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育毛サロン体験談3

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育毛サロン体験談3

バイオテック

フレンドリーの裏側は?微粒子化育毛剤ナノβの謎
日本毛髪業協会所属のバイオテックは85年設立。20年の歴史をもつ名古屋発の大手育毛専門会社だ。現在、フランチャイズ店を含めた支社は全国に68店舗。格闘技団体K1の協賛団体でもあり、またtvk(テレビ神奈川)をはじめとする地方テレビ局に「育毛最前線!』という自社番組をもつなど、知名度も高い。潜入場所は渋谷道玄坂をのぼりつめた京王井の頭線神泉駅近くの小さな雑居ビル。その一階にバイオテック渋谷店がある。
じつはこのバイオテック、個人的には好感度大の育毛サロンなのだ。というのも、ホームページに、メンズコースなるプランの金額が明確に記されていたからである。それによると、メンズコースは半年で総額50万円。けっして安くはないが、コース金額を世間に公表しているところなど、育毛サロンではここ以外存在しない。もちろん、カウンセリング、サロン体験のおためしも無料とのこと。さて、ここは最高のサロンになりうるのだろうか?
 
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辺見さん登場!
受付に名を告げ、カウンセリングルームヘ。壁
には、「光を頭部に照射することで育毛促進を図」るという赤外線LEDヘッドギア「バイオレザクス」のポスター。その隣には、「これが角栓様物質だ!」と鬼の首でも取ったかのように自信たっぷりな赤い文字が踊る頭皮拡大写真が貼られており、かなり目をひく。
店内はひどくうるさい。大声で客と従業員が話している。ちょっとほかのサロンには見られないムードだ。
そのうち、カウンセラーがやってきた。顔の造作がはっきりした、きつい茶髪の美人系女性。歳のほどはおそらく20代後半。強いていうなら、辺見えみり。……とまではほめすぎだが、すでに無理にあだ名をつけなければならない慣習ができあがっているので、辺見さんと個人的に呼ばせていただくことにする。
問診票をもとにした簡単な質問に答え、さっそく脱毛メカニズムの説明になった。
「脱毛の原因としては、皮脂というのが大きいんです」
と、辺見カウンセラーは私の顔をまじまじと見る。
「お顔から判断させてもらうと、○○さんはかなり脂っぽいですね。頭はもっとぎとぎとで、ひどいんじやないかな」
可愛い顔して突然、ふところに入ってくる。いったい、どこのキャバクラ嬢だ。俺は徹夜明けなんだよ。少々カチンときたが、だまって、つぎの頭皮チェックを受けた。テレビ画面には、私の毛穴の根元の皮脂が拡大される。
「サイクルダウンしてる細い毛が多いですね。白い垢のようなものが、角栓様物質です。それで、この全体的に広がっているゼリーっぼい脂が、酸化している脂です」
角栓様物質。つまるところ、おなじみの毛穴に詰まった皮脂。フタとかケラチンリングとか表現されていたものと同一だ。
この皮脂が酸化しているかどうかって、見てわかるもんですか?
「皮脂って酸化しますよね」
しかし、皮脂が酸化するというのは、そもそも肌に存在する常在菌の効用だ。肌を弱酸性に保ち、有害な細菌をよせつけないために、人体がそうした菌との共生関係を許しているという話もあるのだが……。
私は、試しに後頭部も見せてもらいたいと頼んだ。辺見さんは気乗りしない様子だ。
「後頭部は、髪が残る部分なので」
それでも、比較したいからと無理強いして、見せてもらった。
うーん、後頭部にも細い毛は普通にありますし、角栓様物質とかいうのもけっこうありますね。こっちの脂も酸化しているのですか?
「あのー、これ、ご自身気づかれたかどうか……たぶん気づかれなかったと思いますが」
辺見さんは少々気分を害したような口調になり、スコープを側頭部に移した。
「これ、頭皮赤っぽくて血管が浮いているんですよね。これは血行不良なんですよ。毛細血管が圧迫されているんです」
話をすり替えられてしまった感はあるが、テレビ画面には、確かに赤っぽい頭皮の画像が映し出されている。うっ血しているのだろうか?

バイオに完治はありえません!

辺見さんは、頭皮が硬い、ヘアケアが悪いと、矢継ぎ早にまくし立てる。防戦一方。完全にペースを握られてしまった。ちなみに彼女、口調から、本社のある名古屋の人のような気がする。さすがに商売うまいな……(すいません、偏見です)。
皮脂が溜まるのが、やっぱり男性型脱毛の大きな原因なんですか?
「そうですね。男性ホルモンのせいで脂が出て男性型脱毛に陥るので、そのもとになるメカニズム的なものをストップさせていくんです、バイオでは」
なんか壮大な話になってきたが、どんなことをするのだろうか。
彼女はそのメカニズムらしきものを示す図を卓上に広げた。5αリダクターゼがデヒドロテストステロンをつくるという、例の解説だ。
「バイオでは特許を取った発毛剤というものを使って、テストステロンを5αリダクターゼと結合しないようにするんです」
この発毛剤(この呼び方には問題がある)が、バイオテックの目玉商品EXナノβだという。とはいえ、ほかのサロンと同じく、生薬由来の5αリダクターゼ阻害剤を使うくらいじやないの、と思ってします。
「どんな有効成分を微粒子化したんですか」と開くと、「開発部門の人間ではないから、よくわかりません」との答え。そんなことで商品を客に勧めていいものか疑問に思うが、とりあえず先に進む。いったいどのくらい通えばいいもんなんでしょうかと尋ねると、「はじめ3ヵ月間くらいは最低で週—ペース。状況がよくなるにしたがって2週に1回」と言う。
髪が生えてきて、もう大丈夫ですよっていうラインというのはないんですか?
「○○さんのなかで、目標にしているものがあると思うんですけど、私たちは完治ということはありえないと思っています」と、予想外の答えだ。
「たとえば、円形脱毛の人だったら完治はありえます。けれども、遺伝の場合、悪くなっていく一方なんです。男性ホルモンの出方にも波がありますし。これに、バイオテックの豊富なデータと、私の経験値で対応していきます」
これは納得できる回答といえる。しかし、延々と通うことになるなら、値段が一番の問題となっ
てくるだろう。これが見合えば、文句なしであるが・・・。
これがバイオの真髄か?
カウンセリングの最中、ほかの部屋から男女の派手な笑い声が響く。また店内が騒がしくなりはじめた。辺見さんの声が聞き取れない。
なんか、うるさいですね。
「あ、メンバーさんとウチの従業員です」
と、辺見さんは笑った。
「バイオでは、毎回カウンセラーがお客様の状態をチェックして、アドバイスをしたり、施術の指示をしたりしますので、仲がよくなるんですね」
へえ、どんなアドバイスをするんですか?
「たとえばですね……。いくらウチで男性型脱毛の根本に関して改善しても、環境や生活習慣などのダメージがマイナスになってしまいますよね。だから、その部分で私たちは……」
突然、彼女は真顔になった。
「ちょっと頑張んないとダメじゃない、自分でお金かけたんじゃないですかあ!」
え? (驚く)は、はい。
「……って、ちょっとフレンドリーすぎるんですけど、そういうふうに言ってあげるんです。それだけでも、勇気づけられたり、自分のあきらめかけているところや言い訳しちゃうところを頑張れるっていうことですね」
「だから、あたしは、とっても、うるさいほうです」
そして、首を傾げてニコリ。
バイオテックの真髄を垣間見た感がする。新機軸だ。つまり、さっきのうるさい客もこれにやられたのか。やんちゃに声を荒げて俺アピール。まいった、一本取られた……。同伴出勤は可能なのだろうか?
「そういう意味で、つきっきりで見てくれる人がいるっていうだけでも安心かなって思うんです。
二人三脚で頑張ろう、ってことなんです」
まあ確かに、生活のほうまでしっかりアドバイスしてくれるのは頼もしいですが……。
「それが私の役割なんです。(突然、声色を変えて)いやあ、○○さん、もう少しやればもう少しよくなるんだけどね、効果見せれるんだけどね、これとこれとこれをやってほしいですから、これくらい予算がかかりますんで、用意していただけますか? オッケーですか? じゃ、やりましょうかっていう感じで責任をもってやります」
なにやらすごいペースでまくし立てられるが、つまるところ、けっこう金がかかるのか?
あのう、そういう客へのアドバイスはどうやって決めるんですか?
「はじめに書いていただいたカルテを参照したり、バイオテックのメンバーさんの20年間のデータベースがありますので、それを参考に頭皮の状況を予想して、発毛剤をどうするかとか決めていきます」
それは、医学的に信用に足るような、客観的な統計とかデータとかなんですか?
「医学的ということはわかりませんけど、いちおうバイオテックのデータです。とにかくすぐに始めてみないと、いつまでも考えてばかりになるので……」
辺見カウンセラーは話を急に変え、サロン体験の説明に移った。

話が違うような気がするんですが……

「ここのメンバーさんっていうのは、技術をして、ホームケアをして、ってこの繰り返しをしていくんです。一週間ホームケアで、つぎの技術が受けられるようにしておきます。今日、最後にホームケア製品をお渡ししますので、技術をしたあとの状態を維持してみてください。なかには、かなり抜け毛が減る人もいますので」
技術じゃなくて施術じゃないんですか?と突っ込みたい気分で胸がいっぱいだが、あえて私は、「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「ただ、これ、7665円かかるんです。消費税込みで」
え?
ちょっと待ってくれ! 無料じゃないのか。
自前のテレビ番組では無料、無料と、数分ごとに無料という字が画面にでかでかと踊り、ホームページにも以下のように載っているというのに!
「「実際のコースの一部が無料で、全部体験するには有料になるのでは?』といったご心配はまったく不要です」
もちろん、そんな心配まったくしてなかったんですが。
あっと……あの、すいません、確か、ただじゃないんですか……?
「今日の体験っていうのは無料なんですけど、ホームケアとか含めると、これだけかかっちゃうんです」
(溜め息&苦笑)ちょっと、はじめに言ってほしかったなあ……。
「でも、ホームケアー週間分と施術二回で、普通9500円なので。7665円ですから、すごくお安くなってますし、みなさんやられてますよ」
上京したてのとき、わけのわからない浄水器を10万円で買わされた苦い思い出が脳裏をめぐる。あのときも言われたなあ。「みなさん買われてますよ」って。ああ、俺はいまだにカモか。いま5000円しかないんですよ……。マジで。財布見ますか? 無料って間いたもんだから。
「そうですか、クレジットカード待ってますか?」
クレジット? ちょっとそれは……。
「でしたら、銀行のキャッシュカードもお使いになれますよ。もし、ご自身のなかにやる気があるのであれば、ですが」
銀行のキャッシュカードが使えるってどういうことだ? デビットシステムか? めったに見ない代物だぞ。なんで、そんなものまで用意しているのだ……?
脱毛博士、頭皮になにをしてあげたの?
とりあえず、一回は無料で体験を受けさせてもらえるんですよね。とりあえずそれを受けてみてから、二回目やるか決めたいんですが。
「それは、なんでですか?」
……え?
「それは、なんで?」
いや、だって、一度やってみれば、合うか合わないか、だいたいわかるじゃないですか。そ
(イライラして)シャンプーとか育毛剤とか、いろいろです。成分もわからないし。事前に把握れから、二度目受けるか決めたいんです。
「なにが合うか合わないかですか?」
できるところはそうしたいんです。食い物だってそうするでしょう。それ以前に、そもそも無料ということで来ているんですよ、こっちは。
「でも、たとえば今日、○○さん、自分のなかに知識を入れただけで、頭のなかで博士になっただけで、まるで脱毛博士ですよね(笑う)。脱毛博士(再度笑う)。じゃ、なにが変わったの? ねえ、脱毛博士、あなた頭皮になにをしてあげたの、っていうことなんです。頭でっかちになってる人だなあって思ったので、言わせてもらったんですが。このぐらいのことをして初めて、自分の状態を変えていくことができると思うし。お金はかかりますけど、ご自身が脱毛を気にされているのであれば、ここまでやってもらって、バイオをわかっていただきたいということなんです」
(完全にブチ切れて)とりあえず、製品の成分くらい見せていただけますか!
そりゃ、調べることくらいはできます!
(頭をかかえる)……。
「成分を見てわかるんですか?」
「私たちのシャンプーは、肌が過敏だったり、アトピーの人にも使っていただいているシャンプーです。こういうところには、頭皮にダメージ受けてる方しか来ませんので、すべて一番肌に優しいものを選んで使っています。当然のことです」
「そう、だから、心配しないで」
と、辺見カウンセラーは猫なで声で言う。
そして、静寂。一進一退ならぬまま時間が過ぎていく。このままでは、わざわざ渋谷くんだりまで出てきて、サロン体験も受けずに帰らざるをえなくなる可能性が高い。
情けないことに、ついに私は折れた。カウンセラーは急に機嫌がよくなって、さっそく施術室に飛んでいく。やれやれ……。

πウオーター、γ(ガンマ)液、ナノβ(ベータ)……

はじめに、EXシャンプーによる洗髪だ。湯の温度は37℃。体温と同じ温度が頭皮によいという。
すばらしいシャンプーのように説明されていたが、洗われている感じだけではとくにわからない。
ただし、かなり泡立っていて、洗い上がりもかなりさっぱりするところから、洗浄力が高いことは間違いない。
このあと、EXスキャルプオイルを塗り付ける。ホホバオイルが主成分であり、油で脂を溶かすとのこと。このオイルを塗った頭に、″ウォーターを使用したスチームをかけ、脂を溶かす。この″ウォーター、プロピアでも使われていた生体水とかいうものだ。調べてみたが、正体は判然としない。鉄の成分が入っており、植物の体液に近い水だとか、水分子の固まり(クラスター)が小さいため普通の水よりよいとか、いろいろな説明があった。ちなみに、このクラスターという概念については科学的に証明されていない。東京都消費生活総合センターでは、この用語を使った水の販売を禁じている。
″ウォータースチームをかぶって数分経つと、熱された頭皮のオイルが頭のタオルにどんどん染み込んで、ついには顔を伝って流れていく。もう苦しいわ、暑いわ、″ウォーターとホホバオイルのミックスジュースが目に入るわで、かなり苦痛な施術であった。
続いては、γ液なる液体をかけながら皮脂を揉み出す施術だ。見覚えのある機械が出てきた。アートネイチャーで見た機械だ。排水した液体をポンプで吸い上げて再度使用する仕組みの流し台である。
もしかして、これは……アートネイチャーと同じフルーツ酸なのか。それはちょっと頭皮の弱い自分は勘弁願いたいんですけども……という願いもむなしく、流しに頭を突っ込まれる。すでに液体をぶっかけられながら、「どういう成分なんですか」と聞くが、辺見カウンセラーは「体にいい成分です」としか言わない。
「脂がやっぱり多いですね。男性ポルモンは、これからもどんどん増えていきますよ。男らしさのホルモンですから。40代って脂ギッシュって言われるじやないですか。○○さんはこれから男性ホルモンもっと増えますから、対応していかないといけないですね」
明らかにホルモン分泌に関して間違ったことを言いながら、辺見カウンセラーは、私の頭を素手でマッサージし続ける。
後日調べたところ、これはフルーツ酸ではなく、オゾン水なるものであった。特許庁のデータベースに当たってみると、オゾンを水中に溶解させたものであり、「オゾン水は気体ではないので、呼吸器系に障害を起こすことなく安全である」との記載が見られた。
そしてやっと、バイオテックの目玉商品である育毛剤EXナノβのお目見えだ。有効成分を極微粒子化(ナノ化)した画期的な育毛剤ということだが、実態は謎だ。ホームページでもtvkの宣伝でも、その内容成分までは明らかにされていない。
このEXナノβを頭部に塗布されたのち、またステーマーをかぶらされる。今度はオゾンを発生させながらの蒸気噴霧だ。だが、さっきのオゾン水の説明を逆手に取れば、気体のオゾンを使用するわけだ。呼吸器系に障害を起こす可能性もあると認めたうえで、やっているのだろうか……?
こうしてサロン体験は終わってしまったのだが、楽しみにしていたバイオレザクスが出てこなかった。辺見さんに尋ねると、施術で扱うものではないという。波女いわく、「ホームケア用品なので、自宅で、疲れてマッサージできないときに有効なものです」。
とりたててすばらしい効果があるものではないようだ。ちょっとがっかりである。

ナノβの正体は女性ホルモン十合成界面活性剤?

カウンセリングルームで、5日一分のシャンプー、トリートメント、スキャルブオイル、EXスピラーレβなる育毛剤が入ったホームケアセットを受け取る.、このEXスピラーレβは、EXナノβ以前の主力製品で、内容成分は同じものの、微粒子化(ナノ化)されていないぶん、浸通性は劣っているらしい。トライアルということで、二軍落ちの商品をあてがわれたわけだ。使用法の説明が終わると、急かされるようにデビットシステムでのお支払いとなる。キャッシュカードを受付の機械で読み取ってもらい、嫌々ながら暗証番号を押す。チーンー 7665円を払い込み。やはり、どうにも納得がいかない……。
辺見カウンセラーは受付までついてきて、にこやかな笑顔で私を見送る。
「来週またお待ちしてまーす!」
そのフレンドリーな声に、私も反射的に手を振り返してしまった。
なんということだ! 今回は最後までみごとにやられた。ぼったくり店で学生証まで取られた気分だ!
しかも、ホームケアセットを見ると、シャンプーの洗浄成分は、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩。これは指定成分であるラウレス硫酸ナトリウムの別称だ。指定成分以外の表示義務のない医薬部外品なので、ほかの成分との配合比などはわからないが、これが主要洗浄剤ならば市販のジャンクシャンプーと同じになってしまう。「頭皮にダメージ受けてる方しか来ませんので、すべて一番肌に優しいものを選んで」「アトピーの方にも使っていただいてます」など、すべて言いすぎとなる
だろう。
さらに、育毛剤EXナノβと同成分のEXスピラーレβJこちらの主成分はエチニルエストラジオール。女性ホルモンのひとつである。
こうした女性ホルモン系育毛剤はかなり古くからあるが、効果がはっきりしないのが難点といえる。いちおう、男性ホルモンの活性化を防いだり、毛の成長期を長引かせるという作用はあるようだが、化粧品で許されている濃度ではなかなか効かない。成分自体に刺激性もある。また、男性機能の低下に悩む中高年が使用するにはどうにもイメージが悪い。こうしたことから、大手青毛剤メーカーは、女性ホルモン系育毛剤を完全に敬遠しているのが実情だ。
その女性ホルモンを微粒子化(化粧品業界用語でマイクロエマルジョン化)して含有したのが、ナノがということになる。だが、女性ホルモンの微粒子化がどの程度効果的かという点にも、疑問は残る。
一般にホルモン剤は皮膚からの吸収性が高い。たとえば、避妊薬ピル(主成分はナノβと同じエチニルエストラジオール)では、肌に貼っておくだけで効果が得られるというパッチ療法もあるくらいだ。ホルモン剤はとりたてて微粒子化しなくても、真皮の奥底の血管までダイレクトに到達する。
ほかの有効成分の微粒子化は有効かもしれないが、ホルモン剤に限っては微粒子化しても、ほとんど意味はない。しかも、微粒子化は、有効成分を特殊な合成界面活性剤で包まれた極小の粒子にすることでもある。こういうものが皮膚の奥に入るのもいかがなものか。いやはや、サロン体験が有料だったことにしろ、製品の内容にしろ、どうにも納得いかないことが多すぎる。
畜生、プアな……いやピュアな男心をもてあそびやがって! 私は暗澹たる気分で家路をたどるはめとなった。

消費生活総合センター

戦慄の裏事情サロンと医者の微妙な関係

というわけで、今回の取材は育毛サロンではない。東京都生活文化局だ。
虎の子の7665円をもっていかれた件で受話器を握ったのだが、私は、電話がつながる数秒間に、うまいことをひらめいて方針を変えた。「育毛サロンの被害について教えてくれませんか?」
と切り出したのだ。
そう、個人的な取材では、カウンセラーの当たりはずれなどでも評価が変わってしまいがちだ。
ここでひとつ、客観的な評判というものも知るべきなのである。
こうして一路、飯田橋へ。巨大な駅ビルの16階。そこに東京都生活文化局の消費生活総合センターがある。慌ただしいオフィスに足を踏み入れると、すぐに眼鏡をかけた知的そうな中年女性が出迎えてくれ、フロアの隅っこのテーブルに案内された。
160万円使ってほとんど生えなかった
私は事前に調べておいた資料を取り出した。これはインターネットの検索エンジンで「発毛サービス 相談」などと検索すると読むことができる報告書で、この消費生活総合センターが交渉を行ったかなりヘビーな相談例である。
これを読んで、かなりびっくりしてしまいまして。こういう例は、たくさんあるのですか。
「ええ。その文書は被害を未然に防ぐために、ホームページにアップしているものです。残念ながら、こういう例は少ないとは言えないですね」
相談例の内容を要約してみよう。
〈相談者は40代の女性。薄毛のため悩み相談に行ったら、「必ず発毛する、完治したら一生フサフサ」と説明され、1年コースー60万円弱を支払った。しかし、健康食品を勧められるばかりでいっこうに生えない。尿波動という検査を受けさせられたりしたあげく、ついには日本では未承認の薬、高濃度のミノキシジルの購入を勧められた。
その際、会社は「頑張って発毛に取り組む」という申請書類を提出すれば費用を負担すると言ったので、指示どおり書いた。その後、薬券が届き、それをクリニックに送ると、なんと診察も受けないのに薬が届いた。血管拡張成分であるらしく、すでに降圧剤を飲んでいるため服用に二の足を踏んでいたのだが、クリニックの医者に相談しても「大丈夫」と言うだけで、既往症の説明すらしてくれない。
結局1年コースが終了してもほとんど生えず、逆に白髪が目立つようにさえなってしまった。
こうして会社側に160万円弱の返金を求めたく、センターに相談した〉
この相談者の女性の頭部がどのような状態であったのか、聞いてみた。
「この女性はですね、頭全体がこう、透けてくる感じで、それがコンプレックスだったそうです。もともと毛髪が細い人だったんですね。で、そこでは、『男性女性型混合脱毛」と『脂湿性脱毛』が同時に起こっていると診断されたそうです。つまり、毛根が脂漬けになって毛の発育が遅れているとのことでした。でも、ほかにも何人か相談を受けましたけど、みんな同じように言われているようなんですね」
さて、相談例の続きだ。
〈この相談を受けたセンターは、通信販売のような未承認薬の売り方は医師法に抵触するおそれがあるのではないかと、その薬を処方した医師に問い合わせた。医師が「会社に頼まれている」と証言したため、センターーは会社側にも問い合わせることに。すると、その会社は社長名の文書を提出してきた。
「医師法、医療法、薬事法等の関係諸法令を遵守した範囲で営業を行っている。当然のこととして当社が医療行為を行ったり投薬をしたりすることはなく、あくまでも紹介しているだけである」
また、「発毛効果は出ているので返金できない」との回答も添えられていた。
センターは薬の受け渡しに疑問がある旨を会社側に伝えたが、会社はいっこうに応じず、薬の提供に関する明確な回答は得られなかった。
金銭面での交渉については、発毛サービス会社ははじめ四分のI、そして半額と譲歩しつつ、やっと半年後、全額返金に応じることになった。ただ、センターに対して、薬の受け渡しに関する回答はいまだないままである〉
尿波動……?・ この会社、いったいどこですか?
私はつい聞いてしまったのだが、「特定できる情報は出せない」ということで退けられてしまった。
少なくとも、いままで取材したところではないようだ。
最終的にはそうやって金銭的に解決するという感じですか?
「いえ、全額返済はめったにありません。この女性は主張が明確で崩れませんでしたから、お金が返ってきたんですね。返ってこなかったら被害届ということもあるのですが」
でも、効果がなければ……いくらなんでも返しますよね? そういう契約だから。
「ですから、薬を使うのかもしれません。一時的にしろ、効果があるとして使われているものですし。生えた証拠を得るために写真を撮って、ほら、少しは生えた時期もあるでしょ?っていうことにするのかもしれないですね」

未承認薬ミノキシジルの使用

「同じような被害で、もうひとつあるんです。そちらは男性の被害なんですね。20代の方で、とくに髪に問題があるとは思えない感じでした。どちらかというと、ぼわっとしたヘアスタイルで、どこが悪いの?っていう感じで。男の子同士だと、冗談でおまえ薄いぞとか、からかったりするでしょう? あれがショックで行ったようなんですね」
ああ、よくありますね、そういうことは。ぼくもやられたことあります。あれは最低ですよね(溜め息)。
「で、この会社に行ったら、もう、あなたは絶対、将来ハゲるということで脅されちゃったようなんです。本人はもっと短い期間での施術を希望していたんですけど、あまりにも勣められたので、結局、1年半の長いコースを契約してしまったらしいんです。そうなると、もう、総額が何百万になります……」
気が弱いんですね、きっと。そういうふうに、いいようにされるのは。
「ええ、優しそうな方でした。でも、こんなに髪があった方でさえ、薬を買わされているんですよ」
こちらも未承認薬が関係しているんですか? ミノキシジルとか抗男性ホルモンとか?
こうした薬での被害例はあるのですか?
「そうなんですが、薬の場合は、もっと個別に追及する必要のある案件になってくるんですね。この男性の件では、基本的には勧誘行為の問題として承りました」
「この例ではありませんでしたが、ちゃんとした診察もなしに、薬を与えるわけですから、危険ですね。この会社が客を紹介しているクリニックはいくつかあるようで、皮膚科とか、なんとか医院とか、小さいところなんですね」
うーん、そういう企業が客をクリニックなどに引き渡して自分の施術成果とするようなことが、法的に問題にならないんですか?
「会社側が、ウチでは手に余るのでお医者さんへ行ってくださいということは問題ないのです。おそらく、こういった事例の場合、会社側とお医者の間になんらかの約束事があるんでしょうけど、そこまで私たちはつかめませんし……」
しかし、これを見ると、未承認薬の代金の免除申請って会社側が出したらしいじゃないですか。これ、明らかにおかしいでしょ。
仮にそれがわかったとしても、現状ではなにもできそうにないと。まあ、脱法行為といったところですか。
「それをつきつめていくと、薬はこの会社が輸入しているのかもしれないのですが、はっきりとはわからないんです。私たちもこの会社と医師の調査をしたのですが……。会社でくれた券を持ってクリニックに行くと、白衣を着た人が薬を渡してくれるらしいんですが、それが医者なのか看護師なのか、それとも全然関係ない人なのか、行った人にもわからないようなんです」
「私たちとしても、会社のほうにはいろいろと要望を申し上げたんですが、会社側は、どうやら自分たちの販売方法は正しいと信じ込んでしまっているようで……」
話を問くぶんには、一般常識とちょっとズレたムードというかポリシーをもっている会社のようである。
「センターで調べたことなんですが、薬の問題で気をつけなければいけないのは、飲んでるときだけ生えるということです。やめれば元に戻ります」別の病気にかかったら使えなくなる可能性が高いですね。そういう説明しているのかな。
「そこらへんどうしてるのか、問題だと思います。極力、薬は使いたくないと思っていた年配の人でも、いつのまにか飲ませられているということもありますし。会社は、薬を使用するケースもあることを、はじめに告げたりはしないんですね。客側が、通常の施術で効果がないと主張すれば薬が出てくるようなんです」
発毛効果がない場合は返金するという制度を設けながら、実際の支払いを回避するために未承認薬が使われている可能性があるということですね。強い薬を使えば、一時的に「発毛効果」が出るのは当たり前ですもんね。あるいは、本来ならサロンでは扱えない未承認薬の効果まで、自社の施術の実績に入れてしまっているなんてことも、あったりして。
「私もその会社に、そんなにすばらしい効果が出たらノーベル賞ですよねって言ったんです。でも、どうにも聞いてもらえないようでした。だから、信用しないということが大事だと思います」

被害にあったら、どうしたらいいのか?

すでに、こうした曖昧な状態のもとで投薬による被害を受けている人も多いのではないだろうか。
こんなことに巻き込まれたら、どうすればいいのだろう。
「薬での被害の相談は、あまりこっちに上がってこないんです。エステ関係の相談はありますけど、お医者に関しては、なかなかこちらでは扱いづらい面があるんです。もちろん私たちは、相手が医者でも消費者契約法にもとづいて主張することはできます。ですが、基本的にあちらは医師法にもとづいて営業していますし……。なにかあっても、おそらく訴訟にでもしないとむずかしい。治療行為の是非について争うのは、個人では大変なんですよ」
費用はかかる、一審判決まで数年とか時間はかかる。たいてい泣き寝入りするしかない、と。
まいった。サロンに通っているうち、いつのまにか医者と争うハメになりそうだ……などとは、考えるのも嫌だ。
ところで、私は、無料体験ということで行ったら、8000円近く取られまして。なんとかなりませんか?
「うーん、そもそも、そこはクーリング・オフができるんでしょうか?」
クーリング・オフ。契約書が交付された日から8日以内ならば解約できる制度だ。そうか、契約後にクーリング・オフできるかどうか確かめるのも優良サロンを見分ける手か? ナイスなアイディアではなかろうか。
すべての企業に不適切な取引行為等
サロンの話に戻りたいのですが、この業界、いまだに被害は多いんですか?
「少ないとは言えませんね。増えてはいませんが」
そういえば、以前、東京都の生活文化局が業界を調査したんですよね。
「ええ、03年の6月に報告しています」
以前、取材したサロンで、小さいところがひどい経営をやったから、業界が御上に調査されたって言っていましたが……。
「いえ、小さいところだけというわけではないですよ」
この件については、以前にも取り沙汰されたことなので、すでに調べている。あらためて詳述してみよう。
02年12月〜03年3月に、東京都生活文化局消費生活部取引指導課は、消費生活センターに寄せられた相談事例から8社を選出し、営業所に立ち入り調査などを行った。調査項目は、契約金額、誘引方法、広告・パンフレットの表示、契約時書面、解約時の対応などである。この結果、調査対象の全8社すべてに不適切な行為が見られたため、個別的な業務改善指導を行うほか、事業者に対して説明会を開き、事業活動の適正化を要請した。
ちなみに、・不適切な行為のなかでも、「誘引方法」における「虚偽説明・断定的判断提供」は全社で行われていたそうだ。生活文化局のホームページに掲載されている報告書から引用してみると、たとえば、以下のようなケースが見られる。
「「必ず髪の毛が生えてくる」「必ずもとのようになる」等と言って不適切な勧誘をしているケースがある」
「また医学的根拠が定かでないのにカウンセリング時に『○×症」と告げる等販売員の行為に問題がある例が見受けられる」
この調査対象全8社の売上額は、合計で1050億円。当時の業界の市場規模の4分の3をカバーするものだ。個別に見ていくと、02年度決算の年間売上額が、「10億円未満1社、10億〜50億円未満3社、50億〜100億円未満2社、100億円以上2社」となっている。
こうして見ると、調査され警告を受けたのは「小さいところ」などではないではないか!
(猫なで声で)警告を受けた企業名、教えてくれませんかねえ……?
この業務調査が引き金になって、育毛業界って分裂しましたよね。
「いえ……それは……できかねます」
食いつくが、当然教えてくれなかった。悪徳サロンと優良サロンを見極める有力な手がかりになるかと思ったのに。まあ、企業規模から、ほとんどの有名企業はビンゴっぽいのだが。
「ええ。日本毛髪業協議会が、日本毛髪業協会と日本発毛促進協会に分かれました」
このいきさつは、さまざまなサロンで聞かされたものだ。経緯を補足しながら簡単にもう一度まとめてみよう。
育毛サロンと発毛サロンの誕生
東京都の調査が入ったことを受け、日本毛髪業協議会は、ガイドラインの徹底強化に乗り出した。
特定継続的役務に追加指定されることを防ぐために自主規制を強めたのである。
ここで禁止項目にあがったのが、「発毛」という言葉の使用だ。医療法により、サロンでは医薬品を扱うこと、つまり治療行為をすることは禁じられている。このため、医薬品の効能にあたる発毛という言葉も使わないことに決めたのだ。たとえば、先日、体験を受けたバイオテックのホームページには、このいきさつについて以下のような解説が載っている。
「発毛」という言葉の定義があいまいで、お客様の誤解を招くおそれがあり、広告等で「発毛」を謳うことは適切ではない。また、医療分野との明確な棲み分けをとの判断から、バイオテックでは自主的に「育毛」という表現に統一することを決定しました」
こうして発毛という言葉が業界内では禁止される運びとなったのだが、これに反対したのが発毛サービスを専門とするリーブ21だ。同社は発毛を禁止されてはおまんまの食い上げとばかりに、すぐさま日本毛髪業協会を脱退し、独自の組織を設立した。これが日本発毛促進協会である。この団体の活動方針は「学者、研究機関、医師、病院等とともに発毛のメカニズムを解明するため連携・協力する」というものだ。実際、多数の美容外科医が賛同者として名前を連ねている(個人的には、ここまでやるなら男気を見せてズバリ「日本発毛協会」にしてほしかったが)。
さて、次回はついに、この日本発毛促進協会のリーブ21だ。……こんな取材のあとでは、けっこうドキドキものである。乞うご期待。

リーブ21@最終兵器は波動砲?発毛成功率96・8%の謎

ついにやってきたリーブ21。
お茶の間をにぎわす「発毛日本一コンテスト」と「発毛成功率96・8%」のCMで知らぬ者はいない、大阪発の大手「発毛専門」サロンだ。93年、岡山に第一号店を設立して以来、またたく間に全国に70店舗を展開するまでに至る。現在は従業員数820名。04年度売上高は155億円を誇るという、まさに破竹の勢いの大企業である。
さすがに、アデランスやアートネイチャーなどに対抗する第二の勢力・日本発毛促進協会を率いているだけあって、営業も気合いの入りようが違う。資料請求したところ、すぐさま、ばかでかい封筒が送りつけられてきた。中には「涙と笑いの発毛ドキュメント? 2004年も元気になあれ!」
という発毛コンテストのドキュメンタリー番組がおさめられたビデオと、「発毛参考書」というパンフレット、そして和田アキ子のファンクラブ入会届までもが同封されていて、少々まいった。
しかし、この会社、「発毛成功率96・8%」というくらいだ。ほかのサロンとはありとあらゆる面で、別格のカウンセリングや施術が行われるのだろう。こちらも今回は、ちょっとしたテストというか仕掛けを用意して店舗に向かった。
江川カウンセラー登場!
新宿東口店は、広いフロアが板の仕切りで区切られているだけの間素なつくりだ。言い方は悪いが、ほかのサロンと比べて明らかに金がかかっていない。
受付の女性に、事前に言われたとおり持ってきた10本の毛髪を渡す。呼ばれるまで受付の脇のイスで待っていると、目の前に客の体験談集がつり下げられているのが目についた。ペラペラめくると、「波動測定」という文字。円形のグラフに、各種ミネラルなどの数値が表されている。
この「波動」調べてみたが、イマイチよくわからない。はじめは中国気功術の「気」に似たものかと思ったが、そうでもないようだ もっとスケールがでかいらしく、「無織物をも含む万物が発している微弱な振動エネルギー」というのが正しい説明となるそうだ。ちなみに、このエネルギーは、いわゆるオーラとして肉眼で観察することも可能であるらしい。
そして、この波揚子不ルギーを測定するものが波動測定器であるこれも実体が不明な機械であり、測定する人によって、同じ対象でも測定数値が変わったりするらしい。すみませんが、もうわけがわかりません。
ただ面白いことに、測定器はマイナスからプラスヘ21段階の目盛をもっているという。リーブの社名にある「21」という数字は、21世紀から取られたものかと思っていたが、もしかしてこちらから取ったのかもしれない。
かなり待たされたあげく、私はやっと造り付けの狭い小部屋に案内された。壁には日本毛髪業協会サイドを意識した熱い文句がいくつも貼り付けられている。いわく、「カツラとか増毛・植毛で本物の自信に勝てますか?」「今も昔も黒髪は女の命ソシテ男の自信です(原文どおり)」などなど。
そのほか、特許取得の認定証や、自社が仕切る日本発毛促進協会から付与された賞状も神々しく、そしてうやうやしく、額に入れておさめられている。目をひくのは、同業者の来店を固く禁じる貼紙だ。「万一、関係業者である事が判明した場合は当局に通報します」などと書かれている。
関係業者って、おそらくほかのサロンの(はっきり言えば日本毛髪業協会の)スパイのことだろうが・・・。
通報して、どうなるんだろう? 逮捕されるのか? 私は違うよな、いわゆる関係業者じゃないし。
ついつい、そわそわしてしまった。
さて、ようやくカウンセラーが登場。江川紹子似のインテリ風中年女性だ。今回は江川さんと呼ばせてもらおう。
問診票をもとに、まず詳しく仕事や収入の状況などの質問攻めにあう。つぎに、服用中の薬物関
係の質問。いま薬を飲んでいるか、薬のアレルギーはなかったかなど、綿密に聞かれる。同時に、血圧を測る。こんなことをされたのは、すべてのサロンで唯一ここだけだ。理由を聞く
と、「まあ、ちょっとした健康チエックです」との答え。血圧検査のあとは、生活習慣の質問が続く。
食生活、とくに酒の摂取量、頻度に関する質問に集中する。また、遺伝性の質問も多い。祖父の代までさかのぼり、親族全体の脱毛状況を聞かれた。
ようやく問診が終わり、脱毛症状のタイプ別説明。健康毛、粃糠性(ひこう性)脱毛、脂湿性脱毛、円形脱毛、(良性・悪性・びまん性)脱毛、男性型脱毛と説明が進む。その説明によると、それぞれ以下のような状態を指すものという。
健康毛は、毛根のふくらみが毛の太さの2〜3倍程度あるもの。
粃糠性(ひこう性)脱毛は、フケが毛根にしっぽのようについているもの。
脂漏性脱毛は、ゼリー状の脂が毛根を取り巻くように付着しているもの。
円形脱毛やびまん性脱毛は、髪や毛根がねじれていたり、ちぎれていたり、太さが一定でなかったりするもの。
男性型脱毛は、毛根の膨らみが少ないもの。
そして、間髪入れず、私が持ってきた髪の毛根検査だ。毛根部分をテレビ画面に映し出し、江川さんは以下のように総論した。
「このように、○○さんの髪の毛には、かなり皮脂がついていますね。毛根の太さも、ほとんど膨らんでいないですし、ねじれてしまっている毛もあります。正常毛が半分以上あれば、なんとか健康と言えますが、○○さんの場合、全部の毛がこのように異常です。脂漏性脱毛と男性型脱毛がほとんどで、びまん性脱毛が混じっている。いい状態とは言えません」
しかし……。私が持ってきた毛は、じつをいうと(私事で恐縮なのですが)私の彼女の髪で、私のものではないのであった。バーンー これが今回の仕掛けである。もちろん、彼女は髪や頭皮にとくに問題はない。歳は28歳。黒々とした長髪を誇る女性だ。
ところが、江川さんによると、これらの毛にも脂湿性脱毛や男性型脱毛が多いという。確かに女性でもホルモンバランスが崩れると男性型脱毛に近い症状を呈することはあるらしいのだが、「全部が異常」とするこの診断結果には疑問が残ってしまった。
ちなみに、この仕掛けであるが、以前アデランスのカウンセラーに「女性の毛と比べてみれば(違いが)わかる」と言われたことがヒントになった。木村さん、あなたの言いつけどおり、やってみたんですが……全然ダメだったみたいです。

頭皮チェックと果てなき論争

続いて、江川さんは、頭皮の状態をヘアスコープで見る。
「ちょっと表面に血管が浮いていますね」
側頭部にうっ血のあと。バイオテックで見つかったものだ。まだ消えていない。
これは、やっぱりダメなんですか。
「ええ、あんまりよくないですね。血行が悪いんですよ。それと、皮脂が多いですね」頭皮は例のごとく、透明な皮脂に覆われている。連続して各社のサロン体験を受けているのに、一向に減る様子を見せない。というより、施術を受けても数時間後には、もうこの状態に戻ってしまっているのだろう。
「こういう皮脂が毛母細胞の成長を阻害するんですよ。こう脂っぽいと、フケが出てもべったりして、それが詰まってきます。そうして、抜けやすくなる」
つまり、脱毛は皮脂のせいですか?
でもねえ、洗ったり育毛剤塗ったりして、ハゲ抑制ができるんですかね……。
「そうです」
遺伝の影響などはないんでしょうか?
「まあ、関係なくはないんですが、脱毛は遺伝するということはないです。脱毛しやすい体質は遺伝しますが」
私はあらためて自分の頭皮を眺め、げんなりと質問したが、かまわず江川さんは皮脂の説明に移っていく。
「皮脂は本来、肌を守るものなんですが、ありすぎると逆流して、毛根の固着力を弱めてしまうんです。さっきの毛根検査では、毛根に実際にかなりの脂がついていましたから、もう○○さんの毛穴は脂まみれになっているんです」
あなた、自分の毛根検査をしたことがありますか?と言おうとして、我慢した。
「あと、○○さん、男性型脱毛の毛根がたくさんありましたよね」
まあ……あった……みたいですね。
江川さんは、例の5αリダクターゼがデヒドロテストステロンを生成するいきさつを語る。
「このデヒドロテストステロンが毛母細胞の分裂を阻害してしまうんです。細胞分裂に必要なATP、アデノシン3リン酸の生成を止めてしまうので、毛が細くなるんです」
ここらへんの説明は、プロビアやバイオテックと似たようなものなのだが、医学的専門用語を交えて無表情に話す江川カウンセラーの姿には、説得力を感じる。実際、年配のインテリ風女性は、カウンセラーにもっとも適していると思わざるをえない。黙って問いていると、そうなんだろうなあという気にさせられてしまうのである。……とはいえ、あれは私の毛ではないので、前提から違うのだが。
「このデヒドロステロンは皮脂腺の中でつくられますから、脂の中にも入っています。ですから、毛穴に逆流してはいけないんですね」
—そうなんですか。……でも皮脂が多くてもハゲない人とか、逆に乾燥肌の人にも男性型脱毛はいますよね。そもそも、むかしより洗髪回数は増えて、清潔になっているはずなのに、なんで若ハゲが増えたとか言われるんでしょうか?
「それは、ストレスとかいろいろとありますから」
ストレスカードがオープン。他サロンでの問答でもそうだったが、これが出ると一気にオチがついてしまう傾向がある。話が進まない。
「96・8%」の根拠とは?
しかしながら、ここからが本番だ。リーブ21は必ず生えると世間に対して確約している企業である。もっときちんと説明してもらわなければならない。矢継ぎ早に私は疑問をぶつけていく。
発毛成功率96・8%というのは本当なんですか?
「ええ。生えてきます」
予想どおり、じつに頼もしい回答が返ってきた。実際、私もリーブ21関連情報で96・8%の根拠を調べたのだが、確かに二つ見つかった。一つ目は、ホームページ上で発見された以下の文だ。
「2003年度実績。一年以上の発毛コース終了者1896名中1835名が発毛。自社データによる」
おお、ちゃんとデータから出てきた数字なのだな、と納得させられる。
しかし、その1年前の02年に発刊された「カツラー探偵がゆく」(小林信也著、洋泉社、02年)という書籍で、岡村勝正社長自らが96・8%の由来を説明しているのだが、この二つ目の根拠を読むかぎり、どうにもわけがわからなくなってしまう。
「(発毛成功率は)本当は100%です。それをいうとちょっと問題があるんで、その数字にしてあるんです。(中略)「100%生えます」と言ったら、それでなくてもインチキくさいのに……(96・8%なら)信頼性があるじゃないですか」
信頼性があるかどうかはいざ知らず、毎年96・8%になる秘密はこういうことであるようだ。
ちなみに、彼による発毛の定義は、「驚異的に増えます。ハゲが治る。誰が見ても髪が増えているというのが私の基準です」。
ハゲが治ったらノーベル賞って言いますけど、ノーベル賞ものですか?
「(ちょっと詰まりながら)そうですね」
育毛と発毛はどう違うんですか?
「発毛というのは、生えてないところから、生えることです」
ということは、老化して、完璧つるっぱげになっても生えるんですか?
「時間がかかりますが、発毛はします」
なかには、どうしようもない遺伝でハゲている人もいると思うんですが?
「体質改善していくので、問題はありません」
では、いかなる方法で体質改善を行うのかと間くと、「健康食品やサプリメントを勧める」と言う。
効果はともあれ、その言葉を裏付けるように、リーブ21は全サロン中もっとも健康食品とサプリメントの品ぞろえが多い。育毛サロンというより、ほとんど健康食品会社とでも言いたくなるほどだ。

界面活性剤を使用していないシャンプー?

「自然治権力を高める方針」の一例として、シャンプーの話題が続く。「ウチのシャンプーは自然の成分を使っています。ダメージのないものなんです。合成系のシャンプーだと、界面活性剤が入っているので、逆にダメージになってしまうんですね。市販のシャンプーなどは、肌のバリアゾーンを破壊して毛根にまで入っていってしまいます。こうなると、細胞自体を溶かしてしまってダメージになるんです」
界面活性剤が入っていない? テクノヘアと同じことを言っているが……。
でも、界面活性剤すら入っていなくて、どうやって汚れを落とすんですか?
「天然成分で落とすんです」
テクノヘアでも同じように自社のシャンプーを説明していたが、実際はまったく違うというオチがついているので、こちらも検証が必要だろう。
シャンプーに続き、どのような育毛剤が使われているかを尋ねると、生薬ベースのもので、化学物質など体に悪い成分は入っていないという。このように、カウンセラーは終始徹底的に「自然成分」「体に優しい」と強調しているのが印象的だった。
通常3万3500円のビジターコース(診断と施術2回)がキャンペーン価格9500円であったので、これを受けることに。案内された個室は、ただカーテンで仕切られただけの狭いスペース。イスがそのほとんどを占有している。江川カウンセラーと入れ替わりに、美容師(リーブ21では「オペレーター」と呼ぶ)がやってきた。
はじめにシャンプー。ホームページでは、スチーマーからスタートとあったのだが……順序が違このアクティシャンプーR、確かに泡立ちはさほどよくない。それでも、泡立つということはな
んらかの界面活性剤が入っているのだろう。オペレーターに内容成分を尋ねてみると、「とにかく合成シャンプーではありませんから安全です」との答え。え、そもそも界面活性剤すら入っていないんじやなかったっけ。なんだか、話があやふやになってきたぞ。
合成シャンプーではないということは……石けんですか?
「石けんではないと思うんですけど、自然成分のシャンプーですので、人体に害はありません」
では、シャンプーの実際の主要洗浄成分を記してみよう。
①ココイルグルタミン酸TEA
②ラウラミドDEA
③アルキルスルホン酸ナトリウム
①は、おなじみグルタミン酸のアミノ酸系洗浄剤。
②は、非イオン系と呼ばれる界面活性剤だ。洗浄力は弱く、発泡力を高める洗浄助剤として用いられる。
③は、SASと略称される、石油由来の合成界面活性剤だ。現在追放されつつあるLASと並び、洗濯洗剤などによく使用されている。洗浄力・刺激性とも強く、石油原料であることから毒性も強い。記載順位から見ると、含有濃度としては低いのだろうが、これひとつのせいで「自然の」「天然の」といった看板がかなり怪しくなってしまうことは確かである。
これでは、リーブ21のホームページ上で見られる以下の表現の意味がまったくわからなくなってしまうのではないだろうか。
「市販のシャンプー剤は、石油合成系の界面活性剤を含んでいるものが大半です」
「石油合成系の界面活性剤では髪にダメージを与えやすいので、なるべく天然成分配合のものを選びましょう」
激痛の低周波&オゾン旋風!
このあと、コンディショナーの塗布。
岡村杜長の著作によれば、「(リンスは)頭皮に膜を張り、育毛剤を使用した場合、スムーズに吸収されません。(中略)できるだけ、コンディショナーか、髪によい成分でできたものを使うようにしたい」(「髪に悩んでいるあなたへ」PHPエディターズグループ、印一年)とある。だが、一般的にコンディショナーは、リンスの効果をさらに高めたものである。もう、わけがわからないが、とりあえず塗りたくられる。
つぎに、育毛剤リーブトニックの登場だ。
この育毛剤は、A・Bの二種類があり、施術では二つを混ぜ合わせて使うとのこと。内容成分は、保温剤プラセンタ、血行促進のセンブリ、細胞活性化のニンニクなど、さまざまな薬効の生薬エキスがやたらめったら30種類近くも入っている。お値段は、140mlのボトルが2つで2万3100円。かなりお高い代物である。
育毛剤を塗った頭にスチーマーをかぶせられたあと、育毛剤を浸透させるためイントロライザーと呼ばれる低周波施術が続く。ふたたびリーブトニックを塗布され、言われるままに、濡れたガーゼに包まれた電極を片手に握る。そのとたん。
いい、痛エー
これ……痛い! すごいキましたよ、電気バキバキに!
私は思わず電極を落としてしまいそうになった。手の皮膚が、もんのすごくしびれたのだ。
オペレーターは「しばらく頑張って握っていてもらえますか」と言うが、数秒と我慢できない。
なにより、自分のしょぼい心臓が不安になる。無理にお願いして、かなり電圧を下げてもらった。
「みなさん、すぐ慣れますよ」と言うが、ちょっと私には厳しかった。
電極を握るタイプの低周波器は、テクノヘアで体験ずみだ。あちらでも少々、刺激感はあったが、
これほどではない。こちらは、明らかに出力が高い。確かに自分は痛がりなほうだから、大げさかもしれないのだが・・・。
さらに、ビームライザーと呼ばれる高周波による頭皮刺激が続く。電流の流れる櫛が頭皮に触れるたび、プーンという甲高い音がして、強いオゾンの匂いが鼻につく。どこのサロンの施術よりもこの臭気は強いから、かなりの出力で行われているようだ。毎度のことながら、オゾンが皮脂腺やら毛乳頭やらに届いているか疑問である。また、届いていたらいたで、酸化の副作用も気になる。そもそも、電気的刺激は皮膚にとってよいのだろうか。高周波治療は本当に微妙な施術だ。

波動施術はどこへ?

ここまでは、(どれも出力高めだが)当たり前の施術である。つぎはなんだろうと待ち構えていると、なんとこれで体験施術は終わりだという。オペレーターによると、マイクロカレント(微弱電流)を使用する施術と、磁力を使った施術がほかにあるが、今回はビジターコースなので行わないそうだ。
マイクロカレントはアートネイチャーでやってもらったから、だいたいわかっている。かなり弱い低周波器という位置づけだった。では、磁力の施術とは? そういえば、波動術における波動エネルギーとは、あらゆる物質が発しているという微弱な磁力や磁場と同一視されていた。
もしかして、この磁力施術って、波動関係?
常識はずれの「発毛成功率96・8%」は、同じく常識を超えた「波動」なる存在からもたらされ
るものなのか。スケールがでかすぎて、ついていけないかもしれない……。
体験が終わると、カウンセリングルームには、すで江川さんが待機していた。彼女によると、今日シャンプー時に抜けた髪は86本。
「普通、シャンプーでは、一日の脱毛の約6割が抜けると言いますので、○○さんの場合、一日150本抜けていることになります。普通は70本程度しか抜けませんから、ちょっと大変ですね」
でも、平気のへいざだ。なにしろ、テクノヘアでは1日255本抜けると宣言されたくらいだから。150本など超絶好調ともいえる。ここで江川カウンセラーは、この施術中に抜けた髪の毛根を検査して、家から持ってきていただいた髪と比較しましょうと言い出した。これは予想せぬ展開だ。ヤバいぞ。はじめの毛根検査の毛が女性のものだとバレたら、どうしようか……。
いや、これは嫌がらせか。もしかして、取材だということがすでにバレているのか? 当局に通報されるのか? ちょっと待て、御上ににらまれかねないのは、俺じゃあるまい。ともかく、ヤバいぞ……。
過呼吸になるほど動揺する私の前で、江川さんは、シャンプーで抜けた私の毛の診断を下しはじめた。
「先ほどの抜け毛と、症状はまったく同じですねえ。どれも、毛根が膨らんでいません。男性型脱毛ですね。脂も同じようについています。脂漏性脱毛。しっぽのついているものもありますから、これは粃糠性(ひこう性)脱毛。ただ、今回はびまん性は見当たらないですね」
(安堵の溜め息)はあ……。
ほっとしたのと同時に、あらためてこの毛根検査の有効性に疑念をもった。確かに、男性と女性の毛髪にそんなに違いはない。電子顕微鏡などを用いて毛の芯(メデュラ)の構造を比較しなければ、見分けはつかなくて当たり前だろう。しかし、症状の診断まで酷似しているとは、どうにも納得がいかないのだが……。
その後、リーブ21の実績写真集の解説が長々と続く。数カ月で劇的に回復した例をいくつも紹介されたのだが、そのひとつに、「バイオテックで施術を受けたが、効果なく来店」した男性の回復例が載っていた。バイオテックといえば、つい最近受けてきたばかりじゃないか。わざわざライバル会社の名前をあげつらっているところを見ると、とりわけ仲が悪いのだろうか?
最後に質問がないかと言うので、波動について説明を求めてみた。すると江川カウンセラーは急に落ち着きがなくなり、どもりながら以下のように説明してくれた。
「あの、えー、毛髪の成分を特殊な機器で分析して、施術の方向を探ったり、また応用したりということで、まあ、使わさせていただいているものです」
説明するのが気恥ずかしいのだろうか、波動そのものの説明はなく、曖昧にごまかして逃げた感じである。このぶんでは、どうやら波動施術も、期待していたような目玉商品というわけではないのかもしれない。残念である。
こうして初回のプログラムがすべて終了した。
お試し用の1週間分のシャンプーとコンディショナーをもらって下駄箱ゾーンに向かうと、帰り際の男性客3人とはち合わせした。みな20代前半と若く、とくに毛髪に問題はないように思える。
なかには茶髪もいるくらいだ。身なりも派手で、ベルベットのテーラードジャケットに色褪せたクラッシュジーンズを合わせたりなど、今風の崩したファッションで決めている。
確かになあ……こんなにカッコつけててハゲたら厳しいかもしれない。いまや男性も、どんどんファッションを気にするようになっている。つられて、コンプレックス産業も右府上がりというわけだ。
育毛・発毛業界の隆盛の一因を垣間見て、初回のリーブ21潜入取材は幕を閉じた。
 
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