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育毛サロン体験談4

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育毛サロン体験談4

ふたたびバイオテック

女王様と脱毛博士最後の戦い
さて、2回目のバイオテックだ。前回からちょうど2週間が経つ。受付に名を告げると、さっそく辺見えみりカウンセラーのお出迎えだ。
もし契約したら、彼女とずっとおつきあいすることになるのかと思うと、やはりカウンセラーは顔が命です。性格アレだが、月1万円くらいだったら契約してもいいかも……などと、また徹夜明けで錯乱した意識のままカウンセリングを受けはじめる。
 
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書かれ放題の報告書
まず、前回のシャンプー時に採取した髪の毛根の拡大写真を受け取った。写真の毛根は、いつもどおりだ。毛の太さの1・5倍程度に膨らんだ毛根。辺見カウンセラーは、脂のせいで、どれも育ちきれていないという。
「自分で思っているより、もっと、全然脂っぽいですよ。やっぱり、すごい脂性!」
ぞんざいな言葉が、またもや私の心を切り刻む。
なぜ脂っぽいだけで、こんなに叱られなければならないのか。おまえ、五木寛之氏にもこうやって叱るのか? これは営業方針か、あるいは個人的趣味か? もしかして、なにかのプレイか?
閉店後に別のバイトでもやっているのか? などと言えたら、どんなにいいか。
ほんと、すんません。
まるでダメな子のようにあやまりながら、シャンプー中に全部で61本の髪が抜けたという報告を受ける。「かなり多くて大変」とのことだが、私は内心ラッキーと思った。お湯の温度が低めだったからか、他サロンでの抜け毛と比べて少ない。
続いて、「育毛のためのアドバイス」と題された毛髪検査報告書が手渡される。
これによると、私の脱毛原因は「皮脂過剰」「血行不良」「ストレス」であり(つまり、なにもかもが悪いようだ……)、それらの影響は「非常に強いと思われますので≒定期的にサロンにお越しいただくことをおすすめします」。
これは、バイオテックのコンピューターが膨大な統計データから弾き出したアドバイスだという。
コンピューターにまで言われ放題、書かれ放題。ここは、マシンにまでサドっ気があるのか。
それにしても、この報告書、長い。「毎日のお手入れ」ということで「ご使用をおすすめ」するオプション製品の説明が延々と続いている。育毛剤EXナノペ夜用育毛剤ナノエッセンス、トリートメント剤キューテクラ、整髪剤プロテクター、ビタミンサプリメントEXバイオー00、ミネラルサプリメントEXナノー00、自宅用赤外線・オゾン発生装置スーパーセラピュータ……まだまだ続くが、あとは割愛。
いささか脅迫的な報告書を読みながら、2回目のサロン体験を終えた。まだ完全に乾かぬ髪のまま、カウンセリングルームに逆戻り。ついに、バイオテックの料金システムの説明開始となる。
「50万くらいのコースをホームページで見たんですけど、あのくらいが相場ですか?」と切り出すと、否定的な言葉が返ってきた。
「あれはお金が厳しい人向けで、現状維持が精一杯。あのメンズコースでは育毛はできません」
辺見カウンセラーによると、バイオテックでは、ほかに正メンバーズコースとスーパーロイヤルコースがあるという。こちらのコースのほうが本格的なうえ、ずっ
とお得で、商品にメンバー割引きが適用されるのだという。たとえば、シャンプーは約35%も割引きになる。
辺見カウンセラーは「私のため」に、正メンバーズコースの6ヵ月を勧めてくれた。バイオテックでは一年コースというものがないらしく、6ヵ月以降は適宜、カウンセラーが施術やヘアケア用品などを買い足すよう指示するのだという。
この「正メンバーズコース」6ヵ月分の私専用レシピを見てみる(表5)。

バイオテック料金

バイオテック料金


 
これだけ見ると、メンズコースとほぼ同じ金額だ。お得なんだろうか。いや、待てよ。
これ、施術が9回しか入ってないですね。半年なら、もっと回数必要になりますよね。メンズコースでも施術は15回は入ってましたし。
「施術に関しては、これはとりあえずの回数設定と全額なんです。
その人の状況をよく見て、あとから私が、ちゃんと必要なものや必要な回数をお勤めするんですね」
バイオテックが推奨する施術回数は、半年間で全36回だ。
「施術は状況に応じて増やしていきますので、大丈夫ですよ」とのことだが、なにが大丈夫なのかさっぱりわからない。
いや、いまのうちに、ほかに必要になってくるものを知っておきたいんですが。
すると辺見カウンセラーは、「最低限、○○さんに必要なのは……」
とずらずらと紙に、オプションの商品名を書き出す。それによると……。
とりあえず施術をもう2回増やすべきだということで、2万475円(以下、表6)。
バイオテック追加オプション

バイオテック追加オプション


総額、すでに半年で約90万円。しかも、施術回数はいまだ11回なので、明らかに買い増し要求は出るだろう。
「あと、育毛剤は、つければつけただけ、いいんです。私はたくさんつけるように指示していますので、もう少し多めに買うのがいいと思います」
(やけくそ気味に)そうですかあ。こうなると、なんかもっといいコースも気になっちゃいますね。どうせなら、効果があるほうがいいし。ものすごい王様みたいな名前のコースありましたよね?
「スーパーロイヤルコースですね?」
すかさず、私はそのコースの説明を求めた。
スーパーロイヤルコースとは、バイオテックが標準と定めている施術回数ならびにすべてのホームケア製品があらかじめ含まれているものだという。実績写真集などのサンプル写真は、すべてこの最高のコースでの結果だということも、このとき初めて教えてもらった。そりゃ大事な情報だ。
先に言ってくれ。
さて、このコース。総額は「半年で」150万円以上と、飛び抜けて高価だった。全36回の施術料が約36万円。スーパーセラピュータなどの機材が約44万円。そして、ヘアケア製品が70万円近くを占める。1年で換算すると、250万円近くかかることになってしまう。
え、このコースですが・・・取る人いるんですか?
「いますよ。(と実績写真集を示し)やっぱり、それだけ効果がありますから」
実績写真集を見ていると、「リーブ21から来店」したという人の回復例を発見。そういえば、リーブ21では「バイオテックから来店」した人の回復例が載っていた。
やはりこの2店、かなり仲が悪いのだ。どちらもカツラ販売には携わらない育毛(発毛)専門サロンだが、片方はアデランス陣営と挟を分かち、片方は傘下に残った。憎しみもひとしおだろう。文字どおり「同族相食(あいは)む」といった具合だ。
そんなガッつかれても困りますとです……
辺見さんは、にこにこしながらこちらを見ている。完全に私が、スーパーロイヤルコースを契約するものと思い込んでいる。私の服装を見てくれ。丸ごとユニクロのコーディネートだ。どうやって年間250万円も出せるというのか。私はわざとらしく腕時計を見る。
あっと! やべ! 時間だ! えー、すんませんが、今日は忙しいので、ちょっと検討してから連絡します。
いきなり辺見さんの顔が曇った。
「検討するには、どのぐらいお時間が必要ですか?」
やっぱり、かなりの高額になったので、どこまで必要かは自分で考えときます。
「どこまで必要か考えるのは私の仕事なんで、どこまで出せるかだけ考えてください」
と、挑発的な宣戦布告から、また戦争開始。
けっこうな金もかかりますし、いまここで即断というわけにはいかないですよ。
「でも、継続しなければいけないので、とりあえず契約だけでもしていったらいかがですか? すぐ終わりますし」
いえ、すぐ終わるとかいう問題でなく、ゆっくり考える時間がいりますよ。
「考えるより、髪のことを優先してください。考えても髪が生えるわけじゃないので」それでも私が拒否し続けると、次第に相手も譲歩するようになった。正メンバーズコースの基本セット、そしてさっき否定したメンズコースヘと、どんどんとお勤めサービスが変わっていく。
「とりあえず、シャンプー買っていったらどうですか、7000円ちょっとですから。とにかく、せっかくスタートされたんですから、このままいい状態を維持していかないといけませんので」
それも断ると、「じゃあ、いつ? 連絡は?」と恥も外聞もなく食いついてくる。
こうなると、こっちの気も完全に冷めてしまう。辺見さん、ちょっと商売っ気がありすぎじゃないかな。逆に契約取れないぞ。
「早めにお手伝いをしたいし、本部に言わなければならないので。今週中に必ずお電話いただけますか? 早ければ早いほどいいんです。いつ連絡くれますか?」
そうか、月末だ。もしかしてノルマが気になるのだろうか。
そういうことにはつきあってはいられない、とほとんど無理矢理といっていいぐらいの勢いで、店舗を出たのだが、ふと背後を振り返ると、辺見さんは情けなさそうな顔で、拝むような格好でこちらを見ていた。
うーん。あっちはあっちで大変なのかもしれない。なんだか、悪いことをしてしまったような気がしてならない。いつか別業種の店で会おう。辺見さん……。
足早に渋谷駅に向かって歩きながら、また後味の悪い取材になってしまったのを悔やんだのであった。

ふたたびリーブ21

激戦、金額交渉金なら払えん!
2回目のリーブ21だ。サロン体験はまた別のオペレーター。前回と同じく施術が行われたが、こちらは割愛し、金額交渉に急ごう。
今回は、打って変わって、かなり若い女性が現れた。ほんの少し茶髪だ。自称自然派の会社としては、こういうの御法度じゃないのか、なんて思う。上司に指摘されたら、学校の生徒みたいに「違うんです、自毛なんです!」なんて言ったりするのだろうか。
さて、この人、誰に似ているか……? タレントにあまり詳しくないから、底がついてきた。えーと、ふっくらしていて声が鼻にかかってるから、今回は山瀬まみさんということでお願いします。
健康食品勢ぞろい!
コースの金額説明の前に、健康食品の説明をしてもらった。3000〜4000円程度が主流の市販のサプリメントと比べるとけっこう高額であるが、山瀬さんによると質がよいからとのこと。
代表的な品名と値段を列挙してみよう。
ミネラル・ビタミン剤毛精(Iカ月分60粒)1万7400円。
アミノ酸髪皇(Iカ月分180粒)1万2600円。
青汁若葉の活力素(3gx90包)8500円。
キビのエキス髪精(Iカ月分120粒)9000円。
まだまだ際限なくあるが、きりがないのでサプリ系はこのくらいにしておこう。
ほかに気になる周辺商品といえば、クマザサエキス天命水(40)1万5801円。おなじみウォーターが原料のアルファ水(180)1890円。さらには、リラ・パワーと名づけられたマイナスイオン関連グッズも豊富だ。放射線を発する鉱石をパウダー状にして繊維に織り込んだベッドマットレス(2万3100円)や帽子(4720円)など、テクノヘアばりにマイナスイオンづくしである。

これがリーブ21の金額システムだ!

こうして、いよいよ本格的なコースの相談となる。
山瀬カウンセラーによると、—週間に一度、2時間の施術を受けながらホームケアを行うのが基本だという。また、1年以上のコースは「発毛しない場合は施術料金のみを返金する」保証の対象となる。
さて、メインコースの内訳からいこう。
まず施術料は表7のとおりだ。ホームケアセットは、育毛剤特製ヘアトニックABとシャンプーならびにスカルプコンディショナー。周辺機材として、低周波器パルシータ(5万1030円)ならびに高周波器テクノメイト(5万3550円)、エアシャポー(5万1450円)。以上が基本的な構成である。
そして、つぎのコースこそ重要だ。「万一発毛しなかった場合、すべての金額を返還する」というありがたい全額保証コース(表8)。

リーブ21料金

リーブ21料金


施術代だけが返還されるメインコースとは違い、周辺機材からヘアケア用品まで、一切合切が戻ってくる……らしい。
この金額に関しては、「発毛の喜びは何にもかえがたい」ということで、コメントを差し控えさせていただく。
それで、こういったリーブの施術を受けると、どのくらいで毛が生えるんでしょうか。
「だいたい、3ヵ月くらいで土台ができて、半年くらいで抜け毛がなくなります。ちゃんと増えたなってわかるのに、1年はかからないくらいです。でも、安定するのにはまたちょっとかかりますから、1年から1年半というところですねえ」
あるコースが終わったとしても、それですむんですかね。施術でよくなっても、このコースをずっと続けないと、またダメになるんじゃないですか?
「それはないです。毛根が活性化して元どおりになるので、みなさん1年から2年通われて、それからやめていかれます」
健康食品はやっぱり必要ですか?
「みなさん、青汁の活力素は必要ですね。天命水とかも。でも、やっぱり、その時々の状態で必要になってくるものが違いますからねえ。(健康食品に使っているお金は)みなさん、平均で毎月2万から4万くらいですかねえ」
険悪なムード
この施術で、全体的な統計データというのはあるんでしょうか? 発毛成功率とか出ているんですよね。
「それは……個人のデータは取っているんですが、全体としては、そういうものを出してないんで」
このあたりから、山瀬カウンセラーの口調がぞんざいになってきた。
検討させてもらいます、と私が席を立とうとすると、「なにを検討するんですかあ?」と喧嘩腰の口調で聞き返してくる。
金銭的な問題に決まってるじやないですか。
「それであれば、(金銭的に)どのくらい出せますか?」
山瀬はぶっきらぽうな口調でそう吐き捨てる。脅迫を受けているような気分だ。それが客に対する態度か? おまえの頭皮チェックをさせろと絶叫しそうになった。
「○○さんは、1年半のコースがいいと思うんですけど。どちらにせよ、早めにスタートしたほうがいいですから、次回の予約を入れて、すぐにコースを始めるのがいいですよ。もう、今日の施術で頭皮の奥が活性化していますから、これを続けていかないともったいないですし」
1年半のコースは……238万円である。
しかし、なかなかすぐに契約できる金額ではないですよ。
「お金でしたら、9分割払いは手数料がかかりません。たとえば9回払いにしますと、1回目が26万8560円。それ以降は、毎月26万4000円ですね。振り込んでいただければいいので」
月26万はかなり厳しいですね。それ以上の分割回数だと?
「ローンになるので、ローン会社の手数料がかかってきちゃいますが、みなさんそれでもやってらっしゃいますよ。ある程度、払えるだけ払っておいて、残りをローンにすれば金利も少なくてすみますし」
しかしだ、そんなに急を要するのか、私の髪は? 238万円のコースを当然のような顔で勧められるほど? 自然治癒どころか、いずれ金銭的ストレスでガンになりそうだ。
……さて、どうする? 消費生活総合センターで思いついたみたいに、やってみようか? クーリング・オフ?
よし! やるぞ!
「それじゃあ・・・とりあえずこの3ヵ月を、ぜひ契約したいんですが」
と、心のなかで言いかけてストップ。
……いや、ダメだ。いくらなんでも、できねえ。契約恐怖症なんだ。ルポライター失格です。みなさん、本当にごめんなさい……。
それから、かなり長い間の沈黙が流れた。山瀬カウンセラーは詰問するように、じっと私を見つめている。私も気分を害して腕組みをしながら、口をつぐむ。とはいえ、あまりに苦痛だ。10分ほどで私は音を上げて、こう答えた。
「全額保証でないと安心できないが、全額保証は高すぎて払えない。そもそも、96・8%が生えるなら、全額保証がつかないメインの1年半コースでも、明確な効果がなければ全額返金してもらいたい」
というか、そうすべきだ。そう宣伝しているんだから。それだけの発毛成功率を達成しているな
ら、仮に生えない3・2%に返金したって、痛くも痒くもないでしょう?
山瀬さんは「それはむずかしい」と答える。
てことはですよ、ほんとに、生えるんですか? 円形脱毛みたいなのなら、ものすごく生えると思うんですが、進行した男性型脱毛も生えるんですか?
「(撫然とした表情で)生えます!」
堅い、見上げるほどの堅い意志だ。それからまた、しばらくの無言状態が続く。
私は腰を上げ、ごく自然にプラン表を回収して鞄に入れた。山瀬さんも舌打ちしかねないような表情で立ち上がる。カウンセラーとの間によからぬムードが流れたことは何度となくあったが、ここまで険悪になったのは初めてである。
これはリーブ21に限ったことではないのだが、若いカウンセラーは営業成績を上げたいばかりに逆効果な接客をしがちなようだ。一回目の江川カウンセラーならば、こうはなっていないのではなかろうか。私は、そのまま店を出た。もちろん、出口までの見送りもなかった。
しかし……リーブ21がもっとも印象的なサロンであったことは確かである。日本毛髪業協会側のサロンとは明らかに違ったムードをもっていた。自らの施術に対する絶対の信頼というか信念というか。
仮に、あの熱意が客にその効果を信じ込ませるとしたら、「発毛成功率96・8%」なる、現代科学も自然の掟も、なにもかも超えた力が働くのかもしれない。なにしろ、イメージの力は偉大だ。性格は免疫力ともかかわるし、事実、ポジティブな思考はガンの進行すらも抑えることがあるというし。
わからないことが多すぎる
このあと、私はクリエーションヘアーズとヘアリジューという日本発毛促進協会所属の発毛サロンを取材した。前者は、アロマテラピーと東洋医学のツボ押しを併用した施術を採用しており、後者は「真空含有発毛機」というプロビアのg・d・sとそっくりの機械が売り物であった。しかしなが
ら、具体的な施術方針や内容において、ほかのサロンと重なるところも多いので、紙幅の関係から詳細なレポートは割愛させていただく。
さて、本来ならばここで取材は終了、お勧めサロンの検討に入る予定だったのだが……。現段階では、どうにもむずかしい。サロンの取材だけでは、わからないことが多すぎるからだ。
まず、私自身の脱毛の状況がさっぱりわからない。早くなんとかしなくてはいけないと説得するサロンが多い一方で、アートネイチャーとヘアリジューの2つでは、「いまのところ年齢相応で、さして問題はない」と判断されている。また、男性型脱毛や脂漏性脱毛をはじめ、さまざまな症状名が出てきたが、サロンごとに診断がばらばらで、一致をみないことも気にかかる。
もうひとつは、サロンが扱えない未承認薬の詳細についてである。いくつかのサロンでは、ミノキシジルなどの未承認薬を徹底的に非難していたが、本当のところはどうなのだろう。もし、副作用のわりに使える薬だったら、これを使えばすべてすんでしまうのではないだろうか。ここから先は、実際に医者を当たって意見を聞いてみるよりほかはない。次回は「医療編」として再スタートを切ることにしよう。
ただし、医者に行く前に、ひとつ片付けなければならない仕事があった。私の脳裏から離れないあの説脂は人体にとって悪いものではないという「非常識健康法」の実態の確認を、先にすませておくべきだろう。

ホームレスは禿げない?

上野公園@きれいはきたない、きたないはきれい?
ということで、今回は、上野公園の潜入取材、ホームレスのハゲ率統計調査である。
暫定ハゲ率30%
さて、西郷像前を起点にして調べはじめようと思った矢先からつまずいた。
確かに、ホームレスはいっぱいいる。みんなベンチに寝転んだり、ぼんやり膝をかかえて座っていたりする。だが、半分以上が帽子をかぶっているのだ。昼でも眠れるように、みんなツバのあるキャップをかぶっている。しかも寒い。もう冬が近いのだ……。私だって帽子が欲しい季節だ。
帰るかとも思ったが、電車代をムダにするのももったいないので頑張って数を数えることに。
前頭部から頭頂部にかけて、明らかに毛量が少なければハゲとみなす。
上野西郷像前 帽子7名。フサ5名。ハゲ2名。
上野の森美術館周辺 帽子3名。フサ3名、ハゲ1名。
東京文化会館周辺 帽子3名。フサー名。ハゲ1名。
……キリがない。しかも、自分の立てた基準が客観的かどうかもわからない。いくつかの微妙な例については、はっきり言って自信がない。おいこら、そこのおっさん動かないでくれ。統計が狂うじやないか。
やっぱりやめるか、と真剣に悩みはじめたところ、遠くでなにやら人だかりが見えた。東京国立博物館近くあれは恒例のキリスト教系宗数団体による炊き出しである。
ラッキー、あそこで一網打尽!と、さっそく駆けつける。大漁だ。炊き出しを待つ人の群れが列をなしている。一列には20入以上が並んでおり、全部で20列。周囲にもうろうろしているし、しかもまだ増えてくる模様。
みんな、たくさんの荷物をかかえている。そんなに小汚くない。当たり前だが、肥った人が1人もいないのは興味深い。なかにはしなびたスーツ姿のまだ30代と思われる人もちらほらいるが、年齢は50代が中心であるように見える。厚労省の全国調査でも、ホームレスの平均年齢は55・9歳とあったが、ここでも当てはまるのかもしれない。
ただ、残念なことにお目当てが見つからなかった。あのいわゆる苦行僧じみた姿垢まみれでものすごい長髪の浮浪者がいないのだ。
ともかく、早くしないともっと増えそうなので、あわてて統計を取りはじめる。とりあえず列に並んでいる人だけにしぼると、約400人。そのうち帽子組が200人弱で、約半分を占めた。頭頂部が薄い人は60人程度。ほかは問題ないか、判別がつかない程度が約140人ほど。
まあ、だいたいだが暫定ハゲ率は30%前後と把握した。けれども、前からは見ていない。あくまでも後ろからの観察である。前方に回ろうかと考えたが、なにやら宗教団体のみなさんが賛美歌などを歌い出したため、どうにも行きづらい。ほぼ50代以上で、てっぺんがいくらかでも厚くなっているのが3・3人に1人というのは、これは割合として多いのだろうか……。
アデランスの04年度の調査では、日本の成人男性における薄毛率は26・05%であったという。これは、第一回調査結果(82年度)の1・67倍で「推定原毛人口は1293万人、3・8人に1人が原毛」で、「アジア地域では日本がトップ」とのことだ。
調査母体は9655人。チェックポイントは「前頭部の生え際が明らかに後退」「頭頂部やつむじ周辺の毛量が、その他周辺の毛量と比べて明らかに減少している」の二点だ。
割合だけ比べれば、上野公園のハゲ率のほうがちょっと高い。ただ、こちらは50代以上が母体となる集団だ。後頭部だけの判断だが、もしかして……この結果はけっこうイイ線いっているのではないだろうか?

洗髪回数週1〜2回

こうなったら個別に攻めていこうと、列から離れた場所をうろついている人をとっつかまえて、片っ端から洗髪回数を聞いてみることにした。とはいえ、考えてみればあまりに失礼な質問なので、ついつい髪には問題がなさそうな、しかもそこそこキレイな身なりの人に声をかけてしまう。それでも、たいていは逃げられた。2〜3人のグループでないと、話をちゃんと聞いてくれない。やっとデータが取れたのは20入。年齢は30代前半〜60代前半といったところだ。
シャンプーなど洗浄剤を使っての洗髪回数は、週2回という回答がもっとも多く10人。ついで、週1回が5人、数週に一度が3人。一日おきが2人いたが、毎日洗うという人はいなかった。
傾向としては、(当たり前だが)浴場設備が整っている自立支援施設や簡易宿泊所などで寝起きしている人に洗髪回数が多い。テントで暮らしている人は、ほとんどが週に一回の洗髪である。とはいえ、洗浄剤を使わないだけで、公園の水道で髪を水で流したり、体をタオルで拭いたりということは、季節によっては毎日行っているとの答え。
使用する洗浄剤は、固形石けんが15人と圧倒的に多かった。残り5人は、市販シャンプーである。固形石けんを使用する理由は、「持ち運びやすいから」また「洗濯にも使えるから」だった。
最後に私は、噴水近くのベンチにたむろしている5入の中・高年グループに接触した。こちらの経過はなかなか面白かったので、実況で記述しよう。全員、髪がそろっているのを確認して、私はおもむろに彼らに近づき、取材意図を話した。
自称ヘアジャーナリスト、○○譲治と中します。ちょっと皆様にお聞きしたいことかありまして。
えー、一般的に髪を洗わないとハゲると言われているのですが、それが事実かどうか調べているんです。みなさまの洗髪回数を、ぜひとも教えていただけないでしょうか?
すると、モサモサのカールヘアに、のっぽさんがかぶっているような帽子をのっけた佐藤蛾次郎似の男性が、「そんなことあるわけないよ、洗わなきゃハゲるなんてさ」と突っかかってきた。
「汚い、汚いって言うけど、俺たち汚くないんだからさ」
いきなり誤解されているようだ。
個人的には洗いすぎこそ問題かなと思いまして……と私はフォローを入れる。
「そうだよ、洗えばいいってもんじやないんだからさ」
と、蛾次郎さんは続ける。
「ほら、みんな髪にクリームだのつけるでしょ、それがダメなんだ。ああいうせいで髪が抜けんだからさ」
すると、傍らの北島三郎似で斜視のおっさんが私の胸を突きながら、意味もなくでかい声で叫ぶ。
「食べ物なんだよ! 悪いモン食ってるからだよ! だからハゲるの! あとは何もないの!」
蛾次郎さんも、うなずきながらおっしやる。
「そもそも、おまえら若いの、みんな金儲けに馴されているわけだからさ。それでいらないもん買わされているんだよ、それで体悪くしているんだからさ」
北島三郎はいっそう興奮し、斜視をひどくしながら、「食ベモンだよ! 食ベモンだよ!」と絶叫する。
「そもそも食べすぎなんだよ。考えてみなよ、俺たちのじいさんばあさん、なに食ってた? あんまり食ってないんだよ。一日一食とか平気だよ。栄養はそんなにいらないんだよ。見ろ、俺の頭!」
誇らしげに突き出すその頭には、びっしりと灰色の毛が生えそろっている。
脂なんて毎日取るものじゃないよ
「……つまり、よけいなもの買ってるんだよ、おまえらみんな」
蛾次郎さんがまた会話に入ってくる、
「だから、髪が抜けたり病気になるんだよ。シャンプーたのなんだの、いらないもの闘わされてるからか」
彼は、そういって溜め息をついた。
「脂なんて毎日毎日取るものじゃないよ、何千年も、何万年もそんなに取ってこなかったんだからさ。何千年も、何万年も。もうこの世は全部、なにもかも間違っているんだからさ」
おお、かなり偏見が混じっているとはいえ、これこそまさしく現代文明に背を向けて生きる哲人の知恵なのかもしれない。
きれいはきたない、きたないはきれい
そんなシェークスビアの一節が脳火に思い浮かぶ。
帽子からはみ出たもじやもじやの髪も、その正しさを雄弁に物語っているではないか!私は、ぜひ、そのフサフサの頭を写真に撮りたいから、帽子を取ってくれないかと蛾次郎さんに頼み込んだ。
「いや・・ダメだ」
お願いします! 取材なんです。証拠が欲しいんです!
「……俺さ、これ、部分カツラなんだよ」
え?
私は数秒、固まってしまった。このショックは、アートネイチャーのカウンセラーの告白を聞いたときの比ではない……。えーと、部分カツラ? なんで、そんなものをかぶっているんだ? 場も、しんとしてしまった。どうやら、私はやってはいけないことをやってしまったらしい。
突然、蛾次郎さんの隣に座っている丹波哲郎似の白髪の老人が、怒鳴り声をあげた。
「おい、お前! いきなり人の髪がどうのこうの失礼じゃねえか? いい加減にしろ!」
ヤベエ……、殺られる! 私はすかさず非礼を詫び、取材のお礼に缶コーヒーでも買ってまいりますと、情けないフォローまで入れてしまった。
丹波哲郎は「それじゃ、俺、ロング缶な」などと言い出す始末。
こうして完全にパシリと化した私は、自販機を探して歩き出した。
真実か……世捨て人のたわごとか……?
缶コーヒーを携えて戻ってくると、北島さんしか残っていなかった。これ以上の長居は無用と、私は彼に缶コーヒーをすべて渡して即退散。
北島さんは最後に「取材がんばれよ!」と大声で励ましてくれたのだが……。残念ながら、今回の取材は、成功とは言いがたい。ホームレスにハゲは少ないという立証はできなかったし、洗浄剤を使った洗髪回数が週に1〜2回程度というデータも、たかだか母集団が20名の調査だから、あまりに不十分すぎる。はっきりしたことはなにもわからなかったに等しい。
ただ、私にとっての収穫といえば、あのホームレスの一人が言った言葉だ。
「脂なんて毎日毎日取るものじゃないよ、何千年も何万年も、そんなに取ってこなかったんだからさ」
これは、しごくまっとうに聞こえる反面、いま主流のスキンケアからすれば、とんでもない非常識になってしまうのだ。これは、世捨て人の単なるたわごとにすぎないのだろうか……?次回は、医者相手に、こうした素朴な疑問をぶつけていくことにしよう。
 
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