うつ病

うつ病とは、どんな病気?

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うつ病とは、どんな病気?

「うつ病」はけっして特別な病気ではない。
初めに強調しておきたいのは「うつ病」はとても,ありふれた病気だということです。WHO(世界保健機関)の報告によると、世界の全人口の3〜5%がうつ病にかかっていると推定されています。これを日本の人口に当てはめると、360万〜600万人がうつ病にかかっている計算になります。
また、これらの数字は、うつ病がけっして特殊な病気ではなく、非常にポピュラーな病気であることを示しています。わが国においても、精神科以外の一般診療科(内科など)を受診する患者のうちの約10%はうつ病であるといわれており、感冒(カゼ)に次いで多く、高血圧と並ぶ頻度の病気であるという報告もあります。
近年、うつ病は。心のカゼとも呼ばれていますが、その言葉のとおり、カゼのように誰でもかかる可能性
のあるありふれた病気だということが、これらの数字によってもご理解いただけるでしょう。
近年、急増しているうつ病の患者数↓

うつ病の患者数の推移

うつ病の患者数の推移


 
こうした患者数の増加は、ひとつには、うつ病などの精神科疾患に対する偏見が以前にくらべて少なくなり、来院しやすくなったということもあるでしょう。しかし、それだけではこの急増ぶりを説明することはできず、やはり精神疾患自体が増加していると考えざるを得ません。しかも、躁うつ病や統合失調症といった古典的な病気がほぼ横ばいなのに対して、ストレスが原因あるいは発病の引き金となっている軽症のうつ病がふえているのが特徴的です。このように、うつ病が急増している最大の原因は、社会環境の激変によるストレスの増大にあると考えられます。しかも、そのストレスは昔のような単純なものではなく、さまざまなストレスがからみ合って生じる「複合ストレス」とも呼ばれるべきものです。パソコンやインターネットなどの発達による高度情報化、核家族化、高齢・少子化、女性の社会進出、大都市への一極集中化、都市化に伴う地域コミュニティーの崩壊、バプル経済の破綻、長圓の不景気に伴うリストラなどなど、近年の社会環境の激変の例を列挙していくときりがありません。
現代の社会は高度化、多様化が進み、おかげで私たちは便利さや自由を得ました。しかし、その一方で、人間関係の葛藤や摩擦、新たな生活スタイルや価値観の変化などによる複雑なストレスにさらされ、心のトラブルに悩むようになったのです。また、以前から指摘されていることですが、日本人特有の「甘えの構造」と呼ばれる依存的体質は、年齢を重ねても大人になりきれない人間をつくり出しています。そうした体質を特っているために、正常とも異常とも言いがたいボーダーライン上の人たち、いわば境界人間がふえています。
このような人たちは際立って異常というわけではありませんが、確実に心のトラブルに悩まされており、うつ病の予備軍、あるいは軽症のうつ病といってよい例が増加しています。
わが国はいま「1億総うつ時代」の到来を迎えているといっても過言ではありません。
精神科とは
うつ病、神経症、統合失調症などの精神の病気、つまり心の病気の治療を専門とする科のこと。精神医学の立場から、診断・治療を行います。ただし、精神科と標榜すると患者さんが受診しにくいとの配慮もあって、神経科、精神神経科、神経精神科などの名称を名果っている診療機関もあります。
心療内科とは
心と体を一つのものとしてとらえ、身体と精神の両面から診断・治療していこうとする「心身医学」の考え方に立った新しい診療科。簡単にいうと、心の問題で起こる身体の病気を治療している内科です。精神科ではありませんので、重症のうつ病、神経症、統合失調症など、いわゆる精神病は扱いませんが、仮面うつ病のように症状が軽く、身体症状のほうが強く出ている場合には、心療内科を訪ねてみるのもよいでしょう。

うつ病はどのような病気なのか?

沈んだ気持ちや元気のない状態がつづく。
みなさんも経験があると思いますが、人間には誰でも気分の浮き沈みがあります。どんな人でも一度や二度は仕事や勉強などがうまくいかずにスランプに陥ったことがあるでしょう。
イヤな出来事があって、ゆううつになったり、異性にフラれて気分が落ち込み、何もやる気が起きないといった経験は誰しもあると思います。
それでも、ふつうはいつの間にか精気をとり戻してご瓦のように再び元気に活動ができるようになるものです。
こうした一過性の気分の落ち込みならば正常の範囲であり、差し当たって心配はいりません。
ところが、こうした沈んだ気持ちや元気のない状態がいつまでもつづいて、もとのように回復しない場合があります。それが「うつ病」です。
うつ病の気持ちは「雨降りの日の感情]ともいわれるように、なにかしら物悲しい、ばく然としたゆううつな気分です。その気分は「気の沈み」「寂しさ]「悲しみ」「不安」「厭世観」「焦燥感]「劣等感」「虚しさ」「気がめいる」「つまらなさ」「うっとうしい」「おっくう」「重苦しい」など、さまざまな言葉によって表現されます。
このような沈んだ気分を精神医学では「抑うつ気分」と呼びます。抑うつ気分は、うつ病の精神症状として第一にみられるものです。
いつまでもゆううつで、おっくうな状態がつづきますと、ついには自分はもうダメになってしまったと考えてしまい、自己卑下や自責の念にかられるようになります。「自分は生きている価値がない」「この附から消え去ってしまいたい」などと考え始めます。やがては、ゆううつ惑などの感情面より、意欲や行前面での障害があらわれてきて、何かに抑えつけられたように決断や実行ができなくなります。まるで「油の切れた歯車」のような状態といえばよいでしょうか。
要するに、うつ病は人間が本来持つ元気がなくなり、それに伴って意志や行動も低下する心の病といえるでしょう。
正常な範囲の一時的な「うつ」の区別が重要。
これに対して、正常な範囲の気分の落ち込みについては、医学的には単に「うつ」と呼んで、うつ病とは区別しています。ただ、そうした「うつ」で一時的に気持ちが落ち込んだ状態と、うつ病の抑うつ気分をくらべると、気分の落ち込みそのものについては質的な差はあまりないといわれています。
気分の落ち込みが一時的で、時がたつにつれて消えていくようならば正常の範囲であり、数週間あるいは数カ月というように非常に長くつづき、日常生活や社会生活に支障をきたすようであれば、それは、うつ病にかかっていることになります。
うつ病の場合、気分の落ち込みが正常の人と心理的には同じような性質と考えられますから、どこまでが正常で、どこからが病気かを決めるのは非常にむずかしいのですが、それは、専門医がそれぞれの患者さんを診察して判断することになります。
古くから存在するうつ病
うつ病は人類の歴史が始まって以来、古くからある病気です。ゆううつなことを英語では「メランコリー」といいますが、これは「黒い胆汁」を意味する「メランコリア」というギリシャ語からきています。古代ギリシャの病理学では、病気は血液や粘液、黄胆汁、黒胆汁などの体液間のバランスがくずれた結果、起こると考えられていました。
紀元前4世紀の医学者・ヒポクラテスは、黒胆汁の温度や量、流れる方向などによって、うつ病の症状が起きると考え、「恐怖感とゆううつが長い間つづくのは、メランコリアという病気である」と述べています。
今日のうつ病や噪うつ病の概念を確立したのはドイツの精神医学者・クレペリン(1856〜1926)で、時期的には19世紀末のことです。

うつ病のタイプ

「うつ病」はいくつかのタイプに分けられる。
「うつ病」の分類法にはさまざまなものがあります。
今まで多くの研究者によってさまざまな分類の方法が試みられていますが、そのうちのいずれかが絶対的な方法として認められ、評価が確立されたというわけではありません。一般によく知られているのは、キールホルツによる分類法(1974年)です。それによると、うつ病を病因によって「内因性うつ病」「心因性うつ病」「身体因性うつ病」の3つに大別して
います。
内因性うつ病は、特に原因がないのに、ひとりでに起こるうつ病のことです。「目覚まし時計が一定の時刻になると鳴るように」起こると表現する専門家もいます。

単極性うつ病・双極性障害

単極性うつ病・双極性障害


キールホルツの分類法

キールホルツの分類法


キールホルツの分類法うつ病の分類はさまざまですが、スイスの精神科医・キールホルツは、身体的な原因を縦軸に精神的な原因を横軸にして、その関与する割合から、それぞれのうつ病を分類しました。実際の臨床でも役立つとして、現在でもよく用いられています。
内因性うつ病には、うつ状態だけがあらわれる「単極性うつ病」と、うつ状態と蹄状態が時期を違えて同じ人にあらわれる「双極性うつ病」(いわゆる躁うつ病)とがあります。体質や遺伝など、体の内部的な要因が関係していると考えられていますが、今はまだ原因がはっきりとつきとめられていないことから「内因性」という言葉が使われています。心因性うつ病はなんらかの心理的な葛藤や精神的ショックをきっかけとして、うつ状態になるものです。たとえば、長年連れ添った夫や妻を亡くすなど家庭内で不幸な出来事があったとき、あるいは仕事で失敗したり、過労に陥ったりしたときなどに起こります。このタイプのうつ病については誰でも容易に想像できるでしょう。
近年、わが国で増加しているのも、ストレスに起因するこのタイプのうつ病であると考えられます。
心因性うつ病は、その症状の特徴が内因性うつ病によく似ているため、なかなか区別がつきにくいところがあります。内因性うつ病も何かの出来事を誘因として発病することもあるため、初めは心因性うつ病のようにみえて、あとから内因性うつ病だということがわかるというケースもあります。身体因性うつ病は、身体的な病気や服用している薬物の影響で起こるものです。たとえば、糖尿病や慢性腎不全、潰瘍性大腸炎などの消化器疾患、パーキンソン病、てんかん、脳動脈硬
化、脳腫瘍などによって、抑うつ気分などの精神症状があらわれることはよく知られています。また、降圧薬や副腎皮質ホルモン、慢性ウイルス性肝炎に用いられるインターフェロンなども同様の症状を誘発することがあきらかになっています。
ただし、最近では、この身体因性うつ病については、うつ病からは除外して考えるようになってきています。ほかの2つのタイプと違い、主因はあくまでも身体的疾患や薬物の使用であり、それらを治療するかあるいは中止すれば、おのずと抑うつ気分などの精神症状も改善されます。
逆に、このような患者さんに対して、抗うつ薬の投与や精神療法など、うつ病の治療を行っても、回復の一助にはなりますが、身体的疾患や薬物の使用を放置したままでは完全によくなることはありません。
したがって、うつ病の一種として考えるよりも「身体的疾患や薬物によって引き起こされた「うつ状態」であると考えたほうが適切なのです。
医師の立場からは、患者さんがうつ状態になっているのを確認したうえで、他の身体的な病気や薬剤によって引き起こされたのではない場合に、うつ病と診断を下すことになります。
これらの点を明確にしたうえで診断を下さないと医しい治療は行えず、また脳の障害など重要な病気を見逃すことにもなりかねません。ですから、抑うつ気分などの症状を訴える患者に対して、医帥はうつ病と診断を下す前に、背景に身体的疾患がないか、服薬の有無などを十分に確かめる必要があります。
うつ病に対する新しい考え方。先に、うつ病の分類法で絶対的な方法として認められ、評価が確立しているものはないと述べましたが、それは、うつ病という疾患の起こるメカニズムが十分にわかっていないからです。
特に原因については、生物学的研究を中心に徐々にあきらかになりつつありますが、まだまだ不明な点が多く、そのため治療法も一貫していません。
そもそも精神科の病気全般にいえることですが、今でも「○○病]というように断言できる粘嶺‥疾患はないといっても過言ではないのです。
てんかんや脳の器質性の病気など一部の例外を除いては、その定義や概念がきちんと確立し、病態が理論的に説明でき、はっきりした原因、症状、経過、治療といった流れができあがっているものはありません。
そのため、症状が似ているものを集めて「症候群」としてとらえるのがよいという考え方もあります。こうしたことから、最近では、うつ病などのような「病」という言葉応ふ罠わない傾向も出てきました。
アメリカの新しい精神障害の診断基準では「気分障害」という項目を設け、その中に、これまでうつ病、あるいは躁うつ病と呼ばれていたものを含めています。
また、眼界各国で病気の分類を統一しようという目的でWHOが作成した国際疾病分類(ICD-10)においても、やはり「気分(感情)障害」という項目を設けて、その中に、これまでのうつ病や躁うつ病を含めています。わが国でも、ここ数年、気分障害として精神病からはずす傾向が出てきています。
ただ、実際の臨床現場では、現在もうつ病と呼ぶことが多く、一般の人もそのほうがなじみが深いでしょうから、
このブログでは、従来どおりのうつ病という名称を用いることにします。
「うつ状態」と「うつ病」
日本では「うつ状態」と「うつ病」という言葉を区別して用いるのがふつうです。「うつ病」はあくまでも病名ですが、「うつ状態」とは文字どおり、そうした状態像を示しています。
「うつ状態」はさまざまな疾患に伴っても起こります。ほかの精神疾患、たとえば統合失調症や神経症(ノイローゼ)でも、症状として「うつ状態」があらわれることがあります。しかし、当然ながら、これらは「うつ病」ではありません。
また、本文でも触れたように、身体的疾患や薬物の影響でも「うつ状態」は起きることがあります。
一方、アメリカなど英語圈では、「うつ状態」も「うつ病」も同じく「Depression(デプレッション)」(意気消沈、ふさが込み、ゆううつなどの意)と呼んで、両者を区別しないことが多いようです。
●うつ病に関する最新情報
気分障害(MoodDisorder)近年、アメリカの医学界t甲むに精神疾患の新しい分類が試みられ、うつ状態や噪状態を繰り返す病気を「気分障害」(MoodDisorder)と呼ぶようになってきています。[感情障害」(Affective Disorder)と呼ぶこともあります。この新しい分類法によると、気分障害のほとんどは、うつ状態のみを繰り返すタイプと、録状態とうつ状態の両方を交互に繰り返すタイプの2つに分けられます。
このうち、うつ状態のみを繰り返すタイプを「大うつ病」といいます。耳慣れない言葉ですが、これは従来は「単極性うつ病」あるいは単に「うつ病」と呼ばれていたものです。
一方、環状態とうつ状態の両方があるタイプを「双極性障害」と呼びます。これは従来は「噪うつ病」あるいは「双極性うつ病」と呼んでいたものです。
気分障害の中には、大うつ病(うつ病)と双極性障害(篠うつ病)があることになりますが、ほとんどは大うつ病で、その割合は約75%が大うつ病、約25%が双極性障害であるとされています。これまでの研究によると、大うつ病の発症のピークは40〜60才で、男女比は1対2前後とされ、女性のほうが多いことがわかっています。一方、双極性障害を発症する年代のピークは30才ぐらいで、男女比はおよそ1対1と差はみられません。また、うつ病の症状として特有の睡眠障
害をみてみると、大うつ病の睡眠障害は、寝つきが悪い、寝てもすぐに目が覚める、あるいは朝早く目が覚めてしまうといったものです。それに対して、双極性障害では、うつ状態のときもふつう以上に寝てしまう、つまり過眠傾向がしばしばみられます。このように、大うつ病(うつ病)と双極性障害(噪うつ病)とではさまざまな違いがあることから、両者はまったく異なるものであり、はっきり区別してとらえるべきだという考え方が有力になってきています。

うつ病の症状

「精神症状」と「身体症状」に大きく分けられる。
「うつ病」と正常範囲の「うつ」を見分けるのは、専門医といえども苦労するところとされています。
しかし、多くのうつ病の患者さんを診察していると、やはり圧常の落ち込みの場合とは異なる、うつ病の病像が浮かびあがってきます。うつ病自体は早期発見によって全快が望める心の病ですので、うつ病本来の症状を一刻も早くとらえることが必要になってきます。
近年、社会環境の変化に伴い、うつ病の症状に軽症化・身体化が加わり、そのあらわれ方は非常に多彩になってきています。ここではわかりやすいように、典型的なうつ病の症状について説明していくことにしましょう。うつ病の症状は、「精神症状」と「身体症状」の大きく2つに分かれます。
精神症状
精神症状は「感情」「思考」「意欲」の大きく3つの面に分けられます。
①感情面
中心症状は「抑うつ気分」です。ゆううつ感、イライラ惑、不安感、焦燥感などを主とし、ついには「自殺念慮」(死にたいと願うこと)に至ることもあります。 抑うつ気分の基本は気持ちの沈みですが、実際に患者さんに接していると、「ゆううつ」という言葉で直接的に表現する人はむしろ少ないものです。
「なんとなく気が晴れない」「ひとりでいると寂しい」「理由もなく悲しくなる」「テレビを見てもおもしろくない」「将来に希望が持てない」「自分がつまらない」といったさまざまな表現で気持ちを訴えます。どんな言葉や言い回しで表現されるかは、その人の社会的・文化的背景、仕私や生活環境などによって変わってきます。
このようなうつ病特有の沈んだ気持ちは、程度が軽いうちは自分ひとりで悩んで周囲に気づかれないことが多いのですが、程度が重くなると自分から他人に訴えたりもします。
さらに程度が重くなるにしたがって、言葉で表現しなくても、表情や姿勢、話し声、涙もろくなるなど、態度や様子にあらわれるようになります。

うつ病の精神・身体的状態

うつ病の精神・身体的状態


 
うつ病の症状に特有の「日内変動」
うつ病の精神症状および身体症状には、「日内変動」という特有の現象がみられます。
朝から午前中にかけては非常に気分が重く、体調も悪いのですが、午後にはやや改善されてきて、夕方ごろから気分が晴れて快調になってきます。中には、夜になると人が変わったように元気になり、驚くほど活動的になる人もいるほどです。
正常な範囲の気分の落ち込み、つまり「うつ」の場合には、一般的にこうした日内変動は認められません。
また、うつ病と鑑別が重要な「神経症」の場合には、朝方は調子がよいが、午後から夕方にかけて疲れが出て、夜には具合が悪くなるという、うつ病とはまったく逆のパターンの「日内変動」がみられることが多いものです。
この違いは、うつ病と神経症を見分ける重要な手がかりとなります。
②思考面
中心症状は思考力減退で、集中困難、興味や関心の低下、判断力や記憶力の低下なども伴います。まず、特徴的にみられるのは「思考の制止(抑制)」です。
「頭がさえない」「頭がボーッとする」「考えが進まない」「考えがまとまらない」「同じことばかり考える」などと表現されます。そうした思考の制止を反映して、話し方のテンポも遅くなり、言語表現も乏しくなってきます、さらに悪化すると、自己否定的な考え方にとらわれるようになります。
「あれをしなければよかった」と後悔の念に苦しみ、そのうえ「人生になんの希望もない」と将来に絶望したり、「自分には能力がない」などと自己を卑小に評価したりします。また、生命、経済状態など、自分を支える根源的なものが危機に瀕しているという考えにとらわれて、ときにそれが不合理な妄想にまで至ることがあります。よくみられるのは「貧困妄想」「心気妄想」「罪業妄想」などです。特に老年期のうつ病では、こうした妄想が形成されやすいといわれています。
③意欲面
ひと旨でいうと、いろいろな行為が抑制されて、何をするのも。おっくうになってしまうのが中心症状です。
すべてに無気力になり、行動力や集中力が低下し、なにごとにも意欲がわかない、決断力が低下する、内にこもる、妄想にとらわれるなどの症状があらわれます。
「何かをしようという気が起こらない」「何かをしなければならないと思っても、手が出ない」「手をつけても、根気がつづかない」「人と会ったり、話したりするのがめんどう」「小さなことでも決断ができない」「責任のないこと、たとえば趣味のことならできるが、仕事には自信が持てない」などと訴えるようになります。
ふつうであれば、もっと積極的であるはずの行動が抑制されるので、注意していれば、本人も周囲も気づきやすいのですが、悪化すると混迷状態に陥り、自殺につながることもあるので注意が必要です。
身体症状
うつ病というのは、気分の落ち込みといった粘以悍症状だけでなく、さまざまな思いもかけない身体面の症状があらわれるのが特徴的です。
ことに最近では「仮面うつ病」など、むしろ身体症状のほうが前面に出てくることさえあるほどです。身体症状はさまざまありますが、必ずといってよいほど、うつ病の人にみられるのが睡眠障害です。
睡眠障害とは、ひと言でいえば「不眠」です。青年期のうつ病、あるいは双極性うつ病では「過眠」の症状を示すこともしばしばありますが、ほとんどの場合、うつ病の睡眠障害といえば不眠のことです。
不眠には大きく分けて、①寝つきの悪い「人眠障害」、②眠りが浅くて何度も目が覚めて熟睡感がない「熟眠障害」、③夜中または早朝に目が覚めて眠れない章・朝覚醒」などがあります。うつ病では、どの型の不眠も重複してみられますが、特に多いのは「熟眠障害」と「早朝覚醒」です。
目が覚めたときは抑うつ気分が非常に強くて、後悔や自責の念や将来への悲観などに苫しみ、あれこれ悩みながら寝返りを繰り返すことになります。悪夢を見ることも多いようです。当然、寝覚めも悪く、疲労感が残って、なかなか起床することができません。つらい一日がまた始まると考えるとゆううつで、何もかも放り出してしまいたいという思いにかられます。このような厭世観を伴うところが、単に神経質な人の不眠と大きく異なる点です。うつ病の不眠の場合、特に早朝に目が覚めて、ひとりでいるときに「自殺企図」(自殺を図ること)を突然起こしたり、あるいは実行したりするケースが多いことがわかっています。こう
した自殺を予防するためにも、不眠の治療は非常に重要です。うつ病では、そのほかに全身の倦怠感、頭痛、耳鳴り、めまい、味覚異常、ほや肩のこり、関節痛、腰痛、しびれ感、食欲不振、口の渇き、胃部不快感、腹部膨満感、腹痛、便秘・下痢、胸部圧迫感、頻尿、性欲減退など非常に多彩な症状が出てきます。
このように、一見、うつ病とは関係ないように思われる症状があらわれてくるので、それらを見落とさないように気をつける必要があります。
うつ病と不眠
人間の眠りには「レム睡眠」(夢を見る浅い眠り)と「ノンレム睡眠」(夢を見ない深い眠り)という2種類の睡眠があり、それを朝の目覚めまでに文互に何度か繰り返します。そして、ノンレム睡眠はおおむね睡眠の前半の3分の1に多くあらわれ、レム睡眠は後半の3分の2に多く出現します。健康な成人の場合、眠り始めにはノンレム睡眠があらわれ、やがて入院から70〜90分ほどすると最初のレム睡眠があらわれます。ところが、うつ病の患者では、このレム睡眠の出現が早くなり、人眠後すぐにレム睡眠があらわれることがわかっています。つまり、健康な人では明け方近くに出るはずのレム睡眠が、うつ病の患者では寝人り
ばなにあらわれるというわけです。このような睡眠パターンのくずれが、不眠はもちろん、起床後のさまざまな体や心の不調にも深く関係しているものと考えられます。
●貧困妄想
事実に反して、自分は賞乏だと思い込むこと。
●心気妄想
自分はガンなどの不治の身体病にかかっていると思い込むこと。
●罪業妄想
「過去に許されないほどの罪を犯した」など、自分は悪いことをしたと思い込むこと。
●秋から冬になると、不調を訴える
季節性感情障害(季節性うつ病)
近年、注目を集めているものに季節性感情障害(季節性うつ病)があります。これは、日照時間が短くなる秋から冬に限って、うつ状態になるというものです。
季節性感情障害は1984年、ローゼンタールという学者によって、その概念が提唱されました。ローゼンタールによると、季節性感情障害は少なくとも2年以上にわたって、秋または冬になるとうつ状態を示し、春または夏になるとその症状が回復するもので、他の精神科疾患や社会的、心理的、環境的な問題が原因ではないものとされています。
症状としては、抑うつ状態に陥って焦燥感、不安感、不快感などに襲われるとともに、根気や活動性が低下し、体の不調を訴えます。
特徴的なのは、日中から夕方にかけて強い眠気に襲われたり、あるいは眠りすぎて睡眠過剰になったりする「過眠」の症状や、糖質を過剰に摂取したりする「過食」の症状もみられることです。場合によっては、軽い噪状態を示すこともあります。患者数の男女の比率は圧倒的に女性が多く、男性の4倍近いということもあきらかになっています。
治療法としては、抗うつ薬治療よりも「光療法」が有効とされています。朝、人工的に強い光(2200〜3500ルクス)を数時間、患者に照射するもので、言ってみれば日照時間を人工的にふやしてやるわけです。アメリカではすでに一般化した治療法ですが、最近では日本でも臨床現場で使われるようになりました。季節性感情障害は秋から冬にかけて調子が悪くなっても、春から夏になると自然に症状が軽減することもあり、治療を受けずに放置している人も多いのではないかと考えられます。
心あたりのある人は一度、精神科に相談されることをおすすめします。
 
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