うつ病

女性や子供の、うつ病

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女性や子供の、うつ病

女性のうつ病

うつ病と診断される女性の数は、男性の2倍にのぼります。その理由は、いくつか考えられます。
・女性は男性よりも自分の感情を自覚しやすく、その分、うつ病と診断されることが多い。
・男性の医師は女性がうつ病にかかりやすいと考えており、うつ病の診断をくだしやすい。
・女性は男性よりも病院に行く回数が多く、その分、うつ病と診断されることが多い。
これらはいずれも重要ですが、男性と女性の体の這いが、女性をうつ病にかかりやすくしていることも事実です。なかでも重要なのは、エストロゲン(estrogen)とプロゲステロン(progesterone)という性ホルモンの濃度です。女性はこれらのホルモンの濃度が高く、その濃度は、月経周期、妊娠・出産、閉経にともなって変化します。性ホルモンを含むピルも、うつ病の原因になることがあります。
月経周期
プロゲステロンとエストロゲンの濃度は、月経周期をつうじて変化します。プロゲステロンは、月経前に平均10日問だけ分泌されて、分泌が止まると減っていきます。これは、月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)あるいは月経前緊張症(premenstrual tension:PMT)と呼ばれる症候群と関係があるとされています。月経前症候群の症状は、月経の数日前に始まり、月経の開始から数日後にはなくなります。なかには、月経が始まった途端になくなる症状もあります。
月経前症候群にはさまざまな症状があり、その症状には個人差があります。一般的なのは、乳房痛、腹部の膨満感や不快感、イライラ、不安、抑うつ気分などです。
月経前症候群の症状の原因は、プロゲステロン濃度の変化にあると考えている医師もいれば、不安にあると考えている医師もいます。後者によれば、妊娠を切望する女性は月経が来ないことを願っており、妊娠を望まない女性は月経が来ることを願っており、どちらの不安も月経前にピークに達するからだとされていますが、このような心理的説明を衷づける証拠はありません。
ホルモン療法(hormone therapy)や利尿薬(diUretic)の服用など、月経前症候群の治療法にはさまざまなものがありますが、あまりよく効かないことが多いようです。多くの場合、周囲の協力と思いやりと理解にまさるものはなく、症状が重い人に対してのみ治療が行われます。重い月経前症候群に悩む女|生の治療を行っているところもあり、ときに劇的な効果をあげていよす。
日本では、産婦人科、心療内科、精神科などが月経前症候群の治療を行っています。近年では、女性の心と体の不調を総合的に扱う女性外来または女|荏専門外来を設けている病院も増えています。
出産
エストロゲンやプロゲステロンの濃度は、妊娠中は非常に高く、出産後に急激に低下します。この突然の変化がうつ病の原因となることがあります。出産した女性の約半数がマタニティーブルーを経験し、15パーセントが軽症から中等症の産後うつ病となり、500人に1人が重症の産後うつ病にかかります。
マタニティーブルー
新たに母親になった女性の半数が、出産後の1週間にマタニティーブルー(matemity blues)を経験します。出産後の3日目頃から苛立ちやすくなったり、涙もろくなったりしますが、ふつうは1週間後にはもとに戻ります。その間に必要なのは、周囲の協力と愛情と理解だけです。
軽症から中等症の産後うつ病
出産後の長期のうつ病はめすらしくありませんが、「母親としての責任を感じているのだろう」とか、「子どもの世話で一晩中眠れないからだろう」などと言われて、その多くはうつ病と気づかれることなく終わります。最も重いタイプのうつ病は出産の直後に始まりますが、もっと軽い、一般的なタイプのうつ病は、出産の2週間後から1年後に始まります。友人や家族からの協力や配慮が薄らいでくる頃に始まることもあります。産後うつ病(postnatal depression)の症状は、ほかのタイプのうつ病
にくらべて漠然としていることが多く、激しい不安(とくに赤ちゃんの健康や栄養状態にかんして)、罪悪感、自己批判、疲労感、苛立ちなどがよくみられます。
産後うつ病の危険因子
出産した女性を産後うつ病にかかりやすくする危険因子がいくつか知られています。その人がもっている危険因子の数が多ければ、それだけうつ病にかかりやすくなります。
出産前
・不妊
・過去の精神科疾患
・家族の精神科疾患
・シングルマザー
・経済的困窮
・若年での妊娠(16歳未満)
・35歳以上での妊娠
・子どもがほしいのかどうかわからない
・赤ちゃんの健康にかんする不安
・妊娠の後期3か月間での軽症から中等症の不安障害
・難産
出産後
・未熟児(妊娠37週未満での出産)
・体の病気
・社会的孤立
・パートナーからの協力の欠如
・出産前よりも低い地位からの職場復帰
産後うつ病をホルモンの変化によって単純に説明することはできません。ホルモン濃度の大きな変化は、うつ病が始まるすっと前に起きているからです。ひょっとすると、これによりうつ病にかかりやすい状態になっていたのかもしれませんが、社会的要因も重要です。一般に、妊娠や出産に問題が多かった場合、子育ての現実や役
割の変化が期待どおりに行かなかった場合、出産をきっかけに人間関係の問題が前面に出てきてしまった場合などに、産後うつ病にかかりやすくなります。
産後うつ病には、通常、治療が必要です。最近の研究により、抗うつ薬を用いた治療と認知行動療法(6章参照)の両方が有効であることがわかっています。ほとんどの抗うつ薬は、授乳中でも服用できます。
女吐が産後うつ病の治療を受けているときには、パートナーも治療に参加して、問題を理解できるようにするのが有効です。ときに、パートナーも助けを必要としていることがあります。産後うつ病の女性のパートナーもまた、うつ病にかかりやすいのです。治療を受けるかどうかによって、回復の時期は大きく異なります。
産後うつ病の治療を受けた女性は、子どもの1歳の誕生日にはほぼ全員がなおっていますが、治療を受けなかった女性は、同じ時期に半数しかなおっていません。
重症の産後うつ病
まれに、出産から2週間以内に重症の産後うつ病にかかる女性がいます。このタイプのうつ病は、
・初産の人
・精神科疾患にかかったことがある人
・精神科疾患にかかった家族がいる人
に多いとされています。
こうした女性は、もともとうつ病になりやすく、ホルモンの変化が発病のきっかけになったと考えられています。
重症の産後うつ病では、現実を正しく把握できなくなり、妄想や幻覚をともなうこともあります。これは、赤ちゃんにとって非常に危険な状況です。こうした状態の母親は、赤ちゃんを殺してしまうことがあるからです。ある母親は、この悲惨な世界から赤ちゃんを逃がしてあげなければならないと思い込み、またある母親は、赤ちゃんには異常があるから本人のために殺してあげなければならないと思い込んでしまうのです。
事態がここまで深刻になってしまい、母親が自分自身や赤ちゃんに危害をおよぼす可能性が出てきたら、治療のために入院させなければならないでしょう。理想的な場所は、病院の母子ユニットです。母親はそこで、スタッフの協力のもとに赤ちゃんの世話をしながら治療を受けることができます。
多くの場合、治療は抗うつ薬を用いて行われますが、幻覚や妄想を治療するためには別の種類の薬も必要です。ふつうは薬物療法を受けていても母乳を与えることができますが、少量の薬が乳汁に出てしまいます。大量の薬を飲まなければならない場合や、赤ちゃんが薬に敏感な場合で、ほかの治療法がない場合には、人工栄養に切り替える必要があります。赤ちゃんはリチウム[商品名リーマス]に非常に敏感なので、この薬を服用している人は、母乳を飲ませてはいけません(フ章を参照してください)。
一部の医師は、重症の産後うつ病の母親に対してECTを行っています。この治療法には即効性があるため、治癒した母親が赤ちゃんとの問に絆をはぐくんでいきやすいからです。とはいえ、ほとんどの母親は薬物療法を受けています。産後うつ病から回復した女性は、将来の妊娠の際に、ふたたびうつ病にかかるおそれがあります。つぎに妊娠したときには、かかりつけ医や産科医に、産後うつ病のことをあらかじめ報告しておくとよいでしょう。そうすれば、適切な管理を受け、必要な場合には早期に迅速な治療を受けることができます。
閉経
抑うつ気分を訴えて病院を受診するのは、中年から初老の女性が多いようです。多くの医師は、その原因は閉経(menopause)にあると考えています。産後うつ病や月経前症候群と同様にホルモン濃度の変化がうつ病のきっかけになるというのがその理由です。けれども、この年代の女性がうつ病にかかりやすいことを裏づけるたしかな証拠はありません。
この年代の女性の生活には、閉経のほかにも、子どもの独立、パートナーとの関係の変化、自分の親の病気など、うつ病のきっかけとなる変化がいろいろ起こります。
英国の医師は、この年代の女性が抑うつ気分を訴えて病院に来たら、ほかの年代の患者さんと同じように、必要に応じて抗うつ薬による治療を行います。けれども米国の精神科医は、このような場合にはホルモンが原因になっていると考える傾向が強く、エストロダンによる治療を行う医師もいます。エストロゲンによる治療が効くのかどうかは不明です。英国でも、更年期症状を軽くするためにエストロゲンを含むホルモン補充療法(hormonereplacement therapy)を受けている女性はいます。そのなか
には、抑うつ気分も軽くなったと言う人がいます。
子宮摘出術と不妊手術
数年前に行われた研究により、女性が不妊になったり、子宮摘出術(hysterectomy)を受けたりした後には、うつ病にかかりやすいという説が提案されました。けれども最近の研究は、この説に疑問を投げかけています。卵巣は数種類のホルモンを分泌していますが、こうしたホルモンの機能は十分には解明されていません。米国の医師のなかには、卵巣の切除がうつ病の原因になると考えている人もいます。別の医師は、子宮摘出術によりうつ病になったのは、もともと精神科疾患の素因があった女性だけだったと報告し、またある専門家は、子宮摘出後に精神科症状がなおった女|住がいたと報告しています。
同じことは不妊手術(sterilization)にも当てはまります。これらを考え合わせると、もともとうつ病の素因がある女性のみが、不妊になったことをきっかけにしてうつ病になるのかもしれません。
女性の家庭生活
女性がうつ病にかかりやすいのは、ホルモンのせいではなく、女性を取り巻く社会的状況のせいかもしれません。ある重大な研究では、南ロンドンの研究者が、日中、家にいる女|荏を対象にした調査を行いました。その結果、最もうつ病になりやすい人は、10歳未満の子どもが3人以上いて、パートナーが非協力的で、話を聞いてくれる相手がなく、住宅事情が悪く、職についていない、若い女性であることが明らかになったのです。
女性のうつ病まとめ
■うつ病と診断される女性の数が男性よりも多いことには、多くの理由があります。
■エストロゲンとプロゲステロンの濃度の変化がうつ病のきっかけとなっている可能性があります。
■産後うつ病は気づかれにくい病気ですが、適切な治療を受ければなおります。

児童や青年のうつ病

児童や青年のうつ病の症状
児童や青年のうつ病と成人のうつ病との間には、多くの類似点があると同時に重大な相違点もあります。
児童や青年のうつ病の症状の多くは、成人のそれと同じです。成人と同様、児童や青年にも長期にわたる抑うつ気分がみられます。身体症状としては、不眠、過眠、疲れやすさなど、精神症状としては、集中力の低下、世界や目分かそこに占める位置に対する悲観的な考えなどがみられます。
けれども、このような変化がみられるときにも、多くの児童や青年は悲しいとは感じておらす、むしろ不機嫌さや苛立ちやすさがみられます。児童や青年のうつ病のあらわれ方はさまざまです。頭痛、腹痛、骨痛などを訴えてかかりつけ医を受診したが、これといった原因がみあたらなかったという場合もあります。あるときは、目傷、身なりへの無関心、引きこもり、それまで好きだった活動への興味の喪失などの変化が受診のきっかけとなり、またあるときは、学業不振や□ごたえの増加が最初の徴候となります。うつ病の症状は、年齢によって異なります。児童は、頭痛や腹痛などの身体症状を訴えることが多く、あまり落ち込んでいるようには見えません。青年になると、抑うつ気分の訴えが多くなり、自殺を考える割合が高くなります。
不機嫌なのか、うつ病なのか?
全国規模の調査により、多くの児童や青年に、病気というほど深刻ではなかったり、治療の必要はなかったりするものの、いくつかのうつ症状がみられることがわかっています。
青年では、単に不機嫌なのか、うつ病なのかを見分けるのがむずかしくなります。1つの指標として、うつ病の青年は、なにをしても楽しむことができず、目己評価が低いことがあげられます。彼らに目分の長所を尋ねると、ほとんど答えることができません。自分にはいいところがまるでなく、こんな状況になってしまったのは目分のせいだが、自力で状況を変える能力もないと思い込んでいるのです。そのほかに集中力の低下、自信喪失、重症の場合には妄想や自殺を考えるなど、成人と同じ症状がみられるならば、診断はむすかしくありません。
こうした症状が本人に重大な苦痛を与えており、社会生活に支障をきたしている場合に、うつ病の診断がくだされます。児童や青年のうつ病は、診断までに時間がかかることがめすらしくありません。成人と同様、多くの児童や青年は、医師やセラピストに対して非協力的であるからです。児童や青年のうつ病も、症状の数と強さに応じて、軽症、中等症、重症に分類されます。
学業不振など、うつ病のために本人のやりたいことができなくなっている場合や、その能力が低下している場合にかぎり、治療が必要になるということです。そのほかの
場合には、小さな症状は注意して見守っていればよいでしょう。
児童や青年のうつ病の危険因子
・不登校
・虐待を受けていた
・心に大きな傷を負っている
・自傷を繰り返している
・もめごとが絶えない家庭で育った
・薬物乱用や飲酒
危険因子と統計
児童や青年のうつ病は、成人のうつ病ほど多くはありません。
毎年、思春期前の児童の1パーセント、思春期後の青年の3パーセントがうつ病にかかっています。
児童や青年のうつ病の原因には、遺伝子、パーソナリティ、家庭環境など、成人のうつ病の原因と共通するもののほかに、いじめ、施設への入所、思春期の人格的・社会的成長、ホルモンの変化、脳の成長など、児童や青年に特有のものもあります。
強いうつ症状を示す児童や青年の95パーセント以上が、家庭内の不和、両親の不仲や離婚、親との離別、家庭内暴力、身体的・性的な虐待、学業不振、試験の失敗など、長期にわたる問題を抱えています。
これといって問題を抱えていない児童や青年がうつ病になることは非常にまれです。また、強盗にあうなどの突然の事件によってうつ病になることも、ほとんどありません。うつ病は、両親の離婚や親友との喧嘩など、否定的な衝撃を与える出来事によって引き起こされます。社会的ストレスは、児童や青年のうつ病の基礎として重要であ
るようです。なぜなら、貧困家庭や片親の家庭に育った子ども、両親の学生時代の成績が悪かった子ども、地方の施設に入所している児童や青年などは、うつ病にかかりやすいことがわかっているからです。
児童や青年のうつ病は、薬物乱用、飲酒、多勤(hyperactivity)など、精神保健にかかわるその他の問題とも関連しています。
児童や青年のうつ病の治療
うつ病にかかった児童や青年の多くが治療を受けていません。
これは、心の問題への偏見の結果、本人が助けを求めようとしないからです。そのほかに、両親や医療従事者や教師にも気づかれにくいという事情もあり、児童や青年のうつ病の4分の3が見落とされています。
児童や青年のうつ病の治療には、総合的に取り組むことが必要です。彼らの多くは、うつ病以外にも心の問題を抱えており、しばしは社会的にも家庭内にも問題を抱えているため、これらのすべてを解決していかなければならないのです。両親も心の問題を抱えている可能性があるため、よく観察して、治療の必要がないかどうか判断しなければなりません。児童や青年のうつ病の治療計画は、以下のことを行うことが目的となります。
・うつ病をなおす
・うつ病以外の心の問題を解決する
・社会的・情緒的な成長をうながし、学校の成績を上げる
・家庭内の問題を減らす
・再発のおそれを減らす
児童や青年のうつ病の治療は、3つのレベルで行われます。
レベル1
かかりつけ医、小児科医、学校看護師、ソーシャルワーカーなどによる治療。
レベル2
臨床児童心理士、心の健康にかんする専門の訓練を受けた小児科医、児童青年精神科医、児童青年心理療法士、カウンセラー、家族療法士など、児童や青年の心の健康の専門家による治療。
レベル3
児童青年精神科でのデイケア、外来または入院での専門的な治療。うつ病と診断された児童や青年のほとんどは、レベル1か2の治療を受けます。入院して専門的な治療を受けることになる患者さんはごく少数です。

軽症のうつ病

児童や青年の軽症のうつ病では、ふつうはかかりつけ医などからレベル1の治療を受けます。かかりつけ医のほとんどは、本人と家族の両方を評価します。よい医師なら、両親の同席のもとでの診察のほかに本人だけの診察も行うでしょう。診察の結果、むすかしい要素があることがわかった場合(たとえば、本人が自殺を考えている場合、うつ病以外にも薬物乱用などの心の問題を抱えている場合、家族に心の問題がある場合など)には、レベル2での治療を受けられるように手配します。自殺のおそれがなく、ほかに重大な問題もない場合には、しばらく様子をみることになるでしょう。2週間後と4週間後に病院に来てもらい、よくなってきているかどうか評価します。
1か月してもよくならない場合には、つぎの3つの選択肢があります。どれか1つを3か月間試します。
1.単独での支持的精神療法(supportive psychotherapy)
2.グループでの認知行動療法
3.セルフヘルプの指導(上のボックスを参照)
児童や青年の軽症のうつ病に対して最初から抗うつ薬治療をするのは、好ましくありません。
治療を始めてから3か月たっても効果がみられない場合には、専門家の意見が必要になります。
未成年の軽症のうつ病の患者さんに対するセルフヘルプの指導
セルフヘルプの指導としては、
・うつ病にかんする書籍やパンフレットを読ませる
・定期的な運動や、専門家が指導する運動プログラムヘの参加について助言する(45分から60分のセッションを、1週間に3回ずつ、3か月間続ける)
・質のよい眠りを確保し、不安を管理するための助言をする
・栄養にかんする助言をし、バランスのとれた食事の大切さを教えるなどがあります。

中等症から重症のうつ病

かかりつけ医のほとんどは、以下のような場合にのみ児童精神科医を紹介します。
・うつ病の児童や青年がむすかしい問題を抱えている
・治療を始めてから3か月たっても効果がみられない
・中等症から重症のうつ病
・うつ病が再発した
・自殺を考えたり計画したりしている
・少なくとも1か月にわたり説明のつかないself-neglect(自分の心身の安全や健康をおびやかすような行為)がみられる場合
けれども、患者さんの側からだのめば、おそらく紹介してくれるでしょう。
中等症から重症のうつ病と診断された児童や青年は、まずは精神療法(単独での認知行動療法、対人関係療法、家族療法など)を、
少なくとも3か月間受けることになります。これで効果がなかったら、本人または両親への一対一の治療を追加します。
うつ病は複雑で深刻な病気なので、複数の専門家が、それぞれの立場から問題の解決にあたることがあります。たとえば、精神科医のほかに、学校での問題には教育心理士が、家庭内の問題には家族療法士が、経済・住居・法律問題にはソーシャルワーカーが協力するといった具合です。

薬物療法

精神療法の効束がみられなかった場合には、薬物療法を追加します。抗うつ薬治療は、単独ではなく、精神療法と組み合わせて行うべきです。患者さんが精神療法を拒絶する場合には、薬物療法を単独で行うことになりますが、注意深く様子を観察しなければなりません。最初の4週間は、できれば毎週診察します。副作用を評価する必要があるだけでなく、児童や青年に抗うつ薬を投与すると、目殺衝動が強まることがあるからです。
12歳以上の児童や青年に対する有効性が確認されている薬は、フルオキセチン(fluoxetine)というSSRIだけです。5歳から11歳までの児童に対して薬物療法が効いたという報告は、ほとんどありません。とはいえ、フルオキセチンが効かなかった場合には、ほかの抗うつ薬を試すことになります。
児童や青年の抗うつ薬治療
・抗うつ薬治療は、単独ではなく、精神療法と組み合わせて行うべきです。
・抗うつ薬の量は、少量にとどめなければなりません。
・患者さんが精神療法を拒絶する場合には、薬物療法を単独で行うことになりますが、気分の変化や副作用の有無を注意深く観察しなければなりません。
・抗うつ薬治療の前に、児童青年精神科医による評価と診断を受けておくべきです。
・慎重な考慮と話し合いのもとに、抗うつ薬を投与しますが、パロキセチン(paroxetine)[商品名パキシル]、ベンラファキシン(venばaxine)、三環系抗うつ薬は処方しないよう勧告されています。
・どの抗うつ薬を用いるときも、副作用の有無や、患者さんが自殺を考えていないかどうかを注意深く観察する必要があります。
・症状が消えてからも、半年間は抗うつ薬を飲み続けます。
・薬物療法を中止するときには、6週間から12週間かけて徐々に量を減らしていきます。
・セントジョンズワートを飲んでいる患者さんは、中止したほうがよいでしょう。
入院
患者さんが自殺するおそれが高い場合、自傷や自棄が深刻である場合、地元では十分な治療(または監督)ができない場合、徹底的な評価が必要な場合には、入院してレベル3の医療を受けることを考えます。
うつ病がなおったら?
児童や青年が一度うつ病にかかると、将来、うつ病にかかるおそれが高くなります。そのため、うつ病がなおってからも少なくとも1年間は、観察を続けるのがふつうです。そうすれば、症状がふたたび出てきた場合に、すぐに対処することができます。
展望
児童や青年のうつ病は深刻な病気です。治療を受けすに3か月以内によくなる患者さんは10パーセントにすぎず、1年以内によくなる患者さんも半数にとどまります。治療により、回復までの時間を短くすることができます。うつ病にともなう問題のなかで最も重要なのは自殺です。うつ病にかかった児童や青年の3パーセントが、10年以内に自殺しています。自殺のほかには、学業不振や人格的成長の障害などの問題があります。うつ病にかかった児童や青年の3人に1人が5年以内に再発し、成人してからの再発も少なくありません。

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