放送の視聴世帯の増加により、市場は拡大傾向が続いています。
③小売拠点型通販
1997年に、コンピニエンスストアのローソンが、主要店舗にマルチメディア端末を設置したことに始まります。以後、コンビニ・チェーンが続々と参入して市場が活性化しました。コンサートなどのチケット販売が主流ですが、サービスの充実を図れば今後もさらなる拡大が期待されています。
④インターネット通販(ネット通販)
インターネットヘの接続や設定が容易46Windows 95が発売されてから、飛躍的に発展しました。ホームページ制作ソフトがあれば低資金で自宅に開設できるほか、リアルタイムに情報を発信でき、受注のチャンスは24時間、Eメールなどでお客様のニーズや生の声をキャッチでき、全世界がマーケットとなり得るなど、さまざまなメリットがあります。
なお、インターネットを使った商取引のことを「EC(Electronic Commerce)」とか「Eコマース」といいます。

ネット通販などで顧客の広がりは無限大

通販ビジネスが今後も拡大を続けるといわれる理由のIつとして、ケーブルテレビやBS放送などを使ったテレピ通販と、ネット通販のめざましい発展が挙げられます。
元来、通販の利用顧客の大半は女性なのですが、ネット通販やケープルテレビショッピングなどニューメディアを使う通販は、男性から広がる傾向が強く、その意味で、今後は男性利用者の急増が期待できるからです。
また、以前はネット通販というと個人情報の漏洩の危険性などが問題にされて、二の足を踏む人も少なくなかったのですが、今ではそうした問題もクリアになりつつあります。
それに加えて、今は小学校でインターネットの利用法を教える時代。ネット通販を抵抗なく受け入れ活用する若者層が急増していくことは、容易に想像できます。今後、通販の顧客層は、男女や年齢層を問わず大きく広がっていくはずです。

拍車がかかる中小企業の参入

ネット通販以外に通販市場の拡大に寄与しているものとして、中小企業の参入がありま
す。
今までは、大企業が売上を伸ばすことで通販業界全体を拡大させていたのですが、ここ5、6年は中小企業がどんどん参入し、通販業界全体の成長を後押ししているのです。
中小企業の参入が多い業種は、食品、健康食品、化粧品、雑貨。なかでも食品通販市場は、この5年間ずっと増加傾向にあり、伸び率からいえばトップです。
食品通販に限った売上高ランキングを見ると、ランキングー位のくらでぃっしゆぼーや〉(東京都・年商172値円)や、3位の〈大地〉(東京都・年商125値円)、7位の〈オレンジライフ〉(福岡県三瀦郡・年商90値円)は、有機野菜を扱う無店舗販売の会社です。なかでもくらでぃっしゆぼIや〉は、6、7年前にいきなりI位に踊り出て以来、ずっとトップの座をキープしています(通販新聞2002年度調べ)。
2位の〈宇治田原製茶場直売部〉(推定年商148億円)は、京都・宇治田原町にある通販専業の会社ですが、「月刊茶の間」という第三種郵便の月刊誌を発行し、茶だけでなく総菜や菓子などの食品も販売しています。
8位の〈市川園〉(静岡市・年商74億円)も茶と食品を、化粧品で有名な9位の〈ファンケル〉(横浜市・年商40億円)は発芽米や青汁などを、14位のくもち吉〉(福岡県直方市・推定年商30値円)は煎餅を、それぞれ扱っています。20位の〈アイケイ〉(名古屋市・年商16値円)は食品などを扱う生協系の通信販売代行業で、ジャスダックに上場を果たしている成長株です。
三越、大丸、高島屋といった百貨店の通販部門や、カゴメ、サンスターなどの大手メーカーもランキングされてはいますが、それら以上の売上をあげている中小企業は多く、通販の世界では大企業だからといって有利とは限らないということが、おわかりいただけると思います。
もちろん、この本でこれから紹介するように、食品以外の分野でも通販で成功している中小企業はたくさんありますが、とくに食品の分野では、消費者は商品そのものの魅力
(昧のよさ、希少性、安全性など)を重視するもので、企業の規模の大きさは二の次、三の次になります。ここに、中小企業が参入するJっまみ〃があるわけです。
なお、この項目で触れている各社の年商は、食品通販会社以外は、食品のみの売上高です。

戦略の見直しが必要な「総合通販」
みなさんもよくご存じの〈千趣会〉や〈ニッセン〉〈ムトウ〉などのように、アパレル、家電、リビング用品など幅広い商品を扱う通販を「総合通販」といいます。
総合通販にはカタログが不可欠ですが、日本経済新聞の調査によると、カタログ通販97社の2002年度の売上高は、前年度実績を下回りました。そのため多くの通販会社が、カタログの統廃合などによって戦略の立て直しを図っています。
その一方で、テレピ通販やネット通販は順調に伸びています。とくにB10B(Businessto Business 企業と企業の商取引のことで、B2Bと表記されることもあります)の売上も含むネット通販の売上が、通販全体の売上を後押ししているというのが現状です。
2003年に総務庁が発表した「情報通信白書」によると、2002年末の日本のインターネット普及率は人口の50%を超え、BtoC(Business to Consumer企業と消費者間の商取引のことで、B2Cと表記されることもあります)のネット通販は1兆円を突破しました。
総務省では、2007年にはネット利用者の人口普及率が70%に迫ると予測しています。つまり、ネット通販、とくにBtoCの市場は、今後さらに広がっていく可能性があるということです。

小さい企業でも成功できる「単品通販」!
幅広い商品を扱う総合通販に対して、ある一つの商品だけを扱う通販を「単品通販」といいます。
たとえば、福岡名物・明太子の老舗〈ふくや〉(福岡市・年商96位円)では、明太子の通販だけで70位円を売り上げています。このように、明太子なら明太子だけ、あるいは煎餅なら煎餅だけを売る通販が単品通販で、「ワン・カテゴリー一通販」ともいわれます。化粧品も単品通販の範躊に入るものですが、リピーターーが多いという特徴があるため、最近では「リピート通販」ともいわれています。
小さい会社が通販市場に参入する場合、お金と時間をかけていろいろな商品を新たに開発するよりも、。今まで自分が作ってきたもの〃を単品で売っていくのが、利益を上げるには一番手っ取り早い方法です。
その代表格が食品といえるでしょ

健康食品市場の推移

健康食品市場の推移

日本通信販売協会でも、5年ほど前に県品通販部会ができ、単品通販の会社が集まってさまざまな研究をしています。そのほとんどが小さな会社です。
日本通信販売協会が2002年に実施した「食品単品通販に関するアンケート」の結果によると、食品単品通販事業者216社のうち、年商5000万円未満が約66%で、半数以上を占めていました。また、提供している通販形態と売上比率は、インターネット上のホームページで売る形態が非常に多いものの、実際に売上に貢献しているのはDM(ダイレクトメール)・チラシやカタログであることがわかります。
1回の平均受注金額は6000円で、販売商品として多かったのは上位から順に、農産加工品、水産加工品、生鮮魚介類、菓子類、酪農畜産製品でした。
食品は中小企業が参入しやすい業種で、近年とみに伸張している市場でもあります。新たにビジネ
スを起こすときには伸張している市場のほうが有利ですので、食品の単品通販は、これから通販を始めたいと考えている小さな企業にとって有望な市場といえます。
ただし、このアンケート調査では、黒字を計上している会社は57%でした。この数字は、全企業に占める黒字企業の割合よりは多いかもしれませんが、それにしても誰もがすぐに黒字を出せるとは限らないということも、肝に銘じておいてください。

お金がないなら単品通販を始めよう!

単品通販のメリットには、
①初期投資が少なくてすむ
②客数が少なく顧客管理がしやすい(パソコンで対応できる)
③顧客の反応もすぐわかる
④結果的に通販のノウハウも蓄積しやすい
⑤商品に希少性があればつけたい値をつけられ利益を出しやすい
などがあります。
小さい企業にとってはいいことづくめのように思えるでしょうが、むろん、単品通販で成功するためには、これだけはやらなくてはいけないと思われるいくつかの必要条件もあります。
まず第一に、商品に相当の魅力がなければ、事業そのものが成り立ちません。
世の中のニーズに合った魅力的な商品をもっていたとしても、新規顧客の開拓や既存顧客の維持に力を注ぎ商品の供給も安定させないと、経営が先細りになってしまいます。商品の存在をアピールし、新規顧客を開拓するために、インターネットなどの広告媒体をいかにうまく使いこなせるかも問われます。
また、商品の種類によっては、流通コストが高くついてしまう可能性もありますし、食品を扱う場合には、商品の安全性に細心の注意を払わなければなりません。

食品の単品通販で成功するキーワード
先に述べたように、食品単品通販は小さな企業が比較的参入しやすいジャンルで、成功を収めた中小零細企業や個人、あるいは自治体などの例も数多く見られます。ここからは、そうした成功例を見ていくことにしましょう。
その前に知っておいてほしいのは、このジャンルに参入する際には、食品に関する消費者ニーズをよく把握しておかなければならない、ということです。
食品に関する消費者ニーズは、主に次の5つのキーワードです。
①安全・安心志向
②原産地・ブランド・品種志向(商品の優位性)
③スローフード
④こだわりのおいしさ
⑤健康志向
こうしたニーズに合った商品を提供し、成功している小さな会社の実例を、以下に挙げ
てみます。成功例を通して、「顧客に支持される魅力的な商品」とは何かを考えていきましょう。

①「安全・安心志向」というキーワード
加工工場を一般公開して商品の安全性を納得させる〈ウメタ〉の梅干

BSE(牛海総状脳症)の影響で牛丼が店頭から姿を消し、鳥インフルエンザがアジア
に流行の兆しを見せている昨今、食品の安全性に対する梢費者の意識は、ますます高まっ
ています。
女性を主とした生活者の実態調査を行なうくくらしHOW研究所〉(東京都)の2002年の調査によると、既婚女性のうち「安全な食事をするための努力をする」と答えたのは
実に86・9%。「無農薬・無添加・減農薬のものを購入する」は30・5%、「産地に注意す
る」25・2%、「購入する店を選択する」は12・4%でした。
こうした消費者ニーズに応えて業績を伸ばしているのが、「日本一の梅の里」といわれる
和歌山県日高郡酎斟町で、安全性にこだわった梅干の単品通販を展開する〈ウメタ〉(社員
数120名)です。
40年ほど前から調味梅の製造販売を始めた同社では、安全・安心志向という消費者ニーズをとらえて、化学調味料をいっさい使わず、ハチミツなどの天然素材を用いて調味した梅干が大ヒットしています。また、PRのために建てた「紀州梅干館」の1階には、別会社の〈梅翁園〉があり、〈ウメタ〉の商品の店舗販売と通信販売を行なっています。
同社が本格的に通販を始めたのは、平成5年(1993年)から。売店で一度購入し、その味に魅せられた消費者から、「もう一度食べたいので自宅に送ってほしい」などの問い合わせがあり、それが通販顧客に結びついていきました。
同社の成功の最大の要因は、体にょいとされる梅を天然素材を用いておいしく調味しているという、安全志向の展開にあります。ほかに、梅の名産地という地の利を活かして消費者に安心感を与えていること、また地元の優良企業であるため、梅が不作のときも質のよい梅を確保して商品の供給を安定させていることも、成功の要因といえます。
さらに、「紀州梅干館」のなかに梅の加工工場を設けて、一般公開している点も見逃せません。万全の品質管理が行なわれている様子を見学したあと、見学者は〈梅翁園〉経営の店舗で必ずといっていいほど商品を購入していきます。これは、消費者に製造現場を見せることにょって、企業や商品に対する信頼を与えているのです。そうして新たな顧客を獲得し、根強い「ウメタファン」を作り出しています。
なお、農薬や化学肥料、添加物などを使わない「安心・安全」の食品を提供する通販事業としては、セキュリティ会社の大手〈セコム〉が、1998年に新規事業を立ち上げ、着実に売上を伸ばしています。この〈セコム〉の成功例は、第4章で詳しく説明します。

②「原産地・ブランド・品種志向」というキーワード
「私だけが知っている」と消費者の優越感をくすぐる商品
?千葉県の「エコ農産物」と長崎県の「アーダップル・大地のりんご」
食に開する原産地志向やブランド志向は、昔から消費者の間にありました。身近な例では、関サバ、関アジ。同じサバでも、大分県の開港にあがればブランド品として珍重され、ほかの港にあがればただのサバになってしまうのです。企業側も、食品のブランド価値は。安定顧客を獲得する品質保証〃であると考えています。
通販でも、こうした時代の傾向を反映して、小さな地元個人ブランドが台頭しています。
地方自治体でも、千葉県の認証付き「エコ農産物」が、ブランド食品として注目を集めています。これは、農薬や化学肥料の使用をできるだけ抑えて栽培を行なう産地を県が指定して、そこでとれた野菜を〈エコ農産物〉として認定するものです。
品種志向の成功例としては、長崎県の〈俵屋農場〉が通信販売している「アーダップル・大地のりんご」があります。これは、10キログラムで5000円もする高価なジャガイモです。
「アーダップル? そんな名前、聞いたこともない」
「こんな高価なもの、誰も買わないんじゃないの?」
と思う人もいるでしょうが、このジャガイモは完全自然品種(無交配品種)。人為的な交配品種と違って生命力がとても強く、甘くてホクホクした、安全でおいしいジャガイモで、その希少性はきわめて高いそうです。
みんなが知っているものを今さら売ってもヒットは期待できません。誰も聞いたことがない商品だからこそ売れるのです。希少性とはそういうことであり、通販ではとくにこの希少性が支持されやすいものなのです。

③「スローフード」というキーワード
食の本質に迫る社会運動とリンクした通販展開
ぐるめくにひろ〉のハム・ソーセージ
スローフードとは、多忙な現代人の食生活を見直す動きで、イタリア・トリノ地方の片田舎で始まりました。消えゆく恐れのある伝統的な食品を作る小生産者を保護し、質のよい食品を作る小生産者を守り、子どもたちを舎めた消費者に昧の教育を進める運動です。
「食事くらいゆっくり食べようよ」という、ファストフードと正反対の食生活を指針としています。
スローフーード運動は、日本でも2001年に日本スローフード協会がNPO法人として認可を受け、着実に広がってきています。
束京のくぐるめくにひろ〉という小さなハム屋さんでは、一般のハムの製造過程で添加される亜硝酸を使わない製法の研究に成功。1994年に、オランダで行なわれたスラバクト国際見本市コンクールで無添加ウィンナー2種類が銀メダルに輝き、97年にも同コンクールで無添加ロースハムとベーコンがともに銀メダルを受賞しました。本場ヨーロッパ で高い評価を受けたことや、山梨県の山中湖に生ハムの熟成小屋まで作ったこだわりが消費者に支持され、このハム・ソーセージはヒット商品になったのです。
また、同社は日本スローフード協会の束京・名古屋・大阪3支部の会員であり、積極的にスローフード協会の活動に関わっています。社会的に注目を集めているスローフード運動と、自社のコンセプトをうまく連動させたことも、売れている理由の一つです。スローフードというコンセプトは、今後も通販の世界で定着していくと思います。

④「こだわりのおいしさ」というキーワード
希少性や伝統の強みで消費者の支持を得る
「だだちや豆」や「てっぺんトマト」、〈井上商店〉の「丹波の黒豆」
カタログ通販の大手では、名店のラーメンやカレー、銘菓などを、こだわりのおいしさという切り口で全国各地から集めた「お取り寄せカタログ」がヒットしています。市販の雑誌でも、こうした商品を紹介すると部数が伸びるということで、各出版社が「お取り寄せ通販」に注目しています。商品の希少性や伝統的生産性が消費者に受けているのです。
ありふれた食品だけれど、普通のものとはちょっと違う、という希少性でヒットした商品としては、山形県の鶴岡周辺の限られた地域で、江戸時代から農家が大切に守って生産してきた「だだちや豆」という枝豆や、茨城県の農家が作っている「てっぺんトマト」などがあります。
「だだちゃ豆」は、普通の枝豆に比べて香りが強く、うまみも濃厚なもので、通販が始まった当初から、その希少性とおいしさで人気が出ました。やがて各社の食品通販や百貨店通販も取り上げるようになり、現在、あるカタログでは、I・5キログラムで4800円という高い価格設定になっています。それでも売れるわけです。
「てっぺんトマト」は、もとは茨城の契約農家が一流レストラン向けに特別栽培したトマトでしたが、婦人雑誌「家庭画報ショッピングサロン」で紹介され、有名シェフのお勤めが効いたのか、ヒット商品になりました。価格は、1箱1・2キログラムで5800円。
「てっぺんトマト」は、昧や希少性のほかに、ネーミングの面白さでも受けたようです。
一方、伝統的生産物でヒットしているのが、兵庫県・丹波篠山で黒豆(枝豆や黒豆茶、黒豆銘菓、煮豆など)をネット通販している〈井上商店〉です。ある程度の年齢層の日本人なら、丹波といえば黒豆と連想します。〈井上商店〉では、そのネームバリューを活かして、消費者がインターネットで。丹波のSlakを検索すると自社のホームページが上位にあがるようにしてあります。ご丹波のSlaGという優位性を商品化し、それをブランド化しているともいえます。
インターネットショップ〈井上商店〉のスタッフは、ウェブマスター(ネットショップの店長)1人だけですが、その売上は月商1000万円に達しています。

⑤「健康志向」というキーワード
「おいしく食べて体にやさしい」はヒットの王道
〈天然酵母工房〉の天然酵母パン、〈石井味噌店〉の天然醸造味噌
おいしく食べて健康によいという健康志向を押し出した商品も、通販では大ヒットの可能性を秘めています。

最近、ネット通販やカタログ通販で人気を集めているのが、天然酵母のパン。添加物を入れず、天然の酵母で作った健康志向のパンです。〈天然酵母工房〉(束京都)のパンは、ネット通販でI斤2600円という高額商品ですが、即日完売するほど手に入りにくい商品となっています。
天然酵母工房は、世田谷に最高級パン専門店「ルセット」という店舗を土・日のみ営業しています。ネットと店舗では置いている商品が違い、個々でそれぞれの顧客をもっています。商品は違っても高級パンということは同じです。

ルセットではパンをテーマにさまざまな挑戦を行なっており、最近ではパンをギフト商品にしたいと考え、4500〜6500円のパンを考案し販売しています。
初めて6500円のパンを作った時、その日8個だけ残ったそうです。店長は、ネットのお客様にその日の夕方4時に「ギフトパン6500円が8個あります」というメールを送りました。4時15分には全国から300個の注文が入ったそうです。まだ誰も見たことも食べたこともない6500円のパンに、たった15分で300人のお客様から注文があったのです。
その天然酵母の最高級パンは、こだわりのある人に、こだわりのある価値を提供するという考え方から生まれた商品です。
ほかにも、創業140年近い長野県松本市の味噌の老舗〈石井味噌店〉では、原料に国産大豆を使い、無添加で昔ながらの天然醸造の味噌を販売し、成功しています。この味噌は、加熱殺菌しないため善玉菌(酵母・乳酸など)が生きており、体によくておいしいことから、「ほんもの」を求める消費者に根強い人気があります。
前者のパンも味噌も、素材へのこだわり、製造へのこだわり方に従来の商品を超えた高い付加価値をもっています。そんな希少性のあるものを求めるお客様は確実に存在しているのです。
また、こうした加工食品は、収穫の善し悪しに左右されやすい生鮮食品に比べて安定供給しやすく、加工することで商品に付加価値をつけることもできます。その点で、加工食品は通販に向いた商品であるといえるのです。

顧客の囲い込み

ここまで、食品に関する消費者ニーズを把握して成功した会社や自治体の例を紹介してきました。安全・安心志向、原産地・ブランド・品種志向、スローフード、こだわりのおいしさ、健康志向の5つは、「よく売れる食品通販」を実現するためにはどれも重要なものばかりです。
これらのコンセプトにそって顧客を獲得したあと、次に必要になってくるのは、一度獲得した顧客を逃がさないための工夫です。ことに小さな会社では、派手な宣伝やキャンペーンでお客様をつなぎとめておけるほど、お金に余裕がないのが一般的。ひと工夫もふた工夫もして顧客を囲い込み、大手に対抗していく必要があります。
その工夫とは、いったいどういうものなのでしょう。そのヒントとして、この項では、
〃カリスマのいる店〃としてファンを増やし、顧客の囲い込みに成功しているキムチ屋さんの例をご紹介しましょう。

母子の二人三脚でECサイトを開設
昧にこだわる梢費者が増えたせいで、ECサイトには手作りによる本格派の商品を扱う店が目立ちます。韓国のyおふくろの昧〃であるキムチの店も、膨大な数に上ります。
なかでも、京都・二条城の近くでキムチの製造販売をしている〈キムチのミズノ〉は、注文から3ヵ月以上待たなければ商品が手に入らないほどの繁盛ぶり。人気の秘密は、この店の「カリスマおかん(お母さん)」、水野栄子さんにあります。
在日韓国人二世の栄子さんは、夫の死後、新たな生きがいを探していたところ、息子さんからインターネット通販を勧められ、母親譲りのキムチ作りの腕を活かすことを思い立ちました。
さっそく、息子さんがECサイトを立ち上げ、1997年10月にネット通販をスタート。当初は1日に1件ほどの注文しかありませんでしたが、手作り・本格派の昧がしだいにクチコミで広まり、翌年の5月には、約10平方メートルの自宅のガレージを改造して店舗を構えるまでになりました。
注文が増えるにつれて顧客の間では、キムチを作る栄子さんの人気が高まっていきました。そこで、息子さんがサイトに「今日のおかん」というコーナーを設け、栄子さんがキムチを漬けている姿や、韓国までキムチの材料を買い付けに行っている姿などを写真と文で紹介したところ、書き込みが殺到。
やがてサイトには「おかんファンクラプ」というコーーナーができ、栄子さんに会いに行くツアーまで誕生するほどの人気となったのです。カリスマ的なスタッフはJ苓板商品〃
昧のよいキムチもさることながら、〈キムチのミズノ〉の一番のJ曹?は、この栄子さんです。
栄子さんは、キムチのことを知り尽くし、キムチについて多くのことを語れます。おいしいキムチを作ることだけに情熱を傾け、「キムチを売るのは大事に育てた娘を嫁にやるような気持ちがする」とも語ります。
多くの人が、「今日のおかん」を通して、そんな栄子さんの人柄に触れ、魅了されました。
息子さんの思いつきで始まったという「今日のおかん」は、期せずしてこの店のキムチに独特の。癒し系〃の雰囲気を付加し、他店との差別化にもつながりました。
栄子さんのように、その存在自体が消費者を引きつける人物のいる店を、「カリスマ店舗」といいます。
ひところマスコミに注目されたカリスマ美容師や、ブティックのカリスマ店員、「鉄人・達人」などと呼ばれる有名シェフ、また最近流行している「ご当地ラーメン」ならぬ「ご当人ラーメン」(素材や昧にこだわる店主が作る、その店主にしか作れないラーメンのこと)など、優れた腕前、商品へのこだわりと情熱、ユニークなキャラクターをもつスタッフがいる店には、熱狂的なファンがつきます。こうした店は、リピーターが非常に多いのが特徴です。
カリスマは、作ろうと思って容易に作れるものではありません。〈キムチのミズノ〉でも、最初からカリスマを作ろうと狙ったわけではなく、身近にいる息子さんが何気なく母親の人柄を紹介したことから、「カリスマおかん」が生まれました。
〈キムチのミズノ〉は、通販でもカリスマの存在をうまくアピールすれば顧客をファンとして囲い込むことができるという好例です。カリスマは、消費者の心をつかむ最高の商品であり、その存在がクチコミなどで広がれば、多くの新規顧客を獲得するチャンスも広がっていくのです。

価格&広告戦略

「商品に自信はあるのだけれど、価格を高く設定すると買ってもらえないのでは?」
「でも、あまり安くしたら、商売そのものが成り立たなくなってしまうしなあ」
通販を始めた人なら誰でも、価格設定をどうするかということで悩みます。そんな人たちを勇気づけてくれるような成功事例があるので、ご紹介しましょう。味に自信があれば値段は自由自在
京都に〈ハ起庵〉という鳥を使った会席料理の店があります。以前、アパレル・メーカーの営業をしていた男性が開業した店で、料理をひとつずつ出していき、最後に「鴨なんば」(鴨南蛮うどん)と玉子かけごはんが出てきます。食材のほとんどは、地元・京都産。

鳥は、京都の山あいにある「ハ起庵の鶏舎」で放し飼いで育てており、玉子もその鶏たちが産んだ有精卵を使っています。味にうるさい某有名俳優もひいきにしており、ハ起庵の料理は評判を呼び、観光旅行で京都を訪れた人たちがその昧を忘れられず、「とてもおいしかったから、自宅に送ってほしい」という注文が相次ぐようになりました。
会席料理を通信販売するのは無理ですが、うどんなら可能です。そこで〈ハ起庵〉では、うどん・鴨・京ネギ・だし汁をセットにした「鴨なんぱ」という商品を開発。この商品は、京ネギは斜めに切ってパックし、そのまますぐに使えるようにしてあります。
「鴨なんば」を通販で売り出す際、〈ハ起庵〉ではその価格を、店主が。売りたい額〃に決めました。その額とは、4人前Iセット・クール宅配便の送料込みで5000円。普通、鴨南蛮の値段といえばせいぜい1000円前後ですから、少し高めの価格設定です。それだけ昧に自信があったのです。
どこに広告を打つかで展開は変わる
「鴨なんぱ」1杯に1000円以上も出すのは高額所得者だろうということで、同店ではダイナースカードの会員に送られる月刊誌「シグネチュア』の通販の広告枠に広告を出しました。この広告は、当時Iマス25万円ぐらいで売られていました。
何回も広告を出すうち、レスポンス(消費者の購入申し込み)は徐々に上がっていきました。広告を見た人は、高額所得者だけあって、4人前で5000円という価格を「高い」とは感じません。むしろ、「それだけ昧がいいのだろう」「ぜひ食べてみたい」と思います。店の狙いはみごとに当たりました。あえて5000円にしたことが功を奏したのです。
また、京都の店ということもプラスに働きました。とくに東京方面の人は、古都・京都というだけで惶れてしまうところがあるのです。
じわじわと人気を得た「鴨なんぱ」は、やがて「家庭画報ショッピングサロン」や「サントリーショッピングクラプ」などの誌上でも取り上げられるようになりました。こうしたカタログでは、常に売れる商品を探しているのです。
「鴨なんば」が「家庭画報」通販誌の「通販人気ベスト10」のひとつになると、今度は高島屋から「通販カタログに出てくれませんか」と引き合いがくるようになりました。
こうして「鴨なんぱ」の名はどんどん広がっていき、通販を始めて2、3年後には1億円の売上を達成していました。

工夫を重ね、さらに顧客の心をつかむ
通販の食品が一番売れるのは12月。この時期は、年末年始の贈答用に購入する人や、お正月ぐらいいつもと違ったものを食べてみようという人が多くなるからです。
〈ハ起庵〉でも12月を迎えると、通常の発送場所では仕事が追いつかなくなり、店の宴会場や座敷に商品を並べ、スタッフー同が必死に発送作業を行なっていました。
「鴨なんぱ」の商品セッティングで最も手間がかかるのは、ネギを斜めに切ることです。
京都では、鴨南蛮に入れるネギは九条ネギで、斜めに切るものだそうです。
これまで市場にあった機械では輪切りしかできないので、すべて手作業でやらなくてはなりません。ある年、ネギを切り続けていた店主は腱鞘炎になり、手が動かなくなってしまいました。
そこで機械メーカーに頼んで、ネギを斜めに切る機械を開発することに。試行錯誤の末に完成した機械のおかげで、仕事の効率は一挙にアップし、多くの注文に迅速に対応できるようになりました。

「自分がなんぼ欲しいか」が価格設定の決め手
〈ハ起庵〉の店主は、「鴨なんぱ」を通販で売り出すにあたって、その価格を「自分がなんぽ欲しいか」という基準でつけたといいます。そして、「この昧からいえば、4人前5000円は安いと思う」と言っています。店主は、原価の積み上げではなく、お客様の「うまかった」という満足度を考えて、この価格で十分競争力があると判断したわけです。そしてその判断はみごとに当たりました。
今ではこの店は、鳥鍋などの通販商品も増やし、それだけでなく店舗展開にも力を入れています。通販が伸びることによって、通販で食べた「鴨なんば」がおいしかったから店にやって来たというお客様が増えてきました。店主は、通販のお客様が店に来て「それほどでもなかった」と思うようじゃダメだ、「思っていた以上によかった」と満足して帰っていただかなくては通販も伸びない、と考えています。
通販はサービス業です。「店で売る商品は高くて、通販で売る商品は安い」という基準ではなく、通販の商品にもサービスコストが入って、それなりの価格で売るというのが、単品通販の基本です。
店の昧も通販の味も同じというのが、〈ハ起庵〉の商売の姿勢なのです。

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