うつ病

うつ病をセルフヘルプ(自助努力)で治す

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うつ病をセルフヘルプ(自助努力)で治す

医師に相談する

軽症のうつ病の多くは、セルフヘルプ(自助努力)のみによってなおすことができます。かかりつけ医に相談すれば、そのための指針を与えてくれるでしょう。インターネット上でも、こうした回復プログラムの例がいくつも紹介されています。自分でなおしたいと志っている人も、まずは、かかりつけ医に診てもらいましょう。うつ病の原因が体の病気にある場合には、その治療が必要になるからです。また、今の状態を評価しておいてもらえば、後日、セルフヘルプに効果があったかどうかを客観的に判定してもらうことができるからです。
重症のうつ病であっても、セルフヘルプは役に立ちます。ただしそれは、医師やセラピストと相談して決めた治療計画のなかに組み込んでいかなければなりません。セルフヘルプは、今のうつ病を治療して回復をうながすだけでなく、将来のうつ病を予防するのに役立つでしょう。すべてを一度に試そうとしてはいけません。これから提案する方法のなかでどれが自分に合っているかを考えて、それを実践してみましょう。きっと効果があるはずです。

困難にそなえる

なんらかの喪失体験をした人は、しばしばうつ病にかかります。けれども、変化に直面することがわかっている場合には、それに対する準備をしておくことができます。うつ病を引き起こすおそれのある予測可能な出来事としては、大学入学にともなう社会的支援の喪失、産休による自由や職場での地位の喪失、退職にともなう毎日の仕事や社会との接点の喪失などがあります。こうした時期にうつ病にかかりやすくなるのは、さほど意外ではないでしよう。
予測可能な喪失体験のストレスを軽くする方法には、
(1)問題が生じるおそれがあることを受け入れ、それを認める
(2)変化にそなえる
の2つがあります。
自分の感情を認めてしまえば、気分はすっと楽になります。生活の変化を心配しているなら、そのことを友人に打ち明けてみましょう。あなたの心配を知れば、彼らはあなたを助けてくれるかもしれません。また、不安な気持ちを打ち明けておけば、これまでとは違った態度で接してくれるかもしれません。たとえば、あなたが退職を不安に思っていることがわかれば、「仕事から解放されて、よかったですね」などとは言わないでおいてくれるでしょう。彼らは、あなたと一緒にいる時間を増やしてくれるかもしれません。あるいは、あなたが新しい環境に慣れるまで、そっとしておいてくれるかもしれません。
変化にそなえることは、どんな場合にも有効です。新生活にかんする本を読んだり、同じような経験をした人の話を間いたりしておくと、なにかと参考になります。ストレスを減らすための一般的な対策をとり、最初の数日間から数週間の予定を立てておくと、変化を乗り切りやすくなります。
たとえば、実家から離れた土地の大学に入学するなら、その地にいる知り合いを訪問する約束をしておくのもよいでしょう。簡単な料理ができるように練習しておけば、問題を1つ減らすことができるでしょう。退職するなら、社会的支援を受けられるように手配しておいたり、手持ち無沙汰にならないように最初の数週間の計画を立てておいたりするとよいでしょう。産休をとった女性の多くは、各種の支援団体が役に立ったと評価しています。

休みをとる

どうしようもなく気分が沈んでいるときや、すべての重圧が自分一人にのしかかっているように感じられるときには、休みをとりましょう。まとまった休暇をとるのがいちばんですが、それが無理なら、1日だけ、1晩だけでもかまいません。休むことは、問題から逃げることではありません。仕事が少し遅れるだけです。
あなたはきっと、問題から少し距離を置いたほうが落ち着いて考えられることに気づくでしょう。休みを終えて仕事に戻れば、問題はどんどん解決していくことでしょう。休みはあなたに、問題を正しく把握するために必要な距離と、それに立ち向かうための活力を与えてくれるのです。数日間の休みを楽しむことができないならば、あなたは専門家の助けを必要としているのです。

話し合う

あなたが抱えている問題について、パートナーや友人や家族と話し合うことができれば、気分が楽になるでしょう。心の重荷を減らせるだけでなく、解決の糸口もつかめるかもしれません。あなたがとるべき行動について、友人は異なる意見をもっているかもしれません。ひょっとすると、思いもよらなかったような解決策を提案してくれるかもしれません。あるいは、かつて同じような経験をしたことがあり、有益な助言をしてくれるかもしれません。
思いきり泣いたあとには、気が晴れるものです。目分か問題を抱えていることを人前で認めることは、解決策を探るための出発点になるでしょう。
うつ病にかかっている人の多くは、自分はほかの人たちの重荷になっていると考えて、人づきあいを避けようとします。けれども、このような考え方は、抑うつ気分を悪化させるだけです。つらい時期にあなたのことを思いやり、あなたの話に耳を傾け、力になってくれそうな友人に話を聞いてもらいましょう。どんな人でも、ときには助けを必要とするのですから。

ライフスタイルを変える

あなたが送っている生活にうつ病の原因がないかどうか、考えてみましょう。あればそれを変えてみましょう。一人ではできないことでも、だれかに助けを求めることで、なんとかなることがあります。あなたが経験する問題は、ほかの人も経験するのがふつうです。ほかの人に解決できたのなら、あなたにも解決できるはずです。病気を心配しているのなら、かかりつけ医に相談してみましょう。現実は、あなたが心配しているほど悪くはないかもしれません。社会的な問題や法律的な問題なら、市民相談を利用するとよいでしょう。

支援回体の力を借りる

人は、さまざまな方法で助けてくれます。とくに頼りになるのは、各種の支援団体です。かかりつけ医に相談すれば、地域の支援団体についての情報を教えてくれる
でしょう。「すぐに助けてほしいのだけれど、かかりつけ医には相談したくない」という人は、地方自治体やボランティア団体の電話相談サービスを利用しましょう。

運動をする

気分が沈んでいるときには、運動するのもよいでしょう。運動すると気がまぎれるだけでなく、外出する理由にもなり、体も丈夫になります。流行のスポーツウェアに身をつつんでエアロビクスをしろと言っているわけではありません。いつもより少し長めに散歩をしたり、泳いだりするだけでよいのです。家の外で体を動かすには、ボウリングなどの活動的な遊びをするのもよいでしょう。しばらく運動をしていないという人は、調子をみながらゆっくり始めるようにしましょう。ひどく落ち込んでいるときには、運動をする気もしなくなります。そんなときには、専門家が指導する運動プログラムに参加するのがよいでしょう。これなら、継続的に十分な運動をすること
ができ、やりすぎることもありません。かかりつけ医に相談すると、こうしたプログラムを紹介してくれるかもしれません。食事のバランスに配慮して、気分を改善する効果のある食品をとり、炭水化物やカフェインやアルコールを過剰に摂取しないように心がけることは、基本的に健康に悪いことではありません。これによりうつ病がなおるかどうかはわかりませんが、試してみて損をすることはないでしょう。

生活面の注意

活動
落ち込んでいるときには、なにかに没頭するようにすると楽になることがよくあります。仕事帰りや週末にできる習い事を始めたり、趣味をもったりするのもひとつの方法です。とりあえず外出して人に会うだけでも、よい影響をおよぽします。これにより、憂うつだからといって家に閉じこもり、一人寂しく苦悩してさらに落ち込むという悪循環を断ち切ることができるからです。音楽や講演、お話などを聴く、ショッピングをする、マッサージを受ける、コンサートを聴きに行く、映画を観に行くなど、自分が好きなことを意識してするように心がけましょう。小さなことが大きな違いをもたらすはすです。
飲酒
飲酒は問題を解決してくれません。飲酒はあなたの気分をさらに落ち込ませ、習慣化すれば人生を台無しにしてしまいます。アルコールには抑制をきかなくする作用があるので、自殺衝動に負けてしまうこともあります。抗うつ薬を飲んでいる人も、飲酒に気をつけなければなりません。

食事と栄養

食事を楽しんでいますか?
バランスのとれた食事の大切さ
うつ病を寄せつけないようにするためには、食事への配慮が大切です。うつ病になってしまったときに食事を楽しむことは不可能ですが、ビタミンなどに配慮したバランスのよい食事を規則正しくとることで、あとになって、「うつ病はなおったが、今度は体調が悪い」という事態にならすにすむのです。
うつ病に悩んでいる人は、カフェインの摂取を控えるようにするとよいでしょう。カフェインをとると不安になることがあるからです。また、炭水化物を大量にとると、気分が揺れ動きやすくなることがあるので、なるべく避けるようにしましょう。
気分が沈みがちなときに、これを悪化させてうつ病になってしまわないようにするためには、治療を受けるよりも食事に気をつけるほうが大切な場合もあります。
抑うつ気分を改善する食品牡蠣(かき)、キノコ、ブラジルナッツなどに多く含まれるセレン、甲殻(こうかく)類、魚介類、卵などに多く含まれる亜鉛、青物野菜や鳥肉、とくに七面鳥に多く含まれ、サプリメントも市販されているクロムなどには気分を改善する効果がありますが、大量に摂取するべきではありません。
一部の科学者は、魚を食べるとうつ病がよくなると主張しています。その根拠は、魚油に抗うつ作用や気分を安定させる作用があるという研究報告にあります。残念ながら、魚油の効果を実感するためには、おそろしく大量の魚を食べなければなりません。そこで、濃縮魚油のカプセルも市販されています。わすかに胃の調子が悪くなること以外の副作用はないようですが、こうしたサプリメントによって抑うつ気分が改善するかどうかは証明されていません。ビタミンBある研究によると、大量のビタミンBを1年間摂取し続けると、全般的に元気になるようです。ただし、ビタミンB6を過剰に摂取すると、神経に取りかえしのつかない損傷を与えてしまうという報告もあるので、注意が必要です。
この説は、うつ病の患者さんの一部に血中の葉酸濃度の低下がみられるという事実にもとづいています。葉酸はビタミンBの一種で、穀類、かんきつ類、レタス、ピーナツ、ヒヨコマメなど、さまざまな食品に含まれています。ただし、うつ病の患者さんにこうした食品を大量に食べさせれば抑うつ気分が改善するのかどうかはわかっていません。
あまり食欲がないときにも、規則正しく食事をとるようにしましょう。きちんとした食事をとる気分になれないのなら、バランス栄養食をとりましょう。十分な栄養をとらなければ、回復するための体力がつかす、さらに落ち込むという悪循環に陥ってしまいます。食事をしたり、食事の準備をしたりする気力がないなら、1日に必要な栄養素をすべて含んだバランス栄養食をとりましょう。これらは医師の処方籐なしに薬局で買うことができ、粉末を水に溶かすだけなので手間もかかりません。

睡眠

睡眠障害に悩む人は少なくありません。落ち込んでいる人はとくに不眠症になりやすい傾向があります。睡眠が足りていないと、うつ病と戦うための活力がわきにくくなります。中等の症状から重症のうつ病では、セルフヘルプだけでは不眠症をなおすことができず、医師から薬を処方してもらう必要があるでしょう。
よく眠るための工夫
不眠症が長く続くと大きなストレスになり、うつ病に対処することがいっそう困難になります。ここでは、よく眠るためのコツを紹介します。
・朝、早めに起きてみましょう。
・日中に軽い運動をしましょう。
・昼寝はしないように。
・就寝前には運動をしないように。眠れなくなるおそれがあります。
・深夜に消化の悪いものを食べないように。気分が悪くなるおそれがあります。空腹もよくありません。
・夜になったら、コーヒー、紅茶、コーラは飲まないように。
・就寝前に、牛乳の入った暖かいものを飲みましょう。
・寝床に入ったら、考え事はしないように。本を読んで気をまぎらわせましょう。
・体に自然なリズムが生まれるように、決まった時間に就寝しましよう。
・寝酒は飲まないように。効果がない可能性があり、習慣になるとやめられなくなるおそれもあります。
・寝床は快適に。
・部屋は暑すぎず、寒すぎないように。
・寝たばこはしないように。火事の危険があり、ニコチンには興奮作用もあります。
・性交は、心を落ち着かせます。
・寝る前にリラクゼーション運動をしてみましょう。
・寝床に入ってから30分しても寝つけない場合や、夜中に目がさめて眠れなくなってしまった場合には、寝床から出て本を読んだりテレビを見たりしましょう。寝床での考え事には、百害あって一利なしです!!

ストレス管理

リラクゼーション

「リラックスしましょう」と言うのは簡単ですが、実際にリラックスするのはむすかしく、自分一人ではなかなかできないかもしれません。けれども、緊張をやわらげる方法にはいろいろあるので、自分にあったものを探してみましょう。多くのリラクゼーション法は、筋肉の緊張を自覚し、それをやわらげるための方法を教えています。リラクゼーション法を学ぶためには、講習会に参加するほか、リラクゼーションテープを聴いたり、本を読んだりしてもよいでしょう。かかりつけ医が、こうした講習会を主催していたり、講師を紹介してくれたりするかもしれません。講習会に2、3回参加すれば、一人でできるようになるでしょう。リラクゼーションには、瞑想などのむすかしい方法もあります。
「バイオフィードバック」という奇妙な言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。これは、心身の緊張を自覚できるようにする方法の1つです。
バイオフィードバックを利用したリラクゼーション
バイオフィードバック(biofeedback)を利用した号う久ゼーションでは、筋肉の反射や皮膚の電気抵抗をはかって緊張の度合いを教えてくれる装置を使います。緊張しているときには、装置はピーピーと高い音を発したり、光を点滅させたりして警告し、リラックスしてくると、音が低くなったり、光が消えたりしてそのことを知らせます。このときの感覚をおばえることで、装置に頼らなくても緊張を自覚し、リラックスできるようになるというしくみです。
自律訓練法
自律訓練法(autogenic training)では、いくつかの簡単な訓練をつうじて「受動的集中(passiveconcentration)」とよばれる状態に入ります。これは、ストレスを取り除いてリラックスするための瞑想法の1つです。
自律訓練法のテクニックを身につけるには、ふつうは専門家による指導が必要ですが、簡単なリラクゼーション運動でも、それに近い効果が得られます。

マッサージ

マッサージ(massage)は、自分ですることも、パートナーや専門家にしてもらうこともできます。さまざまな種類のマッサージ用品が市販されていますが、自分でするよりも、人にしてもらうほうが効果があるようです。人にマッサージをしてもらいながら、目分か抱えている問題について話をすることもできるでしょう。専門家によるマッサージには、指圧、リフレクソロジー、アロマテラピーなどがあり、いずれもストレス解消に役立ちます。
指圧
指圧は、中国医学理論にもとづく日本のマッサージ技法です。
中国医学では、生物に活力を与える「気(qi)」が体内の「経絡(meridian)」を流れており、気の流れがとどこおったりバランスが悪くなったりすると病気になるとされています。指圧では、指や手のひらで体を圧迫することにより、気の流れやバランスを正します。
リフレクソロジー
リフレクソロジー(「eflexology、反射療法とも言います)も、古くからあるマッサージ技法です。リフレクソロジーの理論では、足の裏の各部位が体の各部位と結びついているとされており、体に問題があるときには、対応する足の裏の特定の部位をマッサージすることにより、これをなおすことができると考えられています。
アロマテラピー
アロマテラピー(aromatherapy、芳香療法とも言います)では、さまざまな植物から得られる油(精油)の香りを利用して心を落ち着かせます。

ペットセラピー

うつ病を何度も繰り返している人のなかには、「犬や猫を飼うようになったら調子がよくなった」と言う人がいます。ペットは愛らしく、頼りになり、働きかければ応えてくれ、ストレスをときほぐしてくれます。けれども、落ち込んでいる人にペットをあてがっても、必ずしもよくなるとはかぎりません。ペットの世話には時間も手間もかかるほか、信頼関係が生まれるにはある程度の時間がかかるからです。

代替療法

ホメオパシー

ホメオパシー(homeopathy、同種療法とも言います)は、「似たものが似たものをなおす」という思想にもとづく治療法であり、たとえば、吹き出物をなおすためにイラクサ(葉にさわると痛みやかゆみを引き起こす植物)の抽出物を処方したりします。ここで、治癒をうながすためには、投与する物質の量は、ごく微量でなければならないとされています。イラクサの抽出物も、もとの成分がほとんど含まれなくなるまで薄めることで、体の免疫機能を高めて吹き出物をなおす力を獲得すると考えられています。ホメオパシーを試してみようと思っている人は、まずは、かかりつけ医に相談しましょう。かかりつけ医のなかにはホメオパシーの技術を身につけている人もいます。あなたのうつ病にホメオパシーが効くかどうか、かかりつけ医の意見を聞いてみるのもよいでしょう。地域のすぐれた専門家を紹介してくれるかもしれません。(日本ではホメオパシーの保険適用は認められていません。)

針治療

針治療(acupuncture)は、指圧と同じ「気」の理論にもとづいていますが、マッサージはせす、経絡の要所(経穴)に細い針をうって気の流れを正します。英国内でも普及してきており、西洋医学と針治療の両方の技術を身につけた医師もいます。ただ、うつ病への効果については議論があります。

漢方薬

漢方医は、うつ病などの一般的な病気を何世紀も前から扱ってきました。漢方薬(Chinese herbal medicine)が英国でどの程度効果があるのかは明らかではありません。漢方医のもとを訪れ、漢方薬を処方してもらおうと考えている人は、かかりつけ医や精神科医に必ずその旨を伝えましょう。漢方薬のなかには、医師が処方するほかの薬と相互作用するものがあるからです。

催眠療法

催眠療法(hypnosis)は、リラックスしやすくするために用いられますが、うつ病を治療するものではありません。催眠療法では、患者さんを催眠状態(眠っているわけではありません)に入らせて、その無意識に働きかけます。ある種の催眠療法が不安を取り除くために利用されていますが、うつ病に対する効果を裏づける証拠はほとんどありません。

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