うつ病

軽症うつ病が急増している

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軽症うつ病が急増している

現代社会のさまざまなストレスが主な原因。
近年、目立っているのが、うつ病の軽症化です。わかりやすくいうと、本物のうつ病とまではいかないけれど、
健康な精神状態ともいえない、いわば病気と健康の境界のような人がふえているのです。これらを従来の古典的なうつ病(内因性の躁うつ病のうつ状態、単極性うつ病)と区別して「軽症うつ病」と呼んでいます。
軽症うつ病は、現代社会のさまざまなストレスが主な原因であると考えられ、多くの場合、仕事上のトラブル、職場の人間関係の軋蝶、人事異動や転勤、家庭内の問題など、なんらかの出来事や心理的葛藤をきっかけとして起こります。うつ状態だけがもっぱらあらわれ、内因性の躁うつ病のように躁状態があらわれることはありません。
症状は従来のうつ病と基本的には同じですが、その程度が軽いのが特徴です。ただし、軽いとはいっても正常な人が起こす一過性の気分の落ち込みとはやはり達っています。
軽症うつ病は、うつうつとして落ち込んだ状態が長くつづきます。また、気分の落ち込みだけではなく、やる気や気力の減退とともに、自信喪失や自己評価の低下などを招きます。さらに身体症状を汗います(多くの場合、精神症状よりも、むしろ身体症状のほうが前面そして、これらの精神・身体症状に日内変動がみられるのが、単なる気分の落ち込みとは大きく異なる点です。
軽症とはいっても、うつ病には違いありませんから耳く見てはいけません。
むしろ軽症だからこそ自殺をする気力が残っており、より危険な場合もあるのです。突然、自殺を試みて運よく助かった人が、実は軽症うつ病だったという例も少なくありません。
新聞やテレビなどで芸能人や有名人の自殺が報道されることがありますが、それらの中には軽症うつ病にかかっていたのではないか、と想像されるケー
スがしばしぱみられます。
急激な伸びをみせる軽症うつ病の患者数。
軽症うつ病はほかの精神疾患とくらべて、ここ十数年間で患者数が急激な伸びをみせており、全患者に占める割合も約4割に達しています。
「世界の全人口の3〜5%がうつ病にかかっている」というWHOの報告を先に紹介しましたが、そのうちのほとんどは軽症うつ病であると推測されま
す。しかも、この3〜5%という数字は、社会の高度化、多様化があまり進んでいない発展途上国を含めての数字ですから、ストレスのより多い、いわ
ゆる先進国に限って調査すれば、この数字はもっと大きくなるものと考えられます。
今や、うつ病といえば、この軽症うつ病のことを指すといっても過言ではないでしょう。
軽症うつ病はどの年代でも増加していますが、低年齢化、高年齢化の傾向
がみられます。また、クリニックを訪れた軽症うつ病の患者さんのデータでは、1980年代には男性の数のほうが多かったのですが、1990年までに男女の差がなくなり、1991年以降は、女性の患者数が男性を上回っています。
これは、女性の社会進出が進む一方で、家庭では高齢化・核家族化か進行し、女性にストレスがかかりやすくなっていることが原因だと考えられます。
軽症うつ病は今後ますます女性優位に傾いていくのかもしれません。
さまざまな「症候群」としてあらわれることも。
みなさんは「帰宅拒否症」「昇進うつ病」「リストラうつ病」「燃えつき症候群」「錆びつき症候群」「定年前うつ病」「空の巣症候群]「サザエさん症候群」などという言葉を聞いたことかありませんか? さまざまな名称がつけられてはいますが、これらもすべて軽症うつ病にほかなりません。
軽症うつ病は性別や年代、社会的立場、生活環境などによって、さまざまな形であらわれます。そこで、その発病のきっかけとなるキーワード、症状の特徴などを頭につけて名づけられたのが、これらの「○○症候群」や「○○うつ病」なのです。
軽症うつ病は早期に発見し、正しい治療を行えば、全快が望める心の病ですから、もしそう診断されたとしても、必要以上に心配することはありません。原因となっているストレスをとり除けば、軽症うつ病は比較的早く回復できるものなのです。
そのためにも、初回の症状、特に身体症状のサインを見逃さず、思いあたるようならば、一刻も早く、精神科や神経科など、専門医の診察を受けることがたいせつです。

軽症うつ病

軽症うつ病


 
●「軽症うつ病」の定義について
専門家によっては、外来で治療が可能な場合を「軽症うつ病」、入院治療が必要な場合を「重症うつ病」と分類する考え方もあります。
しかし、最近では静養や抗うつ薬点滴治療だけのために手軽に入院するようになってきています。一方では、薬物療法の進歩もあって、噪うつ病でも入院せずに治療が可能なケースもあるので、入院・外来という境界線では分けにくくなってきています。
そこで、入院・外来にかかわらずに、古典的なうつ病(内因性の噪うつ病のうつ状態、単極性うつ病)と区別して、症状の軽いうつ病をそのまま「軽症うつ病」と呼ぶのが適切であろうと考えられます。軽症うつ病はほかの精神疾患とくらべて患者数が急激な伸びを見せており、全患者に占める割合も約4割に達しています。
●うつ病と自殺
うつ病と自殺が非常に密接な関係にあることは、さまざまな研究・調査によってあきらかになっています。うつ病の患者のほとんどが、多かれ少なかれ「死にたい」という気持ち(これを「自殺念慮」という)になったことがあるといいます。
ただ、症状が重い時期においては、自殺の危険性は少ないと一般にいわれています。というのも、自殺を考えたとしても、それを実行するいわば気力や、体力、元気すらなくなっている状態だからです。むしろその危険性は、重い症状を乗り越えて、ややひと息ついた治りかけの時期、あるいは「軽症うつ病」のように症状の軽い場合のほうが高いといわれています。
年代別・起こりやすい症候群や、うつ病
学齢期
・登校拒否症・いじめっ子・いじめられっ子・子どもの自殺
思春期
・思春期やせ症・思春期挫折症候群
青年期
・退却神経症・アパシー・シンドローム
・アダルト・チルドレン・サザエさん症候群
・かぐや姫症候群・青い鳥症候群
・結婚後悔症・わが子を愛せない症候群・専業主婦症候群
壮年期
・出社拒否症・ブルーマンデイ症候群・昇進うつ病・休日恐怖症候群
・セルフナーバス症候群・リストラうつ病
・微笑みうつ病・錆びつき症候群・スーパーウーマン症候群
・身だしなみ症候群・荷おろしうつ病
熟年期
・いじめられ症候群・帰宅拒否症・燃えつき症候群
・空の巣症候群・定年前うつ病・男性更年期障害
・わし族症候群・配偶者喪失症候群

仮面うつ病とは何か?

身体症状のほうが強く前面にあらわれる。
みなさんは「仮面うつ病」という言葉を聞かれたことがありませんか。ちょっと変わった病名が印象的ですし、新聞やテレビなどでもとり上げられることが多いので、ご存じのかたも多いかもしれません。
先に述べたように、うつ病の症状には大きく分けて、精神症状と身体症状の2つがあります。
このうち、ゆううつ感などの精神的な変調が目立たず、不眠、全身の倦怠感、食欲低下、腹痛、肩こり、腰痛、性欲の減退など、身体症状のほうが強く出るうつ病のことを一般に、仮面うつ病と呼んでいます。うつ病本来の精神症状が身体症状という仮面の下に隠れてしまっていることから、この名前が来ているわけです。
身体症状によって典型的なうつ病がマスク(仮面)されたものがあるという仮面うつ病の概念は、1950年代にクラールという学者によって提唱されました。
この仮面うつ病という病名は、学術上では必ずしも認定されたものではありませんが、臨床上で特徴的な病態を示す一群のタイプを分類するのに便利な呼称であることから医療現場、特に内科や心療内科などでよく用いられています。
一方、精神科では、身体症状におおわれてしまっている精神症状を見逃さないためにも、この仮面うつ病という病名か便うことは少なく、単に「うつ病」といったり、「軽症うつ病」という呼称を使うことが多いようです。仮面うつ病と軽症うつ病との関係については、精神科医の間では論議の多いところなのですが、両者はほぼ同義に使われているようです。
というのも、実際に軽症うつ病は精神症状より身体症状のほうが目立つ例が多いので、ほとんどの場合は、軽症うつ病=仮面うつ病となるからです。しかし、軽症うつ病でも精神症状がはっきりとあらわれている場合は、それを仮面うつ病と呼んでよいのかが問題となります。
いずれにしても、病気の名称や定義について、あまり厳密に検討していくと、一般の人にはかえって話がわかりにくくなってしまいます。ここでは、仮面うつ病は軽症うつ病と基本的には同じものであると考えていくことにします。
「異常なし≒気のせい」と片づけられてしまう場合も。
仮面うつ病でいちばん気をつけなくてはならないのは、身体症状に目を奪われて、背景にあるうつ病が見逃されてしまうケースがたいへん多いということです。
仮面うつ病の場合、精神症状が目立たないため、患著さんは自分がうつ病であることにまず気づきません。そのため、初めから精神科を訪れることはまれで、その身体症状に応じて、内科や婦人科、整形外科などを訪れます。
そこで医師は各種の身体的な検査をくわしく行いますが、当然のことながら、器質的には異常が認められません。たとえば、食欲不振や腹痛などを訴えて、X線検査や内祝鏡検査などか受けたとしても、胃や腸などに何も異常は見つからないわけです。あるいは、肩こりや腰痛を訴えて、X線検査などを受けたとしても、やはり骨や筋肉、神経などに異常は見つかりません。
そのとき、診察にあたった医師がうつ病に関する知識を持っていれば、仮面うつ病を疑って、患者さんに精神科や心療内科を受診するように指示をすることでしょう。
しかし、残念なことですが、必ずしもそうとは眼らないのが現状です。「自律神経失調症」「神経症(ノイローゼ)」「心身症」「更年期障害」「メニエール病」などの誤った診断名をつけられて、不適切な治療を受けつづけている人も少なくありません。なかには「検査の結果、異常な
し」「気のせいでしょう」「心配ありません」などと片づけられてしまうこともあるようです。
はっきりしない身体的な症状(これを「不定愁訴」という)がつづくようなら、まず仮面うつ病を疑う必要があります。内科などで治療を受けても、そうした症状が改善しないときには、一度、精神科や心療内科を訪れることをおすすめします。
「仮面うつ病」の人に間違ってつけられやすい診断名
慢性腺炎
メニエール病
偏頭痛
便秘症
インポテンツ
腰痛症
眼精疲労
自律神経失調症
心身症
各種神経症
ヒステリー
更年期障害
脳動脈硬化症
慢性胃炎
●自律神経失調症
ストレスなどの影響で、交感神経と副交感神経のバランスがくずれ、そのためにさまざまな症状があらわれるものを「自律神経失調症」といいます。よくみられる症状は、めまい、動悸、だるさ、頭痛などですが、体のあちこちに不調が出てくるのが耕徴です。ただ、現実には「自律神経失調症」と診断を下した主治医が必ずしも確かな信念のもとに、この病名を用いているとは限りません。患者がさまざまな不調を訴えているのに、検査をしても異常が見つからないときに「とりあえず目律神経失調症としておこう」というように便利な病名として使われてしまうケースもあります。
●仮面うつ病の特徴
クラールは、仮面うつ病にかかりやすい人の性格的な特徴として、几帳面、真面目、凝り性、完璧主義などをあげました。その発病にはなんらかのきっかけ、たとえば近親者との死別、一条の失敗などの心理的なストレスや、転居、転職などの環境面の変化があるとしています。そして、全身倦怠感、食欲低下、不眠、体重減少など身体症状が前面に出ていることのほかに、抑うつ気分や意欲の低下は目立たないまま、不安感や緊張感を伴っていることを症状の特徴としてあげてい
ます。
●身体型と未熟型
仮面うつ病を身体症状が前面に出ることから「身体(自律神経)型」、軽症うつ病を症状が軽いことから「未熟型」ととらえる考え方もあります。
●仮面うつ病の症例
心の症状が体の症状のかげに。Aさん(46才・主婦)は平凡なサラリー
マン家庭の専業主婦として、幸せに暮らしてきました。ただ、若いころから小心なところがあって、特に病気に関しては、くよくよ気にする傾向があったそうです。20年前、難産のために帝王切開の手術を受けましたが、その時点で小さな子宮筋腫が数多く発見されていました。もしそれらが大きくなったり、悪化したりしたら手術をすると告げられていたそうです。以来、定期的に診察を受けていましたが、時期をみて手術をするようにすすめられていて、いつもそれを気にしていたといいます。その後、夫が定年間近になり、ひとリ息子も就職したので、Aさんはやっと余裕ができて、子宮筋腫の手術を受ける気になりました。というのも、同年代の人たちが子宮ガンだったというような話をよく聞くようになって、Aさんも心配になってきたからです。
子宮の全摘出手術も無事に終わり、経過も良好でした。案じていたガンではなかったので、退院するときの様子も特別なことはなかったそうです。ところが、それから間もなくAさんは体調をくずしてしまったのです。腹痛、下痢や便秘に悩まされるようになり、食欲もありません。月経は止まったものの卵巣は残しているので、ホルモンには関係ないと医師にはいわれるし、内科のさまざまな検査でも異常は認められないのです。それがかえってAさんの不安をつのらせていきました。
そんなAさんに困ってしまったのが夫です。顔菅谷わせると、何か悪い病気ではないかと、そのことばかりを聞かされます。更年期障害ではないかと疑った夫につれられて、Aさんは私のクリニックにやってきました。
診察の結果、Aさんはやはり「仮面うつ病」でした。カウンセリングによって、さまざまな身体症状に隠された精神面でのうつ状態が確認され、事実、抗うつ薬の投与によって、めきめき身体症状も改善していったのです。
このAさんの例は、長年にわたって負担になっていた手術という重荷をおろして、それまでの緊張が軽くなり、ホッとしたことがきっかけで、うつ病にかかったものと考えられます。いわゆる「荷下ろしうつ病」と呼ぶこともできる症例です。
●更年期障害
更年期(一般的には40才代後半から50才代後半)に起こる、頭痛、肩こり、のぼせ、冷え、不眠、疲労倦怠などのさまざまな不定愁訴のことを総称して「更年期障害」と呼んでいます。卵巣機能の低下がきっかけとして発症する内分泌・自律神経系の適応障害にもとづく症候群と考えられています。
●メニエール病
激しいめまいの発作に、難聴、耳鳴りなどを伴う同耳性のめまい疾患です。原因は不明ですが、肉体的・精神的ストレスが引き全になって発作が起こりやすいといわれています。

うつ病に似た病気の種類

神経症
昔から精神科医の間で、「うつ病」と見分けることが重要とされてきたのが「神経症」です。神経症はドイツ語ではノイローゼといいます。一般のかたにはおそらく、こちらの呼び名のほうがなじみがあるでしょう。
神経症とは、ひと言でいうと、不安な気持ちを自分でコントロールできなくなる心の病です。精神的な原因、つまり環境的なストレスやショックからくる心理的葛藤によって発症すると考えられています。
一般的には、中心となっている症状の特徴によって「不安神経な」「ヒステリー神経症」「恐怖神経症」「強迫神経症」「抑うつ神経症」「心気神経症」などに分類されていますが、どのタイプの神経症にも共通してみられる症状は「不安」です。
健康な人でも日常的にさまざまな不安を経験しますが、正常な不安は自分の病気、家族の病気、近親者の死、離婚、試験、解雇など、不安になる理由が本人にも周囲にもあきらかです。
しかも、たいていの場合は一晩ぐっすり眠れば軽くなる程度のものであり、まれに長くても数カ月で回復します。
これに対して病的な不安は、不安になった理由がはっきりせず、そのため自分でも言葉に現できないまま、周囲にも理解してもらえません。この不安は本人にとっては耐えがたいほど強いもので、しかも長期間つづきます。
神経症の症状は心身両面にさまざまな形であらわれます。しかし、主に共通するのは、不安のほかに、イライラ感、緊張、興奮、恐怖、強迫、不眠、倦怠感などです。不安が起こると、自律神経の働きφ介して、動悸、呼吸困難、めまい、吐き気、体のふるえなどの身体症状も起きてきます。
このような神経症とうつ病とは、まったく別の病気です。けれども、外来で受診する患者の中には、うつ病か神経症かの診断がむずかしい症例が増加していることも、多くの精神科医が指摘するところです。
抑うつ症状はうつ病に吸もよくみられるものであり、不安症状は神経症によくみられるものです。ただ、実際には、この両者が複雑にからみ合って区別しにくいことも多いのです。
初期には不安症状がみられ、神経症だと思われていたのが、時間がたつにつれて抑うつ症状があらわれて、実はうつ病だということがわかったりしま
す。あるいは、その逆のケースもあります。不安症状と抑うつ症状が同時に存在することも多く、この両者の区別は容易なことではありません。なかでも「抑うつ神経症」は、ゆううつで重苦しい気分、外界への関心の低下、自信喪失、未来への悲観などを主症状とする神経症で、うつ病との区別が特につきにくい病気です。うつ病と神経症の中間に分類する研究者がいる一方で、うつ病とは本質的に異なるものであるとの考え方もあります。うつ病と神経症の違いとしてまずあ
げられるのは、なりやすい人の性格のタイプです。
うつ病になりやすいのは社交的で親しみやすい、あるいは真面目で責任感が強く、几帳面な人が多いとされているのに対して、神経症になりやすいのはもともと自己中心的で未熟、つまり自分に都合の悪いことは他人のせいにしたがる傾向があり、いわゆる神経質な人が多いとされています。また、うつ病では情や態度が沈みがちであり、口数も少ないのですが、神経症では情や態度はさほど暗くはなく、心身の具合の悲いことをねちねちと訴えたり、むしろ名弁です。さらに、つ病では自殺行為に走ることも少なくありませんが、神経症は自殺を口にすることはあっても、実際にそうした行動をとることは、うつ病にくらべるとはるかに少ないことが知られています。
治療法についても、うつ病は休養と抗うつ薬による薬物療法が主役となりますが、神経症は精神(心理)療法的アプローチが中心となり、用いられる薬剤は抗不安薬となります。
したがって、適切な治療を行うには神経症なのか、うつ病なのかをはっきり区別しておくことが不可欠です。そのためには、専門医による慎重な診察と経過観察がきわめて重要となります。
心身症
心の障害が身体的症状や病変としてあらわれる病気を「心身症」といいます。わかりやすくいうと、心理的・社会的ストレスによって起きる体の病気を総称したものです。身体症状をボす「仮面うつ病」などと混同されやすいのですが、心身症は
心の病気ではなく、あくまでも体の病気であるという点が大きく異なります。生活習慣病の代とされている高血圧や狭心症、心筋梗塞、胃・十二指腸潰瘍、糖尿病なども、それがストレスが原因で起きた場合には、心身症ということができます。たとえば、仕事がうまくいかずに悩んだり、家庭内のもめごとで悩んだりしているときに、高血圧や胃・十二指腸潰瘍が起こってくるケースなどが典型的な例です。
心身症の身体症状は、人によって特定の臓器や聊官に比較的限定されてあらわれるという特徴があります。そこで発生臓器・器管別に分けて、代的な疾患をあげてみましょう。
●呼吸器系気管支ゼンソク、過換気症候群など。
●消化器系胃一十二指腸潰瘍、過敵性腸症候群、消化性潰瘍、慢性胃炎、反復性腹痛、周期性嘔吐など。
●循環器系 高血圧、狭心症、心筋梗塞、一部の不整脈など。
●泌尿器系インポテンツ、月経困難症など。
●内分泌系糖尿病、肥満症、甲状腺機能九進症など。
●神経系神経痛、偏頭痛、筋緊張性頭痛など。
●骨・筋肉系慢性関節リウマチ、腰痛症、書痙など。
●皮膚系アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、じんましん、多汗症など。
●その他 メニエール病、眼精疲労、顎関節症など。
以上のように、心身症の身体症状は非常に多彩です。そのため、患者さんも最初は心身症とはわからず、内科、外科、産婦人科、眼科、皮膚科など
の専門科にかかることが多いようです。
しかし、心身症は休の病気に対する治療と同時に、精以押的な治療も必要になってきます。体の病気に対する治療だけ行っても完治はしませんし、仮にその場は治ったとしても、心の問題が解決しない限り、再発の危険をはらんでいます。
体の病気の治療をしても症状が改善しない場合、あるいは再発を繰り返す場合には、心身症の可能性があるので、心療内科を訪れることをおすすめします。
●神経症についての最新情報
実は精神科医の間でも神経症(ノイローゼ)のま叙は一致しているわけではありません。神経症は心の病気としての概念があいまいで、症状の類型化もむずかしいとされてきました。10人の専門家がいたら、10とおりの定義があるといっても過言ではないでしょう。
近年、精神疾患をできるだけ明確に規定し、分類しようという試みがアメリカやイギリスを中心になされてきています。「気分障害」という概念もそうした動きの中で出てきたものですが、神経症についても同様の検討がなされました。
その結果、WHOやアメリカ精神医学界が策定した最新の診断基準では、神経症という診断名はなくなってしまいました。従来の神経症に相当する障害はより細かく分類され、不安障害、身体現性障害、解離性障害、恐怖症、強迫性障害、その他のカテゴリー
の中におさめられています。神経症という診断名が消えたことは世界中の精神科医の関心を呼ぶとともに、現在も論議の対象となっています。
●うつ病とまぎらわしいその他の病気
「統合失調症」
思春期の患者の場合は、うつ状態が統合失調症の前駆症状となることがあります。若い人でうつ状態があり、抗うつ薬などによる治療もあまり効果のない場合は、一度、統合失調症を疑ってみる必要があります。
「老年期の痴呆」
痴呆の初期症状として、うつ状態があらわれ、それが進行して痴呆となるケースがよくみられます。逆に、老年期のうつ病では一見、痴呆のような知
的能力や記憶力の低下があらわれるため、周囲にボケたと思われて、うつ病が見過ごされてしまうケースもあるので注意が必要です。
「境界性人格障害」
性格の偏りが大きく、対人関係や社会に不適応をきたしやすい場合を「人格障害」と呼びます。けっしてまれなものではなく、軽い人格障害はおそらく10人に1人以上はみられるといわれています。
そのうちの「境界性人格障害」と呼ばれるタイプの人は、人間関係や感情が不安定、衝動的に行動するといった特徴があるほか、しばしば抑うつ的になるので、うつ病との見分けが重要となります。
慢性疲労症候群
最近、新たな病気として注目を集めているのが「慢性疲労症候群」です。慢性疲労症候群は、うつ病と症状がよく似ています。強い疲労感を主症状とし、日常生活に支障をきたすほどの疲労や倦怠感が6ヵ月以上にわたって、つづきます。自覚症状としては、微熱、のどの痛み、リンパ節の腫れ、筋力低下、筋肉痛、頭痛、関節痛などのほか、睡眠障害、思考力の低下、集中力の低下、抑うつ状態などの精神症状がみられ、うつ病の症状と重複しています。
慢性疲労症候群の原因はまだあきらかではありませんが、現時点ではウイルス感染説が有力です。ストレスを受けたりして、心身の抵抗力が落ちているときに、ウイルスに感染して発病するのではないかとされています。その意味では、この病気も現代の高ストレス社会と関連が深いといえるでしょう。
慢性疲労症候群とうつ病とでは症状が重複し、しかも慢性疲労症候群は症状が6ヵ月以上つづかないと診断がつかないため、鑑別がむずかしく、医師は両者の症状の若干の違いから、おおよその見分けをつけています。
うつ病と異なる点としては、以下のことがあげられています。
①意欲や気力の低下よりも、全身倦怠感や疲労感が全面に出ている。疲労感のため、寝床から起き上がることすらできないこともしばしばある。
②症状の日内変動が少ない。うつ病は朝から午前にかけて不調なのに対し、午後に不調となる傾向がある
③悲哀感、自責感、自己否定感、焦燥感、虚無感、自殺傾向が少ない。
④うつ病親和性の性格特徴に乏しい。
⑤抗核抗体陽性(免疫の異常が疑われる)が約半数にみられる。
パニック障害とうつ病
「パニック障害」とは、突然、強い不安感、脅威・恐怖感などに襲われて「自分は死ぬのではないか」「このまま頭がおかしくなるのではないか」というような気持ちが切迫して起こるものです。発作中には、動悸や胸痛、胸苦しさ、呼吸困難、めまい、吐き気などの自覚症状を伴います。
このパニック障害は、一般的には神経症の範疇に分類されていますが、なりやすい人の性格がうつ病のそれと似ており、実際、抑うつ的になる場合があります。
臨床的にも、心臓神経症(パニック障害の一種で、動悸や胸痛が強まり、このまま心臓が止まってしまうのではないかという不安に襲われる)の患者に抗うつ薬を投与すると、非常によく効くことがわかっています。
こうしたことから、パニック障害は神経症ではなくゾうつ病に分類すべきではないかという考え方もあります。
 
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