うつ病

なぜ新型うつ病が増えた?

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なぜ新型うつ病が増えた?

現代ニッポンに、うつ病患者が増えているということは説明しました。また、増えているうつ病患者の多くが、オールドタイプのうつ病ではなく、「新型うつ病」らしいということも書きました。では、なぜ新型うつ病が増えたのでしょうか?
理由は、じつは、よくわかっていません。でも、それらしき説は星の数ほどあります。それらをぜんぶ説明するのは不可能ですので、私の耳に入ってきた、まことしやかな説のみを、16ほど紹介しましょう。
意外に思われるかもしれないのですが、これから紹介する16の説のうち、統計学的(つまり、数学的、科学的)に因果関係が証明されている説は、「⑭シングル化のせい」と「⑮離婚の増加のせい」だけです。また、これらの説のうちの多くは、うつ病が増えた理由としては説明できるかもしれないのですが、「新型うつ病」が増えた理由としては説明できないという欠点をかかえています。それでは、順にまいります。

時代のせい

「そんな時代もあ〜ったねと〜」という中島みゆきの歌が、私が子どものころにが律りましたが、とりあえず時代のせいにでもしましょうか?「昔は、うつ病なんてなかった(少なくとも新型うつ病なんてなかった)のに、コレも時代ですかね〜」という感じでしょうか。
まあ、たしかに、そう言ってしまえばその通りなのかもしれません。間違いではないのでしょう。でも、それですませてしまったら、この章もあと3行ぐらいで終わりです。ってなことになります。
時代のせいって、証明は不可能。つまり、単なる思考停止。それはそれでよいのかもしれませんが、いちおう、もう少し深く掘り下げてみましょう(もっとも、掲り下げたところで、原因がわかるわけではないのですが)。

日本人に根性がなくなった、または弱体化した

年配の精神科医や保守系の評論家などに、わりあいよく言われている説。「昔のニッポン男児(またはヤマトナデシコ)は、根性があった。それに比べて、近ごろの若いやつらときたら(以下、中略)……だから、うつ病なんてもんにかかるんだ」というわけです。
ニッポン人に根性がなくなった(弱体化した)理由の遠因として、この説を唱える人たちがけっこうよくあげる理由が、戦後民主主義の完成、またはマッカーサーの「秘伝・五十年殺し」の技。戦後民主主義に関しては、ニッポン国憲法(別名マック憲法)や自虐史観(または東京裁判史観)などのイデオロギッシュな問題に突入しそうなので、このページではパス。「秘伝・五十年殺し」の技というのは、高山正之氏(元・産経新聞編集委員)の命名で、ダグラス・マッカーサーが、日本の古武術に「三年殺し」というのがあるのを参考にして、GHQによる占領50年後に、ニッポン国ならびにニッポン人が弱体化することを狙ってかけたといわれる技のこと。まあとにかく、これらによって、ニッポン人はヘタレになったとのことである(このあたりになると、ほとんどアメリカによる陰謀説。個人的にはおもしろいと思うのですが、どこまで本当なの?)。
私も、現代ニッポンには「ヘタレ」が多くなっているような気はしていましたが……。現代ニッポン人のストレス耐性が低くなっているのであれば、たしかにうつ病にはなりやすいとは思います。でも、なぜオールドタイプのうつ病ではなく、ニュータイプなうつ病ばかりが増えているのか、の問いには答えられていません。ヘタレだとディスチミア親和型うつ病などの新型うつ病になり、根性があるとメランコリー型などのオールドタイプのうつ病になるという医学的根拠も、まったくありませんので……(何となくそうなるんじやないかなというイメージはありますが)。

体育会系人間が減って、サークル系人間が増えた

「ニッポン人に根性がなくなった」という説の亜型。たしかに、メランコリー親和型性格の入って、どちらかといえば体育会系ですよね。でも、実際に精神科の外来をやっていると、バリバリの体育会系(と思われる人)でも、けっこう新型うつ病になっていることがあります。
また、サークル系と一言で言っても、ナンパなサークルから体育会系にかぎりなく近いものまで、ピンキリ(つまり、体育会系人間とサークル系人間の線引きがしにくい)なので、これもいちがいには何とも言えません。
ちなみに私の知人によれば、ニッポン人を体育会系とサークル系に分けるのは間違いで、理系、文系、体育会系の3つに分けるのが正しいとのこと(私は、これに芸術系というのを加えてもよいと思っていますが)。彼の説によれば、このうち体育会系は、バカ(体育会系の方がいたら、ゴメンナサイ。あくまで私の知人の説です)で、深く悩まないから、うつ病にはなりにくい。文系と理系は考えすぎて、うつになるのだそうです(この説も、何の医学的根拠もありません)。
というわけで、この説も、何となくそうなんじやないかなというイメージはあるものの、根拠はなし。まあたしかに、非体育会系の人には、ディスチミア親和型性格が多いような気はしますので、新型うつ病になりやすいのかもしれませんが……。

バブル崩壊後の失われた10年のせい

戦後、一貫して成長を続けていたニッポン経済が、バブルの崩壊とともに、マイナス成長を体験しました。バブルのころは「ジャパン・アズ・ナンバーワン」などと自信マンマンだったニッポン人でしたが、その自信が崩れさった。しかも、そのあとにまったく復興の兆しがみられず、失われた10年(あるいは20年)と言われる体たらく。
バリバリのエリートが挫折してうつになることや、これまで築きあげてきたものを失ってうつになることは、よくあることです(喪失体験)。現在(というかバブル崩壊後)のニッポン人も、そうであると言えなくもない。そうか、コレが原因だったのか!と言いたくなるところですが、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
たしかに、挫折や喪失体験が引き金になってゾっつ病を発病したのかもしれません。
でも、それではなぜ新型うつ病ばかりが増えているのか、という問いには、やはり答えられていません。

景気停滞のせい

これは、前の話の続き。バブル崩壊後の不景気によって、経済的に困窮する人が増えました。平成9(1997)年に山一燈券が倒産したころからでしょうか? 大企業であっても、絶対に大丈夫とは言えなくなりました。次の年(平成10年)から、ニッポン
の自殺者数が急増し、年間3万人を超えました。
国全体が不景気になると、自殺者が増えるというのは、諸外国の例でも明らかです。
わがニッポンでも、自殺の理由として、経済的な問題というのが上座にあがっています。経済的に困窮すること(つまり貧乏になること)は、かなりのストレス要因です。
それを引き企に、うつ病にかかることも多いかもしれません。ニッポンの高齢者に関しては、所得と抑うつのあいだに深い関係があるというデータが報告されています(近藤克則『健康格差社会』医学書院)。つまり、貧乏なお年寄りほど、うつ病になりやすいということがわかっています。しかし、新型うつ病にかかりやすい、より若い年代に関しては、よくわかっていません。若い人たちの場合、貧乏だからうつ病になったのか、うつ病で仕事ができないので貧乏になったのかが、わかりにくいといった問題もあります。
最近は「格差社会」とやらで、一握りのお金持ち(勝ち組)と大多数の貧乏人(負け組)という構図になっているようなので、多くのニッポン国民がうつ病にかかるリスクを抱えているのかもしれません(医学的な根拠はまったくありませんが)。
多くの専門家や評論家は、「貧乏になる↓自殺する」のではなく、「貧乏になる→うつ病になる→自殺する」のだと言っています(私は両方あると思っていますが)。さらに、貧乏なときにうつ病になったりすると、お金持ちのときにうつ病になるよりも、治りにくそうな気がしますよね(医学的な根拠はないですけれども)。というわけで、貧乏というのは、うつ病が治りにくい原因になっているのかもしれません(しつこいようですが、医学的な根拠はまったくありません)。
また、ニッポン全体が、景気停滞の沈滞ムードにあるのが、そもそもよくないのだという説もあります。失業率の増加が原因であるという説もあります。たしかに、国全体が沈滞ムードになったり、自分が失業したりすれば、よほどおめでたいヒト以外はハッピーとは思えない。ウツウツとした気分になるでしょう。でも、それでうつ病が増えるというのも……なんだか短絡的です。それでも百歩ゆずって、沈滞ムードがうつ病を引き起こすとしても、新型うつ病ばかりが増えているということは、説明できません。

ドッグ・イヤー化した社会についていけない

犬は、人間の約7倍の速さで成長し、老化していくことから、IT業界などのようにハイスピードで変化していく状況を「ドッグ・イヤー」と言います。つまり、現代社会は、昔に比べて7倍の速さで動いているということ。このスピードについていけない人も、出てくることでしょう。
とくにメランコリー親和型性格の人は、変化に弱い。「なるほど! それでドッグ・イヤー化した社会についていけないメランコリー親和型性格の人たちが、うつ病になっているのか。納得」というのはチト早い。
なぜかというと、メランコリー親和型性格の人がうつ病にかかると、通常はメランコリー型のうつ病、つまりオールドタイプのうつ病になる。ということは、治りやすいはずです。難治の新型うつ病にはならないはずです。よって、この説も一見、正しそうですが、よく考えると少し違っていそうです。

メランコリー親和型人間が滅った

一部、前の話の続き。
メランコリー親和型の性格をもった人は、オールドタイプのうつ病になりやすい。
(ディスチミア親和型などの)メランコリー親和型ではない人は、新型うつ病になりやすい(かなり乱暴な分け方ですが)。ということは、メランコリー親和型性格の人が多い社会では、オールドタイプの治りやすいうつ病が多い。メランコリー親和型性格の人が少ない社会では、新型、治りにくいうつ病が多い。
この説がなんとなく信憑性をもっているのは、アメリカとドイツでのうつ病の話。
まずは、アメリカから。DSM?Wをつくるとき(1980年代後半のことだと思います)にアメリカの精神科医たちの間で大論争になったのは、大うつ病性障害(うつ病)の特定用語として「メランコリー型の特徴をともなうもの」を入れるかどうかということ。どういうことかというと、そもそも「アメリカにはメランコリー型の特徴をともなううつ病の患者などいるのか?」というのが、多くのアメリカ人の精神科医たちの意見だったそうです(結局、少しはいるだろうからという理由で、この用語は採用になりましたが)。そういえば昔から、アメリカ発の抗うつ薬の治療成績の報告を読むと、思ったほど改善率が高くない(つまり、薬が効きにくい)なとは思っていたのですが……。アメリカにはメランコリー型のうつ病(=オールドタイプのうつ病)がほとんどいないとなると、この結果は、さもありなんだと思います。
次は、ドイツの話。「メランコリー親和型性格」がうつ病の病前性格であると提唱したテレンバッハ(Hubertus Tellenbach)の報告は、なぜかドイツ以外の欧米諸国では無視されつづけていたようです(テレンバッハはドイツ人で、提唱したのは1961年)。唯一の例外は、当時のニッポン(そういえば、テレンバッハを研究している研究者というのもドイツとニッポンにしかいない)。つまり、1960年代のドイツとニッポンには、「メランコリー親和型性格」の人がたくさんいた。それ以外の国には、ほとんどいなかったということ。だから、この当時(から、つい15年くらい前まで)のニッボンとドイツのうつ病は、先進諸国のなかで唯一例外的に、治りやすかったのかもしれません。ちなみに最近では、ニッポン同様に、ドイツでもメランコリー親和型性格の人は絶滅危惧種になっていて、治りにくいうつ病が増えていると、ドイツ帰りの精神科医の友人が申しておりましたが……。この説は、状況証拠的にはさもありなんですが、実
際のところは検証不可能です。

グローバル化または米国化のせい

さらに前の話の続き。
バブル崩壊後、1990年代後半ごろから、新聞を見ても、テレビをつけても、雑誌を読んでも、猫も杓子も「グローバル化」の嵐。グローバル化とは、すなわち「米国化」。グローバル化という言葉は、本来は経済や金融関係の話題に関して使われることが多かったものの、こんな話ばかりを10年もしていれば、ニッポン人の生き方そのものも、グローバル化(または米国化)してもおかしくない。ということは、保守的(?)なメランコリー型のうつ病(オールドタイプのうつ病)が絶滅して、アメリカ流(?)の新型うつ病が増えるのは時間の問題。というわけで、ニッポンでは、うつ病もグローバルなアメリカ流、薬の効きにくいうつ病(=新型うつ病)が増えてきたわけです。
もっとも、この説が正しいかどうかは、検証不可能ですが……。ちなみに、この話が発展すると「16各種陰謀説」になっていくのですが、そちらについては、このページの最後に。

職場または社会のメランコリー親和型化のせい

職場のメランコリー親和型化は、職業結合性うつ病を提唱している加藤敏氏の説。加藤氏の論文によれば、現代社会がメランコリー親和型化したために、メランコリー親和型性格でも何でもないフツーの人々がうつ病(とくに職業結合性うつ病)になっているとのこと。
ここでいう「職場のメランコリー親和型化」とは、職場が勤労者に対して間違いを許さなくなったり、完全主義を徹底させたりすることを指します。さらに、消費者(顧客)に対しても、不都合やミスがないようにすることを要求されます。
そういえば、この10年ぐらいの間、コンプライアンス(法令遵守)やら、アカウンタビリティ(説明責任)やらで、本職以外の雑用が増えて、面倒な社会になってきたとは
思っていたのですが……。こういうカンペキを目指す社会になると、息苦しくなった多くの人たちは、「立ち去り型サボタージュ」(江戸時代でいう「逃散」ですね。いま、医療界のあちこちで起きていることです)をするか、うつ病になるかしか、選択肢がないというわけ。住みにくい世界になってきましたね……。
私も、心情的にはよくわかります。前出の加藤氏の説によれば、職場のメランコリー親和型化によって増えるのは、職業結合性うつ病。これは、第W章でも紹介したように、新型うつ病の一つです。なるほど、これこそが、現代ニッポンに新型うつ病がはびこるようになった原因だったのか!
でも、ちょっと待った。職場がメランコリー親和型化すると、うつ崩が増えるというデータはあるの? じつは、ありません。というわけで、この説が正しいかどうかも、これまでのいくつかの説と同様に検証不可能。あくまで、仮説の一つです。

経済的に豊かになった

「ニッポンが経済的に豊かになったから、(新型うつ病が増えた」この意見には「そりゃ、逆だろう」とツッコミを入れたくなる方も多いのではないかと思います。でも、実際に精神科医療の最前線にいる精神科医などからも聞かれる、意外と根強い人気をもつ説です。
この説によれば、ニッポンの社会全体が貧しかったころは、うつ病、とくになかなか治らないようなうつ病になっている余裕すらなかった(昔は、そんなことをしていたら、マジメに餓死する可能性も高かった)。ところが、最近はニッポンが経済的に豊かになって、うつ病で仕事ができなくても、少なくとも餓死する心配は皆無に近い(最悪、うつ病で職場をクビになったとしても、生活保護が受けられ、生きていける)。
ちょっと前に「パラサイト・シングル」という言葉が流行りましたが、ある程度リッチな両親がいれば、うつ病をおして無理して仕事をしなくても、実家で三食昼寝付き、飢えることはない。だから、治りにくい新型うつ病なんていうのは、ゼイタク病の一種というわけ。
これって、実際になかなか治らない新型うつ病の患者さんを診ていると、ミョーに説得力がある説なのです。むろん、検証不可能ですし、医学的な根拠はまったくないのですが。

社会保障が充実している

前の話の続き。
ニッポンが経済的に豊かになっただけではなく、社会保障が充実したから、(ニュータイプな)うつ病が増えたという説。たしかに、最悪、うつ病で仕事ができなくなったとしても、生活保護でもやっていける。最近は、むしろワーキング・プアよりも生活保護のほうがリッチな生活ができちやったりするご時世。
社会保険に加入していれば、うつ病で休んでいる間も、最長1年半にわたり「傷病手当金」として、基本給の6割以上がもらえる。これで、当面は暮らしていける。長く働けないようであれば、障害年金という方法もある(最近は、うつ病で障害年金をもらっている人も多くなりました)。また、あらかじめ保険料を支払っていれば、あなたの加入している生命保険も、入院でも通院でも保険金がもらえるはず(われわれ精神科医のほうは、書類を書くのがたいへんですが)。
まあ、そんなこんなで、何とかやっていける。充実した社会保障が、逆に疾病利得となってしまい、うつ痛が難治化してしまうというパラドックス。この脱も検証不可能かつ医学的な根拠はないのですが、最近のニユータイブなうつ病の患者さんを実際に診ていると、説得力があります。

ニッポンが平和な証拠

「結局、なんだかんだいっても、現代ニッポンは平和だから、新型うつ病があるのよ。戦争中だったら、新型うつ病の患者さんの居場所なんてないでし
よ!」
たしかに戦時中は、新型うつ病の患者さんは、ほとんどいなかったかもしれませんが……。ときおり聞く説ですが、これも検証不可能。
この説の亜型で、「徴兵制がないから」というのもあります。でも、もしそうだとしたら、ほとんどがオールドタイプのうつ病たった現在60歳以上の人たちも、新型うつ病を発病していなければならない(ニッポンで徴兵された経験があるのは、現在80歳を超えている世代だけのハズなので)。
ただし、車隊を究極の体育会系であると考えると、むしろ、このページの最初のほうに書いた説「③体育会系人間が滅って、サークル系人間が増えた」につながるのかもしれまん。

少子化=一人っ子の増加のせい

現在のニッポンで、少子化(少子高齢化)が進んでいるのは、もはや小学生でも知っている事実。厚生労働省が発表している「人口動態統計特殊報告」によれば、平成20(2008)年度のニッポンの合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子どもの数)
は1・37.最近、ずっと横ばいの状態です。この数字、戦後すぐの第1次ベビーブームの時代(このころ生まれたのが、いわゆる「団塊の世代」)には4を超えていた。昭和31年(この年に生まれた人は、平成21年には53歳)の合計特殊出生率は2・22.その後、第2次ベビーブームの昭和46年に2・16になったあとは、平成17年に1・26になるまで低下しつづけました。
もっとも最近は、晩婚化やシングル化も進んでいるので、ぜんぶの家庭で一人っ子というわけではない(私の後輩にも5人の子持ちがいます)のですが、兄弟姉妹が少なくなっているのは事実。とにかく、昔に比べて1人っ子が多くなっているというのは、間違いないでしょう。逃避型うつ病は、代表的な新型うつ病の一つですが、提唱した広瀬氏の論文によれば、発病するのは1人っ子に多いようです。さらに、もう一つの代表的な新型うつ病の一つである末熟型うつ病も、提唱している阿部氏の論文によれば、末子(末っ子)に多いようです。末子ということは、2人きょうだいなら2人に1人。1人っ子ならば、イコール末
子なので全員があてはまります。ということは、子だくさんだった時代に比べると、現代のニッポンでは未熟型うつ病になる可能性が大きいということになります。
この説では、なぜ、うつ病が増えたかという理由はわかりませんが、逃避型うつ病や未熟型うつ病などの新型うつ病が増えている理由は説明できるかもしれません。

シングル化のせい

私が大学生のころ(つまり、医師になる少し前)に流行った言葉が「クリスマスケーキ」。と言っても、若い方にはわからないでしょうから、少し説明します。
クリスマスケーキは19‐月24日までは高値(?)で売られますが、25ロになると半額以下の投げ売り状態。それに引っかけて、女性は24歳までに結婚しないと売れ残るので気をつけろ、というわけ。私の小・中学校時代の同級生の女性(私は高校は男子校だったのと、大学もほぽ男子校だったため、それ以降は同級生の女性に恵まれなかった)たちも、けっこうアセっていたような気がします。それにあわせて、男も28歳ぐらいが、なんとなく適齢期だったような気がします。
時は流れて、最近は晩婚化の時代。もっと進んで非婚の時代。男も女も、30代、40代でシングルというのはザラにいます。というわけで、現代ニッポンでは「シングル化」
が進んでいます。シングル化とうつ病と、どんな関係があるのかって?
じつは、一生シングルを通した人と結婚している人とで、将来的にどのような差が出るのかという研究がけっこうあります。それも、世界的に有名な社会学者が10年も20年もかけて調べあげたデータですので、(ニッポンのエセ学者が、その場しのぎや思いつきで言いっぱなしにしている内容と違って)重みがあります。このあたりの研究は、ニッポンよりもアメリカのほうが進んでいます。
これらの研究報告をまとめると、以下のようになります。
まず、シングルの人は、男でも女でも、結婚している人に比べて、早死にしやすい。ガンや生活習慣病などのいろいろなからだの病気にもかかりやすい、うつ病になりやすい、アルコール依存になりやすい、自殺が多い、などなど、いろいろな意味でよくないことが多い。むろん、必ずしもシングル↓病気というわけではなく、病気がもとで結婚できないということも一部にはあると思います(あまのじゃくな人が、こういったデータに反論するときに出すおなじみの理由!)。また、あくまで確率論ですので、シングルでも長生きする人もいれば、結婚していてもアルコール依存になることはあります(これも、あまのじゃくな人が言う常套句)。あくまで、可能性の高さを言っているだけです。
このうち、注目していただきたいのは、「うつ病になりやすい」と「アルコール依存になりやすい」。うつ病にアルコール依存症が併存すると、うつ病もアルコール依存症も治りにくくなるということを。つまり、シングル化は、あきらかにうつ病が治りにくくなっていることに貢献しているというわけです(ただし、この説でも、うつ病が増えていることと、うつ病が難治化していることの説明はできますが、新型うつ病が増えた理由はわかりません)。この説(シングル化すると難治のうつ病が多くなる)の強みは、イメージだけではなく、データがあるということ。これまでの13個の説は、単なるイメージでモノを言って
いるだけだったり、研究者の主観などが入っていたりするものばかりでした。それに比べて、この説は、科学的なデータによって、統計学的(数学的・科学的)に因果関係が証明されたものなのです(つまり、これまでの13個の説は、統計学的には「トンデモ仮説」であったということ)。
オカルトよりもサイエンスを重視するのであれば、いままでのなかでもっとも信用に足る説です。ニッポンのマスメディアは、なぜかこういうことをちゃんと伝えないんですよね。フエミニストのバッシングでも恐れているのかしら?
というわけで、うつ病にかかりたくなかったら、結婚しよう! これは、統計学的に自信をもって言えることです。えっ? 相手はどうするかって? ・・・それは自分で考えてください。

離婚の増加のせい

最近は、わがニッポンもアメリカなみに離婚するカップルが増え、いまや結婚したカップルの4組に1組は離婚する時代なのだとか。そう言えば、一昔前には「成田離婚」
なんて言葉も流行りました。
離婚しちゃった人と離婚しなかった人とで、将来的にどのような差が出るのかという研究もけっこうあります。このあたりの研究も、やはり離婚先進国のアメリカのほうが進んでいます。これも、世界的に有名な社会学者が10年も20年もかけて調べあげたデータですので、(ニッポンのエセ学者が、その場しのぎや思いつきで言いっぱなしにしている内容と違い)重みがあります。
これらの研究報告をまとめると、「⑭シングル化のせい」と、ほぼ同じ結果が出ています。
つまり、離婚経験のある人は、男でも女でも、離婚をふみとどまった人に比べて、早死にしやすい、ガンや生活習慣病などのいろいろなからだの病気にもかかりやすい、うつ病になりやすい、アルコール依存になりやすい、自殺が多い、などなど、いろいろな意味でよくないことが多い。まるでコピペ(コピー・アンド・ペースト)をしているがごとく、⑭の結果と同じです。むろん、必ずしも離婚↓病気というわけではなく、病気がもとで離婚したということも一部にはあると思います(あまのじゃくな人が、こういったデータに反論するときに出すおなじみの理由1)。また、あくまで確率論ですので、離婚しても長生きする人もいれば、離婚しなくてもアルコール依存になることはあります(これも、あまのじゃくな人が言う常套句)。あくまで、可能性の高さを言って
いるだけです(あれっ、このパラグラフ、ほとんど前の説のコピペだ!)。
このうち、注目していただきたいのは、「うつ病になりやすい」と「アルコール依存になりやすい」。うつ病にアルコール依存症が併存すると、うつ病もアルコール依存症も治りにくくなるということを。つまり、離婚の増加は、あきらかにうつ病が治りにくくなっていることに貢献しているというわけです(ただし、この説でも、うつ病が増えていることと、うつ病が難治化していることの説明はできますが、新型うつ病が増えた理由はわかりません)。このパラグラフは、完全に前の説のコピペー デジャブユではありませんのでご安心を。
コピペばかりでは能がないので、新しいものを一つ追加しましょう。それは、離婚の弊害は、離婚したカップルのみならず、子どもたちにもおよぶということ。どういうことかというと、両親が離婚している人は、両親が離婚していない人に比べて、うつ病にもアルコール依存症にもなりやすいことが知られています。つまり、「親の因果が子に報い」じゃないけれども、離婚するということは、子どものうつ病やアルコール依存症のリスクも上げてしまうということ。いま離婚を考えている、そこの(子持ちの)あなた? ご再考を。
この説も「⑭シングル化のせい」と同様に、科学的なデフタによって、統計学的に因果関係が証明されたものです。つまり、これまでの①から⑬の説とは重みが違う。ニッポンのマスメディアは、なぜかこういうことをちゃんと伝えないんですよね。フェミニストのバッシングでも恐れているのかしら?
ただし、最近の別の研究データによると、「不幸な結婚をした男女」というのもうつ病になりやすいとのこと。う〜ん、困った。結局、「うつ病にかかりたくなかったら、幸せな結婚をして、絶対に離婚しないようにしよう1・」ということか? これって、さらに難しくないか?

各種陰謀説

うつ病にかぎらず、どの世界にもある説。さすがにニッポンのうつ病に関しては、CIA(言わずと知れたアメリカ中央情報局)やM16(007でおなじみのイギリス情報局秘密情報部、現在の略称はSIS)とか、フリーメーソン(世界市民主義や平和的人道主義を奉じる秘密結社)やKKK(クー・クラックス・クラン。アメリカの秘密結社、白人至上主義団体)の陰謀というのは、あまり聞きませんが……。
これまでの説のなかで一番うさんくさいシロモノです。「②ニッポン人に根性がなくなった、または弱体化した」に出てくる「秘伝・五十年殺し」や「⑧グローバル化または米国化のせい」も、突きつめていくと、コレに到達します。これらの陰謀説も、ここまでのほかの説と同様に、なぜ新型うつ病が増えているのかを、完全には説明できないという弱点をもっています。
製薬会社の陰謀説
製薬会社が抗うつ薬を売らんがために、ニッポンのうつ病患者を増やしたという説。たしかに、うつ病の患者が増えれば、抗うつ薬の売り上げは増えます。ニッポンで売り
上げナンバー1とナンバー2のSSRIを売っているのが、イギリスとアメリカの大企業なので、英米(またはアングロサクソン)の陰謀と言う人もいます。むろん、まったく根拠のないウワサですが・・。
厚生労働省(または政府)の陰謀説
ニッポン国民の自殺者数がなかなか減らないので、自殺の増加をうつ病のせいにしているという説。「自殺が増えたのはうつ病が増えたからで、厚生労働省(または政府)の政策が間違っていたわけではない!」というわけ。これも、まったく根拠のないウワサですが・・。
この説の亜型として、大学や研究所のエラ〜い先生方が、厚生労働省や文部科学省からうつ病研究のための研究費をせしめるために、「うつ病が増えたぞ! しかも新型で治りにくいぞ! こいつを治すには、もっと研究費が必要だぞ1」と言っているというものもあります(まるでオオカミ少年)。私の知るかぎりでは、これも違うと思いますが……。
マスメディアの陰謀説
マスメディアがネタにつまると、うつ病をクローズアップするという説。超レアな病気を特集しても誰も見向きもしてくれないので、うつ病は患者数の多いメジャーな病気でいてほしいというわけ。また、カンタンに治ってしまう病気だと困るから、「難治」なタイプのうつ病(新型うつ病)が必要だったというわけです。「困ったときのうつ病だのみ」。たしかに、雑誌などでは、うつ病を取り上げると売り上げが増えると、某編集者から聞いたことはありますが……。
精神科医の陰謀説
精神科医が自分たちの儲けを増やすために、「うつ病が増えているぞ!」と言っているという説。私は、この説だけは絶対に違うと思います。なぜかというと、精神科医っていうのは、もともと仕事ギライが多いのです。もし、そんなハタ迷惑な精神科医がいたとしたら、とうの昔に同業者によってボコボコにされていることでしょうから……。
もう一つ。ニッポンの精神科医のレベルが低いので、うつ病を治せないという説。アホで勉強ギライのニッポンの精神科医は、うつ病の患者さんをきちんと治療することができない。つまり、治せない。でも、こういう医者にかぎって自己愛性パーソナリティ障害だったりするので、自分の医療レベルが低いことを認めたくない。そこで、「最近のうつ病はニユータイプ化して、治りにくくなっているんだ!」と開き直ったというわけ。これって、単なる「ヤブ医者」ってことなのですが……(陰謀というのもおこがましいですね)。意外と、このあたりが真実かも?

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